オカルト耐性Sランクの私に、ビビりな男子がついてくる件について

結城 雅

文字の大きさ
6 / 53
第1章「出会いと最初のオカルト事件」

第6話《"夢の中の怪異"》

しおりを挟む
 俺は、夢の中にいた。

 いや、違う。

 これは……本当に"夢"なのか?



 辺りは真っ暗だった。

 見渡しても、何もない。ただの闇。
 足元の感触すらなく、まるで"空間に浮いている"かのような感覚に陥る。

 ——そして、次第に視界が開けていく。

 気づけば、俺は旧校舎の廊下に立っていた。
 薄暗く、湿っぽい空気が肌にまとわりつく。
 窓は割れ、木の床は軋み、かすかに冷たい風が吹いていた。

 夢……なのか?

 それとも、ここは本物の"あの場所"なのか?

「……」

 ——いや、考えている場合じゃない。
 問題は、俺が勝手にここに連れてこられたことだ。

 俺は、寝る前に確かに思った。
  「」 と。

 そしてこの状況。

 "終わっていない"どころか、俺は今まさに怪異の中心にいるのでは?

「っ……」

 怖い。

 あまりにも静かで、不気味で、得体が知れないこの場所が、全身の毛穴を総立ちにさせる。

 そして、俺は気づいた。

 目の前に、"映してはいけない鏡"がある。

「……」

 いやいやいやいや!! これ絶対ダメなやつだろ!!

 俺は反射的に後ずさる。
 でも、足がすくんで動かない。

 冷たい汗が背中を伝う。
 昨日の出来事がフラッシュバックする。
 あの黒い影、囁かれる声……。

「……かえせ……」

 まただ。

 耳元で、誰かが囁く。

 ただの空耳じゃない。確実に"ここにいる"。
 そして——

 鏡の中で、"何か"が動いた。


 黒い影が、ゆっくりと形を変える。

 昨日まではぼんやりとした塊だったそれが、次第に"人"の形になっていく。
 だが、顔は分からない。黒く塗りつぶされ、まるでシルエットだけがそこに存在しているかのようだ。

「……」

 嫌な予感がする。

 このままここにいたら、本当にヤバい。

「……かえせ……」

 ——もう無理だ!!

 俺は反射的に踵を返し、逃げようとする。

 だが——

 足が動かない。

「……は?」

 全力で走ろうとするのに、身体がピクリとも動かない。
 まるで、見えない何かに拘束されたかのように。

 そして——

「……た……し……て……」

 影が、俺に向かって手を伸ばしてきた。

 冷たい風が肌を撫でる。

 指先が、俺の肩に触れた——瞬間。

「っ!!」

 ——そこで、俺は目を覚ました。



 「はぁっ……! はぁっ……!」

 俺は布団の上で跳ね起きた。

 心臓が痛いほどにバクバクと鳴っている。
 全身が汗でびっしょりだった。

「……夢?」

 いや、違う。

 あれは"ただの夢"じゃない。

 まるで、"実際に体験した"かのようなリアルな感触が残っている。
 あの冷たい風、影の囁き、そして……最後に俺の肩に触れた手の感触。

 ——これは、怪異が俺に干渉し始めた証拠では?

 ゾワリと、背筋が凍る。

 このままでは、本当にヤバい。

 今までの"巻き込まれただけ"の状態では済まされなくなる。
 このまま何もしなかったら——俺は本当に"何か"に連れていかれる。

「……」

 考えるな。落ち着け。

 どうする?

 どうすればいい?

 ——彩華に相談するしかない。

 あのオカルト大好き女なら、何かしらの対策を知っているかもしれない。
 いや、そもそも、こいつがいなければ俺はこんな目に遭わずに済んだはずなのに……!!

「はぁ……もう、嫌な予感しかしない……」

 俺はため息をつきながら、携帯を手に取り、彩華にメッセージを送った。

「おい。ちょっとマジでヤバいかもしれん」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...