デビルフェイス

ガトリングレックス

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救い編

第9話悪魔を倒さんとする愚か者

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「殺す。デビルは悪だから。許されない者だから」
冷静に、それでいて過激に、マシンガンをレンコはスパーク、ヘルプに向けて乱射する。
銃弾は対デビルの物で、まともに受ければ死亡確定だ。
スパークはヘルプを守る様に電撃で銃弾を撃ち落とす。
「ありがとう」
「どういたしまして。それよりブックエスケープで逃げるわよ」
「オーケー」
2人はブックエスケープを使い、その場から逃げ、ヒグラシ家に戻る。
「敵消失、倒しそこなった。デビルは限定的だけどテレポートができる。前に戦った奴もそうだったわ」
『デビル達はテレポートを使って我々から逃げる様な行動をとっている。でも例外として逆に攻撃して来る奴もいる、もう訳が分からないですよ』 
「とにかく追跡やめて撤退するわ。テレポートされたら捜索できないもの」
『分かりました。お疲れ様です。レンコさん』
レンコはとりあえず軍隊基地に戻り、体制を整える事にした。

「でっ、なんで私の部屋にみんないる訳?」
ヒメの疑問にヘルプが答える。
「コサメの中学校がデビルによってウイルスの餌食になったから、帰って来たの」
「だからて私の部屋に集まる必要ないでしょう」
「あー情けない、それでもマスターの資格を持つ者か? 私は悲しいぞ」
「ブレイド、どうして2代目ド○えもんみたいな口調で喋るの?」
コサメの質問に、ブレイドは誇らしそうに微笑む。
「アニオタである以上、アニメネタで楽しくしたいのだ」
「おー、私もアニオタなんだ、これは良いジュースが飲めそうだぜ」
ニヤリと笑うコサメに、ブレイドは(やったぞ)と思った。
「とにかく、ヘルプ以外みんな出てって。お母さんにバレたらどうするの。きっと激怒じゃ済まない」
そうヒメが言った瞬間、ノックされる。
「ヒメ、入るよ」
母だ、母が服を持って部屋に入って来た。
完全に見られた。
デビル達を。
(ほんと私ってついてない)
当然母は激怒する。
「あんた達は誰! 警察に通報するわよ!」
「違うのお母さん。これには深ーい事情があるの」
「そうだよ。この事についてはお父さんとキシにぃがよーく知ってるから聞いてみて」
「ウソつかないで! だってこんな人達お父さんとキシタが知ってる訳ないでしょう! それにコサメ! あなた学校はどうしたの!」
「それは」
「夜になればこの人達の正体が分かるから。それにこれを見て」
ヒメは充電中のスマホを手に取り、ネットニュースのサイトを開く。
「『今日朝、〇〇中学校で殺人ウイルスがばら撒かれた。これによって200人以上が死亡。さらにその他の地域でも殺人ウイルスがばら撒かれた模様。警察は〇〇中学校と地域を封鎖し、立ち入りを禁止した』これって」
「そう。もし学校行ってたら私死んでたの。だけどこの人達が助けてくれた。だからお願い、警察に通報するのはお父さんが帰って来てから判断して」
母は「仕方ない」と言わんばかりに鼻を鳴らす。
「分かった。でもお父さんが知らないと言ったら警察呼ぶから、覚悟しなさい」
強気にそう言って、用事である服をヒメに渡し、出て行った。
ヒメは服をタンスの中に整頓し、安堵のため息を吐いた。

夜。 父とキシタが帰って来る。
「お父さん! キシタ! これはどう言う事ですか!」
「いきなりなんだ、なにを怒ってる?」
「そうだよ、お母さんらしくない」
「とりあえずこっちに来て!」
キシタが玄関のカギを閉め、言われるがまま、リビングに入る。
そこにあったのは、デビルトリオが正座させられた姿だった。
「ブレイド! なに正座させられてるんだ! お母さんにはバレるなって言っただろ!」
「すまんキシタ、面目無い」
「やっぱり知ってるのね。さあ白状してもらうわよ」
父は母に知っている事をすべて話した。
彼女達はデビルと言う悪魔の一種で、人を殺す事を生業としている事。
デビルはデビルフェイスと言う本を持つ者に契約し、服従すると言う事。
そして今デビル同士で殺し合いが始まっていると言う事。
それを聞いて母はますます警察を呼びたくなった。
「やっぱり警察を呼ぶ、人殺しなんていたらたまったもんじゃない」
テーブルに置いてあるスマホを取ろうとする。
それを防ぐ様に、コサメがスマホを先に取る。
「スパークは人殺しじゃない! だって私を助けてくれた。もしみんな人殺しだったら私はとっくに死んでるよ!」
「コサメ」
スパークの目がウルウルになるほど、その言葉が心に響く。
それは母も同じで、思わずコサメを抱き寄せる。
「分かった。みんなまとめて面倒見てあげる。でももしデビルが私達を襲って来たら、ヘルプ、スパーク、ブレイド、その時はよろしくね」
母の言葉にデビルトリオは一斉に立ち上がり、母に敬礼する。
「「「はい、全力を尽くし、やらせていただきます」」」
その様子を見て、呆れた様にキシタと父は母を見る。
すると母は「当然でしょ」みたいな目で2人を見る。
「そうそう。コサメの学校がデビルに殺人ウイルスをばら撒まかれたんだって。だから転校するまでコサメは外出禁止」
「えーなんでー」
「ヒメ。コサメ。分かってくれ。お前達は元々この戦いに参加してはいけない存在なんだ」
「後は俺とお父さんに任せろ」
「そうだよね、私達は人を殺すなんて事はしたくないもん。ねっ。コサメもそうでしょ」
「うん、スパーク分かった。人殺しはダメだからね」
「マスターの命令は絶対、当然従うわ」
「決まりだな、良し、とりあえずご飯を食べよう、話はそれからだ」
父のイッカツでデビルトリオはテレビを見て、ヒグラシ一家は夕食を食べ始めた。
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