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四話
寄り道オブザデッド
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砦に巣食う悪霊は居なくなった。村の司祭に報告すると泣いて喜んでくれた。
「ああ、ありがとうございます。これでようやくグラジオラス様は女神様の下に……」
泣いて感動しているが当の本人は村の外で待機している。今も元気に素振りをしているだろう。だがそんな野暮な事を俺が言う訳なく。
「ええ、安らかな表情で天に上って行きました」
嘘は言っていない。実際そんな表情でちょっとだけ上がっていったんだ。直ぐに降りてきたけど。
そんな感動的な場面でもメリアは何か言いたげであるが事が事だけに何も言えないでいる。よく見とけ何でもかんでも真実をそのまま言えばいいってもんじゃないんだよ。
司祭の婆さんは俺とメリアに固い握手して送り出してくれた。
教会を出て次は馬車の確保が必要になる。グラジオラスも同行するので今まで乗ってきた馬車に乗る事が出来ない。これまでお世話になった御者には砦でやる事があると言い先に帰ってもらった。仲間に引き込もうとグラジオラスが言っていたが、ただの御者に教会の転覆を打ち明けるなど本人も荷が重いだろう。もしかしたらアイツは俺達を見張る監視かもしれないしな。
そして村で馬と馬車を買いそれに乗って行く事になった。これからの活動に自由に使える馬が欲しかったらしい。何だかメリアはノリノリで準備をしている。メリアはそれなりに金を持っていた。それなら何で今まで狭い質素な教会で寝泊まりさせたんだよ。
村の外に出て森の中で待機していたグラジオラスと合流して三人の帰りの旅が始まった。
まずはグラジオラスにデカい外套を羽織ってもらった。コイツの鎧は脱げないらしく、人前でそのまま歩く訳にはいかない。だから外套で全体を隠す事にした。外套と言ってもただデカいボロ布だ。それでも無いよりマシだろう。
顔を隠す兜は村には無かったので道中良さげな物を見繕うつもりだ。グラジオラスの為ならメリアは金に糸目をつけないからな。
グラジオラスが御者台に座ると色々面倒くさい事になりそうなので御者はメリアが担当する事になった。三人だけなのでこれからの作戦会議を堂々とできる。
「それでは教会を再建すべく、これから行う作戦を考えよう」
「はい!グラジオラス様!」
二人はご機嫌だ。巨悪を倒す正義の味方になったつもりなのだろう。いい歳してやめてくれよ。こっちはそんな事しないでのんびり平和に暮らしたいのに。
「まずはトライソーンを捕まえて聞き出そう」
「分かりました。私が聞いてきます!」
「ちょっと待て!お前ら本気か!」
俺は慌てて止めた。
「何だウンスイ、大声を出して」
とメリアが不機嫌な顔をしている。
「何だじゃねーよ。メリアが直接聞いて、トライソーンが私がやりましたとでも言うと思ってるのか?」
「え!それは……その」
「否定するに決まっている、そしてトライソーンは上に報告をして必ずメリアを殺しにかかるぞ」
「う……確かにそうだな」
「ならば何か案があるのか?」
「聞き出すにしてもトライソーンが言い逃れ出来ない状況にしないといけない。それが出来るのは……」
「グラジオラス様だけだ!グラジオラス様が殺されたと大々的に公表すればいいのだ!」
「なるほど!」
「いや無理だろ。グラジオラスは一応悪霊だぞ。誰が信じるんだ」
こいつら何事も真正面過ぎる。騎士がそうなのか、それとも宗教にどっぷりだからそうなのか。
「トライソーンから聞き出すのはグラジオラスの役目だろう。だがなるべくトライソーンが一人の状況がいい。他の人間にバレると何されるか分からないからな」
あくまで内密に聞き出さなければならない。お前らがどうなろうが知ったこっちゃないが、ここでメリアが変な行動を起こしたら確実に俺が疑われる。
「うーん、それは難しいかもしれない」
メリアが異を唱えた。
「何でだ?」
「トライソーン騎士団長は聖都から滅多に出ないのだ。常に教会内に居て一人になる隙を付くのは容易ではない」
「え?騎士団長なのに働かないのか?」
「ああ、大規模な作戦以外は滅多に現場に来ない」
それでよく騎士団長をやってられるな。もしかしたら上の連中が怪しい動きをしないように見張っているのかもしれないな。
「トライソーンめ、騎士団長でありながら聖都に引きこもっているなど騎士として恥ずかしくないのか」
「はい!騎士たるもの常に危険と隣り合わせの戦場に赴き、民の為に剣を振るうのが責務の筈です」
「その通りだメリア。君こそが本物の神聖騎士だ」
「有り難きお言葉!」
あー、こいつらが教会から疎まれるのも分かる。こんなのがウロウロしてたらやってられないだろ。俺だってうざったい。
「あー分かった、分かった。それでトライソーンを誘い出す為には何か理由が必要って訳だな」
「む、まあ、その通りだ」
「前回トライソーンが出撃したのはどんな時だ?」
「うーむ、確か法王様が他国に貴賓として招待された時に付いて行った筈だ」
「それは俺たちには無理だな」
「後はアンデットが大量発生した時には流石に出撃していたな。そんな時も引きこもっている訳にはいかないからな」
やはり個人で出来る範疇を超えているな。
「やはり聖都で一人になる機会を待つしかないだろう」
トライソーンをどうやって一人の状況を作り出し言い逃れができない状態で聞き出す事が必要だ。
何で俺はこんな事を考えなくちゃならんのだ。こいつらが大人しくしてればこんな事になっていないのに。
「やはり夜中に襲撃するか」
「はい!お供します!」
「だからやめろって!」
少し議論が行き詰まると直ぐにコイツらは強行策に出ようとする。脳筋共が。道中何度もこのやりとりをして馬車は進んでいった。ああ、早く一人になりたい。
何の作戦も決まらないまま帰りの旅は続いて行く。まあ、何にも決まらないならそれはそれでいい。コイツらが大人しくしてくれていれば俺も何もしなくていいからな。
後は教会内でどう立ち回るかだ。一応グラジオラスは消滅した事になっている、もしかしたらまた何処かに連れて行かれて除霊する事になるかもしれない。それならダラダラ旅するのも悪くない。その時はグラジオラスを連れて行こう。コイツがいれば俺もそれなりに安全だからな。別にどいつもこいつも説得しなくてもいい、何で真面目に除霊なんかせにゃならんのだ。
「メリア、この道であっているのか?」
「何か間違えましたか?グラジオラス様」
「このまま行くとアナスタシアに着かない筈だ」
帰りの旅も行きと同じ街を通っているので俺も分かるが、アナスタシアなんて街には泊まらなかった筈だ。グラジオラスは頭と体が分離してボケているのか。
「そうでした、グラジオラス様は知る筈もないですよね。二十年も砦にいたので」
「アナスタシアで何かあったのか」
「はい、十年前、突如アンデットの群れに街が襲われて滅びました」
「なんて事だ、それで街はどうなったのだ。何で復興していない」
「それが街の司祭が悪霊と化し、大勢のスケルトンを使役していて奪還出来ないでいるのです。それでアナスタシアは諦めて別の街を作る事になりました」
「私が知らぬ間にその様な事が」
へー、恐ろしい事もあるもんだ。とんでもない世界だここは。早く日本に帰りてーな。そしてたら貯金もあるし霊媒師から足を洗うか、また自称神にこの世界に連れてかれる可能性もある。
「もしかして悪霊と化したのはカクタス司祭か?」
「そうです、ご存知なのですか?」
「ああ、私が若い頃からお世話になった司祭様だ。優しくみんなに慕われていた」
「思い出深いお人だったのですね」
「ああ……」
グラジオラスは黙ってしまった。そもそも二十年も前に生きていたんだ、死んだ知り合いくらい一人二人いるだろう。感情に浸っているなら好きにさせよう。何か言って変な事を思い付かれたら堪ったもんじゃない。
「ウンスイ、カクタス司祭を助けられないか?」
ほら出た、こう言う事だよ。
「やはり騎士たるもの見逃せませんよね!」
メリアも乗せるなよ。何で俺がそんな一円にもならない事をしないといけないんだ。
「今まで除霊が出来てないって事は騎士団でも手を焼いてるんだろ?俺達だけで出来るの訳ないだろ」
「ウンスイ、これは悪い話では無いのだ」
グラジオラスは真面目な顔をしている。
「俺に何の得があるんだ」
「カクタス司祭は恐らくリッチーと言う悪霊になっている。リッチーは意のままにスケルトンを操る事が出来るのだ。もしカクタス司祭を我々の仲間に出来れば」
「なるほど!スケルトンの軍勢を使ってトライソーンを戦場に誘き出す事が出来るのですね!」
「その通りだ」
完全に作戦が決まってきてる。このままじゃ俺はそのスケルトンの巣窟に行く羽目になる。ここはきっちりと抗議しなければならない。俺には何の得も無いしな。
「だからどうやって騎士団でも敵わなかった相手に近付くんだよ」
「ウンスイ、お前は誰も敵わず二十年も縛られ続けた私に立ち向かったのだ。お前なら出来る」
「グラジオラス様もそう言っている。やるんだ」
「ちょっと待て!だから!」
「メリア!アナスタシアに向かってくれ!」
「了解!」
メリアは馬を操り方向転換した。
ああ、これだから話を聞く気の無いやつは嫌いなんだ。俺だけ逃げようにもこの世界に一人で生きる事も出来ない。人数不利になった時点で俺の運命は決してしまったのかもしれない。
こんな事ならグラジオラスをさっさと昇天させるべきだった。
後悔してももう遅い。馬車は使われなくなった荒れた街道をズンズン進んでいく。
ああ、いったい俺はどこで選択を間違えたのだろう。
はい、着いてしまったアナスタシアという街に。いや街だった所と言うのが正しいだろう。今や誰も住んでなく、野盗すら近付かない。悪霊が出るからこれが本当のゴーストタウンってか、馬鹿野郎。
そんな事考えている暇は本当はない筈なのだが、俺はやけになっている。街の前まで着くと昼間だというのに街全体がどんよりと薄暗い。黒い霧の様なものが立ち込めている。この手の黒い霧だか瘴気だかは悪霊を見つけるたびに見てきたが街全体を覆う程とは恐れ入った。
だから帰ろう。なんてったって三人で、しかも俺は戦力外なのにこの街に突撃するなんて無茶だ。こいつらも戦闘のプロなんだろ?だったら無理な事くらい分かれよ。
「あの美しい街が……」
「グラジオラス様……心中お察しします」
なら俺の心中も察しろよ。露骨に嫌顔してるだろ。ほら見ろよ、ほら、ほら、ほら。
「それでその司祭様とやらは何処にいるんだ?」
「街の中央に教会がある。居るとしたらそこだろう」
「分かりました!」
結局俺も行かざるおえない。一人で待つより二人に付いて行ったほうが安全なのは明白だからだ。
メリアが街に一歩踏み入れた瞬間、地面からわらわら骸骨が出てきた。
「おい、グラジオラス!こいつらを説得するのか!」
「コイツらはスケルトンだ。悪霊ではなく魔物の一種だ。説得は無理だ」
そこの違いはよく分からないが話の通じない相手なのは分かった。体を動かす筋肉もないのにどうやって動いているんだ。そして目も耳も無いのに明らかにこちらに向かって来ている。
「行くぞ!メリア!」
「はい!」
二人してスケルトンに切り掛かって行く。切られたスケルトンはカタカタ音を立てて崩れ去っていく。動き自体は遅くそこまで厄介な相手では無いと思う。正直俺だって剣持ってりゃ倒せるだろう。
ただいかんせん数が多すぎる。倒しても倒してもワラワラ出てきて、一向に前に進めない。二人では明らかに人数不足である。このままでは消耗してこちらが潰れてしまう。デュラハンになっているグラジオラスに体力と言う概念があるのかは分からないがメリアは明らかに疲れが見える。
「一回撤退しよう!メリアが限界だ!」
「私はまだやれる!」
「中央まで持つのか!失敗すれば帰りも剣を振るんだぞ!今だって撤退する為の体力がいるだろ!」
「だが!」
「いや、撤退しよう」
「……分かりました、グラジオラス様」
さっさとそうしろよ。何の算段があって突撃したんだコイツらは。
街の入り口まで撤退した俺達は息も絶え絶えだった。死んでいるからかグラジオラスの呼吸は乱れていない。
「はぁ、はぁとりあえず近くの街で休もう、暗くなってた」
「私はここにいる。どうせ街中には入れないからな」
「なら私もお供します!」
いや駄目だろ、馬を操れない俺もここで待機となる。
「メリアはウンスイと街で休め。私の心配は要らん」
メリアは不満そうな顔をしている。街で休めるのに何が不満なのだ。
「グラジオラスにはグラジオラスの考えがあるんだよ。俺達は生きてるんだから飯も必要だし睡眠も必要だ。ここはグラジオラスに任せよう」
「ウンスイの言う通りだ。明日またここで合流しよう」
「分かりました」
すんなりグラジオラスの指示に従ったメリアと一緒に馬車で本来の目的地である街に向かった。その道中メリアは何度も後ろを振り返ってはグラジオラスの心配していた。
「やはり戻った方がいい」
「大丈夫だって」
「何故そう言い切れる」
「悪霊って奴は神聖な武器とか魔法じゃないと倒せないんだろ?じゃああの廃墟でグラジオラスを倒せる奴はいない筈だ」
「確かにそうだが」
「それにグラジオラス一人の方が動き易い事もあるだろう。それとも天下の最強騎士団長様はそんなにも弱っちいのか?」
「グラジオラス様を馬鹿にするな!」
「馬鹿にしているのはお前だ。グラジオラスが最強ならお前は何の心配している」
「……」
「要らぬ心配だって事だよ」
ようやくメリアは落ち着いてくれた。大丈夫だと頭で分かっていても心配になるのが人間ってもんだ。だから人は分かる形で拠り所が欲しくなるのだろう。それの拠り所が紛い物だとしても問題ない。なんせ本人が心配しているだけで問題など起きないのだから。
街に着くといつもの様に教会に泊まらせてもらう。そこで俺は片手で持てるほどの大きさの女神像が飾られているの見かけた。俺が女神像を眺めているとメリアが話しかけてきた。
「何だ?遂に信仰心が芽生えたか?」
「いや、そうじゃない。スケルトンにも神聖武器って効くのか?」
「普通の武器でも倒せるが、神聖武器ならより効果的だ」
「なるほどね」
「そんな事より早く寝るぞ。明日の早朝直ぐにアナスタシアに向けて出発する」
「はいはい」
メリアは母親の様に忠告してから自分の部屋に入っていった。
グラジオラスがアナスタシアにいる以上、明日も必ず行かなくてはならない。あの様子だと諦める事も無いだろう。俺も腹を括るしかない。
あのスケルトンを操れる奴をこちらに引き込める事が出来れば確かに強力な戦力なる。兎に角、出来る限りの準備をしていこう。
俺は通りかかった男性の若い修道士に声を掛けた。
「すいません、ダニーさん。少しよろしいですか?」
「ウンスイ様、どうされました?」
この見習いも俺が丁寧な対応をしているおかげで柔らかな対応をしてくれている。行きの道中でしっかりと交流した成果がここで出ていた。
「こちらの女神像を明日お借りできますか?」
「えっと、構いませんがどの様な理由で?」
「明日、アナスタシアに行くのです」
「本当ですか!」
男性はこちらの予想以上に驚き喜んだ。
「はい、それでこちらの女神像の祝福を少しばかりお借りしたいのです」
「それでしたらどうぞお持ち下さい」
「ありがとうございます」
「遂にカクタス司祭が救われるのですね」
「お知り合いなのですか?」
「はい、私は元々アナスタシアに住んでいました。そこでカクタス司祭には大変お世話になっていたのです」
「それは辛い過去をお持ちで」
「いいえ、辛いのは女神様の下へ行けず彷徨っているカクタス司祭です。どうかカクタス司祭をお救い下さい」
男性は深々と頭を下げて懇願した。故郷を追われ、恩人も悪霊になってしまったコイツの境遇は流石に可哀想だ。この街にはそんな奴らが大勢いるのだろう。
「どうかお顔を上げてください。出来る限りの事をやってみます」
「お願いします」
男性と別れ、俺は女神像を持って自室に入った。明日はこの女神像に活躍してもらう。どれだけ効果があるか分からないが試す価値はある。
俺は女神とやらを信仰もしていないし、尊敬もしちゃいない。ただこの女神像に宿る神聖という力は便利なものだと身を持って知っている。
今日もアナスタシアの街の前に来ていた。グラジオラスは無事で俺達を待ってくれていた。
「ご無事でしたか」
「ああ、夜中も何度か侵入を試みたがやはりスケルトンの数が多くて前に進めない」
「そうでした。ですが私もしっかり休んできました。今日こそお力になります」
「心強いな」
メリアは盛り上がっているがこの調子では今日も突破は無理だろう。
「本当にカクタスの所に行くんだな」
「ああ、今日が無理でもまた準備を整えて何度でも挑戦するつもりだ」
何日もここらをウロウロするのは願い下げだ。隣の街ならまだしも、さらに遠くまで行って準備するとか言い出しかねない。グラジオラスには寿命は無いだろうがこっちの時間は有限だ。無駄な時間は過ごしたく無い。
「カクタスの所に行くのにどんな手段を用いてもいいのか?」
「構わない」
「言ったな?」
「ああ、騎士に二言は無い」
俺は声を出さずに笑った。
俺達は荒廃した街中を堂々と歩いている。俺は女神像にロープを巻きつけて頭上でブンブン振り回してながら歩いている。
女神像に触れたスケルトンは砕かれ消滅し、他のスケルトンは近付こうにも近付けず俺達の周りを取り囲んでいるが手出し出来ずウロウロしている。
この女神像を振り回して出来る神聖なる結界の内側にはスケルトンどもは入る事が出来ない。まるで小学生が縄跳びでブンブン振り回す様な幼稚で単純な発想だが、予想通りの結果に笑いが止まらない。
「これは女神様の侮辱だぞ!」
メリアは怒っているがちゃんと俺が振り回すロープの内側にいる。
「そんなに嫌なら出て行けばいいじゃないか」
「くっ」
「まあ、これも女神様の祝福だな。こんな俺でも守ってくれるんだ。本当、女神様は誰にでも分け隔てなくて慈愛に満ち溢れている」
「まさかこんな方法があろうとは」
グラジオラスの言う通りだ。コイツら信徒は女神像を振り回すなんて不敬な発想をそもそも持ち合わせていないのだろう。例え思いついても誰にも言えないだろうし、騎士団でこんな方法を使える訳がない。
それにしてもあの自称女神を形どった像を好きなだけ振り回せるなんて愉快、愉快。しかも信徒の目の前でだ。久々に気持ちのいい時間を過ごしている。
剣を使えない俺に強力な武器ができたことはなりよりの成果だ。悪霊退治もこれから楽しくなりそうだ。
そんな風に女神像をブンブン振り回しながら街の中心部へと進んでいくにつれて黒い瘴気は濃くなっていき、元凶に近付きつつあるのが確信できた。
「もうすぐ街の中心だ」
「ここからが本番ですね」
メリアはカッコよく決めているがお前はその本番に何をするんだ。説得も俺の仕事の筈だろ。お前の本番って何なんだ。
文句を喉の奥に飲み込みつつ歩いていると前方に不審な奴がいるのに気付いた。
「なんか宙に浮いている奴がいないか?新種か?」
「司祭服を着ている。おそらくあれがリッチーになってしまったカクタス司祭だ」
他のスケルトンは全裸だが、宙に浮いているスケルトンは司祭服を着ていて何やらぶつぶつ言っている。グラジオラスと違って完全に白骨化して悪霊になっている。そこの差は何かあるのか?
ようやくカクタスらしきリッチーの目の前に着くとグラジオラスが叫んだ。
「カクタス司祭!私です!グラジオラスです!」
「やってやる……やってやる……やってやる……」
コイツもこえーよ。悪霊になるとどいつもこいつもぶつぶつ何かを唱えていやがる。それに全く聞く耳を持っていない。いや、骸骨なんだから耳なんて最初から無いのか。でも声帯もない筈なのに声を出してるからなあ。本当に非常識な奴らばかりだ。
「私です!グラジオラスです!話を聞いて下さい!」
どんなに叫んでもカクタスは反応しない。正気を失っていてこちらに気付いていない様だ。仕方ないまた手荒な方法だがこっちを見てもらうか。
「少し伏せてろ」
そう言って俺はブンブン振り回している女神像をカクタスにぶち当てた。女神像はカクタスの胴体に当たり、鈍い音を立てて地面に落ちてきた。
「がっは!」
「お前!何をしている!」
「怒んなって。ほれ、これで話が通じる様になっただろ」
メリアを宥めてる間にグラジオラスが叫んだ。
「カクタス司祭!ご無事ですか!」
「う、う……その声はグラジオラスか……」
「そうです!グラジオラスです!お久しぶりです!」
「お前は十年前、戦死した筈では」
「私も悪霊となりこの地に留まっているのです」
「そうか……お前もか」
どうやらまともに話せる様になった。なら俺からの要望は、
「それより周りのスケルトンをどうにかしてくれ。腕が疲れてきた」
「え?ああ、すまんな」
カクタスは俺達の周りを取り囲んでいたスケルトンを地面に帰した。これでようやく腕を下ろせる。
グラジオラスとメリアはアナスタシアの現状を教えた。
「なんと、あれから十年も経っているのか」
「カクタス司祭は何をしていたのですか?」
グラジオラスは率直に質問した。カクタスの顔は骸骨なので表情が読み取り難いが喋り辛そうなのは分かる。
「この街をアンデットから守っていた。いや、お前さんの話を聞くに守っていたつもりなのだろう。アンデットはおろか誰一人この街にはいない。ワシは一体何をしていたんだろう……」
「聞いて下さい!ここに来たのは貴方にお願いがあるのです」
「悪霊となったワシにできる事等ない」
「今や教会は信用に値しません。リッチーとなった貴方の力が必要なのです」
「まさか、このワシに教会に歯向かえと言うのか?悪霊となり、街を占拠し、それでいてまだワシに罪を重ねさせるのか」
「違います。教会は権力で腐敗しているのです。教会をあるべき姿に戻すためにそのお力を正義の為に使って下さい」
「今のワシに教会を咎める資格はない。ワシも同じ罪人だ」
何だこの骸骨、しょぼくれてるのか。大体グラジオラスもいきなり本題に入りやがって。こういうのは少しずつ話を聞かなきゃいけないのに。下手くそが。これ以上話を任せても埒があかないな、俺が話すしかないか。
「それでカクタス司祭はこれからどうするんだ?」
「君は誰だ?見慣れぬ格好をしているが」
「まあ、教会関係者だ。それよりどうするだって聞いてるんだ」
「女神様に祝福されなかった悪霊はいてはならない。一思いにワシを浄化して欲しい」
「へーそれでこれまでこの街を占領して散々住人を困らせた罪を滅ぼせるとでも?」
「ウンスイ!貴様何を言っている!」
「メリアには聞いていない。今はこの責任逃れ骸骨野郎に聞いてんだ」
「責任逃れ?このワシが?」
「そうだ、十年もやりたい放題したくせにその責任を果たさずに天国に逃げようとする卑怯者だ」
「だがワシはここに居てはいけない」
「まだこの街の住人は生きている奴もいる。そしていつの日かこの街に戻ろうと必死に生きているんだ。それなのにテメーは一人で勝手に逃げて女神様に何て申し開きをするんだ?うっかり悪霊になっちゃったから許してね、とでも言うつもりか?」
「それは……女神様に罰を与えてもらう」
「だったら今しろ。しっかりやる事やってその後天国でも地獄でも好きに行けばいい。死んで責任を果たすなんて舐めた真似をするなよ」
「ならワシはどうしたらいいんだ」
「骸骨になって頭の中の脳味噌まで無くなったのか?そこらに居たスケルトンを使えばいいだろ?昼夜問わずそいつらに働かせればいいだけだ」
「しかしあれは許されざる力だ」
「誰か許さないんだ?」
「勿論女神様だ」
「十年も使ってたんだ、今更使ったところで何も変わりはしない。それに力は何のために使うが重要なんだよ」
「何のために……」
「そうだ、包丁だって料理に使うが人殺しにだって使える。だから使用を禁止するなんて馬鹿げているだろ?その許されざる力とやらも人助けに使えば何も問題はない」
「また、力に飲み込まれて自分を失うかもしれない」
「その時はまた殴って正気に戻せばいい。それにこっちには最強な騎士団長様もいるんだ、いつでもぶっ殺してやるよ」
カクタスは黙ってしまった。大体教会を倒すとかそんな事言って納得する訳がないだろ。何でこう信者共は真っ直ぐしか進めないのだ。とにかく信者共は真面目過ぎる。もっと柔軟に考えられないのだろうか。
「住人達はワシを許してくれるのか」
「そんなもんは知らない。許して欲しけりゃ行動しろ。少なくともお前の心配をしていた奴はいたぞ。そいつはアンタから子供の頃、人としての生き方を教わった。許して貰うには行動するしかないんだろ?」
まあ、そんな事は聞いていないけどな。そんな事聖典に書いてあっただけだ。ただどうせそんな説教をしていたはずだ。ガキ向けの説教なんてどれも一緒だ。
「そうだな、信仰も贖罪も行動によってのみ示す事が出来る。子供達にあれほど言い聞かせていたのに」
ほら、やっぱりしてた。馬車の中の暇な時間にグラジオラスに読んでもらってよかった。
「それで?まだ生きるか?」
「ああ、この身砕けるまで贖罪をする事を女神様に誓おう」
「カクタス司祭!よかった」
グラジオラスは喜んでいる。
「いい大人がはしゃぎおって」
骸骨だから表情は読み取り難いがカクタスは笑っている様な気がする。まあ、これで大幅な戦力強化が出来た。教会をぶっ潰すかどうかはさておき軍隊並みの力を手に入れてしまった。これは絶対にバレてたら問題になる。必ず隠し通さなければ。
「ところでなんで女神像に綱を巻きつけているんだ?朧気な意識の中でワシはハッキリと女神像を振り回しているのを見たのだが」
明らかにカクタスの空気が変わった。
「え?これ?いや、これはカクタス司祭の下に行く為に仕方なく……」
「全員そこに座れ!」
骸骨の顔で恫喝してきやがった。断れる訳ないだろ。しかも後ろにはスケルトンが現れて逃げられない様にしてやがる。
俺達の三人は街のど真ん中でカクタスによる説教を受けた。スケルトンに囲まれる説教は生きた心地がしなかった。これ地獄の刑罰の一種だろ。
大の大人に対して子供を叱り付けるように説教する様は、生前もこんな風に怒っていたのだと容易に想像できた。
「ああ、ありがとうございます。これでようやくグラジオラス様は女神様の下に……」
泣いて感動しているが当の本人は村の外で待機している。今も元気に素振りをしているだろう。だがそんな野暮な事を俺が言う訳なく。
「ええ、安らかな表情で天に上って行きました」
嘘は言っていない。実際そんな表情でちょっとだけ上がっていったんだ。直ぐに降りてきたけど。
そんな感動的な場面でもメリアは何か言いたげであるが事が事だけに何も言えないでいる。よく見とけ何でもかんでも真実をそのまま言えばいいってもんじゃないんだよ。
司祭の婆さんは俺とメリアに固い握手して送り出してくれた。
教会を出て次は馬車の確保が必要になる。グラジオラスも同行するので今まで乗ってきた馬車に乗る事が出来ない。これまでお世話になった御者には砦でやる事があると言い先に帰ってもらった。仲間に引き込もうとグラジオラスが言っていたが、ただの御者に教会の転覆を打ち明けるなど本人も荷が重いだろう。もしかしたらアイツは俺達を見張る監視かもしれないしな。
そして村で馬と馬車を買いそれに乗って行く事になった。これからの活動に自由に使える馬が欲しかったらしい。何だかメリアはノリノリで準備をしている。メリアはそれなりに金を持っていた。それなら何で今まで狭い質素な教会で寝泊まりさせたんだよ。
村の外に出て森の中で待機していたグラジオラスと合流して三人の帰りの旅が始まった。
まずはグラジオラスにデカい外套を羽織ってもらった。コイツの鎧は脱げないらしく、人前でそのまま歩く訳にはいかない。だから外套で全体を隠す事にした。外套と言ってもただデカいボロ布だ。それでも無いよりマシだろう。
顔を隠す兜は村には無かったので道中良さげな物を見繕うつもりだ。グラジオラスの為ならメリアは金に糸目をつけないからな。
グラジオラスが御者台に座ると色々面倒くさい事になりそうなので御者はメリアが担当する事になった。三人だけなのでこれからの作戦会議を堂々とできる。
「それでは教会を再建すべく、これから行う作戦を考えよう」
「はい!グラジオラス様!」
二人はご機嫌だ。巨悪を倒す正義の味方になったつもりなのだろう。いい歳してやめてくれよ。こっちはそんな事しないでのんびり平和に暮らしたいのに。
「まずはトライソーンを捕まえて聞き出そう」
「分かりました。私が聞いてきます!」
「ちょっと待て!お前ら本気か!」
俺は慌てて止めた。
「何だウンスイ、大声を出して」
とメリアが不機嫌な顔をしている。
「何だじゃねーよ。メリアが直接聞いて、トライソーンが私がやりましたとでも言うと思ってるのか?」
「え!それは……その」
「否定するに決まっている、そしてトライソーンは上に報告をして必ずメリアを殺しにかかるぞ」
「う……確かにそうだな」
「ならば何か案があるのか?」
「聞き出すにしてもトライソーンが言い逃れ出来ない状況にしないといけない。それが出来るのは……」
「グラジオラス様だけだ!グラジオラス様が殺されたと大々的に公表すればいいのだ!」
「なるほど!」
「いや無理だろ。グラジオラスは一応悪霊だぞ。誰が信じるんだ」
こいつら何事も真正面過ぎる。騎士がそうなのか、それとも宗教にどっぷりだからそうなのか。
「トライソーンから聞き出すのはグラジオラスの役目だろう。だがなるべくトライソーンが一人の状況がいい。他の人間にバレると何されるか分からないからな」
あくまで内密に聞き出さなければならない。お前らがどうなろうが知ったこっちゃないが、ここでメリアが変な行動を起こしたら確実に俺が疑われる。
「うーん、それは難しいかもしれない」
メリアが異を唱えた。
「何でだ?」
「トライソーン騎士団長は聖都から滅多に出ないのだ。常に教会内に居て一人になる隙を付くのは容易ではない」
「え?騎士団長なのに働かないのか?」
「ああ、大規模な作戦以外は滅多に現場に来ない」
それでよく騎士団長をやってられるな。もしかしたら上の連中が怪しい動きをしないように見張っているのかもしれないな。
「トライソーンめ、騎士団長でありながら聖都に引きこもっているなど騎士として恥ずかしくないのか」
「はい!騎士たるもの常に危険と隣り合わせの戦場に赴き、民の為に剣を振るうのが責務の筈です」
「その通りだメリア。君こそが本物の神聖騎士だ」
「有り難きお言葉!」
あー、こいつらが教会から疎まれるのも分かる。こんなのがウロウロしてたらやってられないだろ。俺だってうざったい。
「あー分かった、分かった。それでトライソーンを誘い出す為には何か理由が必要って訳だな」
「む、まあ、その通りだ」
「前回トライソーンが出撃したのはどんな時だ?」
「うーむ、確か法王様が他国に貴賓として招待された時に付いて行った筈だ」
「それは俺たちには無理だな」
「後はアンデットが大量発生した時には流石に出撃していたな。そんな時も引きこもっている訳にはいかないからな」
やはり個人で出来る範疇を超えているな。
「やはり聖都で一人になる機会を待つしかないだろう」
トライソーンをどうやって一人の状況を作り出し言い逃れができない状態で聞き出す事が必要だ。
何で俺はこんな事を考えなくちゃならんのだ。こいつらが大人しくしてればこんな事になっていないのに。
「やはり夜中に襲撃するか」
「はい!お供します!」
「だからやめろって!」
少し議論が行き詰まると直ぐにコイツらは強行策に出ようとする。脳筋共が。道中何度もこのやりとりをして馬車は進んでいった。ああ、早く一人になりたい。
何の作戦も決まらないまま帰りの旅は続いて行く。まあ、何にも決まらないならそれはそれでいい。コイツらが大人しくしてくれていれば俺も何もしなくていいからな。
後は教会内でどう立ち回るかだ。一応グラジオラスは消滅した事になっている、もしかしたらまた何処かに連れて行かれて除霊する事になるかもしれない。それならダラダラ旅するのも悪くない。その時はグラジオラスを連れて行こう。コイツがいれば俺もそれなりに安全だからな。別にどいつもこいつも説得しなくてもいい、何で真面目に除霊なんかせにゃならんのだ。
「メリア、この道であっているのか?」
「何か間違えましたか?グラジオラス様」
「このまま行くとアナスタシアに着かない筈だ」
帰りの旅も行きと同じ街を通っているので俺も分かるが、アナスタシアなんて街には泊まらなかった筈だ。グラジオラスは頭と体が分離してボケているのか。
「そうでした、グラジオラス様は知る筈もないですよね。二十年も砦にいたので」
「アナスタシアで何かあったのか」
「はい、十年前、突如アンデットの群れに街が襲われて滅びました」
「なんて事だ、それで街はどうなったのだ。何で復興していない」
「それが街の司祭が悪霊と化し、大勢のスケルトンを使役していて奪還出来ないでいるのです。それでアナスタシアは諦めて別の街を作る事になりました」
「私が知らぬ間にその様な事が」
へー、恐ろしい事もあるもんだ。とんでもない世界だここは。早く日本に帰りてーな。そしてたら貯金もあるし霊媒師から足を洗うか、また自称神にこの世界に連れてかれる可能性もある。
「もしかして悪霊と化したのはカクタス司祭か?」
「そうです、ご存知なのですか?」
「ああ、私が若い頃からお世話になった司祭様だ。優しくみんなに慕われていた」
「思い出深いお人だったのですね」
「ああ……」
グラジオラスは黙ってしまった。そもそも二十年も前に生きていたんだ、死んだ知り合いくらい一人二人いるだろう。感情に浸っているなら好きにさせよう。何か言って変な事を思い付かれたら堪ったもんじゃない。
「ウンスイ、カクタス司祭を助けられないか?」
ほら出た、こう言う事だよ。
「やはり騎士たるもの見逃せませんよね!」
メリアも乗せるなよ。何で俺がそんな一円にもならない事をしないといけないんだ。
「今まで除霊が出来てないって事は騎士団でも手を焼いてるんだろ?俺達だけで出来るの訳ないだろ」
「ウンスイ、これは悪い話では無いのだ」
グラジオラスは真面目な顔をしている。
「俺に何の得があるんだ」
「カクタス司祭は恐らくリッチーと言う悪霊になっている。リッチーは意のままにスケルトンを操る事が出来るのだ。もしカクタス司祭を我々の仲間に出来れば」
「なるほど!スケルトンの軍勢を使ってトライソーンを戦場に誘き出す事が出来るのですね!」
「その通りだ」
完全に作戦が決まってきてる。このままじゃ俺はそのスケルトンの巣窟に行く羽目になる。ここはきっちりと抗議しなければならない。俺には何の得も無いしな。
「だからどうやって騎士団でも敵わなかった相手に近付くんだよ」
「ウンスイ、お前は誰も敵わず二十年も縛られ続けた私に立ち向かったのだ。お前なら出来る」
「グラジオラス様もそう言っている。やるんだ」
「ちょっと待て!だから!」
「メリア!アナスタシアに向かってくれ!」
「了解!」
メリアは馬を操り方向転換した。
ああ、これだから話を聞く気の無いやつは嫌いなんだ。俺だけ逃げようにもこの世界に一人で生きる事も出来ない。人数不利になった時点で俺の運命は決してしまったのかもしれない。
こんな事ならグラジオラスをさっさと昇天させるべきだった。
後悔してももう遅い。馬車は使われなくなった荒れた街道をズンズン進んでいく。
ああ、いったい俺はどこで選択を間違えたのだろう。
はい、着いてしまったアナスタシアという街に。いや街だった所と言うのが正しいだろう。今や誰も住んでなく、野盗すら近付かない。悪霊が出るからこれが本当のゴーストタウンってか、馬鹿野郎。
そんな事考えている暇は本当はない筈なのだが、俺はやけになっている。街の前まで着くと昼間だというのに街全体がどんよりと薄暗い。黒い霧の様なものが立ち込めている。この手の黒い霧だか瘴気だかは悪霊を見つけるたびに見てきたが街全体を覆う程とは恐れ入った。
だから帰ろう。なんてったって三人で、しかも俺は戦力外なのにこの街に突撃するなんて無茶だ。こいつらも戦闘のプロなんだろ?だったら無理な事くらい分かれよ。
「あの美しい街が……」
「グラジオラス様……心中お察しします」
なら俺の心中も察しろよ。露骨に嫌顔してるだろ。ほら見ろよ、ほら、ほら、ほら。
「それでその司祭様とやらは何処にいるんだ?」
「街の中央に教会がある。居るとしたらそこだろう」
「分かりました!」
結局俺も行かざるおえない。一人で待つより二人に付いて行ったほうが安全なのは明白だからだ。
メリアが街に一歩踏み入れた瞬間、地面からわらわら骸骨が出てきた。
「おい、グラジオラス!こいつらを説得するのか!」
「コイツらはスケルトンだ。悪霊ではなく魔物の一種だ。説得は無理だ」
そこの違いはよく分からないが話の通じない相手なのは分かった。体を動かす筋肉もないのにどうやって動いているんだ。そして目も耳も無いのに明らかにこちらに向かって来ている。
「行くぞ!メリア!」
「はい!」
二人してスケルトンに切り掛かって行く。切られたスケルトンはカタカタ音を立てて崩れ去っていく。動き自体は遅くそこまで厄介な相手では無いと思う。正直俺だって剣持ってりゃ倒せるだろう。
ただいかんせん数が多すぎる。倒しても倒してもワラワラ出てきて、一向に前に進めない。二人では明らかに人数不足である。このままでは消耗してこちらが潰れてしまう。デュラハンになっているグラジオラスに体力と言う概念があるのかは分からないがメリアは明らかに疲れが見える。
「一回撤退しよう!メリアが限界だ!」
「私はまだやれる!」
「中央まで持つのか!失敗すれば帰りも剣を振るんだぞ!今だって撤退する為の体力がいるだろ!」
「だが!」
「いや、撤退しよう」
「……分かりました、グラジオラス様」
さっさとそうしろよ。何の算段があって突撃したんだコイツらは。
街の入り口まで撤退した俺達は息も絶え絶えだった。死んでいるからかグラジオラスの呼吸は乱れていない。
「はぁ、はぁとりあえず近くの街で休もう、暗くなってた」
「私はここにいる。どうせ街中には入れないからな」
「なら私もお供します!」
いや駄目だろ、馬を操れない俺もここで待機となる。
「メリアはウンスイと街で休め。私の心配は要らん」
メリアは不満そうな顔をしている。街で休めるのに何が不満なのだ。
「グラジオラスにはグラジオラスの考えがあるんだよ。俺達は生きてるんだから飯も必要だし睡眠も必要だ。ここはグラジオラスに任せよう」
「ウンスイの言う通りだ。明日またここで合流しよう」
「分かりました」
すんなりグラジオラスの指示に従ったメリアと一緒に馬車で本来の目的地である街に向かった。その道中メリアは何度も後ろを振り返ってはグラジオラスの心配していた。
「やはり戻った方がいい」
「大丈夫だって」
「何故そう言い切れる」
「悪霊って奴は神聖な武器とか魔法じゃないと倒せないんだろ?じゃああの廃墟でグラジオラスを倒せる奴はいない筈だ」
「確かにそうだが」
「それにグラジオラス一人の方が動き易い事もあるだろう。それとも天下の最強騎士団長様はそんなにも弱っちいのか?」
「グラジオラス様を馬鹿にするな!」
「馬鹿にしているのはお前だ。グラジオラスが最強ならお前は何の心配している」
「……」
「要らぬ心配だって事だよ」
ようやくメリアは落ち着いてくれた。大丈夫だと頭で分かっていても心配になるのが人間ってもんだ。だから人は分かる形で拠り所が欲しくなるのだろう。それの拠り所が紛い物だとしても問題ない。なんせ本人が心配しているだけで問題など起きないのだから。
街に着くといつもの様に教会に泊まらせてもらう。そこで俺は片手で持てるほどの大きさの女神像が飾られているの見かけた。俺が女神像を眺めているとメリアが話しかけてきた。
「何だ?遂に信仰心が芽生えたか?」
「いや、そうじゃない。スケルトンにも神聖武器って効くのか?」
「普通の武器でも倒せるが、神聖武器ならより効果的だ」
「なるほどね」
「そんな事より早く寝るぞ。明日の早朝直ぐにアナスタシアに向けて出発する」
「はいはい」
メリアは母親の様に忠告してから自分の部屋に入っていった。
グラジオラスがアナスタシアにいる以上、明日も必ず行かなくてはならない。あの様子だと諦める事も無いだろう。俺も腹を括るしかない。
あのスケルトンを操れる奴をこちらに引き込める事が出来れば確かに強力な戦力なる。兎に角、出来る限りの準備をしていこう。
俺は通りかかった男性の若い修道士に声を掛けた。
「すいません、ダニーさん。少しよろしいですか?」
「ウンスイ様、どうされました?」
この見習いも俺が丁寧な対応をしているおかげで柔らかな対応をしてくれている。行きの道中でしっかりと交流した成果がここで出ていた。
「こちらの女神像を明日お借りできますか?」
「えっと、構いませんがどの様な理由で?」
「明日、アナスタシアに行くのです」
「本当ですか!」
男性はこちらの予想以上に驚き喜んだ。
「はい、それでこちらの女神像の祝福を少しばかりお借りしたいのです」
「それでしたらどうぞお持ち下さい」
「ありがとうございます」
「遂にカクタス司祭が救われるのですね」
「お知り合いなのですか?」
「はい、私は元々アナスタシアに住んでいました。そこでカクタス司祭には大変お世話になっていたのです」
「それは辛い過去をお持ちで」
「いいえ、辛いのは女神様の下へ行けず彷徨っているカクタス司祭です。どうかカクタス司祭をお救い下さい」
男性は深々と頭を下げて懇願した。故郷を追われ、恩人も悪霊になってしまったコイツの境遇は流石に可哀想だ。この街にはそんな奴らが大勢いるのだろう。
「どうかお顔を上げてください。出来る限りの事をやってみます」
「お願いします」
男性と別れ、俺は女神像を持って自室に入った。明日はこの女神像に活躍してもらう。どれだけ効果があるか分からないが試す価値はある。
俺は女神とやらを信仰もしていないし、尊敬もしちゃいない。ただこの女神像に宿る神聖という力は便利なものだと身を持って知っている。
今日もアナスタシアの街の前に来ていた。グラジオラスは無事で俺達を待ってくれていた。
「ご無事でしたか」
「ああ、夜中も何度か侵入を試みたがやはりスケルトンの数が多くて前に進めない」
「そうでした。ですが私もしっかり休んできました。今日こそお力になります」
「心強いな」
メリアは盛り上がっているがこの調子では今日も突破は無理だろう。
「本当にカクタスの所に行くんだな」
「ああ、今日が無理でもまた準備を整えて何度でも挑戦するつもりだ」
何日もここらをウロウロするのは願い下げだ。隣の街ならまだしも、さらに遠くまで行って準備するとか言い出しかねない。グラジオラスには寿命は無いだろうがこっちの時間は有限だ。無駄な時間は過ごしたく無い。
「カクタスの所に行くのにどんな手段を用いてもいいのか?」
「構わない」
「言ったな?」
「ああ、騎士に二言は無い」
俺は声を出さずに笑った。
俺達は荒廃した街中を堂々と歩いている。俺は女神像にロープを巻きつけて頭上でブンブン振り回してながら歩いている。
女神像に触れたスケルトンは砕かれ消滅し、他のスケルトンは近付こうにも近付けず俺達の周りを取り囲んでいるが手出し出来ずウロウロしている。
この女神像を振り回して出来る神聖なる結界の内側にはスケルトンどもは入る事が出来ない。まるで小学生が縄跳びでブンブン振り回す様な幼稚で単純な発想だが、予想通りの結果に笑いが止まらない。
「これは女神様の侮辱だぞ!」
メリアは怒っているがちゃんと俺が振り回すロープの内側にいる。
「そんなに嫌なら出て行けばいいじゃないか」
「くっ」
「まあ、これも女神様の祝福だな。こんな俺でも守ってくれるんだ。本当、女神様は誰にでも分け隔てなくて慈愛に満ち溢れている」
「まさかこんな方法があろうとは」
グラジオラスの言う通りだ。コイツら信徒は女神像を振り回すなんて不敬な発想をそもそも持ち合わせていないのだろう。例え思いついても誰にも言えないだろうし、騎士団でこんな方法を使える訳がない。
それにしてもあの自称女神を形どった像を好きなだけ振り回せるなんて愉快、愉快。しかも信徒の目の前でだ。久々に気持ちのいい時間を過ごしている。
剣を使えない俺に強力な武器ができたことはなりよりの成果だ。悪霊退治もこれから楽しくなりそうだ。
そんな風に女神像をブンブン振り回しながら街の中心部へと進んでいくにつれて黒い瘴気は濃くなっていき、元凶に近付きつつあるのが確信できた。
「もうすぐ街の中心だ」
「ここからが本番ですね」
メリアはカッコよく決めているがお前はその本番に何をするんだ。説得も俺の仕事の筈だろ。お前の本番って何なんだ。
文句を喉の奥に飲み込みつつ歩いていると前方に不審な奴がいるのに気付いた。
「なんか宙に浮いている奴がいないか?新種か?」
「司祭服を着ている。おそらくあれがリッチーになってしまったカクタス司祭だ」
他のスケルトンは全裸だが、宙に浮いているスケルトンは司祭服を着ていて何やらぶつぶつ言っている。グラジオラスと違って完全に白骨化して悪霊になっている。そこの差は何かあるのか?
ようやくカクタスらしきリッチーの目の前に着くとグラジオラスが叫んだ。
「カクタス司祭!私です!グラジオラスです!」
「やってやる……やってやる……やってやる……」
コイツもこえーよ。悪霊になるとどいつもこいつもぶつぶつ何かを唱えていやがる。それに全く聞く耳を持っていない。いや、骸骨なんだから耳なんて最初から無いのか。でも声帯もない筈なのに声を出してるからなあ。本当に非常識な奴らばかりだ。
「私です!グラジオラスです!話を聞いて下さい!」
どんなに叫んでもカクタスは反応しない。正気を失っていてこちらに気付いていない様だ。仕方ないまた手荒な方法だがこっちを見てもらうか。
「少し伏せてろ」
そう言って俺はブンブン振り回している女神像をカクタスにぶち当てた。女神像はカクタスの胴体に当たり、鈍い音を立てて地面に落ちてきた。
「がっは!」
「お前!何をしている!」
「怒んなって。ほれ、これで話が通じる様になっただろ」
メリアを宥めてる間にグラジオラスが叫んだ。
「カクタス司祭!ご無事ですか!」
「う、う……その声はグラジオラスか……」
「そうです!グラジオラスです!お久しぶりです!」
「お前は十年前、戦死した筈では」
「私も悪霊となりこの地に留まっているのです」
「そうか……お前もか」
どうやらまともに話せる様になった。なら俺からの要望は、
「それより周りのスケルトンをどうにかしてくれ。腕が疲れてきた」
「え?ああ、すまんな」
カクタスは俺達の周りを取り囲んでいたスケルトンを地面に帰した。これでようやく腕を下ろせる。
グラジオラスとメリアはアナスタシアの現状を教えた。
「なんと、あれから十年も経っているのか」
「カクタス司祭は何をしていたのですか?」
グラジオラスは率直に質問した。カクタスの顔は骸骨なので表情が読み取り難いが喋り辛そうなのは分かる。
「この街をアンデットから守っていた。いや、お前さんの話を聞くに守っていたつもりなのだろう。アンデットはおろか誰一人この街にはいない。ワシは一体何をしていたんだろう……」
「聞いて下さい!ここに来たのは貴方にお願いがあるのです」
「悪霊となったワシにできる事等ない」
「今や教会は信用に値しません。リッチーとなった貴方の力が必要なのです」
「まさか、このワシに教会に歯向かえと言うのか?悪霊となり、街を占拠し、それでいてまだワシに罪を重ねさせるのか」
「違います。教会は権力で腐敗しているのです。教会をあるべき姿に戻すためにそのお力を正義の為に使って下さい」
「今のワシに教会を咎める資格はない。ワシも同じ罪人だ」
何だこの骸骨、しょぼくれてるのか。大体グラジオラスもいきなり本題に入りやがって。こういうのは少しずつ話を聞かなきゃいけないのに。下手くそが。これ以上話を任せても埒があかないな、俺が話すしかないか。
「それでカクタス司祭はこれからどうするんだ?」
「君は誰だ?見慣れぬ格好をしているが」
「まあ、教会関係者だ。それよりどうするだって聞いてるんだ」
「女神様に祝福されなかった悪霊はいてはならない。一思いにワシを浄化して欲しい」
「へーそれでこれまでこの街を占領して散々住人を困らせた罪を滅ぼせるとでも?」
「ウンスイ!貴様何を言っている!」
「メリアには聞いていない。今はこの責任逃れ骸骨野郎に聞いてんだ」
「責任逃れ?このワシが?」
「そうだ、十年もやりたい放題したくせにその責任を果たさずに天国に逃げようとする卑怯者だ」
「だがワシはここに居てはいけない」
「まだこの街の住人は生きている奴もいる。そしていつの日かこの街に戻ろうと必死に生きているんだ。それなのにテメーは一人で勝手に逃げて女神様に何て申し開きをするんだ?うっかり悪霊になっちゃったから許してね、とでも言うつもりか?」
「それは……女神様に罰を与えてもらう」
「だったら今しろ。しっかりやる事やってその後天国でも地獄でも好きに行けばいい。死んで責任を果たすなんて舐めた真似をするなよ」
「ならワシはどうしたらいいんだ」
「骸骨になって頭の中の脳味噌まで無くなったのか?そこらに居たスケルトンを使えばいいだろ?昼夜問わずそいつらに働かせればいいだけだ」
「しかしあれは許されざる力だ」
「誰か許さないんだ?」
「勿論女神様だ」
「十年も使ってたんだ、今更使ったところで何も変わりはしない。それに力は何のために使うが重要なんだよ」
「何のために……」
「そうだ、包丁だって料理に使うが人殺しにだって使える。だから使用を禁止するなんて馬鹿げているだろ?その許されざる力とやらも人助けに使えば何も問題はない」
「また、力に飲み込まれて自分を失うかもしれない」
「その時はまた殴って正気に戻せばいい。それにこっちには最強な騎士団長様もいるんだ、いつでもぶっ殺してやるよ」
カクタスは黙ってしまった。大体教会を倒すとかそんな事言って納得する訳がないだろ。何でこう信者共は真っ直ぐしか進めないのだ。とにかく信者共は真面目過ぎる。もっと柔軟に考えられないのだろうか。
「住人達はワシを許してくれるのか」
「そんなもんは知らない。許して欲しけりゃ行動しろ。少なくともお前の心配をしていた奴はいたぞ。そいつはアンタから子供の頃、人としての生き方を教わった。許して貰うには行動するしかないんだろ?」
まあ、そんな事は聞いていないけどな。そんな事聖典に書いてあっただけだ。ただどうせそんな説教をしていたはずだ。ガキ向けの説教なんてどれも一緒だ。
「そうだな、信仰も贖罪も行動によってのみ示す事が出来る。子供達にあれほど言い聞かせていたのに」
ほら、やっぱりしてた。馬車の中の暇な時間にグラジオラスに読んでもらってよかった。
「それで?まだ生きるか?」
「ああ、この身砕けるまで贖罪をする事を女神様に誓おう」
「カクタス司祭!よかった」
グラジオラスは喜んでいる。
「いい大人がはしゃぎおって」
骸骨だから表情は読み取り難いがカクタスは笑っている様な気がする。まあ、これで大幅な戦力強化が出来た。教会をぶっ潰すかどうかはさておき軍隊並みの力を手に入れてしまった。これは絶対にバレてたら問題になる。必ず隠し通さなければ。
「ところでなんで女神像に綱を巻きつけているんだ?朧気な意識の中でワシはハッキリと女神像を振り回しているのを見たのだが」
明らかにカクタスの空気が変わった。
「え?これ?いや、これはカクタス司祭の下に行く為に仕方なく……」
「全員そこに座れ!」
骸骨の顔で恫喝してきやがった。断れる訳ないだろ。しかも後ろにはスケルトンが現れて逃げられない様にしてやがる。
俺達の三人は街のど真ん中でカクタスによる説教を受けた。スケルトンに囲まれる説教は生きた心地がしなかった。これ地獄の刑罰の一種だろ。
大の大人に対して子供を叱り付けるように説教する様は、生前もこんな風に怒っていたのだと容易に想像できた。
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