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九章 ナツミというただの女の子
3.あたしの輝ける星。
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(side ナツミ)
この国の話をしよう。
ヒジリが世界の災厄だって言われる原因になった「予言者」ではなく、「天体観測者」だった。
予言者とは、自身にある日突然「浮かぶ予言」を国に知らせることで、未来に起こるであろう凶事を事前に防ぐ働きを担っている魔法使い達である。
それは、科学的根拠はないものの、「神からの啓示」として国から重要視されてきた。故に、彼らは「神官」と呼ばれ、教会で普段は神を敬い、また人々の悩みに向き合いながら生活していた。
神官は異例の魔法使いだ。
というのも、本来魔法使いというのは、利己主義者が多く、人の為に何かをするっていう考えが無い者が普通なんだ。
自らの魔法「予言」で知り得た「国の凶事」を他者に知らせ、またその凶事が起こらない様に事前に防ぐ。
通常の魔法使いなら知り得た情報を自らの利益につながるように使う。(情報というのは「それが必要である場所」では、金銭的価値を持つものだからね)そして、起こりうる凶事を利用することにも何の躊躇も示さないだろう。
だけど、神官である予言者はそうしない。
だから彼らが魔法使いではないのではないか、と疑問視する声が出始めたんだ。‥実際は、魔法使い = 全員利己主義者っていう考えは偏見に過ぎないっていうのに、だ。
そんな時、「そろそろ大雨が降るな」って気象や「隕石が接近している気をつけろ」って天体から科学的に「凶事」を「予言」し、そしてそれを的中させる「天体観測者」が出て来たんだ。(彼らは、気象学・天体学を学んだ地球から移民だっていう話もある)
気象その他から知り得ることが出来、そして誰の目から見てもその「結果」がわかる科学的凶事と、特定の者しか予測できない「神からの啓示」。
地球からの「超リアリズム」って考え方に傾倒している若い知識層が今までの教会至上主義から科学主義に転向するのにそう時間はかからなかった。
そして、知識層の後ろ盾という「権力」を持った天体観測者がいつしかその権威を自分の利益のために悪用する‥っていう流れも、普通に想像できた。
天体観測者本人が望まずとも‥
教会を快く思わない者たちはこぞって新勢力・天体観測者側につき‥気が付けば、二つの組織は政治のど真ん中‥とは言わぬものの随分中央よりに位置する「無視できない勢力」になっていた。(つまり派閥争いに巻き込まれたってわけだな)
欲望渦巻く貴族の争いなんて‥まあ、何時もの事だ。
兎も角、その「無視できない程」発言権と、注目度が高い二つの組織がこぞって、
「ヒジリがいずれ国の災厄となりうるリバーシだ」
そう予言・報告した。
「口裏を合わせる」なんてないだろうと思える‥対立した二つの組織からほぼ同時に報告されたその予言(予測)に国中が動揺したのは、無理が無いだろう。
なんせ、どちらを信じるにしても‥「同じこと」が報告されているのだから‥。
これは、無視できない「国の一大事である」
国中の知識人、貴族、役人‥そして王までがそう思った。
だが、だからといって、ヒジリを今すぐどうこうするってことはできない。なんといっても、ヒジリだって善良なる国民の一人なのだから。
なにより
そんなことが国民に知れたら、国民をいたずらに怖がらせる。だから、国は予言者と天体観測者それぞれにそのことを口外無用とするように指示を出し、国は密かにヒジリの監視と、将来的にはヒジリを第一王子以外の王子と婚姻を結ばせて、城に監禁する‥という方針を決めた。
ヒジリが生まれて間もなくのことだった。
だけど、カタル様によるとこの予言は間違いではないが、足りないのだという。
曰く
「星はひとつではない。一つの大きな星‥ヒジリに隠れてもう一つ大きな星がある」
というのだ。
その星は、ヒジリに負けないほどの力がある‥というのだ。
そして、それがネロ様だっていうのだ。
