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本編開始前
歪な愛 (薙翔の寧々への想いの独白、シリアス)
しおりを挟む愛とはもっと綺麗な物だと思っていた
愛とはもっと尊い物だと思っていた
オイラの中にある寧々への想いも
きっと尊く綺麗な物なのだと
だけど
オイラの中にある愛は激しく歪んだ歪な物だった
何よりも愛しく
何よりも大切で
誰よりも幸せで居てほしいと
そう思っているはずなのに
寧々のすべてを奪いさって
誰の手も届かない
自分だけの物にしてしまいたいと
心の奥底で叫び続けている自分が確実に存在をしていて
それを消せない自分に激しく絶望した
こんなオイラに寧々を愛する資格はあるのだろうか?
こんなオイラに寧々のそばにいる資格はあるのだろうか?
いや…答えは分かりきっている
ただ、それをオイラが選べないだけ
ごめんな
お前はこんなにも純粋にオイラを想ってくれているのに
お前が愛してくれたオイラの内面は
本当はこんなにも醜く汚く歪んだ『鬼』のような男なんだ
お前と同じ想いを返せてあげられたらどんなに良かったか
お前がオイラじゃない別の男を愛せたらどんなに良かったか
でももう無理なんだ
オイラはお前を手放せない
お前の居ない世界だなんて考えられない
お前の幸せよりも自分の幸せを願う気持ちを抑えられない
お前をもう…逃してやる事はできない
だから、どこまでもお前を大切にすると誓うよ
この胸の奥底にある欲望を生涯果たさないと約束する
醜く歪んだ鬼を心の奥深くに封じて
ただの平凡な純粋な愛を持った男を必ず生涯演じきってみせるよ
だから…ずっとオイラの側にいてくれ
ずっとずっとオイラの側に…
『愛してるよ…寧々… 』
【あとがき】
※薙翔の言う鬼とは比喩表現です。
会えない百年の間に薙翔は見世物小屋に捕まり酷い扱いを受け、心に大きな傷を負いそれ故寧々への独占欲があります。
しかしそれ以上に寧々を大切に愛したいというのが薙翔の心からの本心。
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