82 / 248
九章 ナツミというただの女の子
4.対の黒い星
しおりを挟む
(side ナツミ)
「国にとって災厄になり得るほど大きな影響を与えるであろう「災厄の星」は二つ。
太陽の光を受けて一際輝く星の後ろに、もう一つ星が見える。‥前にある星が消えない事には、この星は太陽の光を受けて輝くことは出来ない。それ故、この星は輝くことなくひっそりとしている。
大きさは前の星と同様か‥多少は小さい位。
前の星を光の星というならば、この星は影星。
光の星と対立する定めを持っているのか、支える定めを持っているのか‥それは今はまだ分からないが‥まだ定まっていないようだ。
今言えることは、災厄の星は一つではなく二つということ。
さて‥国で飼われている予言者は、そのことが分かったかなあ」
カタル様がうんと小さいときにこう「予言」したという。
かなりの重大発言だ。
内容も問題だが、国専属の予言者を軽視し侮辱しているって逮捕されてもおかしくない。
国なんか関係ない「ここ」だからこそ、できた発言‥ともいえる。
カタル様だけじゃない。ここでは、誰もがのびのびと自分の意見を発言し、それが共感できる者は相槌を打つし、意見が異なる者は遠慮なく反論した。
「災厄の星? カタル坊は難しい言葉をしってるな。‥ああ、確かに国の予言者がそんなことを言ってるらしいな」
「‥驚いたことに天体観測者も異常を報告しているらしいぞ。なんでも魔素の濃度が異常に上昇している場所があるとか‥」
組織の大人たちもカタル様の言葉を受けて会話を続ける。
ここには、カタル様の予言の真偽がわかる人間もいなかったが、その発言を「子供の戯言だ」って一笑に付して、捨ておく者は一人もいない。
それ程、皆はカタル様の予言を信頼していたし、カタル様には子供の頃から人々を引き付けるカリスマ性‥みたいなものがあった(らしい)。
カタル様はさらに
「光の星は、きっと気付かれているだろう。だから、僕らは影星の方が欲しいな。少しばかり力は弱いようだけど、なあに、これ位の差は訓練その他でなんとかできる。
国民の平和と日々の生活の安定が一番大事っていって、保身にばかり力を入れている国はきっと、これら‥強すぎる光を放つ星を国民から遠ざけ、問題が無いように隠してしまうだろう。
強すぎる力は、事なかれ主義を貫く奴らには無用で厄介なものでしかないからって。
隠すって‥まさに、宝の持ち腐れだね。勿体ないよ。
僕らはそうはならない様にしないとね」
そうつけ加えたという。
「僕らはその星とともに、新しい国を作るんだ」
‥こんな窮屈な暮らしはもう沢山だ。
大人たちが唾をのんだ。
当時の事を彼らは「そりゃもう、雷に打たれたような衝撃が走ったね」って今でもよく言っている。
その時までただの社会に不満を持つ「はぐれ者の集団」でしかなかった彼らが、政治を意識し始めたのはその時からだという。
そして、我々の組織が今の規模にまで大きくなったのは、カタル様のカリスマ性あってこそ、だと思う。
(ナツミが直接知らないカタルと「もう一つの星」のちょっと昔の話)
「僕らは君の事を傷つけたりしないよ」
チェスの駒を転がしていた幼児にカタル少年が優しい声で語りかける。
「本当? 」
幼児は涙で潤んでキラキラと輝く大きな瞳を上げてカタルを見る。
カタルはにっこりと微笑むと、力強く頷く。
「ホントだよ。僕らは君の仲間だ」
幼児がふわりと花がほころぶ様な微笑みをふわふわな頬っぺたに浮かべる。
ここにきて幼児は影響状態が良くなった。仲間の中には妻帯者も子供がいる者もいなかったが、皆慣れない育児に奮闘した。人数がいれば出来ることってのもある。
幼児はリバーシだから夜も寝なかったが、今みたいにチェスの駒を転がしたり‥幼児は一人で黙って遊んでいることが多かった。
リーダーに引き取られ、ここに連れてこられたときは、常に緊張した‥無表情な幼児だったが、皆が(それこそ鬱陶しい程)構い倒したおかげで、この頃ではこうして幼児らしいあどけない微笑を浮かべるようになってきた。
そのことにカタル少年は安堵して笑みを浮かべる。
しばらく二人でニコニコと微笑みあっていたが、しかし、幼児は次の瞬間表情を何かを決意したかのように小さく頷くと、
「じゃあ‥僕の大事な子も助けてくれる? その子が一人ぼっちだったら可哀そう‥。僕にはカタルがいるけど‥その子は‥きっと一人で泣いてる。
生まれたばっかりだったら、僕より小さいんだ。‥僕の妹みたいなものなんだ。だから、悪い王様がその子を捕まえて閉じ込めないうちに助けてあげないと‥」
幼児‥ネルは真剣な表情でカタル少年に訴えた。
「ネルの大事な子? 」
カタル少年が首を傾げる。
影星であるネルの大事な子? それは光の星ってこと?
