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三章 ヒジリとミチルの「夜の国」
2.ロマンチック‥なんて信じない。
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「なんでラルシュ様は、あの時‥俺を助けたんですか? 」
「君に一目で恋に堕ちたから」
なんて言われたら、俺は多分ドン引きしていただろう。
御伽噺の白雪姫では、王子は(死んでる)白雪姫に一目惚れした。
眠りの森の美女‥は、どうだったかな「ここには姫が眠っている」って聞いた王子が茨を踏み分け城に入ろう‥とした瞬間魔法が解けて、王子は姫を眠りから覚ました‥とかだっけ??
‥どっちにしろ王子だろ?? 政略結婚とかしなくてよかったのか??
「誰だこの、見も知らぬ女!? 駄目ですよ!! 」
とか自国の両親に言われるだろ!? (特に眠れる森の‥のほう。100年前の城の姫とか‥誰が知ってるんだ)
‥そんな王族、まずいだろう。
だけど、ラルシュはそんなこと(御伽噺の王子みたいなこと)言わなかった。
真剣な顔で、
「私しか多分助けられないと思ったから」
と。
ラルシュは、静かな声で言った。
「それは、そうだろうな」
ミチルも頷いた。
「あの時、ヒジリが呪いを掛けられた理由は分からなかったけれど、‥でも、状況として「まずい状況だ」ってことは分かった。
ヒジリのことは‥もともと知っていました。
リバーシは生まれた瞬間から、国の監視が付きますからね。
だから、あの状況が悪い状況だってことはすぐに判断が付きました。
呪いの解き方や種類‥そういうのは分からなかったけれど、‥それ以前に、まずはヒジリを保護して、その生命を維持することが重要だってあの時の私は判断しました。
そして、それが出来るのは、きっと城だけだって思った。城には最高級の医療も、技術も魔道具もあるからね」
そして、取り敢えず生命を維持する為の医療措置が施され、例の国宝級魔道具で服装の心配もなく‥俺は、寝かされたってこと‥らしい。
‥思ってた以上に現実的‥。
でも、まあそうだろう。ロマンで動く王室とか、ヤバい。
俺は頷く。
そして、その(俺が寝てる)間に、呪いの解き方が検討されたらしい。
解き方‥っていうのは‥間違いだな。
外せば解けるだろう。
だから、いろんな人がいろんな方法を試した。
だけど、取れない。取れないってなって初めて、ブレスレットの解析が始まったって感じかな。
もともとは、誰もそんなに大ごとだと思ってなかったんだ。
そして、解ったブレスレットの効用。
ブレスレット自体は、「対象者を眠らせて、そのまま衰弱死させることが目的」というもともとある呪術道具だった。普通なら、物理的に破壊すれば外れるそれは、普通より丈夫な金属‥ミスリルが使われていたらしい。では、魔力で‥と魔力を込めたとき、それが‥ブレスレットに吸収されたらしい。そこで、このブレスレットの内側に「魔力を吸収する魔石」がつけられているらしい‥という予測がたてられた。
‥確認しようにも、外せないから調べられなかったんだ。
しかも、このブレスレット、あの例の国宝級の服同様、持ち主と一緒に成長するみたいだ。
きっとこれも、敵的には「国宝級」なのだろう。(お値段もきっと高いんだろう)
‥敵は、只者じゃない。
あのまま俺が「犯人」に捕まっていれば、俺は眠らされたまま無限に‥俺の命が尽きるまで魔力を搾り取られてたのだろう。
犯人はきっと、このブレスレットを外さないで、魔力が充足された魔石だけを外す術を知っているのだろう。そして、新しい空の魔石がつけられるってわけだ。
魔力を吸い尽くされたら俺は死んでいたんだろう。だけど、ラルシュたちのおかげで俺は、点滴で養分を補充するように‥魔力を外から補充されて生かされた。(勿論栄養分も補充されただろうが)
魔力が少ない魔法使いは魔石から魔力を吸収し、自分の魔力不足を補う‥っていうことを生命維持活動‥本能として行うんだけど(※ 生まれながらの魔法使いは、それこそミルクを飲むのと同時ぐらいに行うらしい)、魔力が潤沢なリバーシにはそういう習慣はない。
だけど、魔力を生命維持が可能な量を超えて他から吸収されている危機的状況に‥身体が生命維持活動の為に、「学習」したんだ。
