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二章 別に生活に支障を感じなかった特異なリバーシ
9.無意識の内に俺は‥
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あの後、眠りについたのはスリーピングビューティーである俺だ。
あっちが主体だのに、昼間ずっとあっちで寝てるって‥、どんな日中逆転生活だ。
幸い両親もあっちの人間だから、折をみて家族で帰った方が良いのかもしれない。‥今度、あっちの自分のことを誰かほかの人に聞いてみよう。
とか言いながら‥まあ、このままでいいならこのままいようかなあ。なんて‥。
あっちで過ごしてたより、長い時間こっちで暮らしてるんだ。
もう、こっちがメインっていってもおかしくはない。
そのうち、肉体ごとこっちに移住したい感じ(出来るのかな? また聞いてみよう)
両親のことを思ったらあっちに帰った方がいいんだろう。何ていっても、両親にとっては、あっちの方が住み慣れてるわけだしね。
そもそも、あっちの俺は何故眠っていたんだろうか。
何故、ここで住んでいたんだろうか。
何か、事情がありそうだけど‥
「眠り姫だろ? 悪い魔女に魔法をかけられたからに決まってるじゃないか」
さらっと、ミチルが言った。
ビジネスホテルに備え付けてあるアメニティで歯を磨き、
「シャワー先に借りるね」
なんてバスルームに消えようとする。
なんでこの男は、こんなにマイペースなんだ!!
「‥こともなげに変なことをさらっと言うなよ‥」
「そこらへんは知らないよ。ラルシュにも聞いたことないし‥。国家秘密って奴だろ? 友達っていっても、一介の異星人にそんなこと話さないよ。
‥大方、御両親がそれは知ってるんじゃないかな? 帰って聞いてみたら? 」
‥そりゃ、そうだ!
父さんたちが、俺をこっちに連れて来てくれたんだもんな! ‥慣れない土地で、俺を‥。
そういや‥戸籍どうしたんだろ。
さっきから、ミチルがバスルームをあからさまにガン見しているが、‥もう一つ!!
これだけ聞かせてもらったら、解放するし、なんならもう会わないで全然大丈夫だから!
「戸籍? 国が用意したんじゃないかな? 時々、あっちからこっちに移住する人もいるから、そういう手続きは結構慣れたもんだろうと思うよ。‥で、俺‥、仕事に遅れるんだけど、シャワー行かせてもらっていい? 」
ミチルが苦笑いする。
おお、こいつもこんな顔するんだ~! って‥
仕事!
その一言にはっとした。
そうだ、今日‥俺も仕事‥。
サーと血の気が引くのが分かった。
「ああ、ごめん。‥ああ、仕事。俺も行かないと‥」
‥何となく、週末みたいな感覚だった‥。
そう、今日は金曜日だった。今日一日働かないと、週末は来ない‥。
ミチルが頷く。
「ここ、駅の近くだから、あんたもシャワー浴びて朝食を食べる時間位はあると思う。コンビニのオニギリ齧る程度だけど‥。
会社は駅から遠いの? 」
俺は首を振る。
「よかった‥」
ミチルは頷くと、ホテルの備え付けのメモ帳を一枚ちぎり、名前と携帯番号をさらさらと書いて俺に渡した。
「あ、これ。俺の連絡先。電話に出れるときは、出るようにするから」
仕事中以外、
あっちに行っているとき以外。
頷いた俺を、ミチルが見ていたかどうかは分からない。
「先に借りるね。‥すぐ出て来るから」
ミチルはそのままバスルームに消えた。
一人ぽつん、と部屋に残された俺は、ミチルをそのまま待つ気にもなれず、サイドテーブルに置かれた宿泊料金表を見て、一人分の料金をミチルの携帯電話の横に置いた。
先に帰ります。
と一応のメモ書きも添えた。
お世話になりました。って書くのは違うだろう。別に俺はお世話になってはいない。しかも、これから先もお世話になる気もない。
ありがとうございました。
もおかしい。
そもそも、俺は巻き込まれただけだ。
俺の真実が分かったわけだけど、‥俺は別に知りたくはなかった。
そのまま携帯で職場に電話を入れ、体調が悪いので今日は休ませてほしい、という旨を伝える。
‥とてもじゃないが、仕事に行ける気はしなかった。
「あら! あんた‥昨日どうしてたのよ」
母さんは、真っ白な顔をして俺を見た。
その顔を見て気付く。
あ‥俺、知らない男と朝帰りしてしまった‥!
‥俺って男じゃないんだよな‥ってことは、ちょっとマズくない?!
あっちが主体だのに、昼間ずっとあっちで寝てるって‥、どんな日中逆転生活だ。
幸い両親もあっちの人間だから、折をみて家族で帰った方が良いのかもしれない。‥今度、あっちの自分のことを誰かほかの人に聞いてみよう。
とか言いながら‥まあ、このままでいいならこのままいようかなあ。なんて‥。
あっちで過ごしてたより、長い時間こっちで暮らしてるんだ。
もう、こっちがメインっていってもおかしくはない。
そのうち、肉体ごとこっちに移住したい感じ(出来るのかな? また聞いてみよう)
両親のことを思ったらあっちに帰った方がいいんだろう。何ていっても、両親にとっては、あっちの方が住み慣れてるわけだしね。
そもそも、あっちの俺は何故眠っていたんだろうか。
何故、ここで住んでいたんだろうか。
何か、事情がありそうだけど‥
「眠り姫だろ? 悪い魔女に魔法をかけられたからに決まってるじゃないか」
さらっと、ミチルが言った。
ビジネスホテルに備え付けてあるアメニティで歯を磨き、
「シャワー先に借りるね」
なんてバスルームに消えようとする。
なんでこの男は、こんなにマイペースなんだ!!
「‥こともなげに変なことをさらっと言うなよ‥」
「そこらへんは知らないよ。ラルシュにも聞いたことないし‥。国家秘密って奴だろ? 友達っていっても、一介の異星人にそんなこと話さないよ。
‥大方、御両親がそれは知ってるんじゃないかな? 帰って聞いてみたら? 」
‥そりゃ、そうだ!
父さんたちが、俺をこっちに連れて来てくれたんだもんな! ‥慣れない土地で、俺を‥。
そういや‥戸籍どうしたんだろ。
さっきから、ミチルがバスルームをあからさまにガン見しているが、‥もう一つ!!
これだけ聞かせてもらったら、解放するし、なんならもう会わないで全然大丈夫だから!
「戸籍? 国が用意したんじゃないかな? 時々、あっちからこっちに移住する人もいるから、そういう手続きは結構慣れたもんだろうと思うよ。‥で、俺‥、仕事に遅れるんだけど、シャワー行かせてもらっていい? 」
ミチルが苦笑いする。
おお、こいつもこんな顔するんだ~! って‥
仕事!
その一言にはっとした。
そうだ、今日‥俺も仕事‥。
サーと血の気が引くのが分かった。
「ああ、ごめん。‥ああ、仕事。俺も行かないと‥」
‥何となく、週末みたいな感覚だった‥。
そう、今日は金曜日だった。今日一日働かないと、週末は来ない‥。
ミチルが頷く。
「ここ、駅の近くだから、あんたもシャワー浴びて朝食を食べる時間位はあると思う。コンビニのオニギリ齧る程度だけど‥。
会社は駅から遠いの? 」
俺は首を振る。
「よかった‥」
ミチルは頷くと、ホテルの備え付けのメモ帳を一枚ちぎり、名前と携帯番号をさらさらと書いて俺に渡した。
「あ、これ。俺の連絡先。電話に出れるときは、出るようにするから」
仕事中以外、
あっちに行っているとき以外。
頷いた俺を、ミチルが見ていたかどうかは分からない。
「先に借りるね。‥すぐ出て来るから」
ミチルはそのままバスルームに消えた。
一人ぽつん、と部屋に残された俺は、ミチルをそのまま待つ気にもなれず、サイドテーブルに置かれた宿泊料金表を見て、一人分の料金をミチルの携帯電話の横に置いた。
先に帰ります。
と一応のメモ書きも添えた。
お世話になりました。って書くのは違うだろう。別に俺はお世話になってはいない。しかも、これから先もお世話になる気もない。
ありがとうございました。
もおかしい。
そもそも、俺は巻き込まれただけだ。
俺の真実が分かったわけだけど、‥俺は別に知りたくはなかった。
そのまま携帯で職場に電話を入れ、体調が悪いので今日は休ませてほしい、という旨を伝える。
‥とてもじゃないが、仕事に行ける気はしなかった。
「あら! あんた‥昨日どうしてたのよ」
母さんは、真っ白な顔をして俺を見た。
その顔を見て気付く。
あ‥俺、知らない男と朝帰りしてしまった‥!
‥俺って男じゃないんだよな‥ってことは、ちょっとマズくない?!
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