エイムの魔法植物学

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守護英雄の村編

決意と迷い

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ぐぅぅう~~~~

特大のお腹の音が鳴った。

エイム一行は村長の家につき、円卓に座って、この数日に起きたとんでもない出来事を報告をしようとする、その時だった。

「あ、あの!おなかとっても空いてて!!
 道中ではご飯あんまり食べれなかったし、敵も強くて、力もいっぱい使って、とにかく大変で!
 あの、変な空気にしてすみません!!!」

エイムが顔を真っ赤にしてうつむきながら、あたふたして話す。

「あっははは!そうだよねえ、大変だっだろう!まずは腹ごしらえだね、ちょっと待っててね!」

シラセの母の陽気な声に、場は和やかになる。こうして、ことの顛末は食卓を囲んで話すことになった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「なるほど、その禍々しい魔法植物が、今回の病気蔓延の原因である可能性が高いと…」

「はい。確定ではないですが、おそらくは。」

「それに、それを守るように魔獣らしき生物が出てきて、二人でそれを撃退した、というわけだね。」

「はい。それに、この魔法植物と魔獣は、人為的に作られた可能性が高いと思っています。」

「…ふむ。これは由々しき事態だ…
 だがまずは、エイムさんとシラセにお礼を言わねば。本当にありがとう。
 それに、危険な目に合わせてしまってすまない。」

「そんな…私が自分で決めたことですので、大丈夫です。
 それに、今回のことは私自身にとってもとても重要なことで、これで終わりではないと思うんです。」

「ふむ、というのは…?」

「私は、病気なんかの理不尽な不幸から、少しでも人々を守りたいと思って旅をしています。
 そして、今回のことは悪意ある人が人為的に引き起こした可能性が高い。
 となると、同じようなことがまた、起こると思うんです…
 だから私は、このことをより深く知る必要があると思っています。」

エイムは深刻な表情で話す。

「つまり、エイムさんは今回のことを引き続き調査するということかい?」

「はい。しばらくはこの村にとどまって、みんなの病気の経過を見ますが、落ち着いたらまた他の村に行って、同じようなことが起こっていないか、調査を続けたいと思っています。」

「調査ったって、また魔獣が出てきたらどうするんだい!?女の子には危なすぎるよ!」

シラセの母が、心配げに問いかける。

「はい、その危険も承知の上で、調査を続けます。
 私の生きる意味に、今回の件は直接つながっているので。」

エイムは、揺らがない真っ直ぐな決意の眼で、ゆっくりと語る。そんなエイムの眼を見て、村長は悟ったように口を開いた。

「…わかったよ、エイムさんの決心は相当に固いようだ。
 私も心配だが、君を応援する。だからせめてお礼として、できることはしてあげたい。
 まだ村にとどまってくれるようだし、その間だけでもどうか、ゆっくり休んで、英気を養っておくれ。」

「ありがとうございます。お言葉に甘えて、もう少しお邪魔させていただきますね。」

エイムは微笑んで答えた。

「もちろんだ。
 あと、今回の魔法植物や魔獣の件だが、村のみんなには伏せておいてほしいんだ。
 不要な混乱や不安をあおることは避けたい。
 原因となる植物が川の上流にあって、無事駆除できたということで話を通そうと思っている。」

「はい、わかりました。」

「あと、この骨は私の家で厳重に保管しておくようにするよ。
 かけらといえどそれなりに大きいし、エイムさんの旅の邪魔になるだろうからね。
 骨を詳しく調査したいときは、いつでも村に立ち寄っておくれ。」

「ありがとうございます、助かります!」

エイムと村長が話をしている間、シラセは一言も発さず、何かを考えこむように神妙な顔で黙って話を聞いていた。

エイムの覚悟を前に、シラセの心の中で何かがざわめいていた。
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