恋して、愛して、変になる

まなづるるい

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第一章 綺麗なお姉さんと混浴でいちゃいちゃえっち

世間は狭いとはいうけれど

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 あれから数日後。私が真っ赤なペンキで染めた駅前の看板は、すっかり元通りに戻っていた。

 奏太くんの国宝級の顔が、こんな大画面で見れるのは私も嬉しい。だけど、勝手に私以外の女にも公開するのはやめてほしい。

 奏太くん、肌が綺麗。まじペロペロしてぇ。

 何処をとは言わないが、今すぐ触って気持ち良くなりたいのを我慢する。

 とりあえずこの看板を写真で撮ろう。こんなけしからんえっちな写真で何百、何千の女が抜くのかと思うと虫唾が走る。

 これをおかずにしていいのは私だけ。私が誰よりも奏太くんに近い存在なんだから。

 ああどうしよう、えっちしたくなってきた。奏太くんに会いたいな。奏太くんが射精するところが見たいよぉ。

 今から行ったら会えないかな。奏太くん、会いたいよ。

 結局、この前は響に捕まって奏太くんに会えなかったもん。奏太くんは私に会いたくない? 会いたいよね。

 もう駄目、限界。会えなくたっていいから早くこの身体を楽にしたい。

 足早で家に帰ると、ふかふかのベットにお尻からダイブする。そして仰向けになり股を広げ、下着越しに気持ち良いところをじっくりと時間を掛けて撫で回した。

「奏太くん……」

 こういう時、誰かに舐めてもらいたいと思う。

 だけど、奏太くんがいるのに会えないからってそういうお店に行くのは気が引けるし、どうやって自分を慰めようか。

 撮りたてホヤホヤの奏太くんを見ながら悶々と考えていると、絶好のタイミングでスマホの通知音が鳴った。

『暇ならまた会おうよ♡』

 響だった。

 はっきり言って、暇じゃない。暇じゃないけど、響ならもしかしたら私が頼めばなんだってしてくれそうじゃない?

 だってあいつ、レズっぽいし。あんなの、女を性的に見てなきゃやらないでしょう。どうせ会ったって適当なところに連れ回されて、結局やるに決まってる。だったら私もそういう対象として響と接すればいいんじゃない?

 女相手なら風俗に行くよりずっと健全。奏太くんもきっと許してくれる。そんな気がする。

『いいよ。ムラムラしてるから抜いて』

 響に返信すると、すぐに既読が付いた。

 今からでも送る相手間違えた、とか言って、誤魔化せないだろうか。

 てっきり即レスがくるものだとばかり思ってたから、この時間が異様に長く感じてしまう。

 まさか既読スルー?

 それとも敢えて時間をおいて、私を泳がせてるとか。訂正するなら今のうちだよ、みたいな。

 ま、響はそんな策略を立てるような女ではないか。悪知恵が働きそうではあるけど、頭が良さそうには見えないし。

 ところが、一晩経っても響からの返信はこなかった。本当に既読スルーされたのだ。

 響の癖に既読スルーなんてするんじゃないわよ。

 文句のひとつでも言いたくなるけど、此処でこちらからまた連絡をすれば、なんだか負けた気がして嫌だった。

 まさかこのまま連絡がこなくなるなんてことはないでしょう?

 だって、連絡しないならどうして交換なんてしたの?

 もしかして、私、こんなに沢山の女と連絡先交換したのって、マウントでもとりたいの?

『いいよ、えっちしよ♡』

 こんな女、とっととブロックしようと思ってたのに、タイミングが良すぎでしょう。

 私は深い溜息をついた。

 たった一度会っただけなのに、どうしてこんなに心が揺さぶられてしまうのだろう。此処で私が会おうとすれば、深い沼に足を踏み入れてしまうような気がしてならないのに。

『じゃあ、いつ会う?』




 ガタンゴトンと電車が揺れる。私は今、奏太くんの家に向かってる。

 だけど今日は奏太くんに会う為じゃなくて、響に会う為に向かってる。

 確かに響との出会いは奏太くんの家の前だけど、どうして奏太くんの家に行くのに奏太くんには会わないで、響と会わなきゃいけないんだろう。しかも、自分の性欲を満たす為に。