それをネルに確かめても無駄だと思ったカタルは、黙って首を傾げたままネルの次の言葉を待った。
「だって、僕が産まれた村の‥大人たちが言ってたの。ネルみたいな「普通と違う」子たちはみんなお城に閉じ込めるって。ネルたちは皆と違って危険だからって。ネルたちは生まれた瞬間から皆と違うってわかるんだって。だから、城の人たちもネルのことに気付いて迎えに来るんだって。隠れてたって迎えに来るんだって。ネルたちはそれ程危険なんだって。だから、皆‥村の人たちはネルにいてほしくないって言ってた」
そういいながらまた涙を瞳に溜めるネルをカタル少年が抱きしめる。ネルは素直にその胸に抱きこまれながら、
「だから、その子も王様に隠されちゃうね。隠されちゃったら、可哀そうだね。僕だったらそんなことしないよ。一緒に遊んであげるよ」
って涙声で続けた。
優しい子だ。
自分も周りの大人たちに辛い目にあわされてきただろうに他者を心配することが出来る‥。
優しいけど、弱い子。
ネルに対して感じていたそういう印象は改めてやらないといけない。
ネルは今は子供だから弱い。だけど、強くなろうとしている子なんだ。強くなろうと思っている子供は、きっと将来強い子になれる。
弱いのは周りの大人だ。‥ネルの父親がその筆頭かな。
ネルの母親はネルを産んですぐに死亡し、ネルの父親は生まれて間もない「普通じゃない」ネルの扱いに困窮していた。
ネルのリバーシ認定。(リバーシに認定されたことによって)明らかに変わった周りの大人の対応。
妻を失って、初めての育児を一人でしないといけなくなった若い父親の戸惑い、迷い、焦り‥そういった感情は想像に難くない。
そういった人の弱さに組織は付け込んだ。
私たちが責任を持って息子さんを育てます。
紳士的な対応、そして十分すぎる金を渡して、我々の組織はネルを引き取った。
‥ネルの父親は我々にネルを売った。
ネルは幼すぎて何も覚えてないって思ってたのに‥そこはやっぱりリバーシだ。ネロはすべて分かっていたんだ。
周りの大人たちの言っていることも、父親の困窮も‥全部。その上で我々に「ついてきた」んだ。
その事実に衝撃を受け‥また、胸が締め付けられた。
「そうだねえ。隠されちゃったら可哀そうだねえ」
出る杭は打たれる。
手に余る強すぎる力が悪用される前に‥
きっと、光の星は捕まるだろう。
そして、特に有効利用法も考えられないまま、飼い殺しにされるだろう。
‥なんて
もったいない。
それに‥人間を何だと思っているんだ。
産まれて来た総ての命は、平等に幸せになれる資格があるんじゃないのか? 他の皆‥大多数の為に犠牲になれって、そんなの‥酷いよね。
「じゃあ、僕らが助けてあげようね」
「そうだねぇ。僕らが助けようねぇ」
ネルとカタルはにっこりと微笑みあった。
さっき感じた違和感は‥でもそのときは「うっかり」忘れていたんだ。
ネルの大事な子は、産まれたばっかりで‥つまりネルより幼い。
ネルが影星なんじゃなくって‥もしかして、産まれたばっかりの子が‥影星ってこと?
