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第23話上空での音色
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川原での戦い。
パペットの使い手はあまりの戦闘のテンポの早さについていけなくなっていた。
「ヒェ!? 私達、あの方に勝てるかなぁ・・・・・」
自信をなくし始めたその時だった。
「安心しろ」
パペットが喋り出し、パペットの使い手に安心を与えようとする。
「私の能力は攻撃の反射。ターゲットが攻撃を仕掛ければその分の代償をくらう。鏡が光を反射するようにな」
パペットの使い手の能力は魔物、精霊を使役すると言う物。
しかし人間は魔物、精霊を視認することは一部を除いてできない。
なのでパペットに取り憑かさせ、能力を発揮させているのだ。
だがそのカラクリをウェポンはまだ知らない。
(こいつは攻撃を反射する。ならば)
分からないなりに、戦略を練り、導き出した答えは。
なんと、逃走だった。
「逃がさないでください!」
パペットの使い手の声でパペットの見た目が変わり、白い翼を持つディフォルメされたイーグルマンになる。
「飛んで行くぞー!」
パペットはパペットの使い手の体を浮かせ、ウェポンを追いかける。
(かかったな)
ウェポンは触手を川原に叩きつけ、その反動で高く飛び上がる。
それに合わせ、上空にパペットの使い手は飛んで行く。
(よし、今だ)
次元の裂け目から戦闘機に搭載されていたが、あまりの破壊力に戦争で使用が禁止されたと言う、大量の爆弾を爆竹の様に取り付けた兵器を投下した。
パペットは見た目を変え、鏡の鎧の騎士になる。
「精霊さん! 今出て来ないでください!」
「うん? なぜだ?」
兵器の爆発を反射しようとすると、パペットの使い手の体内に負荷がかかり、口から血を吐く。
落ちる勢いで息ができなくなり、さらにパペットを付けている左腕の骨が爆風で折れてしまう。
「予言してやる。パペットの力を失った者の末路。それは川原の石に全身を強打し、死亡するとなぁ!」
ウェポンは体をパペットの使い手の方に向け、触手を絡ませ、クッション代わりにする。
パペットの使い手の絶望した顔を見て、笑いながら、川原に激突した。
折れる骨と悲鳴のコラボ。
触手を鎧に巻きつけ、着地すると、パペットの使い手の悲痛な顔を見て、笑いながら腹を足で思いっきり踏みつけ、血を吐かせる。
「俺に挑んでおきながら、こんな単純な罠に引っかかるとは、面白いの意味が変わってしまったなぁ。戦っていて面白いんじゃない、考えが単調で間抜けだから面白い!」
再び笑いながら腹を足で踏みつけ、悲痛な声と共に死亡させた。
「フフ、さて、帰るとするか」
鎧の返り血を触手で拭い、川で洗い流すと、鎧に巻きつけ、笑いを堪えながら、さっき入った次元の裂け目にゆっくりと入って行く。
そこには戦いを間近で見ていたコサメとブラッドが驚愕している姿があった。
本当に殺したっと。
「買い物袋を持っていてくれて感謝する」
平然としているウェポンの一言にブラッドは恐怖を覚える。
もしヤマトが彼と戦うことになれば、不死身でも倒すことは不可能に近い。
こんな化け物がこの町にいることが、とても恐ろしく思う。
戦い方がとても残酷で、とてもじゃないが敵にしたくない相手だ。
「いえいえ、どうぞ」
コサメがエコバックを渡すと、ウェポンは次元の裂け目を閉じる。
「さっきの戦いで俺に失望しないでほしい。俺はただ戦いを挑まれたから殺しただけだ」
「あなたがとんでもない悪魔なのは分かったわ。でもそれはマスターとの約束なんでしょう」
ブラッドの言葉にコクリと頷く。
「マスターは自分より先に死ぬなと言っていた。だから死なない。しかし、あいつがこの町にいる」
「あいつって?」
「かつて戦った正義の暗示。あいつは戦いの中で最強の暗示になった。だからお前達も気をつけろよ」
そう言ってウェポンは後ろを振り返り、その場を去る。
「私達も帰りましょうか」
「はっ、はい」
コサメとブラッドもその場でにこやかに別れを告げた。
恐怖の現場を見てしまったブラッドは、心を落ち着かせ、施設であるマンションに帰ろうとする。
(きっと雇われ屋はウェポンを狙って襲いかかるなり暗殺なりしてくる。ヤマトが言っていたミガニシミユって子なら始末できてしまうでしょうね。だけど、本当にそれで良いのかしら?)
ご近所づきあいをすると決めた以上、たとえ悪魔であろうとも、仲良くしなければならない。
体内時計を確認すると、夕方の16時過ぎだと分かる。
(うん、ちょっと遅れちゃった。早く帰らないと)
少し早足で歩いて行き、何事もなくマンションに帰ることができた。
「キリアちゃん、なに描いてるのぉ」
おばあちゃんは笑みを浮かべながら孫の絵を見る。
「お友達を描いてるの~、でもみんな消えちゃった」
画用紙に描いてあったのは、黒いローブを着た者達だ。
「これがキリアちゃんのお友達? すごく良く描けてるじゃない」
「うん、みんなにまた会いたいなぁ」
「そうねぇ、そう言えば学校はどうぉ? 楽しい?」
「うーうん、みんな私を頭が悪いっていじめるの・・・・・」
「あら、それはかわいそうにねぇ」
会話をしている間におじいちゃんが帰って来る。
「ただいまー」
「「おかえりー」」
この会話からでは想像できないほど、孫の能力は凄まじい物だ。
だがそれはストロンギストによって破壊された。
そのはずだった。
パペットの使い手はあまりの戦闘のテンポの早さについていけなくなっていた。
「ヒェ!? 私達、あの方に勝てるかなぁ・・・・・」
自信をなくし始めたその時だった。
「安心しろ」
パペットが喋り出し、パペットの使い手に安心を与えようとする。
「私の能力は攻撃の反射。ターゲットが攻撃を仕掛ければその分の代償をくらう。鏡が光を反射するようにな」
パペットの使い手の能力は魔物、精霊を使役すると言う物。
しかし人間は魔物、精霊を視認することは一部を除いてできない。
なのでパペットに取り憑かさせ、能力を発揮させているのだ。
だがそのカラクリをウェポンはまだ知らない。
(こいつは攻撃を反射する。ならば)
分からないなりに、戦略を練り、導き出した答えは。
なんと、逃走だった。
「逃がさないでください!」
パペットの使い手の声でパペットの見た目が変わり、白い翼を持つディフォルメされたイーグルマンになる。
「飛んで行くぞー!」
パペットはパペットの使い手の体を浮かせ、ウェポンを追いかける。
(かかったな)
ウェポンは触手を川原に叩きつけ、その反動で高く飛び上がる。
それに合わせ、上空にパペットの使い手は飛んで行く。
(よし、今だ)
次元の裂け目から戦闘機に搭載されていたが、あまりの破壊力に戦争で使用が禁止されたと言う、大量の爆弾を爆竹の様に取り付けた兵器を投下した。
パペットは見た目を変え、鏡の鎧の騎士になる。
「精霊さん! 今出て来ないでください!」
「うん? なぜだ?」
兵器の爆発を反射しようとすると、パペットの使い手の体内に負荷がかかり、口から血を吐く。
落ちる勢いで息ができなくなり、さらにパペットを付けている左腕の骨が爆風で折れてしまう。
「予言してやる。パペットの力を失った者の末路。それは川原の石に全身を強打し、死亡するとなぁ!」
ウェポンは体をパペットの使い手の方に向け、触手を絡ませ、クッション代わりにする。
パペットの使い手の絶望した顔を見て、笑いながら、川原に激突した。
折れる骨と悲鳴のコラボ。
触手を鎧に巻きつけ、着地すると、パペットの使い手の悲痛な顔を見て、笑いながら腹を足で思いっきり踏みつけ、血を吐かせる。
「俺に挑んでおきながら、こんな単純な罠に引っかかるとは、面白いの意味が変わってしまったなぁ。戦っていて面白いんじゃない、考えが単調で間抜けだから面白い!」
再び笑いながら腹を足で踏みつけ、悲痛な声と共に死亡させた。
「フフ、さて、帰るとするか」
鎧の返り血を触手で拭い、川で洗い流すと、鎧に巻きつけ、笑いを堪えながら、さっき入った次元の裂け目にゆっくりと入って行く。
そこには戦いを間近で見ていたコサメとブラッドが驚愕している姿があった。
本当に殺したっと。
「買い物袋を持っていてくれて感謝する」
平然としているウェポンの一言にブラッドは恐怖を覚える。
もしヤマトが彼と戦うことになれば、不死身でも倒すことは不可能に近い。
こんな化け物がこの町にいることが、とても恐ろしく思う。
戦い方がとても残酷で、とてもじゃないが敵にしたくない相手だ。
「いえいえ、どうぞ」
コサメがエコバックを渡すと、ウェポンは次元の裂け目を閉じる。
「さっきの戦いで俺に失望しないでほしい。俺はただ戦いを挑まれたから殺しただけだ」
「あなたがとんでもない悪魔なのは分かったわ。でもそれはマスターとの約束なんでしょう」
ブラッドの言葉にコクリと頷く。
「マスターは自分より先に死ぬなと言っていた。だから死なない。しかし、あいつがこの町にいる」
「あいつって?」
「かつて戦った正義の暗示。あいつは戦いの中で最強の暗示になった。だからお前達も気をつけろよ」
そう言ってウェポンは後ろを振り返り、その場を去る。
「私達も帰りましょうか」
「はっ、はい」
コサメとブラッドもその場でにこやかに別れを告げた。
恐怖の現場を見てしまったブラッドは、心を落ち着かせ、施設であるマンションに帰ろうとする。
(きっと雇われ屋はウェポンを狙って襲いかかるなり暗殺なりしてくる。ヤマトが言っていたミガニシミユって子なら始末できてしまうでしょうね。だけど、本当にそれで良いのかしら?)
ご近所づきあいをすると決めた以上、たとえ悪魔であろうとも、仲良くしなければならない。
体内時計を確認すると、夕方の16時過ぎだと分かる。
(うん、ちょっと遅れちゃった。早く帰らないと)
少し早足で歩いて行き、何事もなくマンションに帰ることができた。
「キリアちゃん、なに描いてるのぉ」
おばあちゃんは笑みを浮かべながら孫の絵を見る。
「お友達を描いてるの~、でもみんな消えちゃった」
画用紙に描いてあったのは、黒いローブを着た者達だ。
「これがキリアちゃんのお友達? すごく良く描けてるじゃない」
「うん、みんなにまた会いたいなぁ」
「そうねぇ、そう言えば学校はどうぉ? 楽しい?」
「うーうん、みんな私を頭が悪いっていじめるの・・・・・」
「あら、それはかわいそうにねぇ」
会話をしている間におじいちゃんが帰って来る。
「ただいまー」
「「おかえりー」」
この会話からでは想像できないほど、孫の能力は凄まじい物だ。
だがそれはストロンギストによって破壊された。
そのはずだった。
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