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1婚約破棄された令息、家庭教師になる
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サントロ侯爵家の次男であるミシェルは、自分の部屋で椅子に座り本を読んでいたが内容ぎ頭に入らず気分は鬱々としていた。ミシェルはため息を付き椅子から立ち上がると、ベッドの上に倒れるように寝ころんだ。銀髪の髪の毛が乱れるのも気にせず、スカイブルーの青い目はベッドのシーツの皺を見ていた。
ミシェルは先日まで、この国の王室の第三王子セレドニアと婚約をしていたが、解消されてしまった。隣国の第一王女がセレドニアに一目惚れしてしまい、ミシェルとの婚約を解消し女王と婚約することとなった。
セレドニアは側妃の子供であったので立場が弱く、ミシェルの家であるサントロ侯爵家が後ろ盾となりミシェルと婚約していた。ミシェルは、男でも妊娠できる孕み腹と呼ばれる男子であったため、セレドニアと婚約をすることとなった。
(いくら孕み腹と言われても、男の私よりセレドニア様には隣国の女王殿下と婚約したほうがいいだろう……)
ミシェルは、もう何回も言い聞かせるようにこう思うが、心は納得していなかった。子供の頃よりミシェルは、セレドニアとともに過ごしてきた。政略的な婚約でもあったが、セレドニアとは良好な関係でいた。それなのに王国の学園を卒業してからの急な婚約解消で、更にセレドニアと会うこともなく王家から一方的な婚約解消で、ミシェルの心は納得できてなかった。
(せめてセレドニア様と、最後にお会いしてから婚約解消をしたかった……)
ミシェルの青い瞳からから涙が流れた。
****
婚約解消してから3ヶ月が経った。ミシェルは自分の部屋で過ごしていると部屋のドアがノックされ兄のセルゲイが入ってきた。
「セルゲイ兄様」
「ミシェル、調子はどうだ?」
「はい、もう大丈夫です」
「本当か?お前はすぐ無理するからな」
セルゲイは立ったまま、椅子に座るミシェルの肩をポンと叩いた。
「父上がお前を呼んでいる」
「私をですか?次の婚約相手でも見つかりましたか?」
「違うよ。お前に家庭教師をお願いしたいって話が来ているんだ」
「私に家庭教師?」
父の執務室にミシェルは兄と向かい詳しい話を聞いた。ゴールドバーグ公爵の長男が留学先から戻ってきて、ミシェルに家庭教師を頼みたいとのことだった。ゴールドバーグ公爵は、政治からは離れており公爵は優秀な魔術師で魔術研究をしているので社交界には出てこない一族だった。その息子である長男は優秀らしく、最近まで留学しており飛び級で大学を卒業していた。
「そこまで優秀な方なら、私では家庭教師にならない気がするんですが」
ミシェルは父の話を聞き、疑問に思ったことを言った。
「儂も断ろうとしたが、家庭教師というより話し相手に近いことを頼みたいと言っていてな。普段は社交界に王宮にも出てこないが、公爵様なので無下にできなくてな……」
「そうですか……。ご長男の方のお力になれるかわかりませんが、私はお受けしたいと思います」
「えっ?いいのか、ミシェル」
兄が驚いて、ミシェルの顔を見つめた。
「はい。ここ最近、ずっと部屋に籠もっていて父上達にご心配をお掛けしました。このままではいけないと自分でも思ってましたので、このお話はいい機会だと思います」
「でもミシェル、ゴールドバーグ公爵はよくわからない研究をしてるって噂もあるし、あまり表舞台では出ないからな……正直、俺は心配だ」
「兄様、ありがとうございます。大丈夫です。父上、せっかくのお話ですしお受けしたいと思います」
「まあ、お前がそう言うなら……」
ミシェルは家庭教師の話を受けることになった。
「ミシェル、嫌だったり酷いことをされたらすぐ帰ってくるんだぞ」
「ふふっ。兄様、心配しすぎですよ。でもありがとうございます」
心配性すぎる兄のセルゲイに、ミシェルは笑って返した。