「国にとって災厄になり得るほど大きな影響を与えるであろう「災厄の星」は二つ。
太陽の光を受けて一際輝く星の後ろに、もう一つ星が見える。‥前にある星が消えない事には、この星は太陽の光を受けて輝くことは出来ない。それ故、この星は輝くことなくひっそりとしている。
大きさは前の星と同様か‥多少は小さい位。
前の星を光の星というならば、この星は影星。
光の星と対立する定めを持っているのか、支える定めを持っているのか‥それは今はまだ分からないが‥まだ定まっていないようだ。
今言えることは、災厄の星は一つではなく二つということ。
さて‥国で飼われている予言者は、そのことが分かったかなあ」
カタル様がうんと小さいときにこう「予言」したという。
かなりの重大発言だ。
内容も問題だが、国専属の予言者を軽視し侮辱しているって逮捕されてもおかしくない。
国なんか関係ない「ここ」だからこそ、できた発言‥ともいえる。
カタル様だけじゃない。ここでは、誰もがのびのびと自分の意見を発言し、それが共感できる者は相槌を打つし、意見が異なる者は遠慮なく反論した。
「災厄の星? カタル坊は難しい言葉をしってるな。‥ああ、確かに国の予言者がそんなことを言ってるらしいな」
「‥驚いたことに天体観測者も異常を報告しているらしいぞ。なんでも魔素の濃度が異常に上昇している場所があるとか‥」
組織の大人たちもカタル様の言葉を受けて会話を続ける。
ここには、カタル様の予言の真偽がわかる人間もいなかったが、その発言を「子供の戯言だ」って一笑に付して、捨ておく者は一人もいない。
それ程、皆はカタル様の予言を信頼していたし、カタル様には子供の頃から人々を引き付けるカリスマ性‥みたいなものがあった(らしい)。
カタル様はさらに
「光の星は、きっと気付かれているだろう。だから、僕らは影星の方が欲しいな。少しばかり力は弱いようだけど、なあに、これ位の差は訓練その他でなんとかできる。
国民の平和と日々の生活の安定が一番大事っていって、保身にばかり力を入れている国はきっと、これら‥強すぎる光を放つ星を国民から遠ざけ、問題が無いように隠してしまうだろう。
強すぎる力は、事なかれ主義を貫く奴らには無用で厄介なものでしかないからって。
隠すって‥まさに、宝の持ち腐れだね。勿体ないよ。
僕らはそうはならない様にしないとね」
そうつけ加えたという。
「僕らはその星とともに、新しい国を作るんだ」
‥こんな窮屈な暮らしはもう沢山だ。
大人たちが唾をのんだ。
当時の事を彼らは「そりゃもう、雷に打たれたような衝撃が走ったね」って今でもよく言っている。
その時までただの社会に不満を持つ「はぐれ者の集団」でしかなかった彼らが、政治を意識し始めたのはその時からだという。
そして、我々の組織が今の規模にまで大きくなったのは、カタル様のカリスマ性あってこそ、だと思う。
(ナツミが直接知らないカタルと「もう一つの星」のちょっと昔の話)
「僕らは君の事を傷つけたりしないよ」
チェスの駒を転がしていた幼児にカタル少年が優しい声で語りかける。
「本当? 」
幼児は涙で潤んでキラキラと輝く大きな瞳を上げてカタルを見る。
カタルはにっこりと微笑むと、力強く頷く。
「ホントだよ。僕らは君の仲間だ」
幼児がふわりと花がほころぶ様な微笑みをふわふわな頬っぺたに浮かべる。
ここにきて幼児は影響状態が良くなった。仲間の中には妻帯者も子供がいる者もいなかったが、皆慣れない育児に奮闘した。人数がいれば出来ることってのもある。
幼児はリバーシだから夜も寝なかったが、今みたいにチェスの駒を転がしたり‥幼児は一人で黙って遊んでいることが多かった。
リーダーに引き取られ、ここに連れてこられたときは、常に緊張した‥無表情な幼児だったが、皆が(それこそ鬱陶しい程)構い倒したおかげで、この頃ではこうして幼児らしいあどけない微笑を浮かべるようになってきた。
そのことにカタル少年は安堵して笑みを浮かべる。
しばらく二人でニコニコと微笑みあっていたが、しかし、幼児は次の瞬間表情を何かを決意したかのように小さく頷くと、
「じゃあ‥僕の大事な子も助けてくれる? その子が一人ぼっちだったら可哀そう‥。僕にはカタルがいるけど‥その子は‥きっと一人で泣いてる。
生まれたばっかりだったら、僕より小さいんだ。‥僕の妹みたいなものなんだ。だから、悪い王様がその子を捕まえて閉じ込めないうちに助けてあげないと‥」
幼児‥ネルは真剣な表情でカタル少年に訴えた。
「ネルの大事な子? 」
カタル少年が首を傾げる。
影星であるネルの大事な子? それは光の星ってこと?
