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第2章「七不思議と消えたクラスメイト」
第16話《裏側の学校》
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世界が、裏返った。
まるで水の中に落ちたような感覚。
光が揺れ、視界が歪み、音が遠のいていく。
そして、気づいた時には——
「……ここ、どこだよ……」
俺は、見覚えのある廊下に立っていた。
だが、違う。
確かにここは学校の旧校舎だ。
廊下の形、教室の配置、窓の位置——それは、俺が知っているものと変わらない。
けれど、空気が異質だった。
色が薄い。まるで白黒映画の中にいるような世界。
音がない。
窓の向こうは霧がかかったように真っ白で、外の景色が見えない。
時間が止まっているかのような、静寂。
「……」
背中を冷たい汗が伝った。
ここは間違いなく——"俺のいた場所じゃない"。
思い出せ。
俺は、彩華が鏡に引き込まれそうになったのを助けようとした。
だが、次の瞬間——俺がこっち側にいた。
「……やばい」
どこをどう見ても、異常すぎる。
人の気配がない。
だけど、"何か"に見られているような気がする。
俺は震える息を吐きながら、慎重に歩き出した。
どれくらい歩いただろうか。
廊下の奥に、教室の扉が見えた。
「……」
中に何かあるかもしれない。
俺は意を決して、そっと扉を開けた。
「……なんだ、ここ……」
そこには、いつもの教室があった。
机と椅子が整然と並び、黒板にはチョークの跡がかすかに残っている。
だけど——
「……誰の机か、分からない?」
机の上にあるはずの名札が、一つもない。
それだけじゃない。
教室の中にある全てのものが、"使われた形跡がない"。
まるで、誰もいないのが当たり前のように。
「……」
俺は、背筋に寒気を覚えながら、廊下へと戻ろうとした。
その時——
「……た……す……け……て……」
微かに、声が聞こえた。
俺は反射的に振り向いた。
でも、誰もいない。
風の音? いや、違う。
確かに、誰かの声だった。
「……っ」
耳を澄ます。
遠くの廊下の奥——そこにある扉が、微かに揺れていた。
ガタガタガタ……ッ!!
突然、大きく音を立てて揺れる。
「!!」
心臓が跳ね上がった。
何かがいる。
そう確信した俺は、息を呑んだ。
「……誰か、いるのか?」
俺は、震える声でそう呟いた。
すると——
ギィ……
ゆっくりと、扉が開く音がした。
そこから、何かが出てくる——そう思った。
でも、違った。
そこにあったのは、一枚の鏡だった。
「……またかよ……」
俺は喉をゴクリと鳴らした。
鏡は、教室の中央にポツンと立っていた。
大きな姿見。割れもせず、表面は異様なほど綺麗だ。
でも、その中に映っていたのは——
俺じゃなかった。
「……誰だ?」
鏡の中には、俺と同じ制服を着た"誰か"がいた。
だけど、顔がぼやけていて、はっきりとしない。
なのに、その"誰か"は、ゆっくりと手を伸ばしてきた。
「……」
俺は後ずさる。
その瞬間——
「……たすけて……」
そいつの口が、そう動いた。
「っ!!!」
俺は、その場から全力で逃げ出した。」
逃げ出す足が止まらない。
「くそ、くそくそくそ!!!」
この世界、マジでおかしい。
"消えたクラスメイト"……今のやつがそうなのか?
でも、もしそうだとしたら、なぜあいつは鏡の中にいた?
そして、なぜ俺は、ここに"いる"?
——俺は、どこに迷い込んでしまったんだ!?
