恋して、愛して、変になる

まなづるるい

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第二章 千変万化

青姦だ、青姦だ、青姦だー

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「最低……ですね」
「最低? なにが?」

 快楽の波に流された私も私だけど、私の友達に……由乃にまで手を出してたなんて信じられない。

「この子、私の友達なんですけど」
「あ、そうなんだ。どうりで可愛いと思ったよぉ」

 私の友達と聞いて、どうしてまだ平然としていられるの?

 私は響の神経を疑った。

「やっぱり可愛い子のお友達は可愛いんだねぇ。ね、もっとお友達紹介してよ。いっぱい撮って私のコレクションにするからさ」

 コレクションって何。そんな言い方されて分かったじゃあ紹介するね、なんて言うとでも思った?

 言うわけないだろ。女はお前の性欲を満たす道具じゃねえんだよ。

 むかついた。本当にむかついた。由乃にだって言ってやる。こいつは由乃だけに甘い言葉を吐くわけじゃない、女を自分の玩具としか見てない痴女だって。

「帰る」
「えー、もう帰っちゃうのぉ? 折角なら大画面で由乃ちゃん鑑賞しようよぉ」
「お前が由乃の名前を呼ぶな!」

 そのまま響をおいてラブホテルから出ると、全速力で駅を目指した。兎に角今は一分でも一秒でも早く家に帰って、響に穢された全身を隈なく洗い流したかったのだ。

 道中、走りながら由乃に電話を掛けたけど、由乃は電話に出なかった。

 突き当たりを右に曲がると、誰かにぶつかったようで身体に衝撃が走る。

 そしてそのまま相手を押し倒す形で前方へと倒れ込み、ようやく私は前を見ることができた。

「いった」
「ご、ごめんなさい!」

 ぶつかったのは、私のよく知ってる男性だった。

「……そ、奏太くん?」
「あ」

 どうしてこんなところに奏太くんが。

 訂正。兎に角今は一分でも一秒でも長く、この空間に留まっていたい。

「そ、奏太くん♡」
「いいから早く退いてくれませんか。重いです」
「え、ええ、今ぁ何文字喋ったのん♡」

 ああ大変。この体勢、入ってるように見えるかも。

 そんな、お外でだなんて破廉恥すぎる。

 私は嬉しさのあまり、奏太くんの股間の上でぴょんぴょんと弾んでみせた。

「うっ、ちょ、なんで飛ぶんですかっ、重っ、退いて、邪魔」
「ごめえん、会えたのが嬉しくて……つい♡」

 ようやく奏太くんの上から立ち退くと、周りに人がいないのをいいことに、はらりとスカートを捲ってあげた。

 奏太くんはむっつりさんだから、私から見せてあげないとね。

 サービスサービス♡

「……なにしてるんですか」
「見たいかなって♡」
「じゃあもう見たんで隠してください」
「もっと見てもいいんだよ。触ったり舐めたりしても、いいんだよ♡」
「いや……あの、ほんとになにしてるんですか」
「パンツの上から触らせてあげてゅのん♡」

 そうだ、このまま奏太くんにお掃除してもらうのはどうだろう。穢れきった身体のありとあらゆる箇所を奏太くんに慰めてもらえば、私の情緒も落ち着いて、奏太くんの情緒も落ち着くってね。まさに一石二鳥じゃん、天才かよ。

「……此処、外ですよ」
「青姦だと思えばいいよ♡」
「警察に通報されちゃうかも」
「私と奏太くんは今日、此処で偶然会ったからえっちするだけだよ♡」

 ようやく諦めてくれたのか、奏太くんが私の手を引っ張り、細い路地裏へと連れていく。

 やっぱりお外でやるんだ。

 私はニコニコしながら、奏太くんにお尻を差しだした。

 奏太くんは黙ったまま、私のパンツをずり下ろす。

「……もしかして誰かとえっちしました?」
「え、どうして?」
「なんか、濡れてる」

 それはさっきまで散々、響とやってたからなんだけど。

「もしそうだって言ったら、嫉妬してくれるの?」

 わざとだった。完全に匂わせ。これで嫉妬でもしてくれれば私は嬉しいし、怒って滅茶苦茶に腰を振ってくれたっていい。

「……へえ」
「奏太、くん?」

 奏太くんはその場に両膝を付けてしゃがみ込むと、私の濡れた部分に舌全体を這わせた。

 瞬間、ぞくりとして声が出てしまう。

 いったいどうしてこんな奇行に出るんだろう。もしかして本当に嫉妬してるとか。やん、奏太くんのえっち♡

「あっ♡」
「気持ち良かったですか? こんなに濡らして。俺のことが好きだと言いながら、他の人のまで咥え込んで射精させたんですね」
「あああっ♡」
「何十回、何百回、なかで往復しましたか? 大きさは? 何処に出したんですか? まさかなかに出したんですか?」

