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フォックスキラー編
第3話どちらが正義か
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シゲルは変身を解き、〈変身の殺人〉にトランスフォームを戻し、悲しくなり、涙目になる。
目を隠す様に帽子を深くかぶる。
当たり前だ。
身近な人の死を、シゲルなら悲しめないはずがない。
それを見てジャスティスは悲しみを感じる。
(知っている人が死ぬのは悲しい物だな)
人を殺す事に、恐怖を覚える。
だがマスターであるセイギの望み、悪を殺す事はやめる事ができない。
しかし友人となったシゲルを殺す事はできない。
そんな迷いを断ち切れんまま、軍隊のジープが来る。
「逃げるぞシゲル」
「あぁ、俺達が戦う相手じゃない」
2人はその場から逃げ出す。
それを追跡するべく、ジープが迫る。
商店街を出て、狭い裏路地に入る。
「この近くに俺の探偵事務所がある。そこに隠れて軍隊をやり過ごそう」
「分かった」
そう言った瞬間だった。
「ちぇすとぉーーーーーーー!」
その叫びで後ろを振り返ると、電気を足に纏った外国人の少女がジャスティスにドロップキックを仕掛けて来た。
そのスピードは交わせる物ではない。
普通ならば、だが。
「スピードアップ」
ベルトの右サイドスイッチを押し、一気に加速し、攻撃を交わす。
少女は体勢を着地へ切り替え、地面に足をつけ、舌打ちをする。
「クソ。なんて身体能力だ。それにこんなに早く追い付くなんて」
驚く様にシゲルがぼやくと、後から黒人の男性がサブマシンガン2丁を構え、歩いて来る。
「殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! ハハハハハハハハハハ!」
「まったく、武器を持つと人が変わるんだから。まあそこもガルガ君が好きなとこなんだけど」
悪魔の様に笑う男性にそれを好きだと言う少女。
(カップルでしかも軍隊のコンビなのか。なんとも興味深い。だがこれは戦いだ。死んでも悪く思うなよ)
シゲルは〈変身の殺人〉を服の内ポケットから取り出し、トランスフォームを召喚。
サイドスイッチを押すと、光に包まれる。
「隙だらけだ!」
ガルガと呼ばれた男性はサブマシンガンの銃口を向ける。
だがそれを少女が止める。
「なにをするんですかスリープさん! 殺させてくださいよ!」
「ガルガ君、最近の○面ライダーは変身する時は攻撃を防ぐのよ。こいつも同じく攻撃を防ぐわ」
スリープと呼ばれた少女の勘は当たっている。
それで正解だ。
もし攻撃すれば銃弾が跳ね返り、ガルガは死んでいた。
変身を完了し、決めポーズをとる。
「さあ、お前の罪を数えろ!」
「「そんな物はない!」」
同時に言うので、ジャスティスは一応2人の悪意のレベルを測ってみる。
「ほう、軍隊のくせにランクB++なのか。俺の戦闘対象だ」
「なら殺るのにためらいはない。行くぜ」
「カッコいい事言ってるつもりだろうけど、カッコ悪いわよ、あなた達」
「ハハッ。良いねぇ。ヒーローずらしてる奴。勘違いした正義を持つ奴。そんな奴程殺しがいがある」
ガルガは再びサブマシンガン、通称〈ノーリロードリザード〉をジャスティスとシゲルに向ける。
これはマガジンがトカゲの細胞など、再生できるあらゆる細胞を使って開発され、それによって無限に銃弾を放つ事ができる、最強とも言える武器である。
もちろん銃弾は対デビル用の物だ、
ジャスティスは慌てて右のサイドスイッチを押し、シゲルはサイドスイッチを押す。
「スピード!」
トランスフォームが叫びを上げながらシゲルの姿が変わり、スピード特化になる。
トリガーを引かれ、銃弾が発射される。
ものすごいスピードでジャスティスとシゲルは銃弾を躱し、ガルガに襲いかかる。
「させるか!」
スリープは加速し、ジャスティスを殴る。
吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
(まだ俺がいるぜ)
(そう相手は思ってる、でもガルガ君なら)
信頼してるからこそできる、この行為。
必ず仕留めてくれると信じて。
シゲルのパンチが迫る。
これが決まれば、骨を粉々にできる。
だが。
素早いパンチを避けられ、0距離で〈ノーリロードリザード〉のトリガーを弾こうとする。
その時だった。
ジープのサイレンがなる。
『こちら本部、デビルの事件が発生、直ちに出現せよ』
通信機から流れる、男の声。
「命びろいしたなぁ」
ガルガとスリープはその場を逃げ出す様に裏路地を出て行く。
「スピード・・・・・」
「待て。もしサイレンがならなかったら今頃俺達は死んでた。見逃してくれたんだよ。あいつらは」
シゲルの言葉には説得力がある。
だがジャスティスはそれぐらい分かっている。
それでも悪を殺せなかった悔しさと人を殺さずに済んだ安堵が入り混じる。
(俺はどうすればいいんだ)
自我があるからこその悩み。
デビルは殺人マシーンではない。
悪魔なのだ。
そんなジャスティスの考えに感づいたシゲルは変身を解除し、トランスフォームを〈変身の殺人〉に戻し、ジャスティスに近づく。
「今日は帰った方が良い、軍隊の戦いに巻き込まれるのは嫌だろ」
