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第4章「女性用の祭儀衣装にお着替え」
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甚太郎は目を覚ました。
見慣れない天井に、見慣れない部屋。
10秒程ぼーとして慌てて飛び起きる。
「……うお! そうだ俺、昨日異世界転生して、お風呂でオナニーして、フラフラなまま寝室に戻って、爆睡したんだった……!!」
頭を抱えて、美しく艶のある銀髪の感触を感じながら、甚太郎は聖女アリアとしての生活を理解しようと努めた。
どこだかわからない場所にいて、何が起きてるかもわからない。
ただ、赤い瞳を持つ聖女アリアは、教会の人たちだけじゃなく、町の住人たちにとってに特別なのだと、昨日エリシラに何度も説明された。
「俺、やっていけるのかな……?」
1人呟い時、ドアがコンコンとノックされた。
「アリア様、起きてますか? エリシラです」
「あ、はい、起きてます」
失礼しますと、控えめにドアを開けてエリシラが部屋へと入ってきた。
朝の陽ざしがエリシラの金髪をより一層輝かせてお美しいと甚太郎は思ったが、エリシラもまた、甚太郎いや、アリアの姿に見惚れていた。
「あぁ……アリア様……今日も美しいです。あぁ……アリア様……アリア様……」
可笑しな笑みを浮かべて、じりじり近づいてくるエリシラに恐怖を覚え、
「えっと、エリシラさん何か用ですか?」
と、声をかける。
エリシラは、はっと正気に戻ったのか、ゴホンと咳払いをしてから、
「食事の用意ができましたので、呼びに来ました」
「あ、ありがとうございます」
「あと、食事が終わりましたら、町の住人にも聖女様のお披露目をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
本心では断りたい、断りたいが、エリシラのお願いに首を振るのには勇気がいる。
それに、住まわせてもらう以上、いつかはやらないといけないイベントだろうと甚太郎は腹をくくった。
「……はい、よろしくお願いします」
その時のエリシラの笑顔で、甚太郎は報われた気がした――。
食事を終えて部屋に戻ると、
「アリア様、お着替えの準備ができています」
神官の女性一人が部屋で、祭儀のための特別な衣装を準備して待っていた。
「こちらが、アリア様のための祭儀衣装です」
神官が差し出してきたのは、黒と金の美しい刺繍が施された今でいうところのチャイナドレスのような服だった。
甚太郎はその美しさに息を飲むと同時に、異世界の祭儀に参加する特別感で胸を強張らせた。
「着替えを手伝わせていただきます」
と、神官が甚太郎に近づいた瞬間、
「それは私がしますので、あなたは下がりなさい」
エリシラが部屋に入ってくる。
「でも……」
「早く下がりなさい」
「……はい、では失礼します」
神官は少し落ち込んだ表情をみせたものの、静かに部屋を去っていた。
「さぁ、さ、アリア様、お着替えをお手伝いしますね……ふひ」
「お、お願いします……」
変な笑いがこぼれたエリシラをスルーしたアリアは昨日のお風呂場と同じように、服を脱がされていく。
二回目だが、慣れることはなく甚太郎は目を瞑り少し身体を固くする。
そんな甚太郎を、祭儀に緊張してるのかと勘違いしたエリシラは、
「大丈夫ですよ、祭儀はすぐ終わりますし、私もお傍にいますから」
甚太郎がその言葉を聞いて、目を開けると、エリシラは目の前で優しく微笑んでくれていた。
思わずキスしたくなるような距離にいるエリシラを見て、今度は頬が赤くなる甚太郎。
「あら? お顔が赤いですわね? 熱いですか? 早く服を脱がしますね」
慣れた手つきで、甚太郎がきてる服を脱がし、さらに下着まで脱がされてしまった。
「え、なんでパンツまで?」
と慌てる甚太郎に、エリシラは、
「本来、聖女は、神の前では裸であるべきなのです……。ですが、今回はお披露目会も兼ねてますので、祭儀服は着用しますが、下着は無しでお願いします」
「そ、そうなんですね、わかりました……」
「あぁ、アリシア様の大切な所が見えてる……」
エリシラはぶつぶつ呟いていたが、甚太郎は慣れてきたのか、スルーした。
エリシラが布地を広げると、想像以上に布の面積が少なかった。
背中、胸元はむき出しで、さらに、ふとももの付け根まで入った深いスリットがある。
少し動けば、見えてしまいそうな程だ。
「そ、それを着るんですよね……?」
「えぇ、アリア様ならとっても似合うと思いますわ!」
エリシラが丁寧に着せてくれる。
布地はまるで自分の身体に吸い寄せられるかのように移動し、自然なフォルムで体にまとい始めた。
見た目以上に軽やかな触感に、甚太郎は思わず声が震えた。
「はふ、んっ……」
衣装の準備が整った後、甚太郎というか聖女アリアの髪型のスタイリングに取り掛かるエリシラ。
優しく、櫛で髪を梳かれるのも悪くないなと甚太郎は感じていた。
アリアの長い髪は華やかなアップスタイルにまとめられ、ツインテールにして左右に流す。
留め具には、祭儀服と同じ生地のリボンを結んだ。
アリアの銀髪と黒のリボンは儀式を引き立て、聖女の美しさを一層際立たせるだろう。
最後に宝飾品が一つ用意されていた。
宝石ついたペンダントなのだが、中に聖なるシンボルが織り込まれていて、不思議な力が宿るように感じられた。
エリシラにそっと、首に着けてもらい、聖女アリアの祭儀衣装は完成した。
その姿はまるで、美しさの女神様のようだとエリシラは思った。
「終わりましたアリア様、お美しいです……あぁ、アリア様……」
「エリシラさん、ありがとうございます」
甚太郎は深呼吸して立ち上がり、自分自身の姿を鏡の前で見つめた――。
――息を飲んだ。
鏡の中には、想像以上の美しさの自分が立っていることに目が見開く。
甚太郎は本来の自分の姿ではない、聖女アリアの見た目にドキドキして呼吸が乱れた。
甚太郎は今までの自分とは異なる存在に変わる感覚を味わった。
お風呂場で始めての女性としての絶頂どころではない、強烈な感覚だ。
祭儀衣装がアリアの体に優雅に沿い、長い銀髪が揺れる様子はまさに異世界の聖女そのものだった。
「綺麗だ……」
「えぇ、とても」
甚太郎の思わずつぶやいてしまった一言に、エリシラは肯定の意を返した。
「あぁ、アリア様……私はあなたに一生尽くします……!」
「エリシラさん……」
「どうか、エリシラと呼び捨てにしてください!」
「……エリシラ、これからもよろしくお願いしますね」
甚太郎は自分の姿に酔っているのか、祭儀衣装の魔力なのか、早くこの聖女としての姿をみんなにみてもらいたい気持ちでいっぱいになっていた。
「……エリシラ、いきますよ」
「はい、アリア様!」
甚太郎は、自らの運命に向き合う決意を新たにしたのだった。
見慣れない天井に、見慣れない部屋。
10秒程ぼーとして慌てて飛び起きる。
「……うお! そうだ俺、昨日異世界転生して、お風呂でオナニーして、フラフラなまま寝室に戻って、爆睡したんだった……!!」
頭を抱えて、美しく艶のある銀髪の感触を感じながら、甚太郎は聖女アリアとしての生活を理解しようと努めた。
どこだかわからない場所にいて、何が起きてるかもわからない。
ただ、赤い瞳を持つ聖女アリアは、教会の人たちだけじゃなく、町の住人たちにとってに特別なのだと、昨日エリシラに何度も説明された。
「俺、やっていけるのかな……?」
1人呟い時、ドアがコンコンとノックされた。
「アリア様、起きてますか? エリシラです」
「あ、はい、起きてます」
失礼しますと、控えめにドアを開けてエリシラが部屋へと入ってきた。
朝の陽ざしがエリシラの金髪をより一層輝かせてお美しいと甚太郎は思ったが、エリシラもまた、甚太郎いや、アリアの姿に見惚れていた。
「あぁ……アリア様……今日も美しいです。あぁ……アリア様……アリア様……」
可笑しな笑みを浮かべて、じりじり近づいてくるエリシラに恐怖を覚え、
「えっと、エリシラさん何か用ですか?」
と、声をかける。
エリシラは、はっと正気に戻ったのか、ゴホンと咳払いをしてから、
「食事の用意ができましたので、呼びに来ました」
「あ、ありがとうございます」
「あと、食事が終わりましたら、町の住人にも聖女様のお披露目をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
本心では断りたい、断りたいが、エリシラのお願いに首を振るのには勇気がいる。
それに、住まわせてもらう以上、いつかはやらないといけないイベントだろうと甚太郎は腹をくくった。
「……はい、よろしくお願いします」
その時のエリシラの笑顔で、甚太郎は報われた気がした――。
食事を終えて部屋に戻ると、
「アリア様、お着替えの準備ができています」
神官の女性一人が部屋で、祭儀のための特別な衣装を準備して待っていた。
「こちらが、アリア様のための祭儀衣装です」
