リバーシ!

文月

文字の大きさ
30 / 248
三章 ヒジリとミチルの「夜の国」

11.ミチルと‥急接近?

しおりを挟む
(side ヒジリ)


「‥お前、なんでそうナツミを敵認識しようとするんだ。なにかナツミに恨みでもあるのか?! 凝り固まった思想は正しい判断思考の妨げになるってわからないわけでもないだろう?! 」
 俺は‥
 キレた。
 この温和な俺をキレさせるってなかなかないぞ?!
 怒ること位は普通にあるけど、俺は普段そうそうキレない。
 その俺が、今、完全にキレている。

「ヒジリこそ、可笑しいぞ!? 
 なんでそこまでナツミを庇うんだ! そりゃあ‥友達だからそう思いたいってのは分かるけど、固定概念で本質まで見失いそうなレベルの狂信っぷりだぞ!? ってか、洗脳でもされてるのか? って疑うレベルだぞ!? 」
 ミチルは‥
 相変わらずのあきれ顔だ。
 ‥相手にもしてないって感じ。
 いや、俺キレてるから。
 普段穏やかな人がキレると怖いから。

「二人とも落ち着いて。
 ミチルは言い過ぎだけど、‥ヒジリもちょっとナツミは味方っていう考えをちょっと置いて置こう。
 純粋に事実だけを整理しよう。
 まず、
 あの時の‥ヒジリ誘拐事件の黒幕は誰だったか。
 ナツミの役割は何だったのか。
 ナツミと黒幕との間にどういう契約があったのか。
 黒幕の誘拐計画とはどんなものだったのか。
 ナツミの誘拐計画の阻止計画はどんなもので、その結果はどうなったのか。
 今の現状と、ナツミは今どこで何をしているのか
 それについて、整理していこう。
 それらを考えたり‥調査したりして、最終的にナツミが敵か味方かを判断していこう? 」
 ラルシュは
 困り顔だ。
 すまん。こういう時、周りにいる人間が迷惑被るんだ。
 お互い、意地を張っちゃって引けなくなってるからね‥。
 ってか‥
「‥ごめん。紙に書いてもらってもいい? ちょっと覚えられそうにない‥」
 こういう時、‥俺って、脳筋寄りなのか? って思うよな。


 そうこうしてる間に時間切れだ。
 空が紫色に変わり始めた。
 5時間っていう時間は、割と短い。
 12時にこっちに来て、地球に帰らなくちゃいけない時間は朝の5時。
 だから、5時間。
「帰るか」
 ため息をついて帰る支度を始めるミチルを見て、俺は何故か焦って、ミチルの腕をガッツリ掴んでしまった。
「待て、置いていくな」
 って。
 いや、冷静に考えれば、俺は一人で帰れたのよ‥。だけどね、なんか‥ね。
 ‥このまま「喧嘩別れ」みたいなのは‥どうかな‥って思った‥のもあるんだろう。
 つい‥掴んじゃったんだよ。
 掴んじゃった‥けど、掴んじゃったことに対しても動揺して‥
 俺は‥
 多分、なんか‥パニくったんだろう。

 
 今俺は‥身体ごとこっちに来ている‥っ!


「あ‥」

 で、今の状況は、ミチルの腕を掴んだヒジリ(女の子バージョン)がミチルの上に乗っかっている。
 で、場所は勿論の事ながら、ミチルのベッド。
 それだけだったら、
「悪い」
 ってミチルに謝って、ミチルが嫌な顔して「気をつけろ」って言って‥それで済むことだろうが(済むのか? )
 今回はそうじゃなかった。
 あの気まずい沈黙の直後、
「ミチル~。おはよう。来ちゃった~! 」
 って、合い鍵持った女の子がドアを開けて‥
 俺と目が合った。

 あ、‥違いますよ。俺。そういうのじゃ、ないです。いや、ホント。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。 ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。 これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。 そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ! そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――? おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!? ※小説家になろう・カクヨムにも掲載

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...