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4.記憶
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「・・・・・・・ん?」
あれからどれ程の時間が経過したのだろう?
隼人が目を覚ますとそこは暗闇の空間であった。
下には柔らかい感触、布団・・・?
「全部夢だった・・・って・・・ことか?」
そりゃそうだ、当然か、過去に戻るなんてやっぱあり得ないよな・・・。
信じた自分が馬鹿だった、現実はそんな甘くない。
布団の中で自分を恥じこれからのことを考えているとおかしな違和感に気が付いた。
普段確実に枕元に置いている筈のスマホがないのだ。
「おっかしいな、置き忘れたかな・・・?ん?」
スマホを求め辺りをまさぐる自分の手がやけに小さく感じる。
気のせいか・・・?ガバッと起き上がり自分の両の手を合わせた。
「・・・・こんな小さかったっけ・・・?やけにつやつやしてるような・・・」
隼人が謎の違和感に困惑していると突如ドスドスドス!という音が下から上に移動する音が聞こえ始める。
「な、なんだ・・・?」
その音は次第に近づき・・・
ガラララという音と共に唐突に暗闇の中に光が差し込む。
「おにいちゃん、早く起きないと遅刻するよ!?お母さんもカンカンだよ!?」
見知った顔がそこにあった
「・・・お前・・・愛菜か!?」
「うん、まなだけど・・・寝ぼけてんの?とにかく早く起きなよあの怖い班長来ちゃうじゃん。まなも怒られるんだからね!」
そういうと現れた女の子は呆れたように去っていく。
「おいおい・・・あれは確かに愛菜だ・・・でも妹の愛菜は今年26になったハズ、あんな小学生みたいに幼い訳がない・・・!」
一体何がどうなっ・・・あれっ?そもそも俺って安アパートで独り暮らししてたよな・・・?
隼人は急いで立ち上がると部屋の全てのカーテンを開けた。
「ここ・・・実家じゃねーか・・・しかも・・・遠い昔の・・・!!」
窓の外には10年程前に閉店し解体された大型のお店の看板も見えた。
窓の反射し僅かに見えた自分の顔もまだ幼い。
「マジで・・・過去に戻ってきちまった・・・ってのか・・・?」
《隼人早く起きなさい!!!》
下階から母親と思わしき人物からの怒鳴り声が響く。
「と、とにかく早く起きねーとヤバそうだな・・・!」
遠い記憶を遡り洋服箪笥からテキトーな服を取り急いで着替え一階に降りる。
「はは・・・しかしだっせー服装・・・なんだこれ・・・」
そんなことを呟いていると母親が目の前に現れる。
「あんたねえ毎日毎日!ずっと愛菜は待ってんのよ!?」
「はは、ごめんごめん・・・」
現実よりずっと若い母が怒り顔ながらもそこにいた。
「お父さんはもうお仕事行っちゃっていないわ、早くご飯食べて学校行きなさい!」
「ほんとお兄ちゃんはダメだなあ・・・」
小さくため息を吐いてランドセルを背負い黄色い帽子をかぶって待つ妹。
隼人はご飯を掻き込みながら考える。
「(この黄色い帽子って確か1年生だけだよな・・・ってことは愛菜は1年、俺は3年生か・・・。そもそもあの写真ってなんで撮られたんだ?麻衣と俺が写ってるのが2枚しかなかったから持ってきたけど何で撮られたのかさっぱり背景が見えないんだよな・・・。)」
「あんた今日も帰ってきたらまた麻衣ちゃんと遊ぶんでしょう?本当に仲がいいわねあんた達。」
「(既に約束を取り付けてあるのか・・・なら都合がいいな・・・助かる。)」
隼人は一瞬で食べきり味噌汁を飲み干しごちそうさまの宣言をするとまるで狙っていたかのようなタイミングでピンポーンとインタフォンが鳴った。
「ほら、山本君よ、二人とも早く行きなさい。」
母親の掛け声で急いで家を出る愛菜と隼人。
「本当に毎朝手がかかる・・・たまには集合場所に遅刻しないで来てみろ真島兄妹。」
そこに居たのは恐ろしい顔で睨む登校班の班長、山本慎太郎であった。
「ご、ごめんなさい・・・」
自分の小さい体では絶対に勝てないとそう思わせるような体格のいい6年生だ。
「いっつもおにいちゃんがおねぼうさんだからだもんねー!」
余計な告げ口をしてくれるなと・・・隼人は愛菜を睨む。
その後約1時間をかけ学校へと登校した隼人は自分の教室に入る。
「おいおい懐かしいな・・・かー!顔ぶれももう疎遠になっちまた奴ばっかりだ!!」
28にもなれば未だ関係のある奴なんてほぼいない、幼い旧友との再会に感動しながら・・・迷った。
「お、おい俺の席どこだっけ?」
「はやとじゃん!おはよ、おまえのせきはあそこだぞ・・・ってせきがえしたのだいぶまえじゃん、じぶんのせきわすれたのか?」
「こいつあたまおかしくなったんじゃねー!?」
笑われながらも自分の席を発見した隼人は急いで席に着く。
懐かしい・・・あの頃に戻ったんだ・・・!
教室を見渡すたびに感動する。
「おはよ、はやちゃん!」
そんな中、横から誰かに急に声を掛けられる。
「お、おう・・・おはよ。」
そこにいたのは、幼き頃の後藤麻衣本人であった。
「お、お前隣の席・・・だったっけ・・・?」
「席がえでこうなったんじゃん?何?わたしじゃいやなの!?」
口を膨らませ明らかに不機嫌になる麻衣に焦る隼人。
「違う違う!ただの確認だよ!」
そういうと、麻衣は笑う。
「じょーだんだよ、ねぇはやちゃん!ほうかご、おぼえてるよね?」
「あぁもちろんだ、一緒に遊ぶんだよな!」
この瞬間、隼人は思い出す。何故、何のために自分が今ここにいるのかを・・・
目の前にいるこの子をただ好きだから、この子を落とすためだけにここにいると・・・。
だったら、俺はその為だったらどんなことでもしてや・・・
「場所は分かってるよね?」
・・・・・・ん?
「わたし、あそこで待ってるからね。」
まずい
「ちゃんと来てよね!学校終わったら早くだよ!?」
詰んだ
キーンコーンカーンコーン・・・
その瞬間、予鈴と共に先生が教室に入って来て授業が始まった。
どうやら算数らしい、そんなものはそうでもいい
「(いや場所なんて・・。知らねええええええええ!!)」
掛け算や割り算は出来ても麻衣に言われた場所の計算が出来ない
しかしここでミスれば麻衣の俺への評価が大幅に下がる!
さっそく隼人に大ピンチ発生!?
あれからどれ程の時間が経過したのだろう?
隼人が目を覚ますとそこは暗闇の空間であった。
下には柔らかい感触、布団・・・?
「全部夢だった・・・って・・・ことか?」
そりゃそうだ、当然か、過去に戻るなんてやっぱあり得ないよな・・・。
信じた自分が馬鹿だった、現実はそんな甘くない。
布団の中で自分を恥じこれからのことを考えているとおかしな違和感に気が付いた。
普段確実に枕元に置いている筈のスマホがないのだ。
「おっかしいな、置き忘れたかな・・・?ん?」
スマホを求め辺りをまさぐる自分の手がやけに小さく感じる。
気のせいか・・・?ガバッと起き上がり自分の両の手を合わせた。
「・・・・こんな小さかったっけ・・・?やけにつやつやしてるような・・・」
隼人が謎の違和感に困惑していると突如ドスドスドス!という音が下から上に移動する音が聞こえ始める。
「な、なんだ・・・?」
その音は次第に近づき・・・
ガラララという音と共に唐突に暗闇の中に光が差し込む。
「おにいちゃん、早く起きないと遅刻するよ!?お母さんもカンカンだよ!?」
見知った顔がそこにあった
「・・・お前・・・愛菜か!?」
「うん、まなだけど・・・寝ぼけてんの?とにかく早く起きなよあの怖い班長来ちゃうじゃん。まなも怒られるんだからね!」
そういうと現れた女の子は呆れたように去っていく。
「おいおい・・・あれは確かに愛菜だ・・・でも妹の愛菜は今年26になったハズ、あんな小学生みたいに幼い訳がない・・・!」
一体何がどうなっ・・・あれっ?そもそも俺って安アパートで独り暮らししてたよな・・・?
