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「……過激なのが増えてきてるんだ……」
「過激?」
魔導板を手で持ちながらクジマは深刻そうにリネーに伝える。休憩時間にリネーはテーブルにクジマから出されたお茶を飲みながらどういうことかと問う。
「私達以外の他の動画投稿で、過激なものが増えているんだ。複数での本番行為や触手プレイやスライム姦とか……。リネーくんのかわいいお口で私の粗悪なチンチンを奉仕する動画よりも再生回数が多いんだ」
「僕達の動画は、顔は見えないようにしてるし、口でしかしてないからね。過激さだと負けちゃうよね……」
再生数がかなり増えてきたリネーとクジマの動画は、恋人同士が行為を見せるという設定だが着実に視聴者は増えてきたが、他の配信者の過激な動画が再生数は圧倒的だった。クジマとは口淫しかしておらず、キスもしたことがない。これは再生数が負けても仕方がないかとリネーは思っていた。
「リネーくんより、触手姦やスライム姦が人気だなんて……視聴者の目は腐ってる」
「アハハ、ありがとうクジマ。でも僕達のは一応、恋人設定だからね。触手やスライムに比べると普通かも。他にも流行ってる傾向はある?」
「視聴者を抽選で呼んでセックスするという企画が人気だね」
「ちょっとそれは住まいがバレそうで怖いね」
リネーはお茶を飲みつつ、動画の再生数のこともあるし、もうそろそろ挿入する性行為をしたほうがいいと考えていた。前世では大人の玩具を使ったらエロ動画配信をしていたが、今世ではリネーの身体はまだ清いままだった。
「ねえ、クジマ。しようか?」
「なっ、なななな、何を『しようか?』なのかな……」
リネーが話すと悟ったかのようにクジマは動揺し手で持っているティーカップから茶が溢れるくらいガクガクと身体が震えていた。
「えーと、セックスしようかって意味なんだけど」
「リ、リネーくん、わ、私は……童貞なんだ……」
「そうなんだ(知ってた)」
そんなことはすでに知っていたが、意を決したようにクジマが話し始めたのでリネーは黙って耳を傾けた。
「わ、私の粗悪なチンチンで、リネーくんとセックスだなんて……いつもリネーくんのお口でしゃぶってくれるだけでも幸せなのに、その上セックスまでしたら私はどうなってしまうのか正直怖いんだ……それに、私の野卑なチンチンでリネーくんを汚してしまうかもと考えたら……」
俯いて一気に話すクジマに、リネーはどうしたものかと考える。どうしたらクジマが頷いてくれるのか。リネーは正直に言うことにした。
「クジマは僕としたくないの?」
「……そ、それは、その……」
「僕も童貞だし気にしないよ。僕としたくないんだったら正直に言って?」
「そんな!私はリネーくんとしたくないなんて思ってないよ!」
強い口調でクジマは言い切り、思わず椅子から立ち上がって座っているリネーと目があった。リネーは今だと思い、クジマに問いかけた。
「じゃあ……、してくれる?」
「……う……うぅっ………………………………しっ……し、しっ……………………………したっ、……したいッ!…………です……………」
「じゃあ、決まりだね。今夜はどうかな?」
「こっ、今夜?!お風呂で私の穢れた身体をきれいするのに時間がかかるから一週間後で……」
「なんでそんなにかかるの?!お風呂は一時間くらいでいいでしょ?じゃあ明日は?」
「あっ、明日……う、うん、準備しておくよ」
クジマは顔を真っ赤にして頷いた。
+ + +
リネーは店番に戻り、客がいない時間は商品の陳列整理をしていた。魔石に軽くついたホコリを布でキレイにしてから棚に戻し、他の魔石をキレイにしてそれを繰り返しながら考えていた。
(クジマは明日って言ったけど大丈夫かな?)
