47 / 221
新たな任務
話を聞いて 弐
しおりを挟む
「ヘウォンから聞きました。あなたも宴会に参加されるんですね。」
最近予定に公務を詰め込みすぎていたリョンヤンに、ついに宰相も耐えきれなくなったらしい。ヘウォンの公務を一切請け負うので、休息をとるようにと執務室から追い出された。
そんなこんなでハヨンとリョンヤンは珍しく、中庭に出てゆっくりとした時間を過ごしていた。
「そうですが、私はただ、護衛する身として、そして刺客を欺くためにいるだけです。ですので酒も飲みませんし、食事もほんの少ししか口にしませんよ。」
「そうなんですか。てっきり私は私の親族があなたを気に入ったかと思っていたのですが。」
リョンヤンは自信の指先にとまる小鳥を撫でながら、穏やかに笑っている。
(普段はそんな力とか見たことなかったけど、やっぱり伝説は本当なんだよね…。)
彼の手に乗っている小鳥は、彼が呼び出して飛んできたものだ。10年前にある王子に助けられた時にも見たので、これで2度目である。しかし、やはり思い通りに獣を扱うというのは見慣れないものなので、奇妙な気分だ。
「気に入られるってそんなまさか。」
「いやいや、父上はあなたのことを大した者だとお褒めになっておられましたよ。それに、リョンヘとも仲が良いではありませんか。ですからてっきり誰かに招待されたものだと…」
「リョンヘ様と…!そんな、誤解ですよ。」
ハヨンは声が少し上ずり、なんて白々しいと自分に心のなかで舌打ちした。
「ふふっ、そんな慌てずとも。リョンヘもあなたには気を許しているようで、私はうれしいんですよ。」
リョンと二人で、友達ということは隠しておこうと決めていたが、リョンヤンにはどれ程見透かされているのか。ハヨンは冷や汗が止まらなかった。
「そういえば、女性で兵士とは珍しいとは思っていましたが、なぜ兵士を目指したのか訳を教えてはくれませんか?前から聞きたいとは思っていたのですが、そんな機会がなくて、今さらというような感じですが。」
王族と関わりを持ちたいなら、女性の場合、女官が多いですし。とリョンヤンは先程の会話から頭の中でそちらに興味が移っていたようだった。
(本当のことを話してもいいだろうか。もしかしたら気を悪くなさるかもしれない。それに、誰かというのが確定しない今ではなんとも言えないし…。リョンヤン様とリョンヘ様は私が助けてもらった方によく似ていらっしゃる。もしかしたら…。)
ハヨンの迷いに気づいたのか、リョンヤンは
「ハヨン、どうかしましたか?もしかすると、私にその話をするのは嫌ですか?」
と尋ねてくる。
「嫌ではないのです。ただ、少し申し上げにくいことなのです。もしかするとお気にさわるかもしれません。それでも構いませんか?」
「いいですよ、あなたはいつも礼儀正しい人です。今日のちょっとしたこと位、目を瞑れます。それに、あなたは悪意のあることは出来ない人です。私はあなたを信じています。」
リョンヤンは優しくて包容力のある人だ。彼なら怒らないかもしれない、と見越して許可を願ったが、上手くいって良かったとハヨンはほっとした。
「今から10年ほど前になります。私の母が流行病(はやりやまい)に倒れて、私は貧しいながらも必死に薬を手に入れました。そしてその道すがら、容姿の珍しさからか人買いに拐われそうになりまして。その時にある方に助けていただいたのです。その方は王家の剣を携え、獣を操る私とそう年の変わらない方でした。」
リョンヤンの驚きが、ハヨンに伝わってくる。何と返されるだろう、と高鳴る鼓動を息を吸って鎮めながら話を続ける。
「私は母の命と私の身を守ってくださった方に感謝しております。その方にご恩を返すために白虎に身を置くことにしたのです。」
「…ハヨンはその少年を誰と見当をつけているのです?」
リョンヤンの言葉に、ハヨンはさらに緊張が高まった。
「まだわかりません。10年という歳月は重いです。人の様々なものを変えるで、誰とは本人から教えていただくまではなんとも…。」
「すみません、多分その少年はとりあえず私でもリョンヘでも無いことは請け合います。」
「…そうなんですか…。」
二人の容貌はあの少年の面影がかいまみえたので、この二人のどちらかでは、とハヨンは期待していたのだが、そう聞いて少し落胆してしまった。
最近予定に公務を詰め込みすぎていたリョンヤンに、ついに宰相も耐えきれなくなったらしい。ヘウォンの公務を一切請け負うので、休息をとるようにと執務室から追い出された。
そんなこんなでハヨンとリョンヤンは珍しく、中庭に出てゆっくりとした時間を過ごしていた。
「そうですが、私はただ、護衛する身として、そして刺客を欺くためにいるだけです。ですので酒も飲みませんし、食事もほんの少ししか口にしませんよ。」
「そうなんですか。てっきり私は私の親族があなたを気に入ったかと思っていたのですが。」