神官が差し出してきたのは、黒と金の美しい刺繍が施された今でいうところのチャイナドレスのような服だった。
甚太郎はその美しさに息を飲むと同時に、異世界の祭儀に参加する特別感で胸を強張らせた。
「着替えを手伝わせていただきます」
と、神官が甚太郎に近づいた瞬間、
「それは私がしますので、あなたは下がりなさい」
エリシラが部屋に入ってくる。
「でも……」
「早く下がりなさい」
「……はい、では失礼します」
神官は少し落ち込んだ表情をみせたものの、静かに部屋を去っていた。
「さぁ、さ、アリア様、お着替えをお手伝いしますね……ふひ」
「お、お願いします……」
変な笑いがこぼれたエリシラをスルーしたアリアは昨日のお風呂場と同じように、服を脱がされていく。
二回目だが、慣れることはなく甚太郎は目を瞑り少し身体を固くする。
そんな甚太郎を、祭儀に緊張してるのかと勘違いしたエリシラは、
「大丈夫ですよ、祭儀はすぐ終わりますし、私もお傍にいますから」
甚太郎がその言葉を聞いて、目を開けると、エリシラは目の前で優しく微笑んでくれていた。
思わずキスしたくなるような距離にいるエリシラを見て、今度は頬が赤くなる甚太郎。
「あら? お顔が赤いですわね? 熱いですか? 早く服を脱がしますね」
慣れた手つきで、甚太郎がきてる服を脱がし、さらに下着まで脱がされてしまった。
「え、なんでパンツまで?」
と慌てる甚太郎に、エリシラは、
「本来、聖女は、神の前では裸であるべきなのです……。ですが、今回はお披露目会も兼ねてますので、祭儀服は着用しますが、下着は無しでお願いします」
「そ、そうなんですね、わかりました……」
「あぁ、アリシア様の大切な所が見えてる……」
エリシラはぶつぶつ呟いていたが、甚太郎は慣れてきたのか、スルーした。
エリシラが布地を広げると、想像以上に布の面積が少なかった。
背中、胸元はむき出しで、さらに、ふとももの付け根まで入った深いスリットがある。
少し動けば、見えてしまいそうな程だ。
「そ、それを着るんですよね……?」
「えぇ、アリア様ならとっても似合うと思いますわ!」
エリシラが丁寧に着せてくれる。
布地はまるで自分の身体に吸い寄せられるかのように移動し、自然なフォルムで体にまとい始めた。
見た目以上に軽やかな触感に、甚太郎は思わず声が震えた。
「はふ、んっ……」
衣装の準備が整った後、甚太郎というか聖女アリアの髪型のスタイリングに取り掛かるエリシラ。
優しく、櫛で髪を梳かれるのも悪くないなと甚太郎は感じていた。
アリアの長い髪は華やかなアップスタイルにまとめられ、ツインテールにして左右に流す。
留め具には、祭儀服と同じ生地のリボンを結んだ。
アリアの銀髪と黒のリボンは儀式を引き立て、聖女の美しさを一層際立たせるだろう。
最後に宝飾品が一つ用意されていた。
宝石ついたペンダントなのだが、中に聖なるシンボルが織り込まれていて、不思議な力が宿るように感じられた。
エリシラにそっと、首に着けてもらい、聖女アリアの祭儀衣装は完成した。
その姿はまるで、美しさの女神様のようだとエリシラは思った。
「終わりましたアリア様、お美しいです……あぁ、アリア様……」
「エリシラさん、ありがとうございます」
甚太郎は深呼吸して立ち上がり、自分自身の姿を鏡の前で見つめた――。
――息を飲んだ。
鏡の中には、想像以上の美しさの自分が立っていることに目が見開く。
甚太郎は本来の自分の姿ではない、聖女アリアの見た目にドキドキして呼吸が乱れた。
甚太郎は今までの自分とは異なる存在に変わる感覚を味わった。
お風呂場で始めての女性としての絶頂どころではない、強烈な感覚だ。
祭儀衣装がアリアの体に優雅に沿い、長い銀髪が揺れる様子はまさに異世界の聖女そのものだった。
「綺麗だ……」
「えぇ、とても」
甚太郎の思わずつぶやいてしまった一言に、エリシラは肯定の意を返した。
「あぁ、アリア様……私はあなたに一生尽くします……!」
「エリシラさん……」
「どうか、エリシラと呼び捨てにしてください!」
「……エリシラ、これからもよろしくお願いしますね」
甚太郎は自分の姿に酔っているのか、祭儀衣装の魔力なのか、早くこの聖女としての姿をみんなにみてもらいたい気持ちでいっぱいになっていた。
「……エリシラ、いきますよ」
「はい、アリア様!」
甚太郎は、自らの運命に向き合う決意を新たにしたのだった。
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