32 / 35
第2章
第32話
しおりを挟む
「はっ、おい……なんなんだ、?」
「アオハ、なんでここにいるんだ」
アルゼオは肩を上下にさせながら、早口で俺に質問を投げかけてくる。
「なんでって…お前が寝たから俺も風呂に入ろうと思うのは普通だろ」
そう答えると、アルゼオははっ、とした顔をした。一体なんなんだ。せっかく運んだというのにわざわざ風呂までくるなんて。リビングに放っておいたまま来ればよかった。
「…早く出てこいよ」
「はぁ?」
自分は先に風呂に入っておいて、俺には早く出てこいなんて言う。それにまだ湯に浸かったばかりでまったく疲れが取れていない。とはいっても昔から長風呂なんてしたことはなく、いつも最低限体を綺麗にして終わりだったから、風呂でゆっくりしないことには慣れているが。
「…待ってろ」
俺はため息をつきながら、仕方なくそう答えた。アルゼオは何も言わずにバスルームのドアを閉めて、さっさと寝室に戻っていった。前はアルゼオの方が俺を風呂に入れ、体を拭いてきたのに、今や雑に言いたいことだけ言って置いていかれている。だからといってなんということはないし、あのときも俺の嫌という言葉を聞かずに、アルゼオの一存で半ば強制的入浴の世話をしてきただけだ。こんなことをもんもんと考えていると、体を拭く手が止まって肌寒さを感じ、すぐにバスルームを後にした。
「おい、上がったぞ…なにしてるんだ?」
小言の一つでも言ってやろうと意気込んで、いざ寝室のドアを開けると、アルゼオがベッドの上で横にならずに座って待っていた。眠たいなら俺を待たずに寝ればいいというのは言わないでおく。
「アオハ、ここだ」
アルゼオの座っている横の、一人分空いたスペースを指して俺を呼びつけた。俺がアルゼオの方に向かって歩いいくと、その俺の動きを、アルゼオは静かに目で追い離さない。
アルゼオの言われたとおりベッドの余ったスペースに座ると、アルゼオは俺を抱きかかえて俺ごと横になった。抱き枕にされているような体勢で、俺の視界いっぱにアルゼオの分厚い胸が広がり、同時に緩やかな鼓動が伝わってくる。どちらかというと羽交い絞めの感覚だが、実際にはそれほど絞まってはいなかった。
「アルゼオ?」
俺が名前を呼ぶと、アルゼオの腕に僅かに力が入った。実をいうと俺とアルゼオは、俺がこの家に来たときからずっと一つのベッドで寝ている。アルゼオはそれなりの立場のようだし、家も広いのでベッドのサイズも男2人が並んでも余裕のある大きさだ。しかし、いつもはそれぞれのスペースをとりながら寝ている。こんなことは初めてだ。
「今日、変だぞ。早く寝ろ」
そう言ってアルゼオの腕の中から見上げたが、既に目は閉じられていた。俺の発した言葉に返事が返ってこないことにどこか寂しさを感じた、気がする。カーテンの隙間からは月明りも差し込まない真夜中だ。アルゼオの腕の中から抜け出す気力は残っていない。すぐに俺も目を閉じた。
「アオハ、なんでここにいるんだ」
アルゼオは肩を上下にさせながら、早口で俺に質問を投げかけてくる。
「なんでって…お前が寝たから俺も風呂に入ろうと思うのは普通だろ」
そう答えると、アルゼオははっ、とした顔をした。一体なんなんだ。せっかく運んだというのにわざわざ風呂までくるなんて。リビングに放っておいたまま来ればよかった。
「…早く出てこいよ」
「はぁ?」
自分は先に風呂に入っておいて、俺には早く出てこいなんて言う。それにまだ湯に浸かったばかりでまったく疲れが取れていない。とはいっても昔から長風呂なんてしたことはなく、いつも最低限体を綺麗にして終わりだったから、風呂でゆっくりしないことには慣れているが。
「…待ってろ」
