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二見双葉(3)
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きゅいんきゅいん、と前きた時にはしなかった異音がする。まるでサイレンのようなその音は、遠くの方で鳴っていた。
私の隣にはお兄さんがいて、彼女だけがいなかった。
飛ばされる場所はランダムなんだとしても、初めてきた人だけが違う場所に飛ばされてしまうのはこちらとしても困ってしまう。
なんとしてでも彼女を見つけださないと。
私は辺りを見回した。
「ありゃ。あの子いないねえ」
「の、のんびりしてる場合じゃないですよっ、早く二見さんを見つけなきゃ!」
前衛を私、後衛をお兄さんとしてグングン先に進んでいく。きゅいんきゅいんと鳴る音はまだ聞こえていて、なんならどんどんと大きくなる一方だ。
「あ、あの……こ、この音、なんですか?」
「うん?」
「こ、このっきゅいんきゅいんって」
「ああ……きみは気にしなくていいよ」
「き、気にしなくていいって……」
そんなふうに言われたら余計に気になってしまうのに。なんだか私だけ蚊帳の外みたいで傷付くな。
ううん、この程度で傷付いてる場合じゃないよ。こんな廃れた場所に一人ぼっちでいる彼女の方が不安に決まってる。早く、早く見つけてあげないと。
「あ、いた」
「え?」
目の前には異音と共に歌って踊るアイドルの二見双葉と、それを見つめる彼女の姿があった。
「ふっ二見さん!」
異音は此処から聞こえてたんだ。だけどどうしてこんな音がするんだろう。前は普通の曲だったのに。
「ふ、二見さん、良かった合流できて……あっ、この方が、アイドルの二見双葉さんです! ちょっと今日は音楽の調子が悪いみたいで……だ、だけどほらっとても綺麗に輝いています!」
彼女は顰め面するわけでもなく、ただひたすらに無の表情で二見双葉を見つめていた。
「あー……ねえきみ、今日はちょっと帰った方がいいかもしれないよ?」
「え? どうしてですか?」
「二見双葉から変な音がするでしょう。他の子なら放っておいたけど、あんまり近付かない方が」
「ど、どう……してですか?」
てっきり音楽がおかしいんだと思ってた私は、お兄さんがいったい何を言ってるのか皆目見当が付かなかった。
おかしいのは音楽じゃない。おかしいのは二見双葉の方。
なら、近付いてはいけない理由って何? 近付いたらどうなるの? この異音はどういう時に鳴るものなの?
なんだか嫌な予感がした。第六感なんて信じちゃいないけど、何か予期せぬことが起こるんじゃないかって、直感的に思ってしまう。
そしてその予感は的中する。彼女の方に振り返った時にはもう、彼女が彼女ではなくなっていた。
「ひゃあああーーーーーーッ」
「えっ、ふ、二見、さ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「二見……さん?」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
彼女は突如、発狂した。私の声など届いてないのだろう。何度も何度も何度も何度も。
「おわすっげ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「お、おにいさ……っ、ふ、二見さんがっ二見さん、どうしたの?」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「うーん面白い。似て非なるものが接触すると、こういった化学反応が垣間見れるのか」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「お、おにいぃさん! 一人で納得してないで、助けてくださいお兄さんっ!」
必死になってお兄さんの腕を掴んで揺すっても、お兄さんはちっとも助けてはくれなくて。どうしたらいいのか分からなくて半ばパニック状態の私は、お兄さんしか頼れる人がいないというのにどうすればいいというの。
彼女を二見双葉から引き剥がす? 引き剥がしたあとはどうするの? 新しい世界から抜けだすにしたって、お兄さんがこんなんじゃそれも無理に等しい。
ううん、無理だなんて言わないで。無理じゃない、やるんだよ。私がしっかりしなきゃ駄目。私がお兄さんに指示を出さないと。
