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3.あの日をもう一度
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あれから三日が経過し・・・例の男との約束の日を迎える。
三日かけて家中をありとあらゆる場所を探して成功の可能性を少しでも高める努力をした。
そもそも本当に過去になど戻れるのか?奴に騙されていないか?
途中途中で何度もそんな考えに囚われ探す手を止めたがもうやると決めた以上進むしかない。
この悲劇を変える可能性が1%でもあるならそれに賭けるしかない、そう思った。
そして13時14分、真島隼人は写真を手にしっかりと持ちあの教会へともう一度足を踏み入れる・・・。
ガチャリ、と静かに隼人が扉を開くと教会内、祭壇に一人の男性と思わしき人物が背を向け立っていた。
“あの男”とは明らかに違う風貌をしているのが隼人にはすぐに見て取れた。
「あ、あの・・・!」
声を掛けようとした瞬間、その男は不意にこちらを向く。
「おや・・・こんな時間に・・・どちら様でしょう・・・?」
優しい笑顔で問いかけられる。
「あ、いや今日この時間にこの場所に来るようにと指示を受けまして・・・!」
よくよく考えれば何の説明にもなっていないがあの男の名が分からない以上説明のしようがない
「来るように指示を・・・ですか・・・それは一体誰に・・・!」
神父と思わしき男性は隼人の手に写真が握られていることにすぐに気づく。
「あぁ、なるほど・・・あなたは改変者なんですね・・・となるとあのお方のお客様ですね、どうぞこちらへ。」
改変者?あのお方?気になることは山のようにあるがとりあえず言われるがまま隼人は付いて行くことに。
「ふふ、不安ですか?緊張が見て取れます・・・しかしあの方がまた人を過去にお連れするなんて随分懐かしいことです・・・。」
教会の中を歩きながら隼人に声を掛ける男性はどことなく嬉しそうに感じられる。
「待ってください、改変者とかあのお方って・・・どういうことなんですか?」
優しい人に見えたため勇気を振り絞り聞いてみることに。
「お会いしているんでしょう?私はもう随分とお姿は見ていませんが・・・この教会に存在する神に。」
胸の鼓動が早まるのを感じる。
「私が過去にお会いしたのは8年前に一度だけ・・・何とも不思議な方でした・・・ああ、そうです、説明が遅れましたね、改変者とはあなたのことですよ。歴史の改変者、場合によっては世界の歴史まで変えてしまうかも知れない恐ろしい力に導かれた今のあなたのような人を私はそう呼んでいます。」
教会の裏側と思わしき場所を歩き続け辿り着いた一つの部屋と思わしき場所の前で男性は足を止める。
「ここから先はあのお方がいつも“存在”しているお部屋です、私でも立ち入れません。さぁどうぞ改変者の方・・・お進みください。」
「あの・・・俺はたった一人の女の子の結婚式をこないだここで見届けました。それをこれから俺は、その幸せを潰そうとしています、それって許されることなんでしょうかね・・・今更ビビっちゃって・・・ハハ・・・。」
扉の前で後ろに立つ神父に不安を吐露する隼人、その手は小さく震えていた。
「あのお方が手を貸すと言って下さった以上、それは正しさ以外の何物でもないと考えますよ・・・あのお方は悪を見定める力を持っておいでです、ですからきっと大丈夫・・・胸を張って進みなさい。」
答えにはなっていないようにも感じられるが、隼人はだいぶ平静を取り戻すことが出来た。
「うし・・・行くか。」
扉を開くと、そこにはただの倉庫にしか見えない空間が広がっていた。
とりあえず中に入り扉を閉める。
長く手入れされていないのか、埃っぽいその部屋には様々な道具が散らばっていた。
「ここでどうしろ・・・ってんだ?」
キョロキョロと辺りを見渡すも誰もいる気配はない。
「来たか、よし本当に覚悟は決まったようだな?」
後ろから突如聞こえた声に心臓が張り裂けそうになる隼人。
「うおおおおおお!?」
「ああ、悪い悪い・・・そうか、身体をまだ作っていなかったな。」
