男性向け官能小説の世界に転生して、隣家に住んでる年下男子が闇堕ち主人公なので更正させたら溺愛された

雫谷 美月

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1隣人が官能小説の主人公だった

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家のリビングで小学生の光生みつおは、寝転んで携帯ゲームを遊んでいた。夢中でゲームしていると、母に急に呼ばれた。

光生みつお~こっちに来なさい」

今ゲームをやっているのに面倒くさいなと光生は思いながらも、後から母に怒られるのが嫌なのでゲームをテーブルの上に置き立ち上がる。母の声は玄関から聞こえてきたのでそっちに急いで行く。玄関のドアが開いており、近所では見たことがないキレイな女性と、その女性の横にはミツオより年下に見える品の良い黒髪の少年が立っていた。

「光生、隣に引っ越してきた闇川さんよ。ご挨拶しなさい」
「闇川です。はじめまして」

少年の母親だろうと思われる上品で美しい女性がミツオに優しい笑顔を向ける。

「冬斗くんも挨拶しましょう」
「……はじめまして……闇川やみかわ冬斗ふゆとです……」


少年の言葉が光生の耳に聞こえた瞬間、光生の頭の中に前世の記憶が流れ込んできた。

光生の前世は、どこにでもいるサラリーマンだった。出張の合間に駅の本屋で買った官能小説を読むのが秘密の楽しみだった。特に江呂谷兆太郎先生の官能小説「淫魔王 冬斗」シリーズがお気に入りだった。

目の前にその「淫魔王 冬斗」シリーズの主人公と同じ名前の少年、闇川冬斗が立っている。光生は混乱するが、母の声で我に返った。

「光生、ボーッとしてないで挨拶しなさい」
「あっ……は、初めまして。和木田わきた光生みつおと申します……よろしくお願いします」

挨拶をした光生は冬斗の顔を見ると、冬斗は幼いながらも整った顔をしている少年だったが、どこか冷めたような目をしていた。冬斗の母親が、光生の母に高級デパートの紙袋に入った菓子折りを渡し二人は帰っていった。

「光生、さっきはしっかり挨拶できたね。お母さん、驚いたわよ」
「え、あ、うん……おっ、俺、部屋に戻るよ……」

光生は走って階段を上がり、自分の部屋のドアを急いで開けてすぐに閉めた。前世の記憶と今の記憶が混在した光生は、頭が混乱しすぎて心臓が早鐘のようにドキドキし息がうまく吸えず倒れそうになる。光生はまず現状を理解するためになんとか部屋の学習机に座り、引き出しからノートを出し鉛筆で知っていることを書き始めた。

――「淫魔王 冬斗」シリーズ
主人公の闇川冬斗は、実の母を幼い頃に亡くす。父親はすぐに後妻と再婚する。冬斗の父は金持ちで生活には困らないが、仕事人間で家を省みることはなく、再婚した後妻にもあまり構わなかった。内向的だった冬斗だが、父の再婚相手の後妻に母の姿を重ね、精通がきた冬斗と一線を越えてしまう。早い話が、義理の母親と関係を持ち童貞卒業をしてしまう。二人はその後、義理の母と息子として爛れた関係に溺れることになる。ある日、事故で後妻は急死してしまう。母の面影を追い求める冬斗は、隣の家の人妻を毒牙にかけ、更にその娘にも手を出しメス奴隷にしてしまう。これで自信を持った冬斗は、町内の美しい人妻や美女や美少女を次々に手を出しメス奴隷にする。道を踏み外した冬斗は、裏社会でメス奴隷にした女を売り飛ばしたり、メス奴隷に調教する裏の世界の男となり、裏社会をのし上がっていくピカレスク浪漫ストーリー。

ノートに覚えているストーリーを書き終わり、光生は気づいた。

「ちょっ……まて、隣の家の人妻とその娘って、ひょっとして俺の母さんと姉ちゃんのことか?!」

冬斗の毒牙にかかる人妻と美少女が、まさか自分の母親と姉の可能性が高いことに光生は衝撃を受ける。姉は今現在は中学生なので、まだ少年の闇川冬斗の毒牙にかかっていないが、この世界が「淫魔王 冬斗シリーズ」なら未来がそうなってしまう。

「ど、どうしよう……」

光生は一人で頭を抱えた。どうせ転生するなら、チート能力を身につけ異世界で酒池肉林ハーレムを形成するとかそっちにしてほしかった……と思うが、現実いまをなんとかしなければ始まらない。光生は鉛筆を握りノートにどうすれば闇川冬斗から母や姉を守れるかの方法を書きなぐっていた。必死になってノートに書いていたら、部屋のドアをノックされ光生は我に返った。

「光生、晩ごはんだよ。何、部屋の明かりくらいつけなさいよ。目が悪くなるよ」

ドアを開けて部屋の明かりをつけたのは、光生の姉の光美みつみだった。

「あ、うん、今行くよ姉ちゃん」
「今日のおかずはエビフライよ。早く行くわよ」

階段を下りると料理のいい匂いがした。椅子に座り黙々と食事を摂る光生を、母と姉は怪訝な目で見ていた。

「光生、調子悪いの?」
「ううん、どこも悪くないよ?」
「ならいいけど。もっと野菜も食べなさいよ」
「父さんは仕事?」
「今日も残業だって」

同じ食卓を囲み話す母と姉を見ると、身内のひいき目じゃなくても二人ともかなりの美人と美少女だった。さすが官能小説の世界、女性の顔面偏差値が高いと感心するが、光生はどこにでもいる普通の少年の外見。はっきり言って地味なタイプなので、光生は内心ガッカリする。

(……男のイケメンは主人公だけってか……俺は所詮モブなのか畜生……おっと、嫉妬してる暇はない。どうすれば闇川冬斗の毒牙からウチの母さんと姉さんを守るか考えなければ……)

考え事をしながら大人しくモグモグと食事する光生を、母と姉がやはりなにか変だなと見ているのにも気づかなかった。
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