93 / 248
十章 ネルという特別な子供
2.忘れていた「嫌な気持ち」と‥「新たな予言」
しおりを挟む
(side カタル)
その運命の星が幸せに暮らしていたならば、おそらくリーダたちはその「自分たちには手に負えないであろう大きすぎる予言」には関わらなかっただろう。
だけど、運命の星は‥(お人よしな)リーダーの心をとらえるくらいに‥不幸そうだった。
この先、この選択をきっと後悔するだろう‥って頭では分かったけど、リーダーは‥そういうの無視するの‥無理なタイプなんだ。‥この性格で今まで散々苦労してきたのに‥この人は‥「懲りないな」としか言えない。
呆れてものも言えないってよく言うけど、大概その呆れられた人は「呆れた」散々言われてる。‥ああ、「呆れた」って言葉も出ない程ってのは、‥そのさらに上の段階でもはや「呆れた」って言うのもばかばかしい‥って感じなんだろうか。
もしくは‥
「呆れた」って言葉すらかけたくない位、その人の事嫌いになったか。
僕たちはリーダーの事嫌いになんて絶対にならない。だから、その時も散々「呆れた。‥分かってるよ言いたいこと。‥その子を引き取るんでしょ? 」ってリーダーを「弄った」。
結局その時も、僕たちは‥愛ある「呆れた」を何度も繰り返し‥じゃれ合った。
その時も、リーダーはちょっと困った「振り」して、苦笑いする「振り」してた。
リーダーはそういう空気を読む人だった。ノリに答えるセンスがあった。あと‥そうだな‥「甘え慣れてた」って感じ。
しっかりしてて頼りになるけど、頼ってる「振り」もしてくれる。
そういうとこリーダーは「わかってた」
だけど、(頼ってる振りしてるけど)最初から決めてるって感じ。
頑固だったんだ。でも、その「ブレないところ」もまた頼もしさだったんだから‥ホントリーダーは凄かった。
まさに、理想の上司って感じ。
今僕は「真のリーダーのカタル」なんて言われてるけど、「ホントのリーダー」を知ってる僕としては‥恥ずかしい限りだ。でも、そんな話今のメンバーにしたって知ってる人なんていない。
知らない人に知らない人の話どんなに熱心にしても「同じ温度」で話が出来るわけがないからやらない。
「じゃあ、お前もそうなれよ」
って言われても、‥到底できないし。
それよりなにより‥あの「一番大事な思い出」は僕や‥リーダーを知ってる人だけの大事な宝物にしておきたかったんだ。
話しを戻そう。
リーダーは頑固で、一度「こう」って言ったら、考えを曲げない人だった。
結局その「かわいそうな子」はうちで引き取ろうってことになった。
他のメンバーはリーダー程お人よしじゃなかったんだけど‥多分リーダーの影響受けちゃったんだろうね。「まあ、仕方が無いか~」って誰も反対する者はいなかった。
‥あと、好奇心?
それが大きかったかも。(結局ね)
確かに「運命の星ってどんなんや‥」‥ちょっと気にはなるよね‥。
「私たちが責任を持って息子さんを育てます」
交渉役は、組織では一番紳士に見えるタネさん。
紳士に見えるって地点で、アウトだって思うよね。
だって、「紳士に見える」ってだけで、紳士じゃないってことだよね。
胡散臭いよね。
でもね、世の中「見た目は紳士」って人間の方が実は多いよね。
‥今の「組織」にはそんな人たちばっかりだよ。(だけど、そういう話は今はおいて置こう)
兎に角、交渉には似非紳士(今基準で言えば、十分にいい人)が行くことになった。
「リーダーじゃ人さらいに見えるかも」‥っていうのは皆の「愛ある軽口」だったけど、「でも、念のため」ってことで皆で決めたんだ。
あと‥育ちが良かったから‥なんていうか仕草も上品だったし、言葉遣いも綺麗で、口も達者だったしね。
交渉に向かうのには適任だったんだ。
「リバーシを育てるのはそう容易なことではない。お父さんのご心労お察しいたします。私たち特殊孤児院「子供の家」におまかせくださいませんか? 」
