エイムの魔法植物学

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守護英雄の村編

蘇った魔獣の謎

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ガルムの体が塵となり消え失せた後、二人は緊迫した面持ちで様子をうかがっていた。しかし、何も起きないことが確認できると、エイムは体中の力が抜けたように、その場に座り込んだ。シラセがエイムに駆け寄ってくる。

「おーいエイム!大丈夫か!?」

「うん、大丈夫…ホッとして気が抜けちゃっただけ。
 それにしてもシラセ、すごいね!魔法だけであの目玉を射抜くなんて!
 シラセは私の命の恩人だよ!ありがとう!」

「そ、そんな大したもんじゃねえよ…!」

エイムのまっすぐな瞳に、シラセは頬を赤くして目を逸らした。だが直後、シラセの表情は曇り、言葉が漏れ出すように続けた。

「…俺なんか、本当に何もできなかった…
 あいつが出てきたとき、俺はビビッて、ただわめいてただけだ。
 エイムがいなけりゃ今頃、俺は死んでた。お前こそ、命の恩人だよ…」

暗い表情のシラセに、エイムは語りかける。

「じゃあ、お互い命の恩人だね!これで貸し借りなしだね~♪」

「な、なんだよそれ!貸し借りの話なのかよ!」

シラセは思わず息巻き、二人は笑いあった。そこには、脅威が過ぎ去ったことを安堵する柔らかな空気が流れていた。


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「なあエイム、この骨と魔法植物、どうするんだ?」

ひと段落して、シラセはいぶかしげに尋ねる。

「うん。とにかくこの魔法植物はすぐに駆除しないと!
 全部抜いて、ここで燃やしていくよ。また自生し始めるといけないしね…」

「そうか、まあそうだよな。」

「あと、骨もこのままだと不安だから、とりあえず村まで持って帰ろうと思う。
 それで、村長に相談してみよう。」

「おう、そうだな。
 よし、それじゃあさっさとこの魔法植物、駆除しちまおう!」

二人は黙々と、駆除作業に取り掛かった。

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魔法植物の駆除を終え、二人は下山中だ。あまりの出来事に、二人とも疲労の色が濃い。黙々と下山していたが、シラセがぽつりと口を開いた。

「…なあ、エイム。あの骨なんだが、全く種類の違うものが2つ残ってた。
 これは俺の仮説なんだが、あのガルムは、二つの魔獣が合わさったものなんじゃないか…?」

「うん。私もそんな気がしてる。途中で出てきた大きな目玉と触手は、明らかに別の生き物のものに見えた。」

「だよな。ガルム討伐の英雄譚にも、あんな触手の記載は全くない。
 そこで色々思い返してたんだが、多分あの触手は、英雄譚に出てくる魔獣『クラーケン』のものだと思う。」

「へえ、そんな魔獣もいたの!」

「ああ、触手の形とか、一致してるんだよ。
 それにさ、あの魔獣を倒したとき、まるで砂が崩れるように消えていっただろ。」

「うん、あんなふうに消える生き物、見たことないよ…」

「だよな。たぶん、俺たちが倒したガルムみたいな何かは、誰かが魔法で意図的に作り出した、ガルムとクラーケンの集合体だと思う。」

「…確かに、古びた骨が残っていたし、その骨を媒介に魔獣を魔法で蘇らせたってこともありそうだね…」

「だからさエイム、俺は絶対に許せねえんだ…!
 俺の村を死に際まで追いやった原因が、人間の悪意ある行動だってことによ…!!」

シラセは、歯を食いしばって吐き出した。

「うん…私も、許せない…人の命を理不尽に奪うようなこと、絶対にしちゃいけないよ…」

エイムは視線を落とし、悲しそうに答えた。暗い雰囲気の中、二人は下山を続けた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


しばらく行くと山を出て、平原にたどり着いた。二人は来た時と同じように野宿をし、翌日再び村に向かって平原を歩く。そして、ついに村にたどり着いた。

「おお二人とも!無事に帰ってきたか!良かった!」

村の入り口で出迎えてくれた村長が、ほっとした様子で話した。

「本当にもう、心配で夜も眠れなかったよ!ああ本当に良かった!」

シラセの母も、安堵に笑みがこぼれる。

「へへ!こんなもんだぜ!」

シラセは少し得意げに答える。

「…それで、どうだったんだ…?原因はわかったのかな…?」

村長は心配げに尋ねた。

「はい、原因は特定できました。少し長いお話になるので、おうちで座って話しましょう。
 それと、相談したいこともあります…」

エイムは深刻な面持ちで答える。

「あ、ああ…わかった、うちへ行こう。」

シラセの家に向かう一行には、ただならぬ緊迫感が漂っていた。
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