リバーシ!

文月

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三章 ヒジリとミチルの「夜の国」

3.羨ましくないって言ったら‥ウソになる。

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 (side ヒジリ)


「使ってないよ。リバーシは魔法を使えない。魔法が使えるのは、魔法使いだけだ」

 ミチルがニコッと笑って言った。
 こいつはいちいち愛想よく言わないと気が済まないのか、と思う。
 それか? 
 それが、モテる秘訣なのか?
 いや、「楢橋さんって、あざとくてなんか嫌」って言われてるかもしれない。きっとそうだ。
 羨ましくなんかない。

 ‥今はそんなことより‥
「‥え、だって。俺を気絶させてたじゃん」
 あれは、魔法じゃないのか?
 ‥もしかして‥
 ミチルに言いながら、なんとなく理解した。
 あれ、スキルか。

「‥そもそも、魔法と状態異常、スキルの違いって何? 」
 ‥今更って感じだろうけど、聞いてみる。
 ミチルに
 ミチルの方が聞きやすいから‥とかじゃない。(実際そうだが、それだけじゃない)きっと、この国の教育を受けた王子に聞くのが正しいんだろうけど、俺がメインで教育を受けたのは地球だから「地球人的に見て」で教えてもらった方が‥なんかわかるような気がした。
「状態異常は、対象となる物質があるべき状態から変化すること。例えば、水がお湯になる。それが状態異常だ。例えば「水をお湯というものに変える」って能力‥これがスキルだ。
 スキルってのは、「そういう機械」だと思えばいい。そういう機械は、それしかできない。
 ポットみたいなもん‥って言えばいいかな?
 その際の電気にあたるものは魔力だ。
 魔法使い以外の者の魔力はそういう‥電気みたいな使われ方してるって考えればわかりやすいんじゃないかな」
 ビンゴ。
 やっぱり、ミチルに聞いて正解だった。
 分かりやすい。
 理論云々‥とか聞いても絶対理解できないもんな!
「機械だから、仕組みが分かってないと出来ない。適当にこんな感じのものが作りたい~ではできない。仕組み‥プログラムだとか設計図が間違えてたら普通に欠陥品が出来る。だけど、魔法使いにはそういうものはない。「こうしたい」でそれが出来る」
 なにそれ、魔法~。
 って‥魔法か。
「リバーシにおける魔力が電気なら、魔法使いにおける魔力は? 」
「火の魔法だったら、火を作り出す力。水の魔法だったら、水を作り出す力。
 力そのもの。
 って思ったんだけど、って違う? 」
 ミチルがラルシュに確認を取った。
「そういう風に考えたことはなかったなあ‥。
 でも、‥そうかもね。
 スキルを使うときより、魔法を使う方が「魔力が減った」って感覚がダイレクトに分かる気がするね」
 その感覚は、魔法使いじゃない俺には分からないから、生涯同感のしようはないわけで‥。
「ふうん‥スキルは「機械」かあ。じゃあ、魔法は? 」
「スキルが機械って表現して、「これはいいえて妙だな」って思う点は、それにしか使えないって点と、もう一つ。開発することが出来て、他人がそれをまねることが出来る点だ。
 魔法は、真似ることは出来ない。あれは、その人の持って生まれた「能力」だ。
 水を出せる能力。火を出せる能力。
 魔法使いは存在自体が特別なんだ。
 理屈や設計図、理論も何にも無視できる絶対的な力‥それが魔法だ」

 努力と工夫でなんとかできるのがスキルで、努力や工夫では何ともできない生まれつきの力が魔法ってこと?

「魔法使い‥最強だね。生まれながらにして勝ち組だね」
 首を傾げながら言うと
「危険‥ともいえるね。だから‥かもしれないけど、魔法使いは、生まれつき魔力が少ない。
 反対に、リバーシは魔力が多い。
 機械を使うにも、機械を考え、試運転するにも電気‥魔力がいる‥一回失敗したらばたんきゅ~じゃ、まずいから‥かなあ
 数打つためには、エネルギー勝負ってね」

 魔法使いに失敗はないけど、スキル頼みのリバーシは常に試作研究生活ってことかあ。
 ハードモードって感じだねえ。



 (side ミチル)


 ‥羨ましくなんかない。こんな、魔法とスキルと状態異常の違いすら分からないやつが‥凄いスキルだとか状態異常の使い手だとか‥。
 羨ましくなんてない‥。

 ‥いや、はっきり言う。
「羨ましい!! 」
 そりゃ、スキルでなんでもできるって言っても、属性に関係ないスキルは作れない。使えない。
 状態異常もそうだ。
 水をお湯に変える機械は、水属性を持ってないと出来ない。
 ヒジリの鑑定にあった

 状態異常:水の状態異常
「接触面」の状態異常(接触点からの、発展形)
    石の状態異常

 石の状態異常って何のことかわかんないけど、石のってことは‥土属性を持ってるってことだ。
 つまり、ヒジリは「水属性と土属性」をもってるってことだ。
 点接触面の‥って何のことか分からない‥。

 そのことをヒジリに言うと、ヒジリは首をかしげていた。

「魔法じゃないのに、属性ってあるんだね」
 ってそりゃな!
 エンジニアの方が機械の設計は向いているだろうし、園芸好きの方が植物を育てるのに向いてるだろう。
 ヒジリが「成程ね~」って感心してる。
 こいつ、ホントになんにも知らないんだな!

「ミチルは何の属性があるの? 俺の鑑定? だっけ? して、俺はミチルの何にも知らないとかずるい。俺も教えてほしい。
 ミチルの事知りたい‥っていうより‥
 俺の個人情報だけミチルに知られてる‥とかいやじゃん? あと、ラルシュ様も」

 ‥別に特別に興味があるわけじゃない、ってわざわざ念を押したな‥。

「ヒジリ!! 」
 ヒジリの両親が真っ青‥真っ白? になって焦ってる「不敬罪に‥」とか呟いてる。
 分かる。
 王子はまずいよね。
 でも、ラルシュが「そりゃそうだ」って許したから、いいんじゃない? 
 じゃあ‥ステイタス提示‥っと
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