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7光生の趣味
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散々中出しをされた光生は、冬斗の家のリビングのソファーにシャワーを浴びた後、横たわって休んでいた。冬斗は、夕食を作るために今キッチンにいる。一人ソファーで横になる光生は、ボンヤリとしていた。
(冬斗君の性欲が強すぎる……)
冬斗は、男性向け官能小説の主人公だ。本来のストーリーなら、数多の女性を辱め蹂躙する支配者だ。今の冬斗は顔がとてもいい好青年だが、その性愛はすべて凡庸な大学生の光生に注がれている。絶倫の冬斗の相手は体力的にキツいのだが、冬斗の主人公補正もあるのか、光生は冬斗とのセックスは拒めなかった。むしろ自身の身体が、冬斗を求めていることに光生は気づいていなかった。
(鬼畜主人公ルートから外れたと思ったのに、まさかこんなことになるとは……)
ぼんやりとどうしてこうなったのかと考えていると、光生が寝ているソファーのすぐそばににいつの間にか冬斗が立っていた。
「光生君、夕食ができましたよ。身体の方は大丈夫ですか?」
呼ばれた光生はソファーから身体を起こすと、冬斗が隣に座り光生の肩を優しく抱いた。
「大丈夫。ちょっと疲れただけだから」
「無理させてしまいましたか。すみません、我慢ができなくて……」
そう言いながら冬斗は、光生の頬にキスをした。光生はくすぐったそうに目を細めた。
「もう冬斗くんったら、全然我慢できてないよ」
「そうですね」
冬斗は光生の背中に腕を回して抱きしめた。
「ごめんなさい……さっき玄関でしてしまって……光生君、僕のこと嫌いになりました?」
「ううん、嫌いにならないよ。ただ、次からは気をつけようね。せめてベッドでね」
「はい!わかりました!」
冬斗の光生を抱く腕の力がぎゅっと強くなる。
(官能小説の主人公だからか性欲が強すぎるけど、他は普通の青年だよな……顔が良すぎるから普通ではないか)
光生は抱きしめられながらボンヤリと思っていた。この時、光男は半ば安心しきって油断していた。
****
光生は電車のドア付近に立ち、窓から流れるビルの景色を見ながら、内心ウキウキとしていた。今日は光生が楽しみにしていたゲームセンターでの大会がある日だった。昨今のゲームセンターはゲームよりも、景品キャッチャー物やガチャガチャに力を入れている店が多いが、これから光生が向かうゲームセンターは、新旧を取り入れた昔ながらのゲームセンターの面影を残しながら、ゲームの大会を積極的に開くことで有名な“ヨカド”だった。今日は光生の好きな「裏通りファイターズ」シリーズの過去作「裏通りファイターズ2ゼロサードストライク」の大会があるので、光生は時間を見つけては家で練習をしてこの日の準備をしていた。
(ヨカドに集まるゲーマーの猛者達に俺の腕がどこまで通用するかな……緊張してきた……)
嬉しさと緊張が混じった気持ちで電車の流れる風景を見ていると、スマホの振動に気づいた。冬斗からのメッセージだった。
[今日はゲームの大会でしたっけ?]
光生は「そうだよ」と犬のキャラが言っているスタンプを送ると、すぐ返事が来た。
[あんまり遅くならないでくださいね]
[僕は今日は大学のゼミの人達との集まりがあります]
[なるべく早く帰りますね。光生君がいないと淋しいです]
冬斗のメッセージは、普段の姿からは想像もつかないほど寂しがり屋だった。光生は、遅くならないようにするとメッセージを入力し終わると、ちょうど目的地の駅に到着した。駅から数分歩いたところにあるゲーセン“ヨカド”の自動ドアから店内について入ると、雑多なゲーム音とカラフルなゲーム画面が店内に充満していた。
(そうそう!これだよ!この雰囲気たまらんな!)