少し考えてから「そうだな」と納得し、ジャスティスはシゲルに手を振り、帰る事にした。
目を隠す様に帽子を深くかぶる。
当たり前だ。
身近な人の死を、シゲルなら悲しめないはずがない。
それを見てジャスティスは悲しみを感じる。
(知っている人が死ぬのは悲しい物だな)
人を殺す事に、恐怖を覚える。
だがマスターであるセイギの望み、悪を殺す事はやめる事ができない。
しかし友人となったシゲルを殺す事はできない。
そんな迷いを断ち切れんまま、軍隊のジープが来る。
「逃げるぞシゲル」
「あぁ、俺達が戦う相手じゃない」
2人はその場から逃げ出す。
それを追跡するべく、ジープが迫る。
商店街を出て、狭い裏路地に入る。
「この近くに俺の探偵事務所がある。そこに隠れて軍隊をやり過ごそう」
「分かった」
そう言った瞬間だった。
「ちぇすとぉーーーーーーー!」
その叫びで後ろを振り返ると、電気を足に纏った外国人の少女がジャスティスにドロップキックを仕掛けて来た。
そのスピードは交わせる物ではない。
普通ならば、だが。
「スピードアップ」
ベルトの右サイドスイッチを押し、一気に加速し、攻撃を交わす。
少女は体勢を着地へ切り替え、地面に足をつけ、舌打ちをする。
「クソ。なんて身体能力だ。それにこんなに早く追い付くなんて」
驚く様にシゲルがぼやくと、後から黒人の男性がサブマシンガン2丁を構え、歩いて来る。
「殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! ハハハハハハハハハハ!」
「まったく、武器を持つと人が変わるんだから。まあそこもガルガ君が好きなとこなんだけど」
悪魔の様に笑う男性にそれを好きだと言う少女。
(カップルでしかも軍隊のコンビなのか。なんとも興味深い。だがこれは戦いだ。死んでも悪く思うなよ)
シゲルは〈変身の殺人〉を服の内ポケットから取り出し、トランスフォームを召喚。
サイドスイッチを押すと、光に包まれる。
「隙だらけだ!」
ガルガと呼ばれた男性はサブマシンガンの銃口を向ける。
だがそれを少女が止める。
「なにをするんですかスリープさん! 殺させてくださいよ!」
「ガルガ君、最近の○面ライダーは変身する時は攻撃を防ぐのよ。こいつも同じく攻撃を防ぐわ」
スリープと呼ばれた少女の勘は当たっている。
それで正解だ。
もし攻撃すれば銃弾が跳ね返り、ガルガは死んでいた。
変身を完了し、決めポーズをとる。
「さあ、お前の罪を数えろ!」
「「そんな物はない!」」
同時に言うので、ジャスティスは一応2人の悪意のレベルを測ってみる。
「ほう、軍隊のくせにランクB++なのか。俺の戦闘対象だ」
「なら殺るのにためらいはない。行くぜ」
「カッコいい事言ってるつもりだろうけど、カッコ悪いわよ、あなた達」
「ハハッ。良いねぇ。ヒーローずらしてる奴。勘違いした正義を持つ奴。そんな奴程殺しがいがある」
ガルガは再びサブマシンガン、通称〈ノーリロードリザード〉をジャスティスとシゲルに向ける。
これはマガジンがトカゲの細胞など、再生できるあらゆる細胞を使って開発され、それによって無限に銃弾を放つ事ができる、最強とも言える武器である。
もちろん銃弾は対デビル用の物だ、
ジャスティスは慌てて右のサイドスイッチを押し、シゲルはサイドスイッチを押す。
「スピード!」
トランスフォームが叫びを上げながらシゲルの姿が変わり、スピード特化になる。
トリガーを引かれ、銃弾が発射される。
ものすごいスピードでジャスティスとシゲルは銃弾を躱し、ガルガに襲いかかる。
「させるか!」
スリープは加速し、ジャスティスを殴る。
吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
(まだ俺がいるぜ)
(そう相手は思ってる、でもガルガ君なら)
信頼してるからこそできる、この行為。
必ず仕留めてくれると信じて。
シゲルのパンチが迫る。
これが決まれば、骨を粉々にできる。
だが。
素早いパンチを避けられ、0距離で〈ノーリロードリザード〉のトリガーを弾こうとする。
その時だった。
ジープのサイレンがなる。
『こちら本部、デビルの事件が発生、直ちに出現せよ』
通信機から流れる、男の声。
「命びろいしたなぁ」
ガルガとスリープはその場を逃げ出す様に裏路地を出て行く。
「スピード・・・・・」
「待て。もしサイレンがならなかったら今頃俺達は死んでた。見逃してくれたんだよ。あいつらは」
シゲルの言葉には説得力がある。
だがジャスティスはそれぐらい分かっている。
それでも悪を殺せなかった悔しさと人を殺さずに済んだ安堵が入り混じる。
(俺はどうすればいいんだ)
自我があるからこその悩み。
デビルは殺人マシーンではない。
悪魔なのだ。
そんなジャスティスの考えに感づいたシゲルは変身を解除し、トランスフォームを〈変身の殺人〉に戻し、ジャスティスに近づく。
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少し考えてから「そうだな」と納得し、ジャスティスはシゲルに手を振り、帰る事にした。
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