オカルト耐性Sランクの私に、ビビりな男子がついてくる件について

結城 雅

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第2章「七不思議と消えたクラスメイト」

第17話《囚われた者》

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 白黒の世界の中で、俺はようやく彩華と再会した。

 久瀬先輩が"鏡を繋げる"ことで、彩華はこの世界に入ってこれたらしい。
 その時点で十分異常すぎるのに、彼女はあっけらかんと「面白いね!」とか言ってのける。

 いや、まったく面白くないんだが!?

「で? 何か分かった?」

「……いや、まだ何も……」

 俺は、この世界に来てからの出来事を彩華に話した。
 止まった時計。誰もいない校舎。外が真っ白な窓。
 そして、鏡の中にいた"誰か"のこと。

「ふーん、やっぱり、ここって"裏側"の学校なんだね」

「裏側?」

「うん。"消えた人たちがいる世界"って感じがする」

「……つまり、"消えたクラスメイト"もここにいる可能性がある?」

「そう思うよ!」

 彩華は迷いなく言った。

 つまり、俺たちはここで"誰か"を見つけなきゃいけないってことか。
 それをしないと、戻れる保証がない。

「……マジかよ……」

 俺はため息をついた。



 二人で校舎を歩きながら、"誰か"を探す。

 どの教室も静まり返っている。
 机の上には名札がないまま。
 黒板の文字も消えていて、ここが"無人"であることを強調しているようだった。

 だけど、俺はさっき確かに"助けて"という声を聞いた。
 だから、誰かがいるはずだ。

「……」

 そう考えていた時だった。

ギィ……

 遠くで、何かが動いた音がした。

「今の……」

 俺と彩華は顔を見合わせる。

 音のした方に向かうと、廊下の突き当たりにある扉が、少しだけ開いていた。

 音がしたのは、間違いなくここだ。

「……行く?」

「いや、むしろ行かない選択肢をくれよ……」

 俺は震えながら答えるが、彩華は「はいはい」と聞き流し、扉を押し開けた。



「……!」

 その部屋は、他の教室と明らかに違っていた。

 机や椅子はなく、床に古びた紙が散乱している。
 まるで、"何かを隠すために、急いで片付けられた"かのように見える。

「ここ……もしかして、オカ研の部室だったりする?」

「いや、久瀬先輩の話だと、オカ研の部室は別の場所だろ」

「じゃあ、ここは……?」

 俺は、散らばった紙を拾い上げた。

 そこには、びっしりと手書きの文字が書かれている。

「……これは?」

「"七不思議の記録"?」

 彩華が、紙の内容を読み上げた。

「……え?」

 俺は、驚愕した。

 書かれていたのは、俺たちが調べていた"七不思議"そのものだった。

「えっと……"映してはいけない鏡"、"音楽室のピアノ"、"保健室の夢"……」

「……なんで、ここにこんなものが?」

 疑問が膨らむ。

 ここは、いったい誰が使っていた部屋なんだ?
 そして——どうして"七不思議の記録"が残されている?



「……誰かいる」

 突然、彩華が低い声で呟いた。

「……え?」

 ゾクッとする。

 俺たちの背後の、廊下の奥——

 そこに、"誰か"が立っていた。

「……!」

 黒い影のような人影。
 だけど、顔ははっきりとしない。

 それが、ゆっくりとこちらに近づいてくる。

「……逃げる?」

「……いや、まだ"敵"と決まったわけじゃない」

 俺は、覚悟を決めて、一歩前に出た。

「……おい、お前……誰だ?」

 影は、ぴたりと動きを止めた。

 そして——

「……かえせ……」

「!!」

 耳を疑う。

 それは、"あの鏡"が発する言葉と同じだった。

「かえせ……かえせ……」

 影が、俺たちに向かって手を伸ばす。

 こいつは——"消えたクラスメイト"なのか?

 いや、それとも——"別の何か"なのか?



「……どうする?」

 彩華が小声で聞いてくる。

「……まだ分からない。でも、こいつが"消えたクラスメイト"なら、何か手がかりがあるはずだ」

「話してみる?」

「いや、まずは様子を見る。下手に動いたらヤバい」

 俺たちは、慎重に影を観察する。

 だが、その時だった。

「かえせ……"俺"を……」

「……!!?」

 "俺"を……?

 どういうことだ?

 何を、返せと言っている?

「……"俺"って……」

 俺は、言葉を失った。

 すると、影はゆっくりと手を伸ばし——

俺の顔に、触れようとしてきた。

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