****
ゴールドバーグ公爵の屋敷は、王都から離れた場所にあった。広大な森がありここで希少で珍しい薬草の栽培をして、研究をしているとのことだ。距離的に侯爵家から通うのは難しかったので、公爵家の屋敷に住むこととなった。ミシェルは荷物を持って、馬車でゴールドバーグ公爵に向かった。鬱蒼な森の中にゴールドバーグ公爵の立派な屋敷があった。ミシェルが馬車から降りると、高級なローブを来た少年が屋敷の入り口に立っていた。
「ミシェル様、ようこそいらっしゃいました。アシュレイ・ゴールドバーグと申します」
艶やかな黒髪と黒眼の落ち着いた雰囲気をし、整った顔でニコリとアシュレイは笑っていた。ミシェルより高い身長で、年下には見えなかった。
「アシュレイ・ゴールドバーグ様、初めまして。ミシェル・サントロと申します」
「ここはもう王都ではないから、堅苦しい挨拶は抜きにしましょう。部屋を案内します」
ミシェルは荷物を、公爵家の使用人に任せアシュレイの後をついていく。長い廊下を歩きながら、アシュレイが嬉しそうにミシェルに話す。
「ミシェル様にこの話を受けてもらって僕はとっても嬉しいです」
「よろしければミシェルとお呼びください。アシュレイ様は、私をご存知なんですか?お会いしたのは今日が初めてだと思うのですが」
「昔、留学する前に出たパーティーであなたをお見かけしたことがあります。あと噂で、学園での成績はとても優秀だと聞きました。ですから今回、家庭教師をお願いしたんです」
「それは光栄です」
部屋に付くと、すでに室内は人が快適に過ごせるように家具が用意され広い部屋だった。
「立派なお部屋ですね。ここが僕の部屋……?」
「普通の部屋ですよ。そうだ、すぐ隣の部屋が僕の部屋になってます」
「えっ?」
「すぐに僕の部屋にこれる方が、家庭教師としては移動は楽ですよね」
「そ、そうですね……」
ミシェルは家庭教師なのにすぐ隣の部屋ということを不思議に思ったが、こういうものなのかもと思い疑念を頭の片隅に追いやった。
(家庭教師としての新たな一歩だ。部屋が隣くらいで驚いていてはいけない。もっと臨機応変に考えないといけないな)
「着いたばかりですから、今日はゆっくり休んで明日から家庭教師をお願いしますね、ミシェル」
「はい。アシュレイ様、改めてよろしくお願いします」
ミシェルはアシュレイに笑みを浮かべてそう言った。ミシェルを見るアシュレイの目の奥は、獲物を狙うようにミシェルの全身を舐めまわすように見ていることにミシェルは気づかなかった。
ミシェルは先日まで、この国の王室の第三王子セレドニアと婚約をしていたが、解消されてしまった。隣国の第一王女がセレドニアに一目惚れしてしまい、ミシェルとの婚約を解消し女王と婚約することとなった。
セレドニアは側妃の子供であったので立場が弱く、ミシェルの家であるサントロ侯爵家が後ろ盾となりミシェルと婚約していた。ミシェルは、男でも妊娠できる孕み腹と呼ばれる男子であったため、セレドニアと婚約をすることとなった。
(いくら孕み腹と言われても、男の私よりセレドニア様には隣国の女王殿下と婚約したほうがいいだろう……)
ミシェルは、もう何回も言い聞かせるようにこう思うが、心は納得していなかった。子供の頃よりミシェルは、セレドニアとともに過ごしてきた。政略的な婚約でもあったが、セレドニアとは良好な関係でいた。それなのに王国の学園を卒業してからの急な婚約解消で、更にセレドニアと会うこともなく王家から一方的な婚約解消で、ミシェルの心は納得できてなかった。
(せめてセレドニア様と、最後にお会いしてから婚約解消をしたかった……)
ミシェルの青い瞳からから涙が流れた。
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婚約解消してから3ヶ月が経った。ミシェルは自分の部屋で過ごしていると部屋のドアがノックされ兄のセルゲイが入ってきた。
「セルゲイ兄様」
「ミシェル、調子はどうだ?」
「はい、もう大丈夫です」
「本当か?お前はすぐ無理するからな」
セルゲイは立ったまま、椅子に座るミシェルの肩をポンと叩いた。
「父上がお前を呼んでいる」
「私をですか?次の婚約相手でも見つかりましたか?」
「違うよ。お前に家庭教師をお願いしたいって話が来ているんだ」
「私に家庭教師?」