光生は一階のゲーム、主に大きい筐体のゲームやレースゲームやガンシューティングをチェックしたかったが、先に大会のエントリーをしなければと思い階段で二階に上がった。二階は1人用の筐体がひしめきあうように並んでいて、すでに別の大会が始まっているのか、人だかりができていた。大会の受付でエントリーシートに名前を書きこみ光生はテンションがマックスであった。
(気分はオレより強い奴に会いに……!……いや、どう考えても強い奴ばかりだな……)
(冬斗君の性欲が強すぎる……)
冬斗は、男性向け官能小説の主人公だ。本来のストーリーなら、数多の女性を辱め蹂躙する支配者だ。今の冬斗は顔がとてもいい好青年だが、その性愛はすべて凡庸な大学生の光生に注がれている。絶倫の冬斗の相手は体力的にキツいのだが、冬斗の主人公補正もあるのか、光生は冬斗とのセックスは拒めなかった。むしろ自身の身体が、冬斗を求めていることに光生は気づいていなかった。
(鬼畜主人公ルートから外れたと思ったのに、まさかこんなことになるとは……)
ぼんやりとどうしてこうなったのかと考えていると、光生が寝ているソファーのすぐそばににいつの間にか冬斗が立っていた。
「光生君、夕食ができましたよ。身体の方は大丈夫ですか?」
呼ばれた光生はソファーから身体を起こすと、冬斗が隣に座り光生の肩を優しく抱いた。
「大丈夫。ちょっと疲れただけだから」
「無理させてしまいましたか。すみません、我慢ができなくて……」
そう言いながら冬斗は、光生の頬にキスをした。光生はくすぐったそうに目を細めた。
「もう冬斗くんったら、全然我慢できてないよ」
「そうですね」
冬斗は光生の背中に腕を回して抱きしめた。
「ごめんなさい……さっき玄関でしてしまって……光生君、僕のこと嫌いになりました?」
「ううん、嫌いにならないよ。ただ、次からは気をつけようね。せめてベッドでね」
「はい!わかりました!」
冬斗の光生を抱く腕の力がぎゅっと強くなる。
(官能小説の主人公だからか性欲が強すぎるけど、他は普通の青年だよな……顔が良すぎるから普通ではないか)
光生は抱きしめられながらボンヤリと思っていた。この時、光男は半ば安心しきって油断していた。
****
光生は電車のドア付近に立ち、窓から流れるビルの景色を見ながら、内心ウキウキとしていた。今日は光生が楽しみにしていたゲームセンターでの大会がある日だった。昨今のゲームセンターはゲームよりも、景品キャッチャー物やガチャガチャに力を入れている店が多いが、これから光生が向かうゲームセンターは、新旧を取り入れた昔ながらのゲームセンターの面影を残しながら、ゲームの大会を積極的に開くことで有名な“ヨカド”だった。今日は光生の好きな「裏通りファイターズ」シリーズの過去作「裏通りファイターズ2ゼロサードストライク」の大会があるので、光生は時間を見つけては家で練習をしてこの日の準備をしていた。
(ヨカドに集まるゲーマーの猛者達に俺の腕がどこまで通用するかな……緊張してきた……)
嬉しさと緊張が混じった気持ちで電車の流れる風景を見ていると、スマホの振動に気づいた。冬斗からのメッセージだった。
[今日はゲームの大会でしたっけ?]
光生は「そうだよ」と犬のキャラが言っているスタンプを送ると、すぐ返事が来た。
[あんまり遅くならないでくださいね]
[僕は今日は大学のゼミの人達との集まりがあります]
[なるべく早く帰りますね。光生君がいないと淋しいです]
冬斗のメッセージは、普段の姿からは想像もつかないほど寂しがり屋だった。光生は、遅くならないようにするとメッセージを入力し終わると、ちょうど目的地の駅に到着した。駅から数分歩いたところにあるゲーセン“ヨカド”の自動ドアから店内について入ると、雑多なゲーム音とカラフルなゲーム画面が店内に充満していた。
(そうそう!これだよ!この雰囲気たまらんな!)
光生は一階のゲーム、主に大きい筐体のゲームやレースゲームやガンシューティングをチェックしたかったが、先に大会のエントリーをしなければと思い階段で二階に上がった。二階は1人用の筐体がひしめきあうように並んでいて、すでに別の大会が始まっているのか、人だかりができていた。大会の受付でエントリーシートに名前を書きこみ光生はテンションがマックスであった。
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