どこへ向かうべきかも分からず、俺は走り続けた。
だが、すぐに気づく。
「……出口が、ない?」
どの扉を開けても、同じ廊下が続いている。
まるで、校舎が"ループ"しているみたいに。
「……やべぇ」
本格的にパニックになりかけたその時——
「——拓海!!」
遠くから、聞き慣れた声が響いた。
俺は、弾かれたように顔を上げる。
「……彩華!!?」
声のする方へ全力で走った。
すると、廊下の先——白黒の世界の中で、見覚えのある姿があった。
「おお! 無事だったんだね!」
彩華が、いつもの調子で笑っている。
「いや、お前こそどうやってここに!?」
「久瀬先輩が、鏡を使って"こっちに繋げる"って方法を試したんだよ!」
「……そんなことできんのかよ!?」
「できたから、今ここにいるわけで!」
「……」
そんなことができるなら、最初からやれよ……。
「で? 何か分かった?」
「……いや、まだ何も……」
「そっか。でも、一つ言えることがあるね」
「……何?」
「たぶん、"ここにいる誰かを助けないと、戻れない"んじゃない?」
「……」
俺は、彩華の言葉にゾッとした。
そんな条件……一番最悪なやつじゃねぇか。
でも、それが本当なら——
俺たちは、"消えたクラスメイト"を見つけなければならない。
この異常な世界の中で。
まるで水の中に落ちたような感覚。
光が揺れ、視界が歪み、音が遠のいていく。
そして、気づいた時には——
「……ここ、どこだよ……」
俺は、見覚えのある廊下に立っていた。
だが、違う。
確かにここは学校の旧校舎だ。
廊下の形、教室の配置、窓の位置——それは、俺が知っているものと変わらない。
けれど、空気が異質だった。
色が薄い。まるで白黒映画の中にいるような世界。
音がない。
窓の向こうは霧がかかったように真っ白で、外の景色が見えない。
時間が止まっているかのような、静寂。
「……」
背中を冷たい汗が伝った。
ここは間違いなく——"俺のいた場所じゃない"。
思い出せ。
俺は、彩華が鏡に引き込まれそうになったのを助けようとした。
だが、次の瞬間——俺がこっち側にいた。
「……やばい」
どこをどう見ても、異常すぎる。
人の気配がない。
だけど、"何か"に見られているような気がする。
俺は震える息を吐きながら、慎重に歩き出した。
どれくらい歩いただろうか。
廊下の奥に、教室の扉が見えた。
「……」
中に何かあるかもしれない。
俺は意を決して、そっと扉を開けた。
「……なんだ、ここ……」
そこには、いつもの教室があった。
机と椅子が整然と並び、黒板にはチョークの跡がかすかに残っている。
だけど——
「……誰の机か、分からない?」
机の上にあるはずの名札が、一つもない。
それだけじゃない。
教室の中にある全てのものが、"使われた形跡がない"。
まるで、誰もいないのが当たり前のように。
「……」
俺は、背筋に寒気を覚えながら、廊下へと戻ろうとした。
その時——
「……た……す……け……て……」
微かに、声が聞こえた。
俺は反射的に振り向いた。
でも、誰もいない。
風の音? いや、違う。
確かに、誰かの声だった。
「……っ」
耳を澄ます。
遠くの廊下の奥——そこにある扉が、微かに揺れていた。
ガタガタガタ……ッ!!
突然、大きく音を立てて揺れる。
「!!」
心臓が跳ね上がった。
何かがいる。
そう確信した俺は、息を呑んだ。
「……誰か、いるのか?」
俺は、震える声でそう呟いた。
すると——
ギィ……
ゆっくりと、扉が開く音がした。
そこから、何かが出てくる——そう思った。
でも、違った。
そこにあったのは、一枚の鏡だった。
「……またかよ……」
俺は喉をゴクリと鳴らした。
鏡は、教室の中央にポツンと立っていた。
大きな姿見。割れもせず、表面は異様なほど綺麗だ。
でも、その中に映っていたのは——
俺じゃなかった。
「……誰だ?」
鏡の中には、俺と同じ制服を着た"誰か"がいた。
だけど、顔がぼやけていて、はっきりとしない。
なのに、その"誰か"は、ゆっくりと手を伸ばしてきた。
「……」
俺は後ずさる。
その瞬間——
「……たすけて……」
そいつの口が、そう動いた。
「っ!!!」
俺は、その場から全力で逃げ出した。」
逃げ出す足が止まらない。
「くそ、くそくそくそ!!!」
この世界、マジでおかしい。
"消えたクラスメイト"……今のやつがそうなのか?
でも、もしそうだとしたら、なぜあいつは鏡の中にいた?
そして、なぜ俺は、ここに"いる"?
——俺は、どこに迷い込んでしまったんだ!?
どこへ向かうべきかも分からず、俺は走り続けた。
だが、すぐに気づく。
「……出口が、ない?」
どの扉を開けても、同じ廊下が続いている。
まるで、校舎が"ループ"しているみたいに。
「……やべぇ」
本格的にパニックになりかけたその時——
「——拓海!!」
遠くから、聞き慣れた声が響いた。
俺は、弾かれたように顔を上げる。
「……彩華!!?」
声のする方へ全力で走った。
すると、廊下の先——白黒の世界の中で、見覚えのある姿があった。
「おお! 無事だったんだね!」
彩華が、いつもの調子で笑っている。
「いや、お前こそどうやってここに!?」
「久瀬先輩が、鏡を使って"こっちに繋げる"って方法を試したんだよ!」
「……そんなことできんのかよ!?」
「できたから、今ここにいるわけで!」
「……」
そんなことができるなら、最初からやれよ……。
「で? 何か分かった?」
「……いや、まだ何も……」
「そっか。でも、一つ言えることがあるね」
「……何?」
「たぶん、"ここにいる誰かを助けないと、戻れない"んじゃない?」
「……」
俺は、彩華の言葉にゾッとした。
そんな条件……一番最悪なやつじゃねぇか。
でも、それが本当なら——
俺たちは、"消えたクラスメイト"を見つけなければならない。
この異常な世界の中で。
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