 奏太くんの家の前に着くと、響が手を振ってくる。

「おはよう、愛子ちゃん」
「……どうも」
「じゃ、行こっか♡」

 着いた先はラブホテルだった。最近では女子会としても使われてるとは聞いてたけど、実際にきてみるとどうしても足を踏み入れることに躊躇してしまう。

 こんな時間に女の人とこんな場所にくるなんて。しかも、相手はまだ一度しか会ったことのない大人の人だ。躊躇しない方がおかしいだろう。

 正直逃げたい。

 だが、さっきから響が腕を絡ませてくるので逃げるに逃げられなくなっている。

 響は迷いのない足取りで入口へと向かっていた。

「どの部屋にする?」
「な、なんでもいい」

 見ただけでは部屋の違いが分からない私は、全て響に任せることにした。

「お風呂が一番大きい部屋にしてください」

 お風呂が一番大きい部屋……成程、そういう部屋もあるのか。

 響は受付の人から部屋番号が記載されたルームキーを受け取ると、受付の隣にあるエレベーターへと直行した。

 鍵を開けてドアを開けて、ドアを閉めて鍵を閉める。

 一連の動作をしたのは響だ。
 
「え」

 どうして鍵を閉めるんだろう。

 焦った私が振り返ろうとした瞬間、響に背中を軽く押された。

 玄関の段差に躓いた私は、恥ずかしいくらいあっけなく前方へと倒れ込む。お陰で今ので膝を打った。

「なにすんだよ」
「早く足を開きなよ」
「へ」
「時間ないんだから早くして」

 確かにしてほしいと言ったのは私だ。だけど、ついさっきまで甘々な態度だった癖に、急に態度が変わるとかなんなの。

 奏太くんなら絶対にそんなふうに言わないのに。奏太くんなら私の分の靴まで揃えて置いてくれて、何も言わずにお風呂を沸かしてくれて、隅々まで身体を洗ってくれてそれから。

 甘ったるい妄想に耽っていると、いつの間にか響が汚物にでも触れるかのように、私のスカートをぴらっと捲っていた。

 空いた片方の手には、いつの間にかしっかりとスマホが握られている。

「白か。いいね、清純そうで」
「ちょ、ちょっと! なに勝手に撮ってんだよ!」

 響は私に馬乗りになると、両足で私の足を固定しながら、片手で器用に下着を左方向へとスライドさせた。

 続いてスマホを恥部へと近付かせ、慣れた手付きで割れ目をぱっくりと開いていく。

「愛子ちゃんのからっからに乾いたまんこ。これが私の舌でどんどん潤っていくんだと思うと興奮するね」
「や、やだ……っ、見ないでぇ」
「あれ、ちょっと濡れてきたんじゃない? ふうん、見られてるだけで濡れちゃうえっちなまんこなんだー」

 響の舌が容赦なく突起に触れる。それだけで、身体がビリビリと痺れてしまう。

「あっ」
「んふ、えっちな声、可愛い」

 違う、こんなふうに感じるのは溜まってたから。間違っても響が上手だとか、撮られて興奮するとか、そんなんじゃないから絶対に。

 ああ駄目、そんなに同じところばかり舐めないで。指でされるよりもクリを舐められる方が感じちゃうんだから。

 突起をペロペロと舐めながら、指で濡れ具合を確認される。その律動は徐々にスピードを増していき、快感を逃してはくれなかった。

 駄目、駄目、指も一緒に動かしていいなんて言ってない。

 このままじゃ……イク。

「ああんっ」

 気持ちが良いと脈打つ身体。私を見下ろす響の瞳の冷たさにゾクッとする。

 どうしてそんな瞳で見るの。私がこんなふうになったのは、貴女の所為なのに。

「愛子ちゃん、早あい。そんなに気持ち良かったのぉ?」
「はあっ、はあっ、……っ、と」
「んん、なあに。聞こえない」
「もっと……して……っ」
「えー……私のことも気持ち良くしてくんなきゃやあだぁ♡」

