今時な死神と不死身な嫌われ者

ガトリングレックス

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第18話電撃の銃弾

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悪は絶対に許さない。
そう誓ったのはストロンギストになる前のジャスティスに会った時から。
犯罪者はもれなく地獄に送って来た。
もう1度味わってみたかった。
悪の存在を消すことを。
正義の味方になった気分だった。
誰にも評価されなくてもいい。
自分が満足ならそれで・・・・・。

電気が音を立て、ヒカルはセイギにゆっくりと向かって行く。
「仕事でもないことを俺にやらせるな。この正義マンが」
「殺してやる。無実の相手を牢獄に入れようとするお前を!」
「俺はただ仕事をしてるだけだ。それを邪魔するなら、お前も署に送ってやる」
そう言ってポケットから取り出したのは、夏祭りでよく景品としてあるモデルガンだ。
「なに?」
セイギはモデルガンを本当のピストルと認識する。
スライドをし、BB弾をマガジンから射出部分に移動、銃口を黒き戦士に向ける。
立ち上がろうとするが、あまりの激痛にセイギは再び膝をつく。
トリガーを引かれた瞬間、光線が放たれる。
「ディフェンス!」
緑の姿に変化し、防御力を上げる。
セイギの腹に命中、そのあまり衝撃に大きく吹き飛ばされる。
道路に叩きつけられ、水切りの様に3回ほどバウンドし、倒れ込む。 
「ディフェンスの姿でもこの破壊力はさすがにきついぞぉ」
「トランスフォーム・・・・・・俺は負けない・・・・・・絶対に・・・・・・勝つ」
「諦めないことはとても大切だ。でも自覚しろ。今のお前はあいつに勝てない。大体ストロンギストと手分けするなどと慢心した結果がこれだ」
「そう言うなよ・・・・・・それだけこの町には悪が蔓延はびこってるんだ・・・・・・ここで逃げたら・・・・・・自分の正義が廃れる気がする」
「まあそれはセイギの自由だ。私も全力で支援する。死ぬんじゃないぞ」
「分かったよ」
力を振り絞り、立ち上がる黒き戦士。
「だから言ってるだろ。俺に無駄なことをさせるな」
その声で焦点をヒカルに合わせると、モデルガンの部品やら破片が飛び散っている。
光線を放つ仕組みはこうだ。
まず電気を集中的にBB弾の内側に送り込む。
トリガーを弾く事でBB弾が暴発し、モデルガンは衝撃に耐えられず粉砕される。
電気はまるで光線の様に真っ直ぐ飛んで行き、ターゲットを始末する。
通称電磁砲レールガンと言われるこの技をもしディフェンスの姿でない状態で受けていれば、セイギは死んでいた。
そう思うと心臓の鼓動が早くなった。

「実験は十分だ。兵器としてロマンではなく、実用化するには実に使いやすいだろう」
「中々の成績。ロボット働きアリとして良く働いた。30人以上をこの短時間で仕留めている」
「イレギュラーの事は起きたが、あれは上が送ってきた安物だ。量産すれば高値で売れるぞ」
3人の兵士がビルの跡地に集まって会話をしている。
それは戦争に使う兵器の実験についてだ。
実用性は果たしてあるのかをこの町を使って実験をしていた。
彼らはデバイスでバイロンのカメラにアクセス。
結果を確認していた。
兵士の1人はデバイスで上に報告する。
繋がった。
「もしもし、こちらチームファング。実験は成功だ。これから撤収する」
『分かった。すぐに戻って来い。まだ仕事は山ほどあるからな』
「通信を終了する」
電話を切り、デバイスをポケットにしまう。
「早く戻って仕事をしろだとよ」
「休息はない、それぐらい分かっていたこと」
「そうだ。俺達は金が貰えればそれで良い、だろ?」
2人の言葉に、頭を抱え、ため息を吐く。
すると突然銃声が聞こえた。
心臓部を銃弾が貫通し、兵士1人が死亡する。
「撤収するぞ」
「あっ、あぁ」
遺体を放置し、その場を離れ、車に乗り込む。
スタートボタンを押し、エンジンをかけ、走らせる。
「クソ、一体誰だ。俺達を狙ってる奴は」
「これからこの町を出る。とりあえず脱出することを考えろ」
ここから町を出るのに車で大体10分かかる。
その間に敵に襲われる可能性がある。
青信号を左に曲がり、橋を渡って行く。
「ここを抜ければ町を出られるぞ」
安堵の表情を浮かべる兵士達。
だがその時だった。
突然車が爆発した。
幸い車が爆発した場所から他の車が遠くにいたため、連鎖して爆発することはなかった。
「お前達は悪。死ぬべきなんだ。しかし兵器の情報が漏れてしまった」
そう言うのは最強の暗示であるストロンギストだった。
「さて、セイギとトランスフォームのところへ戻るとするか」
相棒であるセイギが持っている正義の殺人の位置を割り出そうとしていると、傷だらけの兵士達が車から出て来た。
「まだ死んでいなかったのか」
「我々チームファングがなぜここまで生き残ってきたか、分かるか」
「たかが人間。されど人間。なにかしら強化改造手術を受けている。それ以上は分からない」
そう言っている間に、撃たれて死亡したはずの兵士が、マシンガンを構えながら歩いて来た。
「まったく、死んだふりをしていれば死なずに済んだのになぁ。消えてもらうぞ、勇敢で愚かな兵士達」
ストロンギストの中で、油断の一文字はあの頃からない。
そう、セイギとトランスフォーム、共に戦うことを決心してからだ。
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