 言葉攻めだけでこんなにも気持ち良くなるなんて。奏太くんてばテクニシャン。

「あっ、イクッ♡ あ、あーーーッ♡」
「ちょっと舐めただけでイクなんて淫乱ですね」
「そ、れは……奏太くんが、舐めるから」
「俺の所為にするんですか?」
「あっ、あああっ、んぅぅーーーッ♡」

 奏太くん、奏太くんが、私の突起ばかり舌で撫で回すから、イッたばかりなのにまた、またぁ。

 なんだか今日の奏太くんはいつもより意地悪な気がする。もしかしたら私が知らないだけで、本当は意地悪な人なのかもしれない。

 それでもいい。全然いい。むしろいい。興奮する。

「ん、イクッ、イッちゃ、ぅ」
「またイッたんですか? ねえ、まだ答え聞いてないんですけど。何十回、何百回、なかで往復しましたか? 大きさは? 何処に出したんですか? まさかなかに出したんですか?」

 可愛い、可愛い、奏太くん。そのまま嫉妬に狂って私という人間に溺れてしまえばいいよ。そしたら助けてあげるからね、私が。

「あっ……いっぱい、いっぱい気持ち良いことした。でもね、男の人じゃないよ、女の人。この間知り合ったばかりの人でね。あ、奏太くんの家の前で声を掛けられたの。いきなり映画館に連れていかれて、二十八歳で、体重が林檎みっつ分で、恋人はいないんだって」

 急に奏太くんが大人しくなってしまったので、相手が女の人だってところに引っ掛かってるんだと思った。

 そうだよね。普通は相手が異性だと思うよね。私だって最初は困惑したもん。

 だけど奏太くんに隠し事はしたくないからちゃんと言うよ。

「私も女の人とはしたことないんだけど、向こうから触ってきてね」
「出会ったばかりの人に犯されて、こんなにびしょびしょになるまでやったんですか?」
「へ」

 奏太くんの顔を見ると、まるで本当に嫉妬しているみたいに見えて仕方がなかった。

 だって、そんな表情見たことないよ。

 私はそれがどうしようもない程に嬉しくてしょうがなかった。

「え、えへ」

 嬉しくて誤魔化した。時にはこういったスパイスも、恋人関係を続けていく上では必要なことなのだ。

 奏太くんは唇をキュッと噛み締めると、カチャカチャとジーンズのベルトを外し、そそり勃つ立派な奏太くんの奏太くんを背後から私のなかへとぶち込んだ。

 あまりにも急な御褒美に、思わず大きな声が出てしまう。

 だってこれ、付けてないよ。何も付けずに奏太くんの奏太くんが私のなかに入っちゃった。

 奏太くん、どうして触ってもないのに勃ってるの?

 もしかしてこういうシチュエーションが好きなのかな。こういう、寝取られ……ううん、相手が女の人だから?

 何が奏太くんをその気にさせたのかは分からないけど、こんなラッキーなことがあっていいのだろうか。もう明日地球が滅亡したっていいわ。我が生涯に一片の悔いなし。

「ああん、奏太くん! 奏太くうん!」

 青姦だ、青姦だー。中野奏太が、青姦してるぞー。

 私の腰を掴んで何十回と揺らす奏太くん。これ、私の彼氏です。これ、私の彼氏です。

 道行く皆に見てほしい。やっぱり駄目、見ないで。私の奏太くんなの、見ないで。

 壁に手を付きながらあんあんと喘ぐ私。

 でも、これって何処に出すんだろう。もしかしてなかに出すのかな。

 え、そんな、どうしよう。子供の名前、考えなきゃ。

 男の子かな、女の子かな。どっちでもいいな。奏太くんの子なら絶対イケメン、絶対美少女になるよ。絶対そう。私が保証する。

 折角そこまで考えてたのに、私のお尻が熱くなる。

 なかに出してくれればきっと妊娠できたのに。

 でもいいの。今日は奏太くんからえっちしてくれた記念日。しかもお外で。しかも立ちバック。

 それに例えなかに出さなくても、避妊具なしで挿入したんだから、ちょっとは妊娠する可能性あるよね。

 奏太くん、もし私が妊娠したらどうするつもり?

 責任取って、私と結婚してくれる?

「奏太くん、お外なのにやっちゃったね♡」
「はあ」

 これが賢者タイムというものだろうか。奏太くんの返事が、いつにも増してそっけなくなっている。

 だけど私は許すよ。だって今日は、奏太くんからえっちしてくれた記念日だから。

「あ、そうだ。あの、あんまり知らない人とそういうの、しない方がいいと思います」
「え」
「じゃ、俺帰るんで」

 私の返事も聞かずに踵を返して行ってしまう奏太くん。賢者タイムの時に告げる言葉こそが本音だとすれば、奏太くんは本当に私のことが好きなのかもしれない。

 ううん、好きだ。間違いなく奏太くんは私のことが好き。だからあんなふうに忠告してくれたんだ。優しいな、奏太くん。嫉妬だけでなく私の心配までしてくれるなんて。

 ああ、早く由乃に会いたいな。由乃に沢山話したいことがあるの。

 私はにやけた顔を誤魔化すことなく、右足を一歩前へと踏みだした。
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