「お、お兄さん! 二見さんをつれて、元の世界に戻りましょう! 早く!」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ええ……きみはこのあと二人がどうなるか気にならないの?」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「気になりません! それよりも今すぐに戻りましょう! お兄さんにしか、戻る術は分からないんですよ!」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「はあ。分かったよ、じゃあその子の腕掴んどいてね」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
両耳を塞いだまま壊れたカセットテープみたいにいつまでも叫び続ける彼女の腕を掴むと、私はギュッと瞼を閉じた。
目を開けた瞬間、静寂が訪れる。
さっきまであんなに鳴り響いていた異音も彼女の悲鳴も全て、綺麗さっぱり聞こえなくなっていた。
「……はっ、ふ、二見さん!」
ぽかんと口を開けている場合じゃないと、私はすぐさま彼女に駆け寄っていく。
彼女は抜け殻のように部屋の片隅にぽつんと座り込んでいて、私の声に反応はない。
「二見さん、二見さん! 聞こえますか、二見さん!」
懸命に肩を揺すっても無反応。無礼を承知で頬をビンタするも無反応。まさか私が二見双葉に会わせた所為で、魂が抜けてしまったんじゃないかとさえ思っていると、突然彼女の瞳がギョロリと動く。
「ひいっ」
これでもかという程間抜けな声を出してしまい、彼女の肩に触れていた手を思わず離してしまう。その僅かな隙に勢いよく立ち上がった彼女は、何も言わずに部屋から飛びだしてしまった。
「ふ、二見さん、待って!」
これは流石に放っておけないと思い、お兄さんそっちのけで彼女を追いかけていくと、階段をどんどん上るので必死になって追いかけるうちに、階段ってこんなに長かったっけなどと思うようになっていた。
おかしい。こんなに長い階段なんてなかったはず。
あの白いアパートは三階建てくらいじゃなかったっけ。それなのに螺旋階段みたくグルグルと、永遠に続いているなんておかしいよ。
心臓がバクバクしてる。これ以上走ったら倒れちゃうかも。だからって、今の状態の彼女を放っておけないよ。こんな高い場所まできてどうしようっていうの?
やっと屋上に辿り着いたようで、私は酷く咳き込んだ。なんだか目眩もするし、気を抜けば倒れてしまいそうだ。
「ふ、二見……はあ、はあ、はあ、さん……っ、はあ、はあ、はあ」
最後の力を振り絞り目を開ける。視界は既にぼやけていて、少し先に彼女の姿があるように見えていた。
私は一歩ずつ着実に前へと足を進めると、彼女の元へ歩み寄る。
「ふ、二見……はあ、はあ、はあ、さん……っ、はあ、はあ、はあ」
あと一歩、もう一歩。手を伸ばせば届く距離。
「ま、って……はあ、はあ、さあ、二見、さ……」
彼女の服に触れた、その瞬間。
確かにそこにいたはずの彼女の姿が、目の前から忽然と消えた。
◇
「ふ……二見、さん? え……あれ……ど、何処に消えちゃったの、二見さん……」
まさか下に落ちてたりしないよねえ?
私はひんやりとしたコンクリートに手を付き、恐る恐る屋上から下を覗き込んでみた。
外が真っ暗な所為で、下の様子がよく見えない。こんな高い場所から落ちれば一溜りもないだろう。落ちてないといいんだけど。
それよりも急激な疲労感で暫く動けそうになかった私は、ただぼんやりと遠くの景色を眺めていた。
どうしよう、自分で確認するのが怖い。
もしも彼女が下で倒れてたら。もしも彼女のありとあらゆる関節があらぬ方向へと曲がっていたら。そんなもしもばかりを考えてしまう。
例えば此処からワープして、無事に家まで帰れているならそれでいいの。明日学校で会った時に、今日のことを全て忘れているならそれでもいい。
それか此処での出来事が全部嘘で、私が見たのは全部白昼夢。
そっちの方がどれだけ良かったか。だけど現実は違うんだ。
「あー……分かってると思うけど、一応報告ね。きみがつれてきた子、上から落ちてきたよ」
背後から、知りたくなかった現実が押し寄せてくる。地面一面真っ赤な血の海だったとか、手足が逆方向を向いてたとか、そんなホラーじみたことを言われたような気がした。気がしただけで、本当のところは分からない。分かりたくもない。
私はただ、彼女に前を向いてほしかっただけなのに。
なんて善意の押し付け。彼女はとっくに前を向いていたかもしれないのに、私が勝手に彼女は不幸のどん底に立たされているんだと決め付けた。彼女の方から二見双葉に会いたいと願ったわけでもないのに、私が勝手に彼女を新しい世界へと連れてきた。私が彼女を殺した。私が、彼女を殺したんだ。