クジマは奥手すぎる。リネーとの動画撮影には消極的ではあるがつきあってくれるのでリネーが嫌なわけではないと思う。童貞で初めての挿入となると、ものすごく緊張していることは確かだろう。
(……万が一、できなかったときのクジマをフォローしないとなあ……わりと繊細そうだしな……)
考えながら魔石を磨いていると、店のドアが開き魔術師らしき客二人が入ってきた。
「いらっしやいませ」
「あっ、どうも……」
その客二人はリネーを見るとサッと目をそらしてなにかボソボソと話していた。
「魔導ウェブで話題なってた店員ってあの店員か」
「メチャクチャ美少年だな。なんでこの廃れた店で働いてるんだ?」
「あの、何かお探しですか?僕は魔術師ではないので、詳しく話せる者なら呼びますよ」
「ああっ、いえ、なんでもないです!」
「こっこれくださいっ」
「はい、ありがとうございます」
彼らは棚にあった魔術紙を手に取ると会計をしてさっさと出ていってしまった。
「ありがとうございました!」
近頃はああいう謎の客が増えたなあとリネーが思っていると、いつの間にかいたのかクジマがリネーの後ろに立っていた。
「わっ、クジマ!いついたの?!」
「ちょっと前から立ってたよ……ねえ、リネーくん、最近ああいうタイプのお客さんひょっとして多い?」
「んー。多いってわけじゃないけど、よく見かけるような気がする。さっきのお客さん、魔術ウェブとかなんとか言ってたよ」
「……そうか……リネーくん、今日は店じまいしよう」
「わかった。じゃあお店の片付けするね」
リネーはそう言うと、店のカーテンを閉めて掃除を始めた。掃除をするリネーを見ながらクジマは眉間にシワを寄せて考えていた。
(まさかリネーくんが魔導ウェブの掲示板「かわいい魔術店員さんスレ115人目」で話題になっていた冴えない店のかわいい美少年の店員だったとは……。私の店が冴えないのは知っていたが、これは由々しき事態だ。明日から、魔道具の外見を変える認識阻害の何かをつけて店番をしてもらわないと……)
クジマはやはりこうなるだろうと考えていた。リネーは見目麗しい外見だ。この冴えない魔術店で店員をしててもすぐに話題になるのでは?と心配していた。
(リネーくんが変な客に絡まれないようにしておかないと……。このかわいらしいリネーくんと明日、私は……どうすればいいんだ……うまくできなかったら……)
リネーの安全と、そして明日の動画の撮影こと性行為本番を考えると、クジマは脳内と胸に感情や悩みの重さを感じるほど心労を感じた。
(絶対に失敗はしない……とは言い切れない……)
「過激?」
魔導板を手で持ちながらクジマは深刻そうにリネーに伝える。休憩時間にリネーはテーブルにクジマから出されたお茶を飲みながらどういうことかと問う。
「私達以外の他の動画投稿で、過激なものが増えているんだ。複数での本番行為や触手プレイやスライム姦とか……。リネーくんのかわいいお口で私の粗悪なチンチンを奉仕する動画よりも再生回数が多いんだ」
「僕達の動画は、顔は見えないようにしてるし、口でしかしてないからね。過激さだと負けちゃうよね……」
再生数がかなり増えてきたリネーとクジマの動画は、恋人同士が行為を見せるという設定だが着実に視聴者は増えてきたが、他の配信者の過激な動画が再生数は圧倒的だった。クジマとは口淫しかしておらず、キスもしたことがない。これは再生数が負けても仕方がないかとリネーは思っていた。
「リネーくんより、触手姦やスライム姦が人気だなんて……視聴者の目は腐ってる」
「アハハ、ありがとうクジマ。でも僕達のは一応、恋人設定だからね。触手やスライムに比べると普通かも。他にも流行ってる傾向はある?」
「視聴者を抽選で呼んでセックスするという企画が人気だね」
「ちょっとそれは住まいがバレそうで怖いね」
リネーはお茶を飲みつつ、動画の再生数のこともあるし、もうそろそろ挿入する性行為をしたほうがいいと考えていた。前世では大人の玩具を使ったらエロ動画配信をしていたが、今世ではリネーの身体はまだ清いままだった。
「ねえ、クジマ。しようか?」
「なっ、なななな、何を『しようか?』なのかな……」
リネーが話すと悟ったかのようにクジマは動揺し手で持っているティーカップから茶が溢れるくらいガクガクと身体が震えていた。
「えーと、セックスしようかって意味なんだけど」
「リ、リネーくん、わ、私は……童貞なんだ……」
「そうなんだ(知ってた)」