目の前に小さな光がそこら一帯から集合し人の身体のようなものを作り始める。
そして出来上がったのは例の男の姿だった。
「いやぁ驚かせてすまない・・・少し準備不足だった、それで?写真は持ってきたのか?」
すぐに手に持っていた写真を手渡す。
「おいおい・・・10枚までって言ったの忘れたのか?たった2枚だぞ!」
「それしかなかったんだ・・・どんなに探しても、俺が写真に写るのが恥ずかしくて嫌いだったから・・・。」
そう、隼人は無類の写真嫌いだった、その為写真自体が少ない上に麻衣との写真など誰かが撮ってたまたま写ってしまった程度のものしかなかったのだ。
「しかもどっちも小学生ぐらいの写真・・・このたった2枚で運命を変えられると思ってるのか!?」
「ないんだから仕方ないだろう!?」
一瞬の沈黙の後、写真をまじまじと見つめた男が言う。
「はぁ・・・2枚なんて前例がないぞ、成功率は二割以下だと思うことだ・・・あと、恥ずかしがり屋だった自分を恨め・・・最終確認だ、やるんだな?」
「あぁ!もちろんだ!!」
その隼人の言葉を合図に男は突如手のひらから火を放射し写真に火をつける。
「お、おいおい写真が燃えて・・・!?」
じりじりと写真が焼かれていく・・・。
すると、突如写真の中央から小さな扉が出現する。
それは目の前で徐々に巨大化し、一瞬で人が一人通れるような扉が出来上がった。
「お前に与えられたチャンスは二回だ、これがそのうちの一回・・・さぁ行きなさい、この扉の先にお前の“過去”がある、自分の力で塗り替えて来い。」
明らかに怪しい雰囲気を漂わせる扉に目の前で気持ちが萎縮する隼人
「ふぅ・・・この先何が待ってるか分かんねえ・・・けど・・・麻衣を・・・いや麻衣と結婚するために俺は・・・!」
腹を決めて観音扉を両手で押し開く。
そこには中心に黒い渦のようなものが小さく見えるだけで他は完全なる闇が広がっていた。
「よし・・・行ってきます・・・!!」
「健闘を祈る、行ってこい!」
足を進めると隼人の身体は黒い渦に飲み込まれ、意識はそこで完全に途絶えた・・・。
三日かけて家中をありとあらゆる場所を探して成功の可能性を少しでも高める努力をした。
そもそも本当に過去になど戻れるのか?奴に騙されていないか?
途中途中で何度もそんな考えに囚われ探す手を止めたがもうやると決めた以上進むしかない。
この悲劇を変える可能性が1%でもあるならそれに賭けるしかない、そう思った。
そして13時14分、真島隼人は写真を手にしっかりと持ちあの教会へともう一度足を踏み入れる・・・。
ガチャリ、と静かに隼人が扉を開くと教会内、祭壇に一人の男性と思わしき人物が背を向け立っていた。
“あの男”とは明らかに違う風貌をしているのが隼人にはすぐに見て取れた。
「あ、あの・・・!」
声を掛けようとした瞬間、その男は不意にこちらを向く。
「おや・・・こんな時間に・・・どちら様でしょう・・・?」
優しい笑顔で問いかけられる。
「あ、いや今日この時間にこの場所に来るようにと指示を受けまして・・・!」
よくよく考えれば何の説明にもなっていないがあの男の名が分からない以上説明のしようがない
「来るように指示を・・・ですか・・・それは一体誰に・・・!」
神父と思わしき男性は隼人の手に写真が握られていることにすぐに気づく。
「あぁ、なるほど・・・あなたは改変者なんですね・・・となるとあのお方のお客様ですね、どうぞこちらへ。」
改変者?あのお方?気になることは山のようにあるがとりあえず言われるがまま隼人は付いて行くことに。
「ふふ、不安ですか?緊張が見て取れます・・・しかしあの方がまた人を過去にお連れするなんて随分懐かしいことです・・・。」
教会の中を歩きながら隼人に声を掛ける男性はどことなく嬉しそうに感じられる。
「待ってください、改変者とかあのお方って・・・どういうことなんですか?」
優しい人に見えたため勇気を振り絞り聞いてみることに。
「お会いしているんでしょう?私はもう随分とお姿は見ていませんが・・・この教会に存在する神に。」
胸の鼓動が早まるのを感じる。
「私が過去にお会いしたのは8年前に一度だけ・・・何とも不思議な方でした・・・ああ、そうです、説明が遅れましたね、改変者とはあなたのことですよ。歴史の改変者、場合によっては世界の歴史まで変えてしまうかも知れない恐ろしい力に導かれた今のあなたのような人を私はそう呼んでいます。」
教会の裏側と思わしき場所を歩き続け辿り着いた一つの部屋と思わしき場所の前で男性は足を止める。
「ここから先はあのお方がいつも“存在”しているお部屋です、私でも立ち入れません。さぁどうぞ改変者の方・・・お進みください。」
「あの・・・俺はたった一人の女の子の結婚式をこないだここで見届けました。それをこれから俺は、その幸せを潰そうとしています、それって許されることなんでしょうかね・・・今更ビビっちゃって・・・ハハ・・・。」
扉の前で後ろに立つ神父に不安を吐露する隼人、その手は小さく震えていた。
「あのお方が手を貸すと言って下さった以上、それは正しさ以外の何物でもないと考えますよ・・・あのお方は悪を見定める力を持っておいでです、ですからきっと大丈夫・・・胸を張って進みなさい。」
答えにはなっていないようにも感じられるが、隼人はだいぶ平静を取り戻すことが出来た。
「うし・・・行くか。」
扉を開くと、そこにはただの倉庫にしか見えない空間が広がっていた。
とりあえず中に入り扉を閉める。
長く手入れされていないのか、埃っぽいその部屋には様々な道具が散らばっていた。
「ここでどうしろ・・・ってんだ?」
キョロキョロと辺りを見渡すも誰もいる気配はない。
「来たか、よし本当に覚悟は決まったようだな?」
後ろから突如聞こえた声に心臓が張り裂けそうになる隼人。
「うおおおおおお!?」
「ああ、悪い悪い・・・そうか、身体をまだ作っていなかったな。」
目の前に小さな光がそこら一帯から集合し人の身体のようなものを作り始める。
そして出来上がったのは例の男の姿だった。
「いやぁ驚かせてすまない・・・少し準備不足だった、それで?写真は持ってきたのか?」
すぐに手に持っていた写真を手渡す。
「おいおい・・・10枚までって言ったの忘れたのか?たった2枚だぞ!」
「それしかなかったんだ・・・どんなに探しても、俺が写真に写るのが恥ずかしくて嫌いだったから・・・。」
そう、隼人は無類の写真嫌いだった、その為写真自体が少ない上に麻衣との写真など誰かが撮ってたまたま写ってしまった程度のものしかなかったのだ。
「しかもどっちも小学生ぐらいの写真・・・このたった2枚で運命を変えられると思ってるのか!?」
「ないんだから仕方ないだろう!?」
一瞬の沈黙の後、写真をまじまじと見つめた男が言う。
「はぁ・・・2枚なんて前例がないぞ、成功率は二割以下だと思うことだ・・・あと、恥ずかしがり屋だった自分を恨め・・・最終確認だ、やるんだな?」
「あぁ!もちろんだ!!」
その隼人の言葉を合図に男は突如手のひらから火を放射し写真に火をつける。
「お、おいおい写真が燃えて・・・!?」
じりじりと写真が焼かれていく・・・。
すると、突如写真の中央から小さな扉が出現する。
それは目の前で徐々に巨大化し、一瞬で人が一人通れるような扉が出来上がった。
「お前に与えられたチャンスは二回だ、これがそのうちの一回・・・さぁ行きなさい、この扉の先にお前の“過去”がある、自分の力で塗り替えて来い。」
明らかに怪しい雰囲気を漂わせる扉に目の前で気持ちが萎縮する隼人
「ふぅ・・・この先何が待ってるか分かんねえ・・・けど・・・麻衣を・・・いや麻衣と結婚するために俺は・・・!」
腹を決めて観音扉を両手で押し開く。
そこには中心に黒い渦のようなものが小さく見えるだけで他は完全なる闇が広がっていた。
「よし・・・行ってきます・・・!!」
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足を進めると隼人の身体は黒い渦に飲み込まれ、意識はそこで完全に途絶えた・・・。
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