父の執務室にミシェルは兄と向かい詳しい話を聞いた。ゴールドバーグ公爵の長男が留学先から戻ってきて、ミシェルに家庭教師を頼みたいとのことだった。ゴールドバーグ公爵は、政治からは離れており公爵は優秀な魔術師で魔術研究をしているので社交界には出てこない一族だった。その息子である長男は優秀らしく、最近まで留学しており飛び級で大学を卒業していた。
「そこまで優秀な方なら、私では家庭教師にならない気がするんですが」
ミシェルは父の話を聞き、疑問に思ったことを言った。
「儂も断ろうとしたが、家庭教師というより話し相手に近いことを頼みたいと言っていてな。普段は社交界に王宮にも出てこないが、公爵様なので無下にできなくてな……」
「そうですか……。ご長男の方のお力になれるかわかりませんが、私はお受けしたいと思います」
「えっ?いいのか、ミシェル」
兄が驚いて、ミシェルの顔を見つめた。
「はい。ここ最近、ずっと部屋に籠もっていて父上達にご心配をお掛けしました。このままではいけないと自分でも思ってましたので、このお話はいい機会だと思います」
「でもミシェル、ゴールドバーグ公爵はよくわからない研究をしてるって噂もあるし、あまり表舞台では出ないからな……正直、俺は心配だ」
「兄様、ありがとうございます。大丈夫です。父上、せっかくのお話ですしお受けしたいと思います」
「まあ、お前がそう言うなら……」
ミシェルは家庭教師の話を受けることになった。
「ミシェル、嫌だったり酷いことをされたらすぐ帰ってくるんだぞ」
「ふふっ。兄様、心配しすぎですよ。でもありがとうございます」
心配性すぎる兄のセルゲイに、ミシェルは笑って返した。
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ゴールドバーグ公爵の屋敷は、王都から離れた場所にあった。広大な森がありここで希少で珍しい薬草の栽培をして、研究をしているとのことだ。距離的に侯爵家から通うのは難しかったので、公爵家の屋敷に住むこととなった。ミシェルは荷物を持って、馬車でゴールドバーグ公爵に向かった。鬱蒼な森の中にゴールドバーグ公爵の立派な屋敷があった。ミシェルが馬車から降りると、高級なローブを来た少年が屋敷の入り口に立っていた。
「ミシェル様、ようこそいらっしゃいました。アシュレイ・ゴールドバーグと申します」
艶やかな黒髪と黒眼の落ち着いた雰囲気をし、整った顔でニコリとアシュレイは笑っていた。ミシェルより高い身長で、年下には見えなかった。
「アシュレイ・ゴールドバーグ様、初めまして。ミシェル・サントロと申します」
「ここはもう王都ではないから、堅苦しい挨拶は抜きにしましょう。部屋を案内します」
ミシェルは荷物を、公爵家の使用人に任せアシュレイの後をついていく。長い廊下を歩きながら、アシュレイが嬉しそうにミシェルに話す。
「ミシェル様にこの話を受けてもらって僕はとっても嬉しいです」
「よろしければミシェルとお呼びください。アシュレイ様は、私をご存知なんですか?お会いしたのは今日が初めてだと思うのですが」
「昔、留学する前に出たパーティーであなたをお見かけしたことがあります。あと噂で、学園での成績はとても優秀だと聞きました。ですから今回、家庭教師をお願いしたんです」
「それは光栄です」
部屋に付くと、すでに室内は人が快適に過ごせるように家具が用意され広い部屋だった。
「立派なお部屋ですね。ここが僕の部屋……?」
「普通の部屋ですよ。そうだ、すぐ隣の部屋が僕の部屋になってます」
「えっ?」
「すぐに僕の部屋にこれる方が、家庭教師としては移動は楽ですよね」
「そ、そうですね……」
ミシェルは家庭教師なのにすぐ隣の部屋ということを不思議に思ったが、こういうものなのかもと思い疑念を頭の片隅に追いやった。
(家庭教師としての新たな一歩だ。部屋が隣くらいで驚いていてはいけない。もっと臨機応変に考えないといけないな)
「着いたばかりですから、今日はゆっくり休んで明日から家庭教師をお願いしますね、ミシェル」
「はい。アシュレイ様、改めてよろしくお願いします」
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