隼人は急いで立ち上がると部屋の全てのカーテンを開けた。
「ここ・・・実家じゃねーか・・・しかも・・・遠い昔の・・・!!」
窓の外には10年程前に閉店し解体された大型のお店の看板も見えた。
窓の反射し僅かに見えた自分の顔もまだ幼い。
「マジで・・・過去に戻ってきちまった・・・ってのか・・・?」
《隼人早く起きなさい!!!》
下階から母親と思わしき人物からの怒鳴り声が響く。
「と、とにかく早く起きねーとヤバそうだな・・・!」
遠い記憶を遡り洋服箪笥からテキトーな服を取り急いで着替え一階に降りる。
「はは・・・しかしだっせー服装・・・なんだこれ・・・」
そんなことを呟いていると母親が目の前に現れる。
「あんたねえ毎日毎日!ずっと愛菜は待ってんのよ!?」
「はは、ごめんごめん・・・」
現実よりずっと若い母が怒り顔ながらもそこにいた。
「お父さんはもうお仕事行っちゃっていないわ、早くご飯食べて学校行きなさい!」
「ほんとお兄ちゃんはダメだなあ・・・」
小さくため息を吐いてランドセルを背負い黄色い帽子をかぶって待つ妹。
隼人はご飯を掻き込みながら考える。
「(この黄色い帽子って確か1年生だけだよな・・・ってことは愛菜は1年、俺は3年生か・・・。そもそもあの写真ってなんで撮られたんだ?麻衣と俺が写ってるのが2枚しかなかったから持ってきたけど何で撮られたのかさっぱり背景が見えないんだよな・・・。)」
「あんた今日も帰ってきたらまた麻衣ちゃんと遊ぶんでしょう?本当に仲がいいわねあんた達。」
「(既に約束を取り付けてあるのか・・・なら都合がいいな・・・助かる。)」
隼人は一瞬で食べきり味噌汁を飲み干しごちそうさまの宣言をするとまるで狙っていたかのようなタイミングでピンポーンとインタフォンが鳴った。
「ほら、山本君よ、二人とも早く行きなさい。」
母親の掛け声で急いで家を出る愛菜と隼人。
「本当に毎朝手がかかる・・・たまには集合場所に遅刻しないで来てみろ真島兄妹。」
そこに居たのは恐ろしい顔で睨む登校班の班長、山本慎太郎であった。
「ご、ごめんなさい・・・」
自分の小さい体では絶対に勝てないとそう思わせるような体格のいい6年生だ。
「いっつもおにいちゃんがおねぼうさんだからだもんねー!」
余計な告げ口をしてくれるなと・・・隼人は愛菜を睨む。
その後約1時間をかけ学校へと登校した隼人は自分の教室に入る。
「おいおい懐かしいな・・・かー!顔ぶれももう疎遠になっちまた奴ばっかりだ!!」
28にもなれば未だ関係のある奴なんてほぼいない、幼い旧友との再会に感動しながら・・・迷った。
「お、おい俺の席どこだっけ?」
「はやとじゃん!おはよ、おまえのせきはあそこだぞ・・・ってせきがえしたのだいぶまえじゃん、じぶんのせきわすれたのか?」
「こいつあたまおかしくなったんじゃねー!?」
笑われながらも自分の席を発見した隼人は急いで席に着く。
懐かしい・・・あの頃に戻ったんだ・・・!
教室を見渡すたびに感動する。
「おはよ、はやちゃん!」
そんな中、横から誰かに急に声を掛けられる。
「お、おう・・・おはよ。」
そこにいたのは、幼き頃の後藤麻衣本人であった。
「お、お前隣の席・・・だったっけ・・・?」
「席がえでこうなったんじゃん?何?わたしじゃいやなの!?」
口を膨らませ明らかに不機嫌になる麻衣に焦る隼人。
「違う違う!ただの確認だよ!」
そういうと、麻衣は笑う。
「じょーだんだよ、ねぇはやちゃん!ほうかご、おぼえてるよね?」
「あぁもちろんだ、一緒に遊ぶんだよな!」
この瞬間、隼人は思い出す。何故、何のために自分が今ここにいるのかを・・・
目の前にいるこの子をただ好きだから、この子を落とすためだけにここにいると・・・。
だったら、俺はその為だったらどんなことでもしてや・・・
「場所は分かってるよね?」
・・・・・・ん?
「わたし、あそこで待ってるからね。」
まずい
「ちゃんと来てよね!学校終わったら早くだよ!?」
詰んだ
キーンコーンカーンコーン・・・
その瞬間、予鈴と共に先生が教室に入って来て授業が始まった。
どうやら算数らしい、そんなものはそうでもいい
「(いや場所なんて・・。知らねええええええええ!!)」
掛け算や割り算は出来ても麻衣に言われた場所の計算が出来ない
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