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剣士への一歩
試験
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ハヨンが武道場に呼ばれたのはかなり後の方だった。
「失礼します」
とハヨンが一礼して武道場に入る。ヘウォンの立ち姿には一つも乱れがなかった。その姿には強さや威厳が感じられた。
何人もの受験者と手合わせをしたというのに、少しも息を乱さずに立っているその姿はさすがへウォン様だ、と心の中で称賛する。
ヘウォンは白虎一の強者で、王を護衛している唯一の武官だ。他の王族はみな、二、三人は護衛がついているのにも関わらず、ヘウォンはこの10年間、王の身を一度も傷つけず、一人で守り抜いている。
幼い頃、父が何度も嬉しそうに彼のことを話していた。
剣の手入れも怠らない素晴らしい武人でね、何度か手入れに俺のところに来られたことがあるが、大事にされているのが伝わってきたよ。と。
「随分と細っこい奴が来たもんだな。」
ヘウォンはにやりと笑う。どことなくからかうような口ぶりで、ハヨンはむっとした。
「細っこくてはいけませんか。」
ハヨンは自分の腕前には自信があったが、体格が大きな枷となることもわかっていた。自分が女であるから、どうしようもないことなのだが、そこを馬鹿にされては腹がたつ。
「いや?どんな体格であろうと、使えるやつは合格だ。まぁ、結果しだいだ。ちゃっちゃと終わらせよう。」
しかし、ハヨンの思い違いだったようだ。からかいはしたが、彼は馬鹿にはしていなかった。少しほっとしながら、ハヨンは外套を脱いで武道場の隅に置く。そして向かい合わせに立ったとき、ヘウォンはおっ?と声をあげる。
「お前、いい刀を持っているな。」
「ありがとうございます。」
「俺が気に入っていた刀鍛冶の親父がよくそんな形の刀を作っていた。」
父の刀を覚えているのか、とハヨンは少し嬉しくなる。父が亡くなったのはもう八年も前のことなのに、懐かしがってくれる人がいるとは思いもしなかったのだ。思わず刀の柄をそっと撫でる。
そしてハヨンとヘウォンは一礼し、刀を構えた。
「何だ?かかってこないのか?」
ヘウォンは挑発的に笑う。
刀を構えてから、ハヨン達はどちらも長い間、間合いを詰めず、じりじりと進んでは戻るを繰り返していた。
「何も考えずに出てしまってはねじ伏せられてしまうのがおちです。」
ハヨンはそう答えながら一歩足を踏み出す。ヘウォンもそれに合わせて一歩下がった。ハヨンはヘウォンが体のどの箇所を動かしていないのか、素早く目を走らせる。
(どうしよう、何を使っていないのか全然掴めないな…。)
「こういうときは、思いきって一歩踏み出すのも重要ではないか?」
「そうかもしれませんが、あまりにも危険すぎるのでね…っ!」
ハヨンは受け答えをしながら刀で突いた。しかし、すかさずヘウォンは飛び退く。
(あ…!)
ハヨンは大きく目を開く。そしてすぐさま突き出した刀を元の位置に構え直し、片足を前に出す。
「お、遂にだな?」
ハヨンはヘウォンのその問には答えず、彼の刀を彼女の刀で凪ぎ払おうとする。
「そんな力で凪ぎ払おうとするなんて無駄だな。」
ヘウォンはハヨンの刀を受け止め、刀を合わせたままじわじわと二人は動く。この状態はハヨンにとってはかなり不利だった。いくらハヨンが鍛えているとはいえ男、その上武人相手に腕力が叶うはずがない。
ハヨンはじりじりと後退していく。遂に壁際まで後退し、ハヨンは歯を食い縛る。
「降参か?」
「いいえ。」
可愛げのないやつだなぁ、と頭上から声が降ってきた。呆れているというよりは、面白がられているようだ。
そのとき、ハヨンの手から刀が離れ、宙を舞った。
「失礼します」
とハヨンが一礼して武道場に入る。ヘウォンの立ち姿には一つも乱れがなかった。その姿には強さや威厳が感じられた。
何人もの受験者と手合わせをしたというのに、少しも息を乱さずに立っているその姿はさすがへウォン様だ、と心の中で称賛する。
ヘウォンは白虎一の強者で、王を護衛している唯一の武官だ。他の王族はみな、二、三人は護衛がついているのにも関わらず、ヘウォンはこの10年間、王の身を一度も傷つけず、一人で守り抜いている。
幼い頃、父が何度も嬉しそうに彼のことを話していた。
剣の手入れも怠らない素晴らしい武人でね、何度か手入れに俺のところに来られたことがあるが、大事にされているのが伝わってきたよ。と。
「随分と細っこい奴が来たもんだな。」
ヘウォンはにやりと笑う。どことなくからかうような口ぶりで、ハヨンはむっとした。
「細っこくてはいけませんか。」
ハヨンは自分の腕前には自信があったが、体格が大きな枷となることもわかっていた。自分が女であるから、どうしようもないことなのだが、そこを馬鹿にされては腹がたつ。
「いや?どんな体格であろうと、使えるやつは合格だ。まぁ、結果しだいだ。ちゃっちゃと終わらせよう。」
しかし、ハヨンの思い違いだったようだ。からかいはしたが、彼は馬鹿にはしていなかった。少しほっとしながら、ハヨンは外套を脱いで武道場の隅に置く。そして向かい合わせに立ったとき、ヘウォンはおっ?と声をあげる。
「お前、いい刀を持っているな。」
「ありがとうございます。」
「俺が気に入っていた刀鍛冶の親父がよくそんな形の刀を作っていた。」
父の刀を覚えているのか、とハヨンは少し嬉しくなる。父が亡くなったのはもう八年も前のことなのに、懐かしがってくれる人がいるとは思いもしなかったのだ。思わず刀の柄をそっと撫でる。
そしてハヨンとヘウォンは一礼し、刀を構えた。
「何だ?かかってこないのか?」
ヘウォンは挑発的に笑う。
刀を構えてから、ハヨン達はどちらも長い間、間合いを詰めず、じりじりと進んでは戻るを繰り返していた。
「何も考えずに出てしまってはねじ伏せられてしまうのがおちです。」
ハヨンはそう答えながら一歩足を踏み出す。ヘウォンもそれに合わせて一歩下がった。ハヨンはヘウォンが体のどの箇所を動かしていないのか、素早く目を走らせる。
(どうしよう、何を使っていないのか全然掴めないな…。)
「こういうときは、思いきって一歩踏み出すのも重要ではないか?」
「そうかもしれませんが、あまりにも危険すぎるのでね…っ!」
ハヨンは受け答えをしながら刀で突いた。しかし、すかさずヘウォンは飛び退く。
(あ…!)
ハヨンは大きく目を開く。そしてすぐさま突き出した刀を元の位置に構え直し、片足を前に出す。
「お、遂にだな?」
ハヨンはヘウォンのその問には答えず、彼の刀を彼女の刀で凪ぎ払おうとする。
「そんな力で凪ぎ払おうとするなんて無駄だな。」
ヘウォンはハヨンの刀を受け止め、刀を合わせたままじわじわと二人は動く。この状態はハヨンにとってはかなり不利だった。いくらハヨンが鍛えているとはいえ男、その上武人相手に腕力が叶うはずがない。
ハヨンはじりじりと後退していく。遂に壁際まで後退し、ハヨンは歯を食い縛る。
「降参か?」
「いいえ。」
可愛げのないやつだなぁ、と頭上から声が降ってきた。呆れているというよりは、面白がられているようだ。
そのとき、ハヨンの手から刀が離れ、宙を舞った。
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