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三章 ヒジリとミチルの「夜の国」
9.小さな俺と大きな俺の力。
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(side ヒジリ)
‥息をする程簡単に、こっちに来れるようになってしまった。
「おはよう、ヒジリ」
目覚めた俺に、ふわりと微笑む‥ラルシュ。
あの時、助けてくれた男の子。
‥そういえば、面影ある。
‥かな? あの時一回見ただけだから、覚えてないや。
俺が目をパチパチさせて周りの明るさにならそうとしていたら‥
「ラルシュは、「ナツミ」に会ってたんだな」
ミチルがラルシュに聞いた。
ミチルは‥うん、何時もの‥こっちでの服だ。
コスプレ感満載だったはずなのに、‥なんかもう慣れた。
俺の順応力が凄いのか「もともと見慣れてきた服装」を記憶が思い出したのか‥それは‥分からない。
ただ、あれだ。
似合ってるから問題ない、って脳が判断したんだろう。
これが全然似合わない服とかだったら‥きっと脳が拒否反応起こしただろう。
例えば‥
かぼちゃパンツで白タイツはいてるサエナイおっさん‥だったら、きっといつまでたっても(笑ってしまって)見慣れなかったんだろう。
‥そういや、王子様のラルシュもそんな恰好してないね。
高級スーツって感じで、違和感とか特にない。
確かに、形とか地球のスーツと違うんだけど、こっちも似合ってるから全然問題なく見慣れた。
寧ろ、超・カッコイイ。
ラブ~! 見惚れる~! とかじゃない。
頼りになる凛々しい王子様。
って感じ。
それで、しばらく目をならすために、ベッド脇で話し込むミチルとラルシュの後姿をぼんやり眺めていた。
地球ではまずみられないような顔面偏差値の高いコンビだ。
なんていうか‥立ってるだけで絵になるとか、なにそれズルい‥。
‥なわけだから、
「ヒジリは思い出したの? 」
と、ラルシュが突然、少し驚いたような顔をして、こっちを振り向いたのには‥驚いた。
え? なに‥?
思い出したとは。
‥何のことでしょう?
こっち生まれだったってこと?
‥今更だよね。昨日両親も来てそんな話したよね。
さっきナツミの話してたから、‥ナツミの事だろう。
ナツミが俺にあのブレスレットを渡したこと?
それとも、その為に倒れて‥ナツミが焦って助けを求めて、偶然現れたラルシュ様に俺を任せたこと?
俺がそう尋ねると、ラルシュは頷いた。
どうやらその話らしい。
ラルシュは‥その後の事を知っているのだろう。
ナツミがどうなったのか、とか、今どこにいるのか‥とか。
ナツミ‥。
そういえば、俺、今までそのことを考えてなかった。
ナツミの事を‥。
ナツミは、きっと、俺が今の今までこっちに帰ってこずに、あっちの世界で過ごしていたなんて思いもしていないだろう。
きっと、すぐに目が覚めるだろうって思ってただろう。
俺ほどの魔力の量があれば、少し成長すれば、あのブレスレット位外せるだろうって思ってただろう。
俺のこと待っててくれたかもしれない。
だけど、俺は‥いやな記憶に蓋をして、あっちで「児嶋 聖」として呑気に暮らしていた。
皆に迷惑を掛けて‥。
母さんたちは、俺をただ心配して、何も言わずに、あのブレスレットを外すのを待っていてくれてた。だのに、俺はそのこと‥ブレスレットを外すこと‥すら忘れていた。母さんたちは、‥言い出しにくかったんだろうか‥? ‥俺が中々魔力を上げられないのかもって、気を遣ってくれていたのかもしれない。
‥魔力の伸び悩みってのは、確かにある。だから、俺が中々魔力を上げられないことを気にしてるって思ったのかもしれない。‥でも、俺は、魔力のことすら忘れていたから、そのことを考えてもいなかった。
まずは、謝らなくちゃいけなかった。母さんたちと‥そして、何よりもまず、ラルシュに‥。
俺は、ぎゅっと布団の端を握りしめ、力いっぱい頭を下げた。
「本当にすみませんでした‥っ」
‥ラルシュの顔は見れなかった。
「ヒジリ?! どうしたの? 」
驚いたラルシュの声が、俺を振り向いた。心配そうな視線が、顔をあげないでも感じられた。
俺は、心配してもらう資格なんて、ないのに‥。
「俺は‥こんなに長い間、皆に迷惑を掛けて‥今まで、あのブレスレットを外すってことも忘れて、あっちで暮らして来た‥今の今まで、こっちのことなんて思い出しもしなかったんです‥っ! 」
逃げてきた。っていう事実は分かるんだけど、本当に今まで全然思い出せなかった。すっぽり抜け落ちたみたいに、ここにいた記憶が無かった。
それ程忘れたかったってことなんだろうか?
でも、そんな俺の事情は、他の人には関わりは無いことだ。事実はただ一つ、(きっと俺の意思で)俺が忘れてたってことだけ。‥せめて、何の言い訳もしないで、誠実に謝ろうと思う。
俺は、ただ、謝るしかできない。
「ヒジリ‥」
ラルシュが首を軽く振る。
「ヒジリ。自分を責める必要なんてない。君は、本当に今まで『眠っていた』んだ。あっちで仮に暮らしていたのは、‥いうなれば夢を見ていたようなものだ。「児嶋 聖」という、別の「入れ物」の目線で、夢を見ていたに過ぎない。‥『自分』だって自覚のある『他人の夢』っていう感じかな。‥リバーシは夢を見ないからその感覚は分からないかな」
困った様な顔でラルシュが説明してくれた。
俺を気遣っているという様子ではない。ただ、上手く説明できなくて困るという風な口調だった。
「自分だって自覚のある他人? 」
俺は、ラルシュを見た。
ラルシュがもう一度軽く頷く。
「そう。全く別の顔をした他人なんだけど、夢を見ている本人は、その人を自分だって「わかっている」そんな夢だよ。その夢の中のことは、夢から覚めたら「なんだそれは」ってことだったとしても、夢を見ているときは「それは唯一本当の事」と納得できているし、そのことを疑いもしない‥」
隣にいたメイドさんが「そういうことはありますね」と頷いているが、同じく夢を見ないミチルは首を傾げていた。
勿論俺にも、少しも分からなかった。
だけど、実際にそうだった。
あそこでは、俺は、「児嶋 聖」でありそれ以外の何者でもなかった。たとえば、幼い頃の記憶が無いとか些細なことは、俺にとって気にならなかった。ただ、‥さっきラルシュが言ったみたいに、そういうもの‥「それは唯一本当の事」だった。
でも、どうしてそんなことになっていたんだろう。
「どうしてそんな風だったんですか? 」
だから、俺は正直にそう聞いた。
ラルシュが頷く
「私が、そうなるようにやりました。上手くいくかはわかりませんでしたが、あの時はそれしか方法が浮かびませんでした。ヒジリを男の子にしたのは、‥少しでも他人に見える様にって思ったからです」
‥うん、それも何となく分かる。
どうして、他人に見える様にしたかったのか。
成長して魔力量が増える間までの、時間稼ぎをあっちの世界でする。その際、「時間稼ぎをする必要があるから」その原因となる「敵」から俺が見つからないようにするため‥。
やっと少し顔をあげた俺に、ラルシュはほっとした顔をした。
「俺が逃げてる敵は‥ナツミに魔石を売ってた魔石商人ですか? 」
俺が聞くと、ラルシュが浅く首を振った。
「国の‥反対勢力です」
国の‥
反対勢力?
俺ってば、そんなのに狙われてるの‥? いや、‥聞いてたけどね「そういうこともある」って‥。リバーシの力を狙って犯罪者が‥って。でも、そんなの‥私利私欲レベルの事だと思うじゃない。
だけど、まさかの国の反対勢力。
国家規模‥っ!
思った以上にヘビーな話に、また現実逃避したくなる俺だった。
‥息をする程簡単に、こっちに来れるようになってしまった。
「おはよう、ヒジリ」
目覚めた俺に、ふわりと微笑む‥ラルシュ。
あの時、助けてくれた男の子。
‥そういえば、面影ある。
‥かな? あの時一回見ただけだから、覚えてないや。
俺が目をパチパチさせて周りの明るさにならそうとしていたら‥
「ラルシュは、「ナツミ」に会ってたんだな」
ミチルがラルシュに聞いた。
ミチルは‥うん、何時もの‥こっちでの服だ。
コスプレ感満載だったはずなのに、‥なんかもう慣れた。
俺の順応力が凄いのか「もともと見慣れてきた服装」を記憶が思い出したのか‥それは‥分からない。
ただ、あれだ。
似合ってるから問題ない、って脳が判断したんだろう。
これが全然似合わない服とかだったら‥きっと脳が拒否反応起こしただろう。
例えば‥
かぼちゃパンツで白タイツはいてるサエナイおっさん‥だったら、きっといつまでたっても(笑ってしまって)見慣れなかったんだろう。
‥そういや、王子様のラルシュもそんな恰好してないね。
高級スーツって感じで、違和感とか特にない。
確かに、形とか地球のスーツと違うんだけど、こっちも似合ってるから全然問題なく見慣れた。
寧ろ、超・カッコイイ。
ラブ~! 見惚れる~! とかじゃない。
頼りになる凛々しい王子様。
って感じ。
それで、しばらく目をならすために、ベッド脇で話し込むミチルとラルシュの後姿をぼんやり眺めていた。
地球ではまずみられないような顔面偏差値の高いコンビだ。
なんていうか‥立ってるだけで絵になるとか、なにそれズルい‥。
‥なわけだから、
「ヒジリは思い出したの? 」
と、ラルシュが突然、少し驚いたような顔をして、こっちを振り向いたのには‥驚いた。
え? なに‥?
思い出したとは。
‥何のことでしょう?
こっち生まれだったってこと?
‥今更だよね。昨日両親も来てそんな話したよね。
さっきナツミの話してたから、‥ナツミの事だろう。
ナツミが俺にあのブレスレットを渡したこと?
それとも、その為に倒れて‥ナツミが焦って助けを求めて、偶然現れたラルシュ様に俺を任せたこと?
俺がそう尋ねると、ラルシュは頷いた。
どうやらその話らしい。
ラルシュは‥その後の事を知っているのだろう。
ナツミがどうなったのか、とか、今どこにいるのか‥とか。
ナツミ‥。
そういえば、俺、今までそのことを考えてなかった。
ナツミの事を‥。
ナツミは、きっと、俺が今の今までこっちに帰ってこずに、あっちの世界で過ごしていたなんて思いもしていないだろう。
きっと、すぐに目が覚めるだろうって思ってただろう。
俺ほどの魔力の量があれば、少し成長すれば、あのブレスレット位外せるだろうって思ってただろう。
俺のこと待っててくれたかもしれない。
だけど、俺は‥いやな記憶に蓋をして、あっちで「児嶋 聖」として呑気に暮らしていた。
皆に迷惑を掛けて‥。
母さんたちは、俺をただ心配して、何も言わずに、あのブレスレットを外すのを待っていてくれてた。だのに、俺はそのこと‥ブレスレットを外すこと‥すら忘れていた。母さんたちは、‥言い出しにくかったんだろうか‥? ‥俺が中々魔力を上げられないのかもって、気を遣ってくれていたのかもしれない。
‥魔力の伸び悩みってのは、確かにある。だから、俺が中々魔力を上げられないことを気にしてるって思ったのかもしれない。‥でも、俺は、魔力のことすら忘れていたから、そのことを考えてもいなかった。
まずは、謝らなくちゃいけなかった。母さんたちと‥そして、何よりもまず、ラルシュに‥。
俺は、ぎゅっと布団の端を握りしめ、力いっぱい頭を下げた。
「本当にすみませんでした‥っ」
‥ラルシュの顔は見れなかった。
「ヒジリ?! どうしたの? 」
驚いたラルシュの声が、俺を振り向いた。心配そうな視線が、顔をあげないでも感じられた。
俺は、心配してもらう資格なんて、ないのに‥。
「俺は‥こんなに長い間、皆に迷惑を掛けて‥今まで、あのブレスレットを外すってことも忘れて、あっちで暮らして来た‥今の今まで、こっちのことなんて思い出しもしなかったんです‥っ! 」
逃げてきた。っていう事実は分かるんだけど、本当に今まで全然思い出せなかった。すっぽり抜け落ちたみたいに、ここにいた記憶が無かった。
それ程忘れたかったってことなんだろうか?
でも、そんな俺の事情は、他の人には関わりは無いことだ。事実はただ一つ、(きっと俺の意思で)俺が忘れてたってことだけ。‥せめて、何の言い訳もしないで、誠実に謝ろうと思う。
俺は、ただ、謝るしかできない。
「ヒジリ‥」
ラルシュが首を軽く振る。
「ヒジリ。自分を責める必要なんてない。君は、本当に今まで『眠っていた』んだ。あっちで仮に暮らしていたのは、‥いうなれば夢を見ていたようなものだ。「児嶋 聖」という、別の「入れ物」の目線で、夢を見ていたに過ぎない。‥『自分』だって自覚のある『他人の夢』っていう感じかな。‥リバーシは夢を見ないからその感覚は分からないかな」
困った様な顔でラルシュが説明してくれた。
俺を気遣っているという様子ではない。ただ、上手く説明できなくて困るという風な口調だった。
「自分だって自覚のある他人? 」
俺は、ラルシュを見た。
ラルシュがもう一度軽く頷く。
「そう。全く別の顔をした他人なんだけど、夢を見ている本人は、その人を自分だって「わかっている」そんな夢だよ。その夢の中のことは、夢から覚めたら「なんだそれは」ってことだったとしても、夢を見ているときは「それは唯一本当の事」と納得できているし、そのことを疑いもしない‥」
隣にいたメイドさんが「そういうことはありますね」と頷いているが、同じく夢を見ないミチルは首を傾げていた。
勿論俺にも、少しも分からなかった。
だけど、実際にそうだった。
あそこでは、俺は、「児嶋 聖」でありそれ以外の何者でもなかった。たとえば、幼い頃の記憶が無いとか些細なことは、俺にとって気にならなかった。ただ、‥さっきラルシュが言ったみたいに、そういうもの‥「それは唯一本当の事」だった。
でも、どうしてそんなことになっていたんだろう。
「どうしてそんな風だったんですか? 」
だから、俺は正直にそう聞いた。
ラルシュが頷く
「私が、そうなるようにやりました。上手くいくかはわかりませんでしたが、あの時はそれしか方法が浮かびませんでした。ヒジリを男の子にしたのは、‥少しでも他人に見える様にって思ったからです」
‥うん、それも何となく分かる。
どうして、他人に見える様にしたかったのか。
成長して魔力量が増える間までの、時間稼ぎをあっちの世界でする。その際、「時間稼ぎをする必要があるから」その原因となる「敵」から俺が見つからないようにするため‥。
やっと少し顔をあげた俺に、ラルシュはほっとした顔をした。
「俺が逃げてる敵は‥ナツミに魔石を売ってた魔石商人ですか? 」
俺が聞くと、ラルシュが浅く首を振った。
「国の‥反対勢力です」
国の‥
反対勢力?
俺ってば、そんなのに狙われてるの‥? いや、‥聞いてたけどね「そういうこともある」って‥。リバーシの力を狙って犯罪者が‥って。でも、そんなの‥私利私欲レベルの事だと思うじゃない。
だけど、まさかの国の反対勢力。
国家規模‥っ!
思った以上にヘビーな話に、また現実逃避したくなる俺だった。
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