私の隣にはお兄さんがいて、彼女だけがいなかった。
飛ばされる場所はランダムなんだとしても、初めてきた人だけが違う場所に飛ばされてしまうのはこちらとしても困ってしまう。
なんとしてでも彼女を見つけださないと。
私は辺りを見回した。
「ありゃ。あの子いないねえ」
「の、のんびりしてる場合じゃないですよっ、早く二見さんを見つけなきゃ!」
前衛を私、後衛をお兄さんとしてグングン先に進んでいく。きゅいんきゅいんと鳴る音はまだ聞こえていて、なんならどんどんと大きくなる一方だ。
「あ、あの……こ、この音、なんですか?」
「うん?」
「こ、このっきゅいんきゅいんって」
「ああ……きみは気にしなくていいよ」
「き、気にしなくていいって……」
そんなふうに言われたら余計に気になってしまうのに。なんだか私だけ蚊帳の外みたいで傷付くな。
ううん、この程度で傷付いてる場合じゃないよ。こんな廃れた場所に一人ぼっちでいる彼女の方が不安に決まってる。早く、早く見つけてあげないと。
「あ、いた」
「え?」
目の前には異音と共に歌って踊るアイドルの二見双葉と、それを見つめる彼女の姿があった。
「ふっ二見さん!」
異音は此処から聞こえてたんだ。だけどどうしてこんな音がするんだろう。前は普通の曲だったのに。
「ふ、二見さん、良かった合流できて……あっ、この方が、アイドルの二見双葉さんです! ちょっと今日は音楽の調子が悪いみたいで……だ、だけどほらっとても綺麗に輝いています!」
彼女は顰め面するわけでもなく、ただひたすらに無の表情で二見双葉を見つめていた。
「あー……ねえきみ、今日はちょっと帰った方がいいかもしれないよ?」
「え? どうしてですか?」
「二見双葉から変な音がするでしょう。他の子なら放っておいたけど、あんまり近付かない方が」
「ど、どう……してですか?」
てっきり音楽がおかしいんだと思ってた私は、お兄さんがいったい何を言ってるのか皆目見当が付かなかった。
おかしいのは音楽じゃない。おかしいのは二見双葉の方。
なら、近付いてはいけない理由って何? 近付いたらどうなるの? この異音はどういう時に鳴るものなの?
なんだか嫌な予感がした。第六感なんて信じちゃいないけど、何か予期せぬことが起こるんじゃないかって、直感的に思ってしまう。
そしてその予感は的中する。彼女の方に振り返った時にはもう、彼女が彼女ではなくなっていた。
「ひゃあああーーーーーーッ」
「えっ、ふ、二見、さ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「二見……さん?」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
彼女は突如、発狂した。私の声など届いてないのだろう。何度も何度も何度も何度も。
「おわすっげ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「お、おにいさ……っ、ふ、二見さんがっ二見さん、どうしたの?」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「うーん面白い。似て非なるものが接触すると、こういった化学反応が垣間見れるのか」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「お、おにいぃさん! 一人で納得してないで、助けてくださいお兄さんっ!」
必死になってお兄さんの腕を掴んで揺すっても、お兄さんはちっとも助けてはくれなくて。どうしたらいいのか分からなくて半ばパニック状態の私は、お兄さんしか頼れる人がいないというのにどうすればいいというの。
彼女を二見双葉から引き剥がす? 引き剥がしたあとはどうするの? 新しい世界から抜けだすにしたって、お兄さんがこんなんじゃそれも無理に等しい。
ううん、無理だなんて言わないで。無理じゃない、やるんだよ。私がしっかりしなきゃ駄目。私がお兄さんに指示を出さないと。
「お、お兄さん! 二見さんをつれて、元の世界に戻りましょう! 早く!」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ええ……きみはこのあと二人がどうなるか気にならないの?」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「気になりません! それよりも今すぐに戻りましょう! お兄さんにしか、戻る術は分からないんですよ!」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「はあ。分かったよ、じゃあその子の腕掴んどいてね」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
「ひゃあああーーーーーーッ」
両耳を塞いだまま壊れたカセットテープみたいにいつまでも叫び続ける彼女の腕を掴むと、私はギュッと瞼を閉じた。
目を開けた瞬間、静寂が訪れる。
さっきまであんなに鳴り響いていた異音も彼女の悲鳴も全て、綺麗さっぱり聞こえなくなっていた。
「……はっ、ふ、二見さん!」
ぽかんと口を開けている場合じゃないと、私はすぐさま彼女に駆け寄っていく。
彼女は抜け殻のように部屋の片隅にぽつんと座り込んでいて、私の声に反応はない。
「二見さん、二見さん! 聞こえますか、二見さん!」
懸命に肩を揺すっても無反応。無礼を承知で頬をビンタするも無反応。まさか私が二見双葉に会わせた所為で、魂が抜けてしまったんじゃないかとさえ思っていると、突然彼女の瞳がギョロリと動く。
「ひいっ」
これでもかという程間抜けな声を出してしまい、彼女の肩に触れていた手を思わず離してしまう。その僅かな隙に勢いよく立ち上がった彼女は、何も言わずに部屋から飛びだしてしまった。
「ふ、二見さん、待って!」
これは流石に放っておけないと思い、お兄さんそっちのけで彼女を追いかけていくと、階段をどんどん上るので必死になって追いかけるうちに、階段ってこんなに長かったっけなどと思うようになっていた。
おかしい。こんなに長い階段なんてなかったはず。
あの白いアパートは三階建てくらいじゃなかったっけ。それなのに螺旋階段みたくグルグルと、永遠に続いているなんておかしいよ。
心臓がバクバクしてる。これ以上走ったら倒れちゃうかも。だからって、今の状態の彼女を放っておけないよ。こんな高い場所まできてどうしようっていうの?
やっと屋上に辿り着いたようで、私は酷く咳き込んだ。なんだか目眩もするし、気を抜けば倒れてしまいそうだ。
「ふ、二見……はあ、はあ、はあ、さん……っ、はあ、はあ、はあ」
最後の力を振り絞り目を開ける。視界は既にぼやけていて、少し先に彼女の姿があるように見えていた。
私は一歩ずつ着実に前へと足を進めると、彼女の元へ歩み寄る。
「ふ、二見……はあ、はあ、はあ、さん……っ、はあ、はあ、はあ」
あと一歩、もう一歩。手を伸ばせば届く距離。
「ま、って……はあ、はあ、さあ、二見、さ……」
彼女の服に触れた、その瞬間。
確かにそこにいたはずの彼女の姿が、目の前から忽然と消えた。
◇
「ふ……二見、さん? え……あれ……ど、何処に消えちゃったの、二見さん……」
まさか下に落ちてたりしないよねえ?
私はひんやりとしたコンクリートに手を付き、恐る恐る屋上から下を覗き込んでみた。
外が真っ暗な所為で、下の様子がよく見えない。こんな高い場所から落ちれば一溜りもないだろう。落ちてないといいんだけど。
それよりも急激な疲労感で暫く動けそうになかった私は、ただぼんやりと遠くの景色を眺めていた。
どうしよう、自分で確認するのが怖い。
もしも彼女が下で倒れてたら。もしも彼女のありとあらゆる関節があらぬ方向へと曲がっていたら。そんなもしもばかりを考えてしまう。
例えば此処からワープして、無事に家まで帰れているならそれでいいの。明日学校で会った時に、今日のことを全て忘れているならそれでもいい。
それか此処での出来事が全部嘘で、私が見たのは全部白昼夢。
そっちの方がどれだけ良かったか。だけど現実は違うんだ。
「あー……分かってると思うけど、一応報告ね。きみがつれてきた子、上から落ちてきたよ」
背後から、知りたくなかった現実が押し寄せてくる。地面一面真っ赤な血の海だったとか、手足が逆方向を向いてたとか、そんなホラーじみたことを言われたような気がした。気がしただけで、本当のところは分からない。分かりたくもない。
私はただ、彼女に前を向いてほしかっただけなのに。
なんて善意の押し付け。彼女はとっくに前を向いていたかもしれないのに、私が勝手に彼女は不幸のどん底に立たされているんだと決め付けた。彼女の方から二見双葉に会いたいと願ったわけでもないのに、私が勝手に彼女を新しい世界へと連れてきた。私が彼女を殺した。私が、彼女を殺したんだ。
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