騎士の鎧を着た社畜職人、最高の製品を作ったら王国の運命を変えることになった

前田 真

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第2章:最高の製品は悪用させない!

第17話:ルナとの合流と次の工程

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 朝の薄い霧が残る森林の中、ルナは岩陰で静かに待機していた。

  彼女は手に革の手袋をはめ、地面には手提げの道具袋が置かれていた。

 ルナは、シグマがアジトから合流地点へ向かってくるであろう一本の獣道に集中し、周囲の警戒を続けていた。


 その時、ルナが視線を固定していた獣道の奥、木々の陰からシグマが現れた。

 ルナは、シグマの姿を捉えた瞬間、音のない登場に一瞬の遅れを感じたが、すぐにそれがシグマであると理解し、駆け寄った。

「シグマ! 成功ね!」

 シグマは頷き、外套の下を指差した。

「ああ。最高の盾は回収した。そして、文書も手に入れた。損傷も無かった」

 彼は、外套を開いて、盾の輪郭をルナに見せた。

 ルナの顔に、安堵と自身が関わった最高の製品への強い愛着が浮かぶ。

「これで、私たちの技術が悪人の手に渡ることはないわね。このまま王都へ向かうの?」

 シグマは周囲の警戒を再確認すると言った。

「一旦、文書の内容を確認したい。バルカンの容体も気になるし、一度工房に戻ろう。」

 ルナは迷わず頷いた。

「わかったわ、シグマ。戻りましょう」


 ルナは手提げの道具袋を肩にかけ、シグマと共にアジトから遠ざかる道を選んだ。

 彼らが選んだのは、王都へ向かう街道ではなく、地形を熟知した者だけが知る、森の奥深くへと続く獣道だった。

「その隊長は、私たちが去ったことに気づき、追手を出すでしょうね」

 ルナが、周囲の木の葉の揺れに注意を払いながら言った。

 シグマは歩みを緩めずに答える。

「我々が正規の街道を使うと思えば、追手はそちらへ向かう。静音鎧の痕跡は残していない。それに、アジト内部の重傷者と、騎士団との戦闘の混乱が尾を引いている。追跡が始まるにしても、追いつかれることはないだろう」

 シグマの言葉には、自身の技術と計画に対する揺るぎない確信が滲んでいた。

 ルナはそれに頷きながらも、不安を口にした。

「工房で文書を調べることには同意したけれど、この獣道は、王都へ向かう街道よりも安全なの?追手に発見されるリスクは――」

 シグマは立ち止まり、ルナの方へ向き直った。

「ルナが選んだこのルートは、追跡者にとって最も困難な道であるはずだ。王都へ直行すれば、我々は街道という開けた場所で、追手の集中攻撃を受けるリスクが高まる。この文書の解析には、誰にも邪魔されない時間が必要だ」

 ルナはシグマの真剣な瞳を見つめた。

「このルートを進むことが、文書の内容を完全に把握し、必要な手を打つための最優先事項だ」

 彼女は、シグマが盾の回収に留まらず、盗賊団の次の悪行を阻止するという強い責任感を持っていることを理解していた。

「...わかったわ、シグマ。文書の解析、手伝うわ。父の容体を見たら、すぐに工房で始めましょう」

 シグマは目礼を返し、ルナに先導を促した。

 彼らは、負傷した父バルカンが休む工房へと急いだ。
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