周りから吸収することを。
そして、ヒジリの身体は魔石からの魔力吸収を学習した。
魔石は、城が用意した以外にもあった。
‥今までヒジリから魔力を吸収し続け、そして、もうこれ以上貯められなくなった魔石(フルチャージ)だ。
ヒジリは、城が用意した魔石を今まで通り生命保持に利用し、余剰分を容姿に全振りした‥ってとこだろうか。
我ながらちゃっかりしてる。
‥いや、地球での無駄に高性能な仮の身体に使ったのかもしれない。だって、ミチルも驚いてたもんな。
「意識は眠ってるのに、仮の身体が消えないって凄すぎ! 」
って。
「呪いを解く方法は、その魔道具を外すことだけだ。だけど、俺たちもさんざん努力したけど、それを外すことはできなかった」
ミチルが言い、ラルシュが同意して頷く。
「あ、そういえば、子供の頃、俺もこれが外れなくて困った。小学校に付けていくのは流石にアウトだろ? で、結構頑張ったんだけど、でも結局取れなくて、ずっと包帯巻いて誤魔化してた。だから、今の今まで何となく「これはもう取れないもの」って思ってた。いやあ、あっさり外れたね。今までも、外れたのかもね。なんか、引いて開ける戸なのに、押してたから開かなかった的な? 」
ミチルに話すときは、敬語なんて使わない。
ミチルの事、不信感いっぱいだけど、‥信じちゃいないけど、今、王子の前でその態度を出すのはどうかと思う。
なるだけ、何でもない話しかしない。
「そんなわけあるか」
呆れた様なミチルの声。
その声に、あの時みたいな冷たさはない。
「だって、あっさり外れたよ」
俺は、今ミチルとだけ話してる‥。だって、王子ってなんか緊張する。
それは、ミチルや王子にもわかるのか、そのことについて二人は触れてはこなかった。(「俺は無視か?! 」とか
「魔力の使い方が分かるようになった‥とか? スキルが増えたとか‥かもなぁ‥」
ミチルがすっと、真剣な目で俺と目を合わせた。
‥何。怖い。見つめないで
ヒジリ
性別:女
称号:スリーピングビューティー
状態異常の皇帝
スキルの創造主
状態異常:水の状態異常
「接触面」の状態異常(接触点からの、発展形)
石の状態異常
「ん? 固定スキルの提示が‥ない。状態異常の皇帝とスキルの創造主。こんな称号初めて見たけど‥。ああ、もしかして、創造したスキルが何でも使えるから、わざわざ書く必要がないって感じなのかな? ‥無敵すぎるな。まあ、属性のしばりはあるんだろうけど、‥何だろ。属性が分からない。こんなことあるんだろうか。しかし、凄い魔力だな」
‥何。急になんか難しいこと言い出した。
「へえ‥」
王子が感心した様な顔で、ミチルを見ている。
「さっき、何したの? 俺の顔に何かついてた? 」
‥自分だけ分からないのが、気持ち悪いし、腹が立つ。
「ん? ああ」
ミチルは、ちょっと首を傾げ、そして頷く。
「鑑定だよ」
「鑑定。ん。鑑定ね」
なんか、俺のこと調べたってことね。
そうか、うん。そういうこと、出来るんだね。だって、リバーシだから、魔力いっぱいあるんだよね。
ってか、勝手に鑑定するなよ‥。個人情報とかだろ、それ‥。
キショいし‥。
にしても、‥ゲームみたい。
それも、魔法の一つなんだね。
ってか、‥勝手に納得してたけど、‥ホントのとこどうなの? リバーシって何でもありなの?
魔法‥。
魔法っていえば‥。
「確認したいんだけど、こっちでは魔法は使えるけど、あっちでは使えないんだよね? でも、ミチルはあっちでも魔法使ってたよね? 」
俺は、訝しそうにミチルを見てしまった。
いや、そんな顔する気なかったんだけど‥ごめん、ちょっとそんな顔になっちゃった。
ミチルは、また一瞬ぽかんとした顔になって、そしてふふ、と笑った。
その一言は、俺をさらに混乱させ、ラルシュを呆れさせるものだった。
「使ってないよ。リバーシは魔法を使えない。魔法が使えるのは、魔法使いだけだ」
「君に一目で恋に堕ちたから」
なんて言われたら、俺は多分ドン引きしていただろう。
御伽噺の白雪姫では、王子は(死んでる)白雪姫に一目惚れした。
眠りの森の美女‥は、どうだったかな「ここには姫が眠っている」って聞いた王子が茨を踏み分け城に入ろう‥とした瞬間魔法が解けて、王子は姫を眠りから覚ました‥とかだっけ??
‥どっちにしろ王子だろ?? 政略結婚とかしなくてよかったのか??
「誰だこの、見も知らぬ女!? 駄目ですよ!! 」
とか自国の両親に言われるだろ!? (特に眠れる森の‥のほう。100年前の城の姫とか‥誰が知ってるんだ)
‥そんな王族、まずいだろう。
だけど、ラルシュはそんなこと(御伽噺の王子みたいなこと)言わなかった。
真剣な顔で、
「私しか多分助けられないと思ったから」
と。
ラルシュは、静かな声で言った。
「それは、そうだろうな」
ミチルも頷いた。
「あの時、ヒジリが呪いを掛けられた理由は分からなかったけれど、‥でも、状況として「まずい状況だ」ってことは分かった。
ヒジリのことは‥もともと知っていました。
リバーシは生まれた瞬間から、国の監視が付きますからね。
だから、あの状況が悪い状況だってことはすぐに判断が付きました。
呪いの解き方や種類‥そういうのは分からなかったけれど、‥それ以前に、まずはヒジリを保護して、その生命を維持することが重要だってあの時の私は判断しました。
そして、それが出来るのは、きっと城だけだって思った。城には最高級の医療も、技術も魔道具もあるからね」
そして、取り敢えず生命を維持する為の医療措置が施され、例の国宝級魔道具で服装の心配もなく‥俺は、寝かされたってこと‥らしい。
‥思ってた以上に現実的‥。
でも、まあそうだろう。ロマンで動く王室とか、ヤバい。
俺は頷く。
そして、その(俺が寝てる)間に、呪いの解き方が検討されたらしい。
解き方‥っていうのは‥間違いだな。
外せば解けるだろう。
だから、いろんな人がいろんな方法を試した。
だけど、取れない。取れないってなって初めて、ブレスレットの解析が始まったって感じかな。
もともとは、誰もそんなに大ごとだと思ってなかったんだ。
そして、解ったブレスレットの効用。
ブレスレット自体は、「対象者を眠らせて、そのまま衰弱死させることが目的」というもともとある呪術道具だった。普通なら、物理的に破壊すれば外れるそれは、普通より丈夫な金属‥ミスリルが使われていたらしい。では、魔力で‥と魔力を込めたとき、それが‥ブレスレットに吸収されたらしい。そこで、このブレスレットの内側に「魔力を吸収する魔石」がつけられているらしい‥という予測がたてられた。
‥確認しようにも、外せないから調べられなかったんだ。
しかも、このブレスレット、あの例の国宝級の服同様、持ち主と一緒に成長するみたいだ。
きっとこれも、敵的には「国宝級」なのだろう。(お値段もきっと高いんだろう)
‥敵は、只者じゃない。
あのまま俺が「犯人」に捕まっていれば、俺は眠らされたまま無限に‥俺の命が尽きるまで魔力を搾り取られてたのだろう。
犯人はきっと、このブレスレットを外さないで、魔力が充足された魔石だけを外す術を知っているのだろう。そして、新しい空の魔石がつけられるってわけだ。
魔力を吸い尽くされたら俺は死んでいたんだろう。だけど、ラルシュたちのおかげで俺は、点滴で養分を補充するように‥魔力を外から補充されて生かされた。(勿論栄養分も補充されただろうが)
魔力が少ない魔法使いは魔石から魔力を吸収し、自分の魔力不足を補う‥っていうことを生命維持活動‥本能として行うんだけど(※ 生まれながらの魔法使いは、それこそミルクを飲むのと同時ぐらいに行うらしい)、魔力が潤沢なリバーシにはそういう習慣はない。
だけど、魔力を生命維持が可能な量を超えて他から吸収されている危機的状況に‥身体が生命維持活動の為に、「学習」したんだ。
周りから吸収することを。
そして、ヒジリの身体は魔石からの魔力吸収を学習した。
魔石は、城が用意した以外にもあった。
‥今までヒジリから魔力を吸収し続け、そして、もうこれ以上貯められなくなった魔石(フルチャージ)だ。
ヒジリは、城が用意した魔石を今まで通り生命保持に利用し、余剰分を容姿に全振りした‥ってとこだろうか。
我ながらちゃっかりしてる。
‥いや、地球での無駄に高性能な仮の身体に使ったのかもしれない。だって、ミチルも驚いてたもんな。
「意識は眠ってるのに、仮の身体が消えないって凄すぎ! 」
って。
「呪いを解く方法は、その魔道具を外すことだけだ。だけど、俺たちもさんざん努力したけど、それを外すことはできなかった」
ミチルが言い、ラルシュが同意して頷く。
「あ、そういえば、子供の頃、俺もこれが外れなくて困った。小学校に付けていくのは流石にアウトだろ? で、結構頑張ったんだけど、でも結局取れなくて、ずっと包帯巻いて誤魔化してた。だから、今の今まで何となく「これはもう取れないもの」って思ってた。いやあ、あっさり外れたね。今までも、外れたのかもね。なんか、引いて開ける戸なのに、押してたから開かなかった的な? 」
ミチルに話すときは、敬語なんて使わない。
ミチルの事、不信感いっぱいだけど、‥信じちゃいないけど、今、王子の前でその態度を出すのはどうかと思う。
なるだけ、何でもない話しかしない。
「そんなわけあるか」
呆れた様なミチルの声。
その声に、あの時みたいな冷たさはない。
「だって、あっさり外れたよ」
俺は、今ミチルとだけ話してる‥。だって、王子ってなんか緊張する。
それは、ミチルや王子にもわかるのか、そのことについて二人は触れてはこなかった。(「俺は無視か?! 」とか
「魔力の使い方が分かるようになった‥とか? スキルが増えたとか‥かもなぁ‥」
ミチルがすっと、真剣な目で俺と目を合わせた。
‥何。怖い。見つめないで
ヒジリ
性別:女
称号:スリーピングビューティー
状態異常の皇帝
スキルの創造主
状態異常:水の状態異常
「接触面」の状態異常(接触点からの、発展形)
石の状態異常
「ん? 固定スキルの提示が‥ない。状態異常の皇帝とスキルの創造主。こんな称号初めて見たけど‥。ああ、もしかして、創造したスキルが何でも使えるから、わざわざ書く必要がないって感じなのかな? ‥無敵すぎるな。まあ、属性のしばりはあるんだろうけど、‥何だろ。属性が分からない。こんなことあるんだろうか。しかし、凄い魔力だな」
‥何。急になんか難しいこと言い出した。
「へえ‥」
王子が感心した様な顔で、ミチルを見ている。
「さっき、何したの? 俺の顔に何かついてた? 」
‥自分だけ分からないのが、気持ち悪いし、腹が立つ。
「ん? ああ」
ミチルは、ちょっと首を傾げ、そして頷く。
「鑑定だよ」
「鑑定。ん。鑑定ね」
なんか、俺のこと調べたってことね。
そうか、うん。そういうこと、出来るんだね。だって、リバーシだから、魔力いっぱいあるんだよね。
ってか、勝手に鑑定するなよ‥。個人情報とかだろ、それ‥。
キショいし‥。
にしても、‥ゲームみたい。
それも、魔法の一つなんだね。
ってか、‥勝手に納得してたけど、‥ホントのとこどうなの? リバーシって何でもありなの?
魔法‥。
魔法っていえば‥。
「確認したいんだけど、こっちでは魔法は使えるけど、あっちでは使えないんだよね? でも、ミチルはあっちでも魔法使ってたよね? 」
俺は、訝しそうにミチルを見てしまった。
いや、そんな顔する気なかったんだけど‥ごめん、ちょっとそんな顔になっちゃった。
ミチルは、また一瞬ぽかんとした顔になって、そしてふふ、と笑った。
その一言は、俺をさらに混乱させ、ラルシュを呆れさせるものだった。
「使ってないよ。リバーシは魔法を使えない。魔法が使えるのは、魔法使いだけだ」
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