そんなことはすでに知っていたが、意を決したようにクジマが話し始めたのでリネーは黙って耳を傾けた。
「わ、私の粗悪なチンチンで、リネーくんとセックスだなんて……いつもリネーくんのお口でしゃぶってくれるだけでも幸せなのに、その上セックスまでしたら私はどうなってしまうのか正直怖いんだ……それに、私の野卑なチンチンでリネーくんを汚してしまうかもと考えたら……」
俯いて一気に話すクジマに、リネーはどうしたものかと考える。どうしたらクジマが頷いてくれるのか。リネーは正直に言うことにした。
「クジマは僕としたくないの?」
「……そ、それは、その……」
「僕も童貞だし気にしないよ。僕としたくないんだったら正直に言って?」
「そんな!私はリネーくんとしたくないなんて思ってないよ!」
強い口調でクジマは言い切り、思わず椅子から立ち上がって座っているリネーと目があった。リネーは今だと思い、クジマに問いかけた。
「じゃあ……、してくれる?」
「……う……うぅっ………………………………しっ……し、しっ……………………………したっ、……したいッ!…………です……………」
「じゃあ、決まりだね。今夜はどうかな?」
「こっ、今夜?!お風呂で私の穢れた身体をきれいするのに時間がかかるから一週間後で……」
「なんでそんなにかかるの?!お風呂は一時間くらいでいいでしょ?じゃあ明日は?」
「あっ、明日……う、うん、準備しておくよ」
クジマは顔を真っ赤にして頷いた。
+ + +
リネーは店番に戻り、客がいない時間は商品の陳列整理をしていた。魔石に軽くついたホコリを布でキレイにしてから棚に戻し、他の魔石をキレイにしてそれを繰り返しながら考えていた。
(クジマは明日って言ったけど大丈夫かな?)
クジマは奥手すぎる。リネーとの動画撮影には消極的ではあるがつきあってくれるのでリネーが嫌なわけではないと思う。童貞で初めての挿入となると、ものすごく緊張していることは確かだろう。
(……万が一、できなかったときのクジマをフォローしないとなあ……わりと繊細そうだしな……)
考えながら魔石を磨いていると、店のドアが開き魔術師らしき客二人が入ってきた。
「いらっしやいませ」
「あっ、どうも……」
その客二人はリネーを見るとサッと目をそらしてなにかボソボソと話していた。
「魔導ウェブで話題なってた店員ってあの店員か」
「メチャクチャ美少年だな。なんでこの廃れた店で働いてるんだ?」
「あの、何かお探しですか?僕は魔術師ではないので、詳しく話せる者なら呼びますよ」
「ああっ、いえ、なんでもないです!」
「こっこれくださいっ」
「はい、ありがとうございます」
彼らは棚にあった魔術紙を手に取ると会計をしてさっさと出ていってしまった。
「ありがとうございました!」
近頃はああいう謎の客が増えたなあとリネーが思っていると、いつの間にかいたのかクジマがリネーの後ろに立っていた。
「わっ、クジマ!いついたの?!」
「ちょっと前から立ってたよ……ねえ、リネーくん、最近ああいうタイプのお客さんひょっとして多い?」
「んー。多いってわけじゃないけど、よく見かけるような気がする。さっきのお客さん、魔術ウェブとかなんとか言ってたよ」
「……そうか……リネーくん、今日は店じまいしよう」
「わかった。じゃあお店の片付けするね」
リネーはそう言うと、店のカーテンを閉めて掃除を始めた。掃除をするリネーを見ながらクジマは眉間にシワを寄せて考えていた。
(まさかリネーくんが魔導ウェブの掲示板「かわいい魔術店員さんスレ115人目」で話題になっていた冴えない店のかわいい美少年の店員だったとは……。私の店が冴えないのは知っていたが、これは由々しき事態だ。明日から、魔道具の外見を変える認識阻害の何かをつけて店番をしてもらわないと……)
クジマはやはりこうなるだろうと考えていた。リネーは見目麗しい外見だ。この冴えない魔術店で店員をしててもすぐに話題になるのでは?と心配していた。
(リネーくんが変な客に絡まれないようにしておかないと……。このかわいらしいリネーくんと明日、私は……どうすればいいんだ……うまくできなかったら……)
リネーの安全と、そして明日の動画の撮影こと性行為本番を考えると、クジマは脳内と胸に感情や悩みの重さを感じるほど心労を感じた。
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