それをネルに確かめても無駄だと思ったカタルは、黙って首を傾げたままネルの次の言葉を待った。
「だって、僕が産まれた村の‥大人たちが言ってたの。ネルみたいな「普通と違う」子たちはみんなお城に閉じ込めるって。ネルたちは皆と違って危険だからって。ネルたちは生まれた瞬間から皆と違うってわかるんだって。だから、城の人たちもネルのことに気付いて迎えに来るんだって。隠れてたって迎えに来るんだって。ネルたちはそれ程危険なんだって。だから、皆‥村の人たちはネルにいてほしくないって言ってた」
そういいながらまた涙を瞳に溜めるネルをカタル少年が抱きしめる。ネルは素直にその胸に抱きこまれながら、
「だから、その子も王様に隠されちゃうね。隠されちゃったら、可哀そうだね。僕だったらそんなことしないよ。一緒に遊んであげるよ」
って涙声で続けた。
優しい子だ。
自分も周りの大人たちに辛い目にあわされてきただろうに他者を心配することが出来る‥。
優しいけど、弱い子。
ネルに対して感じていたそういう印象は改めてやらないといけない。
ネルは今は子供だから弱い。だけど、強くなろうとしている子なんだ。強くなろうと思っている子供は、きっと将来強い子になれる。
弱いのは周りの大人だ。‥ネルの父親がその筆頭かな。
ネルの母親はネルを産んですぐに死亡し、ネルの父親は生まれて間もない「普通じゃない」ネルの扱いに困窮していた。
ネルのリバーシ認定。(リバーシに認定されたことによって)明らかに変わった周りの大人の対応。
妻を失って、初めての育児を一人でしないといけなくなった若い父親の戸惑い、迷い、焦り‥そういった感情は想像に難くない。
そういった人の弱さに組織は付け込んだ。
私たちが責任を持って息子さんを育てます。
紳士的な対応、そして十分すぎる金を渡して、我々の組織はネルを引き取った。
‥ネルの父親は我々にネルを売った。
ネルは幼すぎて何も覚えてないって思ってたのに‥そこはやっぱりリバーシだ。ネロはすべて分かっていたんだ。
周りの大人たちの言っていることも、父親の困窮も‥全部。その上で我々に「ついてきた」んだ。
その事実に衝撃を受け‥また、胸が締め付けられた。
「そうだねえ。隠されちゃったら可哀そうだねえ」
出る杭は打たれる。
手に余る強すぎる力が悪用される前に‥
きっと、光の星は捕まるだろう。
そして、特に有効利用法も考えられないまま、飼い殺しにされるだろう。
‥なんて
もったいない。
それに‥人間を何だと思っているんだ。
産まれて来た総ての命は、平等に幸せになれる資格があるんじゃないのか? 他の皆‥大多数の為に犠牲になれって、そんなの‥酷いよね。
「じゃあ、僕らが助けてあげようね」
「そうだねぇ。僕らが助けようねぇ」
ネルとカタルはにっこりと微笑みあった。
さっき感じた違和感は‥でもそのときは「うっかり」忘れていたんだ。
ネルの大事な子は、産まれたばっかりで‥つまりネルより幼い。
ネルが影星なんじゃなくって‥もしかして、産まれたばっかりの子が‥影星ってこと?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる