今時な死神と不死身な嫌われ者

ガトリングレックス

文字の大きさ
3 / 29

第3話霧の中の刃

しおりを挟む
死神ネット。
それは条件を満たせば誰でも人を殺せてしまうサイト。
まずパソコンで死神ネットと検索する。
すると死神ネットへ強制的に繋がる。
それからAIに殺したい相手について数々の質問をされ、導き出された人に当っていれば次に進む。
そして無数の殺し方から好きな物を選び、決定をクリック。
すると本当に選んだ人間が死亡する。
ただし死神ネットを使用したパソコンはCPUが壊れてしまう。
これは使用者が逮捕されない様に証拠隠滅のための配慮である。
だがそれによってパソコンの購入者が増える原因となった。

「こんにちはキカギさん」
黒髪でツインテールの16歳の女子が、職場でイスに座ってブラックコーヒーを飲みながら休憩しているヤマトにあいさつをしてくる。
「おーミガニシ、いつもお疲れ様」
彼女の名前はミガニシミユ。
暗殺を担当する腕利きの殺し屋だ。
「なにを言ってるんですか。私は死神ネットを使ってるだけですよ」
「謙遜するなよ。ミガニシはこの会社の中では良い成績を残してる方だろ」
「キカギさんこそ。護衛の仕事をたくさんこなしている実績があるじゃないですか」
2人で褒め合うと、こちらを見つめる短くまとめた茶髪の女子に気づく。
「先輩達なにしてるんすか? 仕事が入ったから来てほしいって呼ばれてましたよ。まあ私も含めてっすけど」
彼女は後輩のオンガラン。
ミユを支援するパートナー的存在だ。
「分かった。いつもの案内所で良いんだよな」
「そうっす」
ヤマトはコーヒーを一気に飲み干し、イスから立ち上がり、ゴミ箱に缶を捨て、2人と共に案内所に向かった。

案内所に到着すると、ヤマトは女性の案内人に話かける。
「すいません、仕事が来たと聞いたのですが」
「はい。3人に仕事の依頼が届いております。今回の仕事は連続殺人を犯している能力者を殺害してもらいたいと警察署から」
「能力者の情報はないんすか?」
「能力者の能力はまったくもって不明です。ただ殺害方法は刃物で複数回刺すと言うのが犯人のスタイルだそうです」
「情報がたりない。これじゃあ私の能力が使えない」
情報量の少ない現状にミユの顔が強張る。
「ミガニシをサポートする、そのために俺達にもお呼びがかかったと言うわけですか」
「そう言う事です。お仕事頑張ってくださいね」
その言葉を聞いて、3人は自分達は所詮駒の1つでしかないと改めて実感した。
この町では能力者に教育を受けさせる義務がある。
しかしあまりにも能力が強力だった場合、教育するべき人間が圧力をかけ、能力者を追い出し、この雇われ屋にスカウトさせる。
給料はかなり高く、遣り手は年収500億円を軽く超えるそうだ。
それほど命にかかわる仕事をしているわけである。
それが妥当な金額だろう。
デバイスを受け取り、ヤマトは駐車場に向かう。
「私達も行きましょう」
「あいあいさあー」
ミユとランもデバイスを受け取り、会社を出た。

バイクで走って15分ほど、ヤマトはバイクを止め、吸血鬼の眷属になった事で得た能力を使う。
それは透視だ。
ビルや店などの中をくまなくチェックする。
するとファミレスの男子トイレの中で黒ずくめのローブを着込み、骸骨の仮面を被った謎の人物がトイレに座り、血だらけのナイフを見つめている。
「あいつか!」
バイクをファミレスの駐車場に止め、2重のガラスのドアを開け、中に入る。
中は霧によって充満し、前が良く見えない。
再び透視をすると、刃物で刺された様な傷がある死体が倒れている。
デバイスから電話機能を呼び出し、ミユに電話する。
「もしもし、キカギだ」
「キカギさん? どうかされたんですか?」
「犯人が見つかった。GPSを使って俺の場所に来てくれ」
「分かりました。すぐに向かいます」
「よろしく頼むな」
デバイスの電話機能を切り、ズボンの右ポケットにしまう。
(ターゲットの能力は霧を発生させる事、だけどそれだけなのか?)
考えを巡らせながら男性トイレに向かおうとする。
すると後ろから気配を感じ、回転蹴りを繰り出す。
蹴りを加えた感触があり、後ろを確認する。
そこには黒ずくめのローブを着込み、長い腕に包帯を巻き、牛の骸骨の仮面を被った大柄の男が首を鳴らし、ナイフを構えていた。
「お前は今俺達に殺される」
「悪いな、俺は不老不死だ」
「こけおどしを!」
男が叫ぶと、霧から仮面を被り、ナイフを構えた者達がヤマトに襲いかかる。
(全員相手にするのは無理がある。こう言う時の1本、やるか)
眷属家族になった事で人間を超える力を手に入れた。
だが長年この仕事をやっていてこれに頼らなければならない状況は時としてある。
ヤマトは左ポケットから薬品が入った小型の機械を取り出し、首元に押し当てる。
すると薬品が注入され、血管から脳に伝達。
身体能力を一気に引き上げる。
「イッツ、デッドタイム」
そう言って残像が起きるほどのスピードで加速するヤマト。
殺人鬼共に繰り出す必殺の拳。
ヤマトには相手が止まって見える。
まさにサンドバッグ状態。
(なんだこの速さは。まあ良い。この間にボスが逃げれる時間を作らせてもらうぞ)
男はローブからナイフを5本取り出し、ヤマトに投げつける。
だがそれは残像。
本体は後ろにおり、背中を殺された仲間のナイフで刺そうとする。
感づいていた男はその長い腕を素早く動かし、ヤマトを掴み上げる。
「我々に勝てると思うな。我々は不死身の殺人鬼集団、切り裂きの殺人鬼達ジャック・ザ・リッパーなり」
切り裂きの殺人鬼達ジャック・ザ・リッパー?」
不死身の殺人鬼集団、切り裂きの殺人鬼達ジャック・ザ・リッパー
彼らが持つナイフは血を滴らせ、人を殺したいと願う者達の想いを映し出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜

春日あざみ
キャラ文芸
<第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。応援ありがとうございました!> 宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。 しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——? 「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...