 そんなことを言われたって、女性の性器なんて舐めたことないのに、どうやって奉仕すれば。

「もう、そんなに見てないで、実践あるのみだよ。ほら、此処がクリトリス。此処を犬みたいにぺろぺろぺろーって舐めてたらすぐにイクからさ」

 パンツを片足だけ脱いでみせると、恥ずかしげもなくぱっくりと性器を開いて指導する響。それでもなかなかしようとしない私の頭を、強引にそこに引き寄せる。

 目の前には響の性器。これではもう逃げられない。やるしかない。

「もっとぺろぺろぺろーってしなよ。舌の動き止めんな。私がしたようにしろ」

 何度も舐めているうちに、さっきイッたばかりのあそこが疼いてくる。

 なんだろう、この感覚。もっと、もっと舐めたい。

「あ……♡ それきもちい……♡」

 私はいつの間にか夢中になって響の性器を舐めていた。クリトリスだけではなく、割れ目を開いて膣内にまで舌を捩じ込んで。

 絶対に響をいかせてやる。

 その一心で、舌を動かし続けていた。

「あ、ああーーーっ♡ いい♡ それイクッ♡ イクーーーッ♡」




 いったいどのくらい時間が経過したのだろうか。最初に音を上げたのは私の方だった。

「ね、そろそろ休憩しない? 私、喉渇いちゃった」
「そうだねぇ」

 ヘトヘトの身体を引き摺りながら、備え付けの冷蔵庫へと手を伸ばす。中には無料で飲める水が数本、入ってた。

 一口、また一口。飲めば飲む程失われていた水分が戻ってくる。

 響にも水の入ったペットボトルを渡すと、自分のぐっちょりと濡れた部分をティッシュで丁寧に拭いていく。

「なんか、後処理してる姿ってウケるよねぇ。舞台の裏側って感じ」
「はあ」
「暇だしえーぶいでも見る?」
「いや、いい」
「なあんだ。愛子ちゃんもしかして賢者タイム? 反応めっちゃつまんなーい」

 つまんないとか言われてもこれが通常モードだし。

「あの、さ。さっきの動画、消してくれる?」
「どうして? あ、一緒に見る?」
「見ない」
「なあんだつまんないの。じゃ、私先にシャワー浴びてくるから、えーぶいでも見て待ってて♡」

 私は「動画を消して」って言ったんだけど。なんで消さないでシャワー浴びるかな。

 しょうがない、自分で消そう。

 私はベットの上にある響のスマホを手に取ると、スマホの右側についているボタンを一度押した。もしパスワードを入力しないといけなかったり指紋認証だったりしたらどうしようもないが、幸いスマホにロックは掛かっていなかった。

 なんて不用心なんだろう。しかも最初に出てきた画面は、さっき撮られた私の動画だ。これを削除してしまえばミッションコンプリート。私は即座に削除した。

 すると、また何か動画が出てきたので、気になってしまい再生する。

 最初はただのえーぶいかと思ったけど、響の声が入ってたので、他の子にも同じことをしてるんだと思った。

 十秒に一度くらいのペースで画面をスワイプしていると、ある動画でふと指が止まる。

『あっ、あっ、左ばっかり、やだぁ』
『右のおっぱいも舐めてほしいの?』
『んっ、右も、ペロペロしてぇ……っ』

 頭の中が一瞬で真っ白になった。世間は狭いとは言うけれど、流石にこれは狭すぎる。

「あー、いけないんだぁ。私のスマホ、勝手に見てるぅ」
「きゃっ」

 動画に夢中で背後に響がいることに気が付かなかった私は、驚きすぎて一瞬、スマホを落としそうになった。

「あ、この子。愛子ちゃんも気になった? 可愛いよねぇ、自分からお強請りしちゃってさぁ」
「あ、あの……この子とは、いつしたの?」
「んー。最近だよ? キスしただけで乳首立っちゃって、いっぱい潮吹いてたなぁ」

 武勇伝のように語るその表情はとても恍惚としていて、響のお気に入りのように感じた。

「キス……したの……」
「うん。もしかして愛子ちゃんもしたかった? 嫉妬とか、可愛い♡」

 うんともすんとも答えない私を余所に、勝手に盛り上がって頬を染める響。

 私のこの気持ちは嫉妬なんかじゃない。嫌悪だ。

「最低……ですね」

 由乃にまで手を出しやがって。

 私のふつふつと滾る怒りとは対照的に、楽しそうに動画を見つめる響。そして、動画の中でイク由乃の姿がそこにあった。

『い、イクッ♡ イクイクイクイクッ♡ ああぁだめぇぇぇぇ♡』
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