私たち(政府からは反政府組織と呼ばれている)の真のリーダー・カタル様は、予言の魔法が使える魔法使いだ。
ここにいるってことで分かるとは思うんだけど、未認定の魔法使いだ。
魔法学校に行っていないので、魔法は使えない。否、予知以外の魔法は使えない。
きっと、ちゃんと学んだら立派な魔法使いになれただろう。‥それはつまり、「ちゃんと学校で学ばなければ立派な魔法使いになれない」ってことだ。
例外を認めない「国の方針」とやらには‥反吐が出る。
この国では、子供が産まれた時に神官によって適性を調べられ、魔法使いの素質‥適性が認められたら学校に行き、その後は国家公務員・魔法師として働くってシステムがある。(システムだ。ここに子供の意思やら拒否権はない)
子供が産まれた時に‥っていって、神官に「子供が産まれた」ってことを申請するのはその子供の両親だ。
カタル様は両親から、出産を申請されることなく「コッソリと」産み落とされた。時の属性のある父親の方は身分の高い貴族で、母親は庶民‥水商売の女だった。男の妻が認知するのを嫌がって、女(カタル様の産みの母親だ)に金を渡して、女は子供を人身売買の組織に売った。
無戸籍の子供は、ほぼそういう人生を歩む。
殺人、諜報‥足がつかない使い捨ての無戸籍の子供は、犯罪組織にとって使いやすいのだ。
その点でいえば、カタル様は運が良かった。
カタル様は、魔法の適性を見抜いた当時のリーダーの目に留まり‥我々の組織に引き取られたのだ。
カタル様の魔法は、予言だった。
予言の魔法使いは希少だ。
そもそも、発見が難しい。
水や火の魔法と違って、魔法の才能の片鱗が見られにくいんだ。「この子は勘がいいね」とか「天気が読める子なんだね」で片づけられることも多い。
「予言」onlyの魔法使いというのは少ない。
治癒系の魔法使いが、それにプラスして予言の魔法をちょっと持っていたり(※ 神官はこういう魔法使いが多い)、土属性の魔法使いが農耕期を決める際に知らずに使っていたり‥そういった、併設って感じの魔法なのだ。
国政に関わるような予言者は、予言の力が大きく、その規模も大きい、「予言」onlyの魔法使いである。
彼らは発見が難しいってレベルではなく、もうそれこそ見る人が見れば一目で‥ってレベル程‥違うらしい。
見る人が見れば、だ。(「見る人」じゃなければ、やっぱり分からないんだ)
予言者は希少な存在であり、そして取り扱いが面倒な存在である。
予言‥「まだ起こっていない未来」を覗き見る行為が出来る‥「時」に関与できる人間。
それは、人々にとって憧憬の対象であり、また脅威の対象である。
予言者本人の発言権が大きく、信じる者が多くなれば‥政治の道具にもなりうる危険性も考慮しないといけない。
予言者自体の犯行というのは少ないのだが、予言者を利用する者、予言者の名を語る者というのが存外多いのだ。
嘘の予言をさせる者。
予言された‥あたかもそうなることがはじめから決まっていた‥かの様に、事件をねつ造する者。
‥だけど、(そういう危険性が)分かっていても全ての犯罪に対して国が出来る「予防策」は皆無に等しい。
それこそ‥俗界から隔離でもいない限りは、だ。
国政に携わるような「予言の魔法使い」が極秘に隠匿され、俗界から隔離されているのはそういった理由だ。彼らはそれこそ、「産まれて予言の魔法使いの素質が認められた」時点で存在を世間から隠匿され(死亡扱いになるらしい)国(教会)に隔離されるのだ。
カタル様は間違いなく国に隔離されるレベルの予言者だという。
予言の魔法のことがよく分からない私たちにもそういうのは分かる。
カタル様のおっしゃること全ては必ずこの先起こることだし、それに備えるためにカタル様がおっしゃる方法はすべて正しかった。
神聖で、そして賢明でお優しい。
カタル様ほど素晴らしい人をあたしは知らない。
カタル様の出生は不幸ではあったが、我々にとっては幸運そのものだった。
そして、そんなカタル様の素質を見極めた当時のリーダーにはもう、感謝しかない。