リョンヤンは自信の指先にとまる小鳥を撫でながら、穏やかに笑っている。
(普段はそんな力とか見たことなかったけど、やっぱり伝説は本当なんだよね…。)
彼の手に乗っている小鳥は、彼が呼び出して飛んできたものだ。10年前にある王子に助けられた時にも見たので、これで2度目である。しかし、やはり思い通りに獣を扱うというのは見慣れないものなので、奇妙な気分だ。
「気に入られるってそんなまさか。」
「いやいや、父上はあなたのことを大した者だとお褒めになっておられましたよ。それに、リョンヘとも仲が良いではありませんか。ですからてっきり誰かに招待されたものだと…」
「リョンヘ様と…!そんな、誤解ですよ。」
ハヨンは声が少し上ずり、なんて白々しいと自分に心のなかで舌打ちした。
「ふふっ、そんな慌てずとも。リョンヘもあなたには気を許しているようで、私はうれしいんですよ。」
リョンと二人で、友達ということは隠しておこうと決めていたが、リョンヤンにはどれ程見透かされているのか。ハヨンは冷や汗が止まらなかった。
「そういえば、女性で兵士とは珍しいとは思っていましたが、なぜ兵士を目指したのか訳を教えてはくれませんか?前から聞きたいとは思っていたのですが、そんな機会がなくて、今さらというような感じですが。」
王族と関わりを持ちたいなら、女性の場合、女官が多いですし。とリョンヤンは先程の会話から頭の中でそちらに興味が移っていたようだった。
(本当のことを話してもいいだろうか。もしかしたら気を悪くなさるかもしれない。それに、誰かというのが確定しない今ではなんとも言えないし…。リョンヤン様とリョンヘ様は私が助けてもらった方によく似ていらっしゃる。もしかしたら…。)
ハヨンの迷いに気づいたのか、リョンヤンは
「ハヨン、どうかしましたか?もしかすると、私にその話をするのは嫌ですか?」
と尋ねてくる。
「嫌ではないのです。ただ、少し申し上げにくいことなのです。もしかするとお気にさわるかもしれません。それでも構いませんか?」
「いいですよ、あなたはいつも礼儀正しい人です。今日のちょっとしたこと位、目を瞑れます。それに、あなたは悪意のあることは出来ない人です。私はあなたを信じています。」
リョンヤンは優しくて包容力のある人だ。彼なら怒らないかもしれない、と見越して許可を願ったが、上手くいって良かったとハヨンはほっとした。
「今から10年ほど前になります。私の母が流行病(はやりやまい)に倒れて、私は貧しいながらも必死に薬を手に入れました。そしてその道すがら、容姿の珍しさからか人買いに拐われそうになりまして。その時にある方に助けていただいたのです。その方は王家の剣を携え、獣を操る私とそう年の変わらない方でした。」
リョンヤンの驚きが、ハヨンに伝わってくる。何と返されるだろう、と高鳴る鼓動を息を吸って鎮めながら話を続ける。
「私は母の命と私の身を守ってくださった方に感謝しております。その方にご恩を返すために白虎に身を置くことにしたのです。」
「…ハヨンはその少年を誰と見当をつけているのです?」
リョンヤンの言葉に、ハヨンはさらに緊張が高まった。
「まだわかりません。10年という歳月は重いです。人の様々なものを変えるで、誰とは本人から教えていただくまではなんとも…。」
「すみません、多分その少年はとりあえず私でもリョンヘでも無いことは請け合います。」
「…そうなんですか…。」
二人の容貌はあの少年の面影がかいまみえたので、この二人のどちらかでは、とハヨンは期待していたのだが、そう聞いて少し落胆してしまった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
ひめさまはおうちにかえりたい
あかね
ファンタジー
政略結婚と言えど、これはない。帰ろう。とヴァージニアは決めた。故郷の兄に気に入らなかったら潰して帰ってこいと言われ嫁いだお姫様が、王冠を手にするまでのお話。(おうちにかえりたい編)
王冠を手に入れたあとは、魔王退治!? 因縁の女神を殴るための策とは。(聖女と魔王と魔女編)
平和な女王様生活にやってきた手紙。いまさら、迎えに来たといわれても……。お帰りはあちらです、では済まないので撃退します(幼馴染襲来編)
弁えすぎた令嬢
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。
発端は彼女の父親が行方不明となり、叔父である父の弟が公爵邸に乗り込んで来たこと。
何故か叔父一家が公爵家の資産に手を付け散財するが、祖父に相談してもコロネに任せると言って、手を貸してくれないのだ。
そもそも父の行方不明の原因は、出奔中の母を探す為だった。その母には出奔の理由があって…………。
残された次期後継者のコロネは、借金返済の為に事業を始めるのだ。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる