恋して、愛して、変になる

まなづるるい

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第一章 綺麗なお姉さんと混浴でいちゃいちゃえっち

新しい出会い

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 幸か不幸か、朝になっても私のしたことはニュースにはならなかった。私の抑え切れない程のこの憤りはきっと、誰かの悪戯としてあっけなく片付けられたのだろう。

 以前、奏太くんについて調べる際に使った某えすえぬえすのアカウントでエゴサをしてみると、やっぱりあの看板の所為で奏太くんが話題になっているようだった。

 あーあ、こんなに騒がれて可哀想に。奏太くんは知ってるのかな。知らないんだったら教えてあげた方がいいのかも。

 そうだよ、私が教えてあげればいいんだ。奏太くんの看板が街の至るところにあってね、それを見た色んな人が、ネットで色んなこと言ってるよって。奏太くん本人から看板の撤去を申し出れば、きっと撤去してくれるはず。

 だって本人が嫌がってるんだよ?

 だったらすぐに撤去しなきゃ。

 今日は肩が見える黒のトップスに、白のロングワンピースにしよう。雰囲気変えるの、大事だよ。

 私は家を出て、電車に乗って、奏太くんの住む家へと向かった。いなかったら帰ってくるまで待てばいい。

 マンションの前に着くと、オートロックを開けてもらう為に外にあるインターフォンを押した。

 鳴り響くインターフォンの音。反応はなし。やっぱり留守だろうか。誰かが入ったら一緒に入るのも手だけど、それだと流石に怪しまれちゃうかな。

「あら、貴女」

 一人で悶々と考えていると、背後から声を掛けられて振り返る。

 そこにいたのは胸が大きくて綺麗な女の人だった。

「貴女、昨日の夜、駅前にいたでしょう」
「は?」
「やっぱりそうだ。中野奏太の看板にペンキを掛けた人!」

 訂正。なんだこのクソ失礼極まりないビッチは。見た目がいくら綺麗だからって、初対面の癖に人に指差してきてなんなの。本当に失礼すぎる。

 私は嫌悪感を剥きだしにしながら、最小限の文字数で相手に言葉をぶん投げた。

「……あんた誰?」
「うっわ、初対面なのにあんた呼ばわり! 礼儀がなってないなぁ、最近の子はぁ!」

 わざとらしく胸元押さえて「あいたたたっ」て、なんだそれ。自分の胸の大きさでもアピールしてんの?

 きっと顔が綺麗なのと胸の大きさだけが取り柄なんだろうね。見た感じババアっぽいし。

「ねえ、お友達出てこないなら私と遊ぼうよ」
「は? なんで私が知らない人と遊ぶんだよ」
「だって暇でしょ? 私も暇だし、いいじゃんちょっとくらい」
「いや、私はちっとも暇じゃないから」
「じゃ、行こっか!」

 こいつは私の話など最初から聞く気もないのだろう。許可なく私の腕に自分の腕を絡ませると、強引に歩きだす胸が大きくてちょっと人より顔が綺麗なだけのブス。

 いったい何処に行くのかと思えば、着いた先は映画館だった。

「……映画館?」
「そ! 私、見たかった映画があるんだよねぇ♡」

 私は別に見たくないんだけど。

 そんな私の言葉は、当たり前のように無視された。

「えーと、なにちゃん?」
「は?」
「名前」
「あんたが先に名乗れよ」
ひびきだよ。私の名前。きみは?」
「……愛子」
「愛子ちゃんかー。可愛い名前だね!」

 タッチパネルで映画のチケットを二枚買うと、列に並んで飲み物とポップコーンを買う響。ポップコーンの味は塩とキャラメルの二種類で、飲み物はコーラとメロンソーダ。どちらもお金は勿論、相手持ちだ。

「響は今年でいくつになったの」
「あのね愛子ちゃん、女の子には聞いちゃいけないことがみっつあってね。年齢と、体重と、恋人の有無は聞いちゃいけないの。分かる?」
「じゃあ聞くけど。年齢と、体重と、恋人の有無を教えて」

 完全に嫌味だった。あわよくば怒って帰ればいいと思った。

 それなのに響は怒るどころか、ニコニコと楽しそうに全ての質問に答えていく。

「二十八歳、林檎みっつ分、恋人はいませえん♡」

 二十八とかやっぱりババアだったじゃん。いくら見た目が良くたって頭がこれじゃ、誰にも相手にされないでしょうね。

 暫くして視界が真っ暗になり、映画本編が始まると、会場がしんと静まり返る。映画の内容は学園恋愛ものらしいけど、正直全然興味はない。

 これを見たらとっとと帰ろうと思っていると、急に太股を触れられた気がしてドキッとした。

 隣を見れば、響が自分の唇の前に人差し指を立てている。静かにしろと言われても、どうして私の太股に触れる必要があるのだろうか。

 ゆっくりとスカートを手繰り寄せられると、私の生足が露呈する。するとさっきとは違い、直接太股を撫でられた。

 突然のことに困惑していると、響の手が私のパンツの上へと辿り着く。下から上へ指の腹でなぞられた瞬間、私はようやく自分が痴漢されてるんだと気が付いた。

「ちょ、ちょっと」
「シーッ。映画に集中して」

 そんなの耳打ちされたって無理だ。まさか生きてるうちに、女に痴漢される日がくるなんて。

 指は何度もパンツの上を往復する。意識しないようにしたって無理だった。響の手を掴んで払おうにも、そんなに動けば第三者に怪しまれてしまうだろう。

 上映中はお静かに。

 どんなに私がこの人が痴漢するんです、と喚いたところで、相手は女性だ。きっと誰も信じない。

 キュッと唇を噛み締めながら大人しくしていると、パンツの隙間から響の指が入ってくる。指が割れ目を見つけると、抉じ開けるようにして何度も前後に往復しているうちに、くちゅくちゅと厭らしい音を立てて乾いた砂漠が潤っていく。

 私は快感から必死に逃れようと身を捩った。

 だけど、響はそれを許さない。

 さっきよりも深いところに指が入ると、膣内が濡れている所為でスムーズに指が動いてしまう。

 私は思わず口元を手で押さえた。こうでもしないと、声が漏れてしまいそうだったのだ。

 響の指で感じてるなんて思われたくないのに、同じペースでいつまでも指が往復するもんだから、どうしたって感度が上がってしまい、だんだんといきそうになってくる。

 というか、イッた。

 初対面の女性に映画館で指だけで。

 私はいつからこんなにちょろい女になったんだろう。

 身体が落ち着きを取り戻してからも、私が映画に集中することはなかった。




「映画、面白かったね!」
「いや……こっちはそれどころじゃなくて、ちっとも内容が入ってこなかったんだけど」
「やだ、愛子ちゃんてば淫乱。私の指の動きに夢中で映画見てなかったなんて言わせないんだからぁ」
「もう満足したでしょ。私、帰るから」
「えー。もう帰っちゃうのぉ? ね、連絡先交換しよ!」

 どうして私はあの時はっきり断らなかったんだろう。いきなりあんなことされたんだから、黙って帰れば良かったのに。

 新しく友達リストに増えた茶色い子犬のアイコンを見つめながら、私は一時間前の自分の行いを後悔していた。
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