タネさんが紳士然とした柔らかい笑顔を浮かべ言った。
そう、僕たちは特殊孤児院「子供の家」を始めたんだ。
始めたっていうか‥そう申請したって感じ。
血縁関係にない未成年を多数養育しているので、「そういうことになるだろう」「そう申請しておいた方がいいだろう」と、国に許可を申請したんだ。特殊っていうのは、子供の中には僕みたいに「訳アリ」な子供も多かったからだ。‥あと、魔法使いの素質在りとかリバーシだとか‥社会で「異分子」扱いされてる子供も多かった。そんな子供は苛めや虐待にあいやすかったからリーダーの目に留まったんだ。
そういう施設って申請して少しすると、産まれて間もない子供を「引き取ってくれ」って連れてくる者も出て来た。
‥今まで散々変な目で見てきてたのに‥都合がいいね、って思った。
ネルの父親は少しは躊躇したものの‥
結局最後は僕たちの「説得に応じた」
‥ま、形ばかり躊躇を見せて、最後は「望み通り」ネルを厄介払いした‥って感じだったけどね。
ネルと名付けられたその少年は、大人しい子供だった。
喋れるようになったかならないか‥って歳くらいだったって思うけど、ネルは一言も喋らなかった。
(だから、喋れないんだって思ってたんだ。ネルの父親もそういってたから、ネルの父親の前でネルが喋ることはなかったんだろう)
表情が全くっていっていい程ない、綺麗な子供だった。
まるで綺麗な人形みたい‥初めて見たときそう思ったのを覚えている。
それはネルがリバーシだからだろう。
リバーシは主に自衛の為に自分の容姿を良くするって聞いたことがある。
「自分の余分な魔力は容姿に全振りしてますよ」っていうアピールだとか。
あとは‥「見かけだけでもいいから好きになって」っていう切望‥とかかなあ‥。
‥リバーシや魔法使いの卵っていうのは、普通の子供より早熟で、人よりちょっと考える能力があるんだ。そのせいで妙に冷めてる子供が多いし、‥中には「色々諦めちゃって」十代ですでに達観しちゃってるよ‥って子も多い。
魔法使いはそれでも、普通の子供同様「なんか考えてたけど、寝たら忘れちゃった」ってこともあったけど、寝ないリバーシなんか‥ホント悲惨だと思う。時間が腐るほどある。だから‥色々「いらないことまで」考えちゃうんだろう。
考えるって言っても、子供だから見当違いも多い。
‥大人だったら「常識的に考えてそんなことは考えない」ってことを思いついたりもする。
例えば‥
お父さん嫌いだ。妹ばっかり可愛がるし‥。妹も生意気だから嫌いだ。‥寧ろ、妹の方が嫌いだな。
じゃあ、遠くの山に妹を捨てに行くか。
妹が泣いて謝ったらもどしてやるか。
を、即実行に移すのが‥移せるのがリバーシ。
そういう「普通の人には考えられない」ことをする子供もいるから、リバーシは恐れられて‥嫌われてるんだ。(勿論そんな子供はまれだというのに、だ)
あんなに小さかったのに‥ネルはもうすでにリバーシらしかったんだ。
荒唐無稽なことをするサイコ野郎って意味じゃない。妙に達観して「色々諦めちゃって」「人なんて信用しないぞ」って顔してた。
ネルの母親はネルを産んですぐに死亡し、ネルの父親は生まれて間もない「普通じゃない」ネルの扱いに困窮していた。
ネルのリバーシ認定。(リバーシに認定されたことによって)明らかに変わった周りの大人の対応。
妻を失って、初めての育児を一人でしないといけなくなった若い父親の戸惑い、迷い、焦り‥そういった感情は想像に難くない。
事情は‥分からないでもないけど、だからと言ってネルに冷たく当たるのは違うよね。
分からないなりに何とかしなきゃいけないだろうし、周りがネルに冷たくしても‥冷たくするなら‥自分だけでもネルの味方にならなきゃいけない‥んじゃない? 僕には子供がいないから分からないけど、母性本能、父性本能ってそういうもんなんじゃないの?
