26 / 46
バラダザ編
第26話 仲間斬りの戦士
しおりを挟む
黒騎士の攻撃をスーの助言で躱していく如鬼。
その隙を突き現人はコアワーウルフ・ダークエンジェルに銃口を向け、連射する。
しかしまるで母親を庇う子供の様にワーウルフ・ダークエンジェルが銃弾を鉤爪で伏せがれる。
「不平等な者に死を」
一斉に飛びかかって来る堕天使達に慌てず正確に頭を撃ち抜き、爆散させた。
「キリがない。夏華ちゃん、その堕天使は任せた。俺は母体を破壊する」
「分かった。気をつけて」
お互いに連携し合う彼ら、それに対して黒騎士は剣で空を斬り、次元の裂け目を開くと2人に向かって圧倒的な数の斬撃を飛ばす。
これを食らえば死は避けられない。
スーの分析が攻撃よりも早かったとしても、如鬼が対応できなければ意味がない。
「フハハ!! 私達の野望の邪魔はさせませんよ」
高笑いを上げながら次々と放つ斬撃、すると如鬼兄妹は高く飛び上がり、ギリギリで攻撃を躱した。
「なんですって!?」
自身の想定を超える2人の身体能力にブラックナイト・ダークエンジェルは本気で驚く。
背後から〈バスター〉を連射し、鎧を貫通させられる。
さらに弾切れとなったアサルトライフルを床に置き、拳を唸らせた。
大きく吹き飛ばされ、ダイヤツリーから急落下して行く黒騎士。
「バカな。私以上の存在が人間にいるとは。だが、負けません!」
黒き翼を羽ばたかせ、敵を排除するため上昇する。
『如鬼! 相手はまだ生きてる!』
「分かってる。私はヒサさんや六問さん、そしてゴアドさんとは違ってただの人間。だから倒し切れなかった。それでも私は、あいつを倒す」
『なら格闘戦闘に合わせてシステムを調整するよ。必ず勝とう。如鬼』
システムを格闘用に調整を数秒でスーは終わらせた直後、黒騎士が襲いかかって来る。
黒き刃の剣による連続突きを繰り出されるも、手の甲で弾き飛ばす。
あまりの破壊力に刃が砕け散ると、腕を掴み地面に頭から叩きつけた。
「なんなんですか!? 本当に人間なんですか!? まさか………あなたも神に力を与えられた存在なんですか!?」
叫び続けながら立ち上がろうとするブラックナイト・ダークエンジェルに、如鬼は兜を勢いよくぶん殴る。
鈍い音と共に体が地面に再び叩きつけられ、口から血反吐を吐く。
「神の力………ですか。私はそんな物を貰った事はありません。強いて言うのなら、今の自分は勝利の女神に愛されているぐらいでしょうか」
「ならばなぜ………私はあなたに負けているんですか? バラダゼ様から授かれし力………それを超える力など………」
「強くなる理由なんて人それぞれです。私が強くなるのは、Z3+の装着者であり続けるため」
彼女は強く拳を握り倒す意志を見せ、それに対して息を荒くしそれでも戦う意志を見せる彼だったが、致命傷を受けフラフラとし始める。
視界が霞み、次第に力が抜けていく。
その場で倒れ込みその正体が露わになった。
「鈴静………さん?」
突然の事に如鬼の頭が真っ白になる。
無理もない。
ブラックナイト・ダークエンジェルの正体が、洗脳された鈴静だったのだから。
「僕は……一体……そうか……堕天使に………洗脳されて………」
入院していたままの服装、そして何か鈍器で殴られた様な強烈な痛み。
おそらく自分は堕天使となって人を殺害していたと鈴静は推測する。
罪悪感で心臓がバクバクと唸りを上げ、今までの戦闘のダメージが体中に襲いかかる。
死を悟った瞬間如鬼が彼に近づき、涙を流しながら膝をついた。
「鈴静さん! 死なないでください! 生きて! 生きて帰りましょう! Zトレーラーに!」
「如鬼さん……それは無理です………僕は洗脳された後の記憶はありません。でも急激な進化に……体はボロボロ。それだけは分かります……」
堕天使へと進化し元の人間に退化した結果、体が負荷に耐えきれず死へ誘われる。
ゆっくりと瞼を閉じ、彼の生涯は終わった。
「鈴静さん!? 起きてください!? 鈴静さん!?」
『如鬼、鈴静はさっきの攻撃が致命傷になると同時に洗脳が解けたんだ。つまり最初から助ける方法なんてなかったんだよ』
スーの言葉で自分に責任を感じる如鬼。
鈴静を殺したのは文字通り自分なのだから。
知らなかったでは決して済まされない。
『如鬼、鈴静を想うなら堕天使を倒すことが罪滅ぼしになるんじゃないかな?』
彼女の涙は止まらない。
しかし体は鈴静の遺体から離れ、後悔と決意が入り混じりながら、兄である現人の元へ向かった。
「現人くん!」
「夏華ちゃん、あの堕天使を倒せたんだね」
ワーウルフ・ダークエンジェルを殴り倒しながら、現人が返答する。
複雑な気持ちだ。
倒さなければ先には進めなかった。
それでも仲間を殺したことには変わりない。
その光景は光炎も観ている。
沈黙を続けていると言うことは、自分と同じくあまりにもショックだったのだろう。
当たり前だ。
付き合いは彼女の方が長いのだから。
冷静ではいられないまま如鬼は震え声で「う……うん」と返事をする。
現人は彼女の恐怖した様な様子に、不思議に思う。
(なんだろう。夏華ちゃんがこんなにも怯えた声を出したところ、聞いたことがない)
今まで感情を表に出すことをしなかった妹。
それほどの危機的状況だったのか?
それとも大人になって何かが変わったのか?
自分が自衛官になってから会っていなかった妹の言動に戸惑いながらもコアワーウルフ・ダークエンジェルを撃破するため、走り出すのだった。
その隙を突き現人はコアワーウルフ・ダークエンジェルに銃口を向け、連射する。
しかしまるで母親を庇う子供の様にワーウルフ・ダークエンジェルが銃弾を鉤爪で伏せがれる。
「不平等な者に死を」
一斉に飛びかかって来る堕天使達に慌てず正確に頭を撃ち抜き、爆散させた。
「キリがない。夏華ちゃん、その堕天使は任せた。俺は母体を破壊する」
「分かった。気をつけて」
お互いに連携し合う彼ら、それに対して黒騎士は剣で空を斬り、次元の裂け目を開くと2人に向かって圧倒的な数の斬撃を飛ばす。
これを食らえば死は避けられない。
スーの分析が攻撃よりも早かったとしても、如鬼が対応できなければ意味がない。
「フハハ!! 私達の野望の邪魔はさせませんよ」
高笑いを上げながら次々と放つ斬撃、すると如鬼兄妹は高く飛び上がり、ギリギリで攻撃を躱した。
「なんですって!?」
自身の想定を超える2人の身体能力にブラックナイト・ダークエンジェルは本気で驚く。
背後から〈バスター〉を連射し、鎧を貫通させられる。
さらに弾切れとなったアサルトライフルを床に置き、拳を唸らせた。
大きく吹き飛ばされ、ダイヤツリーから急落下して行く黒騎士。
「バカな。私以上の存在が人間にいるとは。だが、負けません!」
黒き翼を羽ばたかせ、敵を排除するため上昇する。
『如鬼! 相手はまだ生きてる!』
「分かってる。私はヒサさんや六問さん、そしてゴアドさんとは違ってただの人間。だから倒し切れなかった。それでも私は、あいつを倒す」
『なら格闘戦闘に合わせてシステムを調整するよ。必ず勝とう。如鬼』
システムを格闘用に調整を数秒でスーは終わらせた直後、黒騎士が襲いかかって来る。
黒き刃の剣による連続突きを繰り出されるも、手の甲で弾き飛ばす。
あまりの破壊力に刃が砕け散ると、腕を掴み地面に頭から叩きつけた。
「なんなんですか!? 本当に人間なんですか!? まさか………あなたも神に力を与えられた存在なんですか!?」
叫び続けながら立ち上がろうとするブラックナイト・ダークエンジェルに、如鬼は兜を勢いよくぶん殴る。
鈍い音と共に体が地面に再び叩きつけられ、口から血反吐を吐く。
「神の力………ですか。私はそんな物を貰った事はありません。強いて言うのなら、今の自分は勝利の女神に愛されているぐらいでしょうか」
「ならばなぜ………私はあなたに負けているんですか? バラダゼ様から授かれし力………それを超える力など………」
「強くなる理由なんて人それぞれです。私が強くなるのは、Z3+の装着者であり続けるため」
彼女は強く拳を握り倒す意志を見せ、それに対して息を荒くしそれでも戦う意志を見せる彼だったが、致命傷を受けフラフラとし始める。
視界が霞み、次第に力が抜けていく。
その場で倒れ込みその正体が露わになった。
「鈴静………さん?」
突然の事に如鬼の頭が真っ白になる。
無理もない。
ブラックナイト・ダークエンジェルの正体が、洗脳された鈴静だったのだから。
「僕は……一体……そうか……堕天使に………洗脳されて………」
入院していたままの服装、そして何か鈍器で殴られた様な強烈な痛み。
おそらく自分は堕天使となって人を殺害していたと鈴静は推測する。
罪悪感で心臓がバクバクと唸りを上げ、今までの戦闘のダメージが体中に襲いかかる。
死を悟った瞬間如鬼が彼に近づき、涙を流しながら膝をついた。
「鈴静さん! 死なないでください! 生きて! 生きて帰りましょう! Zトレーラーに!」
「如鬼さん……それは無理です………僕は洗脳された後の記憶はありません。でも急激な進化に……体はボロボロ。それだけは分かります……」
堕天使へと進化し元の人間に退化した結果、体が負荷に耐えきれず死へ誘われる。
ゆっくりと瞼を閉じ、彼の生涯は終わった。
「鈴静さん!? 起きてください!? 鈴静さん!?」
『如鬼、鈴静はさっきの攻撃が致命傷になると同時に洗脳が解けたんだ。つまり最初から助ける方法なんてなかったんだよ』
スーの言葉で自分に責任を感じる如鬼。
鈴静を殺したのは文字通り自分なのだから。
知らなかったでは決して済まされない。
『如鬼、鈴静を想うなら堕天使を倒すことが罪滅ぼしになるんじゃないかな?』
彼女の涙は止まらない。
しかし体は鈴静の遺体から離れ、後悔と決意が入り混じりながら、兄である現人の元へ向かった。
「現人くん!」
「夏華ちゃん、あの堕天使を倒せたんだね」
ワーウルフ・ダークエンジェルを殴り倒しながら、現人が返答する。
複雑な気持ちだ。
倒さなければ先には進めなかった。
それでも仲間を殺したことには変わりない。
その光景は光炎も観ている。
沈黙を続けていると言うことは、自分と同じくあまりにもショックだったのだろう。
当たり前だ。
付き合いは彼女の方が長いのだから。
冷静ではいられないまま如鬼は震え声で「う……うん」と返事をする。
現人は彼女の恐怖した様な様子に、不思議に思う。
(なんだろう。夏華ちゃんがこんなにも怯えた声を出したところ、聞いたことがない)
今まで感情を表に出すことをしなかった妹。
それほどの危機的状況だったのか?
それとも大人になって何かが変わったのか?
自分が自衛官になってから会っていなかった妹の言動に戸惑いながらもコアワーウルフ・ダークエンジェルを撃破するため、走り出すのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる