放逐された間違われ聖女は世界平和に貢献する

星ふくろう

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放逐された聖女

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「クロウ様、まるで神様のようなお手際ですもの‥‥‥。
 本当に、人間とは思えないようです」
 ミレイアは判断がつかないと困り果ててしまった。
「どうしましょう‥‥‥。
 はあ‥‥‥」
「本当にね、はぁ‥‥‥」
 同時にため息をついたシュネイアとミレイアは顔を見合わせる。
「そんな、シュネイア様までため息をされるなんて。
 これほど偉大な精霊の御方がーー」
 そうでもないのよ、とシュネイアは困ったように片手を頭に当てて悩み始めた。
「この人ね、ほんとーに、好き勝手しすぎるの!
 もう、数百年まえに契約した彼ならまだもっとよく扱ってくれたのに。
 時間を好きに出来るからって、すればするほど後からの揺り戻しが大きいのよ。
 全額、わたしが怒られるの。
 関係している精霊や神たちから。
 でもぜんっぜん、悪びれないんだから!!」
 怒りの視線をしかし、クロウはまったく悪びれる節もなく素知らぬふりをする。
「ね!?
 これなのよいっつも!!」
 こんなに人間味のある精霊を見たのは初めてだ。
 そう、ミレイアは思った。
 そして、このクロウという異国の凄腕の侯爵が少しばかりではないほどの遊び人でありそうだな、とも。
「まあ、あのあれです、ね。
 シュネイア様も本当に大変そうで‥‥‥」
 としか言いようがなかった。
「まあねえ、それでも可愛いから仕方ないんだけど。
 ねえ、あなた様?」
「いや、あのなあ、シュネイアよ。
 そこでのろけるのは、やめようやな。
 また、夜に、な?」
「ふん、知りません!」
 そう、シュネイアは顔を赤らめて顔を背けてしまう。
 可愛い?
 どちらも本当に仲が良いとしか思えない。
 ミレイアは自分の婚約者が、もう、それを破棄していることだろう。
 そう思っていた。
「あの、お二人様。
 それも大事だと思いますが、このエルフの処遇を‥‥‥」
 ふん?
 クロウが光の輪に縛られた娘に目をやる。
「ハイエルフ、か。
 グレイエルフならまだ情けもかけれるんだがなぁ。
 うちの国は、グレイエルフが下民だ。
 その中で生きるなら、新しい道もあるが、ハイエルフは逆に目立ちすぎらあなあ‥‥‥。
 それよりも、ここに来てまだ数時間だってのに。
 こんだけの問題が起きちまってら。
 戻るべきかねえ。
 うちの文官様も待ってるだろうしなあ。
 もしかしたら、あの逃げた大地母神の聖女も戻ってるかもしれねえよ?」
「戻る、です、か‥‥‥。
 勇者グレイスの死の報告も必要ですがー‥‥‥。
 クロウ様、もしかすればあなた様が何かの罪に問われる可能性もーー」
 うん?
 おいらが罪にかい?
 途端、クロウは笑いだした。
「あのなあ、姫さん。
 さっきの勇者グレイスが王国でもそれなりの使い手だってんなら、あそこに。
 そういま、おいらと共にハイフからやってきてる文官。
 アッシュってんだが。
 これは水の王と契約しててな。
 強さはおいらと変わらねえ。
 それでも逃げれないと、そう思うかい?」
「クロウ様のお強さと同じ方がもうお一人!?
 ハイフというお国はどれほどに強大なのですか‥‥‥。
 いいえ、逃げるという意味では不可能ではないと思います。
 あのグレイスたち一行は、王国でも指折りの戦士たち。
 このエルフの‥‥‥ナーサリーもそうでした。
 ここで首を跳ねた方がこの子のためかもしれません」
 それを聞き、ナーサリーの顔面が蒼白に変わっていく‥‥‥
「あれだけ大勢の無慈悲なさつりくをやってのけるのですから。
 王女として見過ごすわけにはーー」
 ナーサリーはもうなにも言えずにうつむいたままだ。
 観念したのだろう、そうクロウは見ていた。
「ならーー戻るか。
 なあ、おい?」
 はいはい、わかりました。
 シュネイアが呆れたように燐光で全員を包みこむと、その場には誰もいなくなった。

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感想 1

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みんなの感想(1件)

兎月
2021.03.03 兎月

シリーズ物の作品であるのならば、シリーズ名のタグもつけて関連作品もそのタグを登録すると、読者は見やすくなるかと思われます。

2021.03.03 星ふくろう

ありがとうございます。
このアルファポリスの中にある作品はほぼ(現代世界も含めて)同一シリーズです。
その前提でお楽しみいただきたいのですが、まだ130作品ほど未公開があります。
時系列に描けないので、個別に楽しんでいただけると幸いです。

解除

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