今時な死神と不死身な嫌われ者

ガトリングレックス

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第2話マイファミリー

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ヤマトは自分の事を不老不死と言ったが、意味合いが違う。
正確には死んだ際肉体が消滅し、新しい体が生成され、記憶と歳はそのままに復活すると言う物。
これによって歳はとらないが、なぜだか色素が薄くなり、髪が白くなっている。
彼は何十年も生きてきた。
能力者と言うだけで嫌われ、家族に見捨てられた。
孤独だった。
誰も自分に救いの手を差し伸べてくれない。
死にたいと思った。
自殺は地獄への近道だ。
だがそれすらできない。
これこそ生き地獄。
なにも食べずとも復活すれば腹の空腹など失われる。
今から十年以上前。
夜の山で野宿していたヤマトを懐中電灯を持った男女8人が取り囲む。
「なんだよ、俺がなにかしたか? 俺の居場所はここしかないんだ。さっさと帰ってくれ」
そう言って横になり、就寝しようとする。
「かわいそうに、あなたも能力者だからとすべてを否定されて・・・・・」
声の主を確認するため一旦目を開ける。
すると金髪の少女に馬乗りにされていた。
「少し首をチクリとするわよ」
少女が口を大きく開けると、鋭いキバが2本覗かせる。
「おい! 一体なにをする気だ!」
「なにって、あなたを私、ブラッドの眷属家族にするの。そうすればあなたの悲しい人生もガラリと変わる」
悲しい人生もガラリと変わる。
その言葉にヤマトは手を拳にする。
「決意は固まった様ね」
「あぁ、どうせ人間達は俺を認めてくれない、それなら俺は、人間をやめるねぇ」
「あなたの気持ち、私が受け止めてあげる」
首にキバが突き刺さると、遺伝子が書き換えられていく。
人間だった遺伝子が化け物の遺伝子に変わる。
だがそんな感覚はヤマトになかった。
「はい、これでおしまい。あなたは正式に私達の眷属家族よ。さっ、私達の家に連れてってあげる」
首に激痛が残るがすぐ様傷が治る。
(これが吸血鬼の眷属家族になった証)
ヤマトが首のあたりを触りながらついて行くと、20代ほどの長い黒髪で赤い瞳を持つ女性がこちらを見てくる。
「なっ、なんだよ」
「いや~、あなたも苦労したんだなぁって。私もお母さんに会うまであなたみたいに住むところが無くてね」
「お母さんって、あの俺を眷属家族にしたあの子か?」
「そうだよ、みんなお母さんを母親だって思ってる。優しい人なんだなぁ、これが」
「じゃああなたは俺からして見れば姉?」
「いやいや、家にそんな決まりはないよ。お母さんが親で眷属は子ども。兄弟関係なんてないから私の事はコウって呼んでね」
コウは親しみやすい口調でヤマトに眷属家族や生活環境の説明をする。
「都会に家があるんだけど、多分私達が能力者なんて言ってもあまり驚かないと思うよ。まあ時代って奴。見慣れた物に対して抵抗が無くなるのと同じ。私達が住んでいる町は能力者を集めて保護するためにあるから、能力を悪い事に使わなければ問題ナッシング」
「その町は歩いてなん時間かかるんだ?」
「徒歩だと人間だったら無理な距離だけど、すぐにつくよ」
「すぐ? どうやって?」
「山を降りれば分かるよ。まさにただの人間にはできない裏ワザなんだよね~」
不思議そうに首をかしげるヤマトをコウは笑みを浮かべながら誘導して行った。
30分ほど経過し、ようやく下山する事ができた。
「はーい、みんな集まってー。これから全員で瞬間移動しまーす。ジンよろしくね」
「分かった」
ジンと呼ばれた男性のところにみんなが集まって行く。
「さあ君もジンの側においでよ」
「うっ、うん」
そう言えば名前を言ってなかった。
それに気づいた頃にはジンの瞬間移動によっていつの間にか大型マンションに到着する。
「ここが私達の家だよ。お母さんが君の部屋を用意してくれてるからついて行きな~」
「そう言えば名前言ってなかったな。俺の名前はキカギヤマト、今日からよろしく」
「うん、よろしくね。じゃあヤマト、フワ~、私は寝るからまた明日ね」
あくびをしながらマンションに入って行くコウ。
2人以外の全員がマンションに入り終わると、ブラッドがヤマトに近づいて来る。
「ヤマト、これからは嫌われ者ではなく、好かれる者になるのよ。そのためには信頼と実績が必要、だけど無理はしないでね。それで体を壊したり、心が疲れたりしたら大変だから」
「あなた達の事はまだ分かってない。だけど、これだけは言わせてほしい」
強張っていた表情はいつの間にか優しい表情になっていた。
「俺を救ってくれて、ありがとう。母さん」
その後ヤマトはハローワークの様なところで仕事をみつけた。
それは護衛や暗殺などをしている雇われ屋だった。
暗殺と聞いてブラッドは不安になったが、オススメされた中でもっとも能力を活かせる仕事だったのでヤマト自身が選んだ。
慣れない生活を強いられたが、十年以上も経てばさすがに慣れる。
バイクの免許を取るためひたすら勉強し、取得。
今では護衛として日夜働いているのだった。
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