‥ま、そう口で言うほど簡単なことじゃないんだろう。
‥ネルの若い父親にはそれは無理だったみたい。
まだ、父親の自覚とかも‥あったかどうか怪しい。
ネルの父親の幼馴染だっていう女は(ネルの母親亡き後)完璧に彼の後妻の座を狙ってるって魂胆が見え見えだったし‥父親の方にも「満更じゃない」って感じが見て取れた。
新しい家族(幼馴染の女にとっては「初めての家族」)を作る。‥その為には先妻の子であるネルは邪魔だった。
だから一緒に話を聞いていた女は、タネさんの提案に「その方が、ネル君の為にもいいと思う」なんて説得の後押しまでしてきた。
‥人間ってあさましい‥ってか、‥ネルの周りってろくな人間いないね。
ここにいても、運命の星‥ネルは幸せになれない。
流石にあれでは‥
僕らも思った。
僕たちは、重ねて言うが‥運命の星を手に入れて、どうこうしようなんて「野望」は持ってなかった。
その「野望」がこの先、「今の幸せな関係」を壊すだろうって‥安易に想像がつくから‥。
政権の掌握や、国家転覆。
権力や財力。
身の丈に合わない望みなんて持たない方がいい。
皆そう「分かっていたはず」だったんだ。
大事な大事な宝物のような時間、リーダーとの優しい時間。それが失われるなんて‥考えたくない。
胸をかきむしるような「嫌な気持ち」。
だけど、若かった僕の心はある時「新しい予言」でいっぱいになった。
‥僕だけが知っている「世界を揺るがすような」新しい‥重大な予言。
若者っていうのは、ある時やけに「尊大」になるんだ。身体が大きくなって、力が強くなって、‥自分がなんでも出来るような気になるんだ。
それが、僕の場合は魔法の才能‥予言の才能があったから‥さらに悪かった。
僕は選ばれた人間だ。
そういう‥高鳴った気持ちと、思い上がった気持ち。‥好奇心。
僕はその気持ちのまま‥得意になって予言していた。
あの‥二つの星の予言を‥。
その運命の星が幸せに暮らしていたならば、おそらくリーダたちはその「自分たちには手に負えないであろう大きすぎる予言」には関わらなかっただろう。
だけど、運命の星は‥(お人よしな)リーダーの心をとらえるくらいに‥不幸そうだった。
この先、この選択をきっと後悔するだろう‥って頭では分かったけど、リーダーは‥そういうの無視するの‥無理なタイプなんだ。‥この性格で今まで散々苦労してきたのに‥この人は‥「懲りないな」としか言えない。
呆れてものも言えないってよく言うけど、大概その呆れられた人は「呆れた」散々言われてる。‥ああ、「呆れた」って言葉も出ない程ってのは、‥そのさらに上の段階でもはや「呆れた」って言うのもばかばかしい‥って感じなんだろうか。
もしくは‥
「呆れた」って言葉すらかけたくない位、その人の事嫌いになったか。
僕たちはリーダーの事嫌いになんて絶対にならない。だから、その時も散々「呆れた。‥分かってるよ言いたいこと。‥その子を引き取るんでしょ? 」ってリーダーを「弄った」。
結局その時も、僕たちは‥愛ある「呆れた」を何度も繰り返し‥じゃれ合った。
その時も、リーダーはちょっと困った「振り」して、苦笑いする「振り」してた。
リーダーはそういう空気を読む人だった。ノリに答えるセンスがあった。あと‥そうだな‥「甘え慣れてた」って感じ。
しっかりしてて頼りになるけど、頼ってる「振り」もしてくれる。
そういうとこリーダーは「わかってた」
だけど、(頼ってる振りしてるけど)最初から決めてるって感じ。
頑固だったんだ。でも、その「ブレないところ」もまた頼もしさだったんだから‥ホントリーダーは凄かった。
まさに、理想の上司って感じ。
今僕は「真のリーダーのカタル」なんて言われてるけど、「ホントのリーダー」を知ってる僕としては‥恥ずかしい限りだ。でも、そんな話今のメンバーにしたって知ってる人なんていない。
知らない人に知らない人の話どんなに熱心にしても「同じ温度」で話が出来るわけがないからやらない。
「じゃあ、お前もそうなれよ」
って言われても、‥到底できないし。
それよりなにより‥あの「一番大事な思い出」は僕や‥リーダーを知ってる人だけの大事な宝物にしておきたかったんだ。
話しを戻そう。
リーダーは頑固で、一度「こう」って言ったら、考えを曲げない人だった。
結局その「かわいそうな子」はうちで引き取ろうってことになった。
他のメンバーはリーダー程お人よしじゃなかったんだけど‥多分リーダーの影響受けちゃったんだろうね。「まあ、仕方が無いか~」って誰も反対する者はいなかった。
‥あと、好奇心?
それが大きかったかも。(結局ね)
確かに「運命の星ってどんなんや‥」‥ちょっと気にはなるよね‥。
「私たちが責任を持って息子さんを育てます」
交渉役は、組織では一番紳士に見えるタネさん。
紳士に見えるって地点で、アウトだって思うよね。
だって、「紳士に見える」ってだけで、紳士じゃないってことだよね。
胡散臭いよね。
でもね、世の中「見た目は紳士」って人間の方が実は多いよね。
‥今の「組織」にはそんな人たちばっかりだよ。(だけど、そういう話は今はおいて置こう)
兎に角、交渉には似非紳士(今基準で言えば、十分にいい人)が行くことになった。
「リーダーじゃ人さらいに見えるかも」‥っていうのは皆の「愛ある軽口」だったけど、「でも、念のため」ってことで皆で決めたんだ。
あと‥育ちが良かったから‥なんていうか仕草も上品だったし、言葉遣いも綺麗で、口も達者だったしね。
交渉に向かうのには適任だったんだ。
「リバーシを育てるのはそう容易なことではない。お父さんのご心労お察しいたします。私たち特殊孤児院「子供の家」におまかせくださいませんか? 」
タネさんが紳士然とした柔らかい笑顔を浮かべ言った。
そう、僕たちは特殊孤児院「子供の家」を始めたんだ。
始めたっていうか‥そう申請したって感じ。
血縁関係にない未成年を多数養育しているので、「そういうことになるだろう」「そう申請しておいた方がいいだろう」と、国に許可を申請したんだ。特殊っていうのは、子供の中には僕みたいに「訳アリ」な子供も多かったからだ。‥あと、魔法使いの素質在りとかリバーシだとか‥社会で「異分子」扱いされてる子供も多かった。そんな子供は苛めや虐待にあいやすかったからリーダーの目に留まったんだ。
そういう施設って申請して少しすると、産まれて間もない子供を「引き取ってくれ」って連れてくる者も出て来た。
‥今まで散々変な目で見てきてたのに‥都合がいいね、って思った。
ネルの父親は少しは躊躇したものの‥
結局最後は僕たちの「説得に応じた」
‥ま、形ばかり躊躇を見せて、最後は「望み通り」ネルを厄介払いした‥って感じだったけどね。
ネルと名付けられたその少年は、大人しい子供だった。
喋れるようになったかならないか‥って歳くらいだったって思うけど、ネルは一言も喋らなかった。
(だから、喋れないんだって思ってたんだ。ネルの父親もそういってたから、ネルの父親の前でネルが喋ることはなかったんだろう)
表情が全くっていっていい程ない、綺麗な子供だった。
まるで綺麗な人形みたい‥初めて見たときそう思ったのを覚えている。
それはネルがリバーシだからだろう。
リバーシは主に自衛の為に自分の容姿を良くするって聞いたことがある。
「自分の余分な魔力は容姿に全振りしてますよ」っていうアピールだとか。
あとは‥「見かけだけでもいいから好きになって」っていう切望‥とかかなあ‥。
‥リバーシや魔法使いの卵っていうのは、普通の子供より早熟で、人よりちょっと考える能力があるんだ。そのせいで妙に冷めてる子供が多いし、‥中には「色々諦めちゃって」十代ですでに達観しちゃってるよ‥って子も多い。
魔法使いはそれでも、普通の子供同様「なんか考えてたけど、寝たら忘れちゃった」ってこともあったけど、寝ないリバーシなんか‥ホント悲惨だと思う。時間が腐るほどある。だから‥色々「いらないことまで」考えちゃうんだろう。
考えるって言っても、子供だから見当違いも多い。
‥大人だったら「常識的に考えてそんなことは考えない」ってことを思いついたりもする。
例えば‥
お父さん嫌いだ。妹ばっかり可愛がるし‥。妹も生意気だから嫌いだ。‥寧ろ、妹の方が嫌いだな。
じゃあ、遠くの山に妹を捨てに行くか。
妹が泣いて謝ったらもどしてやるか。
を、即実行に移すのが‥移せるのがリバーシ。
そういう「普通の人には考えられない」ことをする子供もいるから、リバーシは恐れられて‥嫌われてるんだ。(勿論そんな子供はまれだというのに、だ)
あんなに小さかったのに‥ネルはもうすでにリバーシらしかったんだ。
荒唐無稽なことをするサイコ野郎って意味じゃない。妙に達観して「色々諦めちゃって」「人なんて信用しないぞ」って顔してた。
ネルの母親はネルを産んですぐに死亡し、ネルの父親は生まれて間もない「普通じゃない」ネルの扱いに困窮していた。
ネルのリバーシ認定。(リバーシに認定されたことによって)明らかに変わった周りの大人の対応。
妻を失って、初めての育児を一人でしないといけなくなった若い父親の戸惑い、迷い、焦り‥そういった感情は想像に難くない。
事情は‥分からないでもないけど、だからと言ってネルに冷たく当たるのは違うよね。
分からないなりに何とかしなきゃいけないだろうし、周りがネルに冷たくしても‥冷たくするなら‥自分だけでもネルの味方にならなきゃいけない‥んじゃない? 僕には子供がいないから分からないけど、母性本能、父性本能ってそういうもんなんじゃないの?
‥ま、そう口で言うほど簡単なことじゃないんだろう。
‥ネルの若い父親にはそれは無理だったみたい。
まだ、父親の自覚とかも‥あったかどうか怪しい。
ネルの父親の幼馴染だっていう女は(ネルの母親亡き後)完璧に彼の後妻の座を狙ってるって魂胆が見え見えだったし‥父親の方にも「満更じゃない」って感じが見て取れた。
新しい家族(幼馴染の女にとっては「初めての家族」)を作る。‥その為には先妻の子であるネルは邪魔だった。
だから一緒に話を聞いていた女は、タネさんの提案に「その方が、ネル君の為にもいいