今時な死神と不死身な嫌われ者

ガトリングレックス

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第19話漏れたインフォメーション

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とある橋で繰り広げられる戦い。
マシンガンを連射するも、ストロンギストの体にただ銃弾が吸い込まれるだけ。
「俺にそんな物が通じるか」
肉眼では見えないスピードで加速し、兵士の腹を拳で貫通し、始末する。
(なんなんだ。戦闘力が桁違いすぎる)
絶望しかける兵士の心をよそに、ストロンギストの左側に次元の裂け目が出現する。
そこから対戦車ライフルが飛び出し、それを手に収め、兵士の1人に銃口を向け、素早くトリガーを弾く。
銃弾が撃ち出され、兵士の心臓部に風穴が開き、海に落ちて行った。
「お前達がどうやって生き延びてきたか知らんが、悪には容赦はしない」
「俺は任務を遂行した。お前がいなければ、お前がいなければ!」
「家族に給料を渡せた。だが、そんな汚れ仕事で得た金で果たして喜びを感じられるのか?」
「分からんだろうなぁ。家族ために必死に働く俺達兵士の気持ちが!」
「分かりたくもない。それで悪に染まった奴らの気持ちなど、吐き気がする」
圧倒的に自分より上回っている敵に対して、兵士は自分の事を否定された怒りと、勝てる訳がないと言う確信。
混じり合う2つの気持ちが、狂気に変わる。
ハンドガンを構え、ストロンギストに銃口を向ける。
(殺してやる)
トリガーを弾こうとした時にはすでにストロンギストの対戦車ライフルの手で地獄に落ちていた。

一方その頃セイギとトランスフォームはヒカルの電撃を青き姿で躱していた。
「トランスフォーム」
「うん? なんだセイギ」
「こいつを倒さずに被害者を救出する。いいな」
「分かった。セイギの指示に従おう」
スピードを生かし、ヒカルを躱し、ケンが乗っている車に駆ける。
紫のオーラを放出し、ドアを強引に破壊する。
「ばっ、化け物!?」
「安心しろ。俺はお前の味方だ。無実の人を見過ごせないからなぁ」
「無実って、敵じゃないのか?」
「分かってくれるならいい、さっさとここから逃げるぞ」
ケンをお姫様抱っこした状態で車を出て、高速でその場から逃走する。
発電していた電気を打ち消し、ヒカルはデバイスを取り出す。
電話のアプリを起動し、ヤマトに通話する。
繋がった。
「もしもし、キカギさん」
『マンダさん。どうされました? 一向に警察署に来ないから心配したんですよ』
「すまん、容疑者を逃した。得体も知れない正義を語る奴に連れ去られたんだよ」
『そいつって黒い奴ですか?』
「あぁ、青い姿にも緑の姿にもなってた」
『もしかしたらマンダさんは危険な奴に会ってしまったようですね』
「どう言う意味だ?」
ヤマトは語った。
この町に恐ろしく正義感が強い化け物の2人が出てきたと言うこと。
それがここ最近であること。
「とにかくあいつは仕事の邪魔をしてきた。それに危険な存在なのは間違いない」
『最初俺は変わった能力者達だと思っていました。でも行き過ぎた正義感。それに見合った圧倒的戦闘力。いつか仕事として黒き戦士達と相対した時、俺はあいつらを倒します』
「同感だ。おそらく俺達の会社のトップも頭を悩ませているだろうし、近々仕事の時に倒すことになるだろう」
『はい』
「とりあえず警察署に向かうから待っててくれ」
『分かりました』 
「では失礼」
こうしてヒカルはデバイスの通話を切り、壊れた車に乗り込むと、電気でうるさく警報を鳴らすAIを黙らせ、目的地に行くようにいじり、警察署に向かった。

数分後、ヒカルが警察署に到着すると、驚いた様子で全員がこちらを見てくる。
当たり前だ。
車の後ろのドアが片っぽ壊されているのだから。
「どうしたんですかそれ」
車から降りると、情け無い気持ちで表情が歪む。
「敵にやられてこのザマだ。キカギさん。責任を持って容疑者を俺は追う」
「待ってください。実は警察署から情報をもらってきたんです。どうやらあの容疑者だと思っていた男性はただの会社員で、お友達ロボットが盗まれたと被害届けを出しています」
「あいつの言ってたことは本当だったのか」
「とりあえず今回の仕事は終了です。後は警察に任せましょう」
「そうだな。一旦仕事場に戻るか」
ヒカルが気怠そうに再び車に乗り込むと、ヤマトはバイクにまたがり、ヘルメットを被り、警察署を後にした。

昼の病室。
昨日は誰もお見舞いに来てくれなかった。
別に寂しいわけではない。
親しい人は少なからずいる。
と言っても平日に来れる人なんてそうそういない。
そう思っていると、誰かの足音が廊下から聞こえてくる。
「こんな時間に誰かしら」
「看護師さんが来たんじゃないっすか」
「いや、この足音、看護師の物とだいぶ違う」
「さすがは死神ネットの使い手。検索が早いっすね」
「検索ぐらいなら負担は少ないから。でも知り合いにこんな人はいな・・・・・」
「どうかしたっすか?」
「なんで、なんでこんな奴がこっちに向かって来るのよ」
焦りを感じ、独り言を言うミユを、呆れた様子で見るラン。
ドアが開き、現れたのは、本を持ち、ジャケットを着た40代ほど男性、ヤマダセイギだった。
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