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第3章:職人の知恵と、騎士団内部の裏切り者の排除
第24話:在庫記録の論理
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国王の命が下されると、謁見の間は即座に動き出した。
王太子は冷静に命令を発し、信頼できる側近を召集して、騎士団備品管理の責任者を連行するよう指示した。
ルナとシグマは、王太子と上官の騎士に挟まれる形で、謁見の間を出た。
彼らの目的地は、騎士団が使用する武具の管理記録が保管されている王城の記録庫だった。
移動中、王太子はシグマに向かって言った。
「貴殿の論理は、ただの推論ではない。極めて具体的だ。しかし、騎士団の備品記録は、王国の最重要機密の一つだ。それを、貴殿のような……出自不明の者に委ねるのは異例中の異例であることは理解しているか」
シグマは冷静に答えた。
「理解しております、殿下。しかし、私の目的は王国の危機を阻止することのみであり、機密情報を利用することはございません。裏切り者の特定には、武具の『摩耗状況』と『在庫記録の数値』の二つを、照合する作業が必要です」
ルナは、シグマの落ち着いた口調に安堵を覚えた。
彼の騎士としての知性が、王族を動かしているのだ。
間もなく、一行は厳重に警備された記録庫に到着した。
そこには、王太子の命により連行された、小太りな体格の中年男性、騎士団備品管理の責任者が、顔面蒼白で立っていた。
王太子が厳しい口調で責任者に命じた。
「直ちに、騎士団が管理する全ての武具の過去一ヶ月分の在庫記録、および主要な装備の点検・摩耗記録を提出せよ。この護衛の者が行う作業に、一切の妨害は許されない」
責任者は震えながら、「殿下、それは極秘の……」と言いかけたが、王太子の冷たい視線に言葉を飲み込んだ。
シグマは提出された膨大な記録文書の束を受け取ると、即座に作業を開始した。
彼は、記録文書を一枚ずつめくりながら、その数値の羅列と点検官の署名に、驚くべき速さで目を通していく。
「この記録の矛盾点を見つけ出す論理は単純です」
シグマは説明する。
「横流しされた武具の代わりに、裏切り者は偽の武具を記録庫に戻すか、あるいは偽の記録を作成している。偽の記録は、必ずどこかに不自然な数値を生み出します」
シグマの指は、まるで生き物のように紙面を滑り、数十秒後、ピタリと止まった。
「見つけました。ここに、一週間前に行われた剣の大量廃棄記録があります。これは、騎士団の規模に比して異常な数量です。さらに、その廃棄されたはずの剣の摩耗記録を見ると……」
シグマは、横の摩耗記録の束を掴み、そのページを責任者の鼻先に突きつけた。
「廃棄されたはずの剣の記録は、使用した痕跡が一切ない、新品同様の状態を示す『摩耗度ゼロ』と記載されています。これこそ、横流しした武具の代替品を不正に記録した、論理的な矛盾です」
備品管理責任者は、その論理的な指摘の前に、膝から崩れ落ちた。
「これだけでは裏切り者の特定には至らない」
王太子は言った。
「その廃棄記録を承認した者は誰だ。」
シグマは、冷静に書類上の署名を指さした。
「この偽の廃棄記録に署名し、一連の矛盾を生み出した人物が、今回の裏切り者である論理的な最有力候補です」
王太子は冷静に命令を発し、信頼できる側近を召集して、騎士団備品管理の責任者を連行するよう指示した。
ルナとシグマは、王太子と上官の騎士に挟まれる形で、謁見の間を出た。
彼らの目的地は、騎士団が使用する武具の管理記録が保管されている王城の記録庫だった。
移動中、王太子はシグマに向かって言った。
「貴殿の論理は、ただの推論ではない。極めて具体的だ。しかし、騎士団の備品記録は、王国の最重要機密の一つだ。それを、貴殿のような……出自不明の者に委ねるのは異例中の異例であることは理解しているか」
シグマは冷静に答えた。
「理解しております、殿下。しかし、私の目的は王国の危機を阻止することのみであり、機密情報を利用することはございません。裏切り者の特定には、武具の『摩耗状況』と『在庫記録の数値』の二つを、照合する作業が必要です」
ルナは、シグマの落ち着いた口調に安堵を覚えた。
彼の騎士としての知性が、王族を動かしているのだ。
間もなく、一行は厳重に警備された記録庫に到着した。
そこには、王太子の命により連行された、小太りな体格の中年男性、騎士団備品管理の責任者が、顔面蒼白で立っていた。
王太子が厳しい口調で責任者に命じた。
「直ちに、騎士団が管理する全ての武具の過去一ヶ月分の在庫記録、および主要な装備の点検・摩耗記録を提出せよ。この護衛の者が行う作業に、一切の妨害は許されない」
責任者は震えながら、「殿下、それは極秘の……」と言いかけたが、王太子の冷たい視線に言葉を飲み込んだ。
シグマは提出された膨大な記録文書の束を受け取ると、即座に作業を開始した。
彼は、記録文書を一枚ずつめくりながら、その数値の羅列と点検官の署名に、驚くべき速さで目を通していく。
「この記録の矛盾点を見つけ出す論理は単純です」
シグマは説明する。
「横流しされた武具の代わりに、裏切り者は偽の武具を記録庫に戻すか、あるいは偽の記録を作成している。偽の記録は、必ずどこかに不自然な数値を生み出します」
シグマの指は、まるで生き物のように紙面を滑り、数十秒後、ピタリと止まった。
「見つけました。ここに、一週間前に行われた剣の大量廃棄記録があります。これは、騎士団の規模に比して異常な数量です。さらに、その廃棄されたはずの剣の摩耗記録を見ると……」
シグマは、横の摩耗記録の束を掴み、そのページを責任者の鼻先に突きつけた。
「廃棄されたはずの剣の記録は、使用した痕跡が一切ない、新品同様の状態を示す『摩耗度ゼロ』と記載されています。これこそ、横流しした武具の代替品を不正に記録した、論理的な矛盾です」
備品管理責任者は、その論理的な指摘の前に、膝から崩れ落ちた。
「これだけでは裏切り者の特定には至らない」
王太子は言った。
「その廃棄記録を承認した者は誰だ。」
シグマは、冷静に書類上の署名を指さした。
「この偽の廃棄記録に署名し、一連の矛盾を生み出した人物が、今回の裏切り者である論理的な最有力候補です」
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