俺はため息をつきながら、仕方なくそう答えた。アルゼオは何も言わずにバスルームのドアを閉めて、さっさと寝室に戻っていった。前はアルゼオの方が俺を風呂に入れ、体を拭いてきたのに、今や雑に言いたいことだけ言って置いていかれている。だからといってなんということはないし、あのときも俺の嫌という言葉を聞かずに、アルゼオの一存で半ば強制的入浴の世話をしてきただけだ。こんなことをもんもんと考えていると、体を拭く手が止まって肌寒さを感じ、すぐにバスルームを後にした。
「おい、上がったぞ…なにしてるんだ?」
小言の一つでも言ってやろうと意気込んで、いざ寝室のドアを開けると、アルゼオがベッドの上で横にならずに座って待っていた。眠たいなら俺を待たずに寝ればいいというのは言わないでおく。
「アオハ、ここだ」
アルゼオの座っている横の、一人分空いたスペースを指して俺を呼びつけた。俺がアルゼオの方に向かって歩いいくと、その俺の動きを、アルゼオは静かに目で追い離さない。
アルゼオの言われたとおりベッドの余ったスペースに座ると、アルゼオは俺を抱きかかえて俺ごと横になった。抱き枕にされているような体勢で、俺の視界いっぱにアルゼオの分厚い胸が広がり、同時に緩やかな鼓動が伝わってくる。どちらかというと羽交い絞めの感覚だが、実際にはそれほど絞まってはいなかった。
「アルゼオ?」
俺が名前を呼ぶと、アルゼオの腕に僅かに力が入った。実をいうと俺とアルゼオは、俺がこの家に来たときからずっと一つのベッドで寝ている。アルゼオはそれなりの立場のようだし、家も広いのでベッドのサイズも男2人が並んでも余裕のある大きさだ。しかし、いつもはそれぞれのスペースをとりながら寝ている。こんなことは初めてだ。
「今日、変だぞ。早く寝ろ」
そう言ってアルゼオの腕の中から見上げたが、既に目は閉じられていた。俺の発した言葉に返事が返ってこないことにどこか寂しさを感じた、気がする。カーテンの隙間からは月明りも差し込まない真夜中だ。アルゼオの腕の中から抜け出す気力は残っていない。すぐに俺も目を閉じた。
45
あなたにおすすめの小説
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
異世界で勇者をやったら執着系騎士に愛された
よしゆき
BL
平凡な高校生の受けが異世界の勇者に選ばれた。女神に美少年へと顔を変えられ勇者になった受けは、一緒に旅をする騎士に告白される。返事を先伸ばしにして受けは攻めの前から姿を消し、そのまま攻めの告白をうやむやにしようとする。
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
魔王に転生したら、イケメンたちから溺愛されてます
トモモト ヨシユキ
BL
気がつくと、なぜか、魔王になっていた俺。
魔王の手下たちと、俺の本体に入っている魔王を取り戻すべく旅立つが・・
なんで、俺の体に入った魔王様が、俺の幼馴染みの勇者とできちゃってるの⁉️
エブリスタにも、掲載しています。
黒豹陛下の溺愛生活
月城雪華
BL
アレンは母であるアンナを弑した獣人を探すため、生まれ育ったスラム街から街に出ていた。
しかし唐突な大雨に見舞われ、加えて空腹で正常な判断ができない。
幸い街の近くまで来ていたため、明かりの着いた建物に入ると、安心したのか身体の力が抜けてしまう。
目覚めると不思議な目の色をした獣人がおり、すぐ後に長身でどこか威圧感のある獣人がやってきた。
その男はレオと言い、初めて街に来たアレンに優しく接してくれる。
街での滞在が長くなってきた頃、突然「俺の伴侶になってくれ」と言われ──
優しく(?)兄貴肌の黒豹×幸薄系オオカミが織り成す獣人BL、ここに開幕!
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる