放逐された間違われ聖女は世界平和に貢献する

星ふくろう

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魔界への招待状

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「来ないの?」
 シェリルはふりかえるとまだ名も知らない相手だということにようやく気付いた。
 彼にまだ、馬車で逃げることを手伝ってもらった礼もまだだった。
 彼だけをここにおいていくのも気が引けるから、声をかけてみる。
「あなた、お名前はなんでしたかしら?
 助けて、ここまで送って頂いたのに。
 無作法でごめんなさい」
 素直に謝罪する少女に、傭兵は驚いた顔をした。
「何?」
「いやあ‥‥‥。
 あんな肌もあらわなかっこうで疾走していくのを見るとな、その‥‥‥。
 つい、美しいとー」
 やめてよ、とシェリルは笑う。
「こんな剣だの槍だの体術だの。
 これでも、デュラハンやスケルナイトと互角に渡り合えるなんて、免許皆伝まで貰ってるんだから」
 は?
 スケルナイト? 骸骨騎士??
 デュラハン?
 あの、首のない馬に乗り、胴体と首が離れていて、片腕にその頭を持ちながら生きた騎士を狩る。
 あの悪魔騎士か?!
 この娘はなにを言ってるのだろうか‥‥‥???
 ライルはシェリルという存在が空恐ろしくなってきた。
「おい、お前は何者なんだ‥‥‥??
 まさか、本当に魔族とかじゃあ‥‥‥ないよな?」
「違います。
 普通のハーフエルフよ。
 この国が平和になり、この城も昔のように兵士が要らなくなったでしょ?
 数世紀前の話だけど。
 でも、ここの地下には誰かが眠っているの。
 妖精界に通じる扉があるような古城だもの。
 魔界からの旅人だって来るわ。
 ご先祖様たちがただ、嫌わなかっただけよ」
「嫌わなかった??」
 うん、シェリルは妖精界に通じる扉の横のほうにある祭壇を指差す。
「あれは妖精界に通じる扉からのお客様ようだけど。
 お酒と、少しばかりのもてなしの料理をおいたの。
 最初はどうしていいかわからないから、口に合うなら食べて欲しい。
 ここはいろんな世界が混じり合う場所だから、もてなし方がわからない。
 だから、お酒とこれを置く。
 もし、欲しいものがあれば、この文章の下に書いてくれ。
 そう、書いておいたらしいの」
「なんとも豪気なご先祖様だな‥‥‥。
 ああ、俺はライル、ライルだ」
 銀髪のハーフエルフは挨拶をする。
「ありがとう、シェリルよ」
 シェリルはその片手を受け取り、握り返した。
「ご先祖様は考えたのよ。
 恨みだの、呪いだの。
 憎しみ合うのなら仕方ないけど。
 出来るなら仲良くできないかって。
 それで、半世紀ほど酒と料理をおいて、手紙の交流が始まったの。
 そのうち、相手もたまに寄るか、それとも居心地のいい所ならいさせて欲しい。
 そういう連中もいる。そんな話になったのよ」
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