生と死の間の少年少女

十六夜ノ月

文字の大きさ
上 下
38 / 42

消滅

しおりを挟む
「大したものだよ。No.3316」

静かに消滅しながら、No.8019は言う。
もう下半身は消滅している。


「あーあ…
これが『消滅』か…。僕が倒した三周目の人達は、こんな気持ちだったのかな…」

「おい、No.8019…」

「No.3316、君は僕の分まで生きてくれるって言ったね。
…他には、僕より強い人ばっかりだよ。
特に…No.1214は気を付けた方が良い。君は火使い…いや、炎使いだから。
彼女は炎使いをとても恨んでいる。

…それでも、君が生き返るのを、僕は願ってるから。」

「ああ…ありがとう。」

No.8019は肩まで消滅した。
それでも表情を変えずに言う。


「あ、最後に一つだけ。」

「何だ?」


「…僕、自分の事『僕』って言ってるけど、
実はね、女の子なの。私。」


…俺はその言葉に笑顔と一言だけ返した。







「そんなの、最初っから気付いてたよ。」
しおりを挟む

処理中です...