カタル様は「この組織のリーダーは輝けるもう一つの星であるネル様だ」っていうけれど、あたしたちにとって真のリーダーは、カタル様だ。
この国の話をしよう。
ヒジリが世界の災厄だって言われる原因になった「予言者」ではなく、「天体観測者」だった。
予言者とは、自身にある日突然「浮かぶ予言」を国に知らせることで、未来に起こるであろう凶事を事前に防ぐ働きを担っている魔法使い達である。
それは、科学的根拠はないものの、「神からの啓示」として国から重要視されてきた。故に、彼らは「神官」と呼ばれ、教会で普段は神を敬い、また人々の悩みに向き合いながら生活していた。
神官は異例の魔法使いだ。
というのも、本来魔法使いというのは、利己主義者が多く、人の為に何かをするっていう考えが無い者が普通なんだ。
自らの魔法「予言」で知り得た「国の凶事」を他者に知らせ、またその凶事が起こらない様に事前に防ぐ。
通常の魔法使いなら知り得た情報を自らの利益につながるように使う。(情報というのは「それが必要である場所」では、金銭的価値を持つものだからね)そして、起こりうる凶事を利用することにも何の躊躇も示さないだろう。
だけど、神官である予言者はそうしない。
だから彼らが魔法使いではないのではないか、と疑問視する声が出始めたんだ。‥実際は、魔法使い = 全員利己主義者っていう考えは偏見に過ぎないっていうのに、だ。
そんな時、「そろそろ大雨が降るな」って気象や「隕石が接近している気をつけろ」って天体から科学的に「凶事」を「予言」し、そしてそれを的中させる「天体観測者」が出て来たんだ。(彼らは、気象学・天体学を学んだ地球から移民だっていう話もある)
気象その他から知り得ることが出来、そして誰の目から見てもその「結果」がわかる科学的凶事と、特定の者しか予測できない「神からの啓示」。
地球からの「超リアリズム」って考え方に傾倒している若い知識層が今までの教会至上主義から科学主義に転向するのにそう時間はかからなかった。
そして、知識層の後ろ盾という「権力」を持った天体観測者がいつしかその権威を自分の利益のために悪用する‥っていう流れも、普通に想像できた。
天体観測者本人が望まずとも‥
教会を快く思わない者たちはこぞって新勢力・天体観測者側につき‥気が付けば、二つの組織は政治のど真ん中‥とは言わぬものの随分中央よりに位置する「無視できない勢力」になっていた。(つまり派閥争いに巻き込まれたってわけだな)
欲望渦巻く貴族の争いなんて‥まあ、何時もの事だ。
兎も角、その「無視できない程」発言権と、注目度が高い二つの組織がこぞって、
「ヒジリがいずれ国の災厄となりうるリバーシだ」
そう予言・報告した。
「口裏を合わせる」なんてないだろうと思える‥対立した二つの組織からほぼ同時に報告されたその予言(予測)に国中が動揺したのは、無理が無いだろう。
なんせ、どちらを信じるにしても‥「同じこと」が報告されているのだから‥。
これは、無視できない「国の一大事である」
国中の知識人、貴族、役人‥そして王までがそう思った。
だが、だからといって、ヒジリを今すぐどうこうするってことはできない。なんといっても、ヒジリだって善良なる国民の一人なのだから。
なにより
そんなことが国民に知れたら、国民をいたずらに怖がらせる。だから、国は予言者と天体観測者それぞれにそのことを口外無用とするように指示を出し、国は密かにヒジリの監視と、将来的にはヒジリを第一王子以外の王子と婚姻を結ばせて、城に監禁する‥という方針を決めた。
ヒジリが生まれて間もなくのことだった。
だけど、カタル様によるとこの予言は間違いではないが、足りないのだという。
曰く
「星はひとつではない。一つの大きな星‥ヒジリに隠れてもう一つ大きな星がある」
というのだ。
その星は、ヒジリに負けないほどの力がある‥というのだ。
そして、それがネロ様だっていうのだ。
私たち(政府からは反政府組織と呼ばれている)の真のリーダー・カタル様は、予言の魔法が使える魔法使いだ。
ここにいるってことで分かるとは思うんだけど、未認定の魔法使いだ。
魔法学校に行っていないので、魔法は使えない。否、予知以外の魔法は使えない。
きっと、ちゃんと学んだら立派な魔法使いになれただろう。‥それはつまり、「ちゃんと学校で学ばなければ立派な魔法使いになれない」ってことだ。
例外を認めない「国の方針」とやらには‥反吐が出る。
この国では、子供が産まれた時に神官によって適性を調べられ、魔法使いの素質‥適性が認められたら学校に行き、その後は国家公務員・魔法師として働くってシステムがある。(システムだ。ここに子供の意思やら拒否権はない)
子供が産まれた時に‥っていって、神官に「子供が産まれた」ってことを申請するのはその子供の両親だ。
カタル様は両親から、出産を申請されることなく「コッソリと」産み落とされた。時の属性のある父親の方は身分の高い貴族で、母親は庶民‥水商売の女だった。男の妻が認知するのを嫌がって、女(カタル様の産みの母親だ)に金を渡して、女は子供を人身売買の組織に売った。
無戸籍の子供は、ほぼそういう人生を歩む。
殺人、諜報‥足がつかない使い捨ての無戸籍の子供は、犯罪組織にとって使いやすいのだ。
その点でいえば、カタル様は運が良かった。
カタル様は、魔法の適性を見抜いた当時のリーダーの目に留まり‥我々の組織に引き取られたのだ。
カタル様の魔法は、予言だった。
予言の魔法使いは希少だ。
そもそも、発見が難しい。
水や火の魔法と違って、魔法の才能の片鱗が見られにくいんだ。「この子は勘がいいね」とか「天気が読める子なんだね」で片づけられることも多い。
「予言」onlyの魔法使いというのは少ない。
治癒系の魔法使いが、それにプラスして予言の魔法をちょっと持っていたり(※ 神官はこういう魔法使いが多い)、土属性の魔法使いが農耕期を決める際に知らずに使っていたり‥そういった、併設って感じの魔法なのだ。
国政に関わるような予言者は、予言の力が大きく、その規模も大きい、「予言」onlyの魔法使いである。
彼らは発見が難しいってレベルではなく、もうそれこそ見る人が見れば一目で‥ってレベル程‥違うらしい。
見る人が見れば、だ。(「見る人」じゃなければ、やっぱり分からないんだ)
予言者は希少な存在であり、そして取り扱いが面倒な存在である。
予言‥「まだ起こっていない未来」を覗き見る行為が出来る‥「時」に関与できる人間。
それは、人々にとって憧憬の対象であり、また脅威の対象である。
予言者本人の発言権が大きく、信じる者が多くなれば‥政治の道具にもなりうる危険性も考慮しないといけない。
予言者自体の犯行というのは少ないのだが、予言者を利用する者、予言者の名を語る者というのが存外多いのだ。
嘘の予言をさせる者。
予言された‥あたかもそうなることがはじめから決まっていた‥かの様に、事件をねつ造する者。
‥だけど、(そういう危険性が)分かっていても全ての犯罪に対して国が出来る「予防策」は皆無に等しい。
それこそ‥俗界から隔離でもいない限りは、だ。
国政に携わるような「予言の魔法使い」が極秘に隠匿され、俗界から隔離されているのはそういった理由だ。彼らはそれこそ、「産まれて予言の魔法使いの素質が認められた」時点で存在を世間から隠匿され(死亡扱いになるらしい)国(教会)に隔離されるのだ。
カタル様は間違いなく国に隔離されるレベルの予言者だという。
予言の魔法のことがよく分からない私たちにもそういうのは分かる。
カタル様のおっしゃること全ては必ずこの先起こることだし、それに備えるためにカタル様がおっしゃる方法はすべて正しかった。
神聖で、そして賢明でお優しい。
カタル様ほど素晴らしい人をあたしは知らない。
カタル様の出生は不幸ではあったが、我々にとっては幸運そのものだった。
そして、そんなカタル様の素質を見極めた当時のリーダーにはもう、感謝しかない。
カタル様は「この組織のリーダーは輝けるもう一つの星であるネル様だ」っていうけれど、あたしたちにとって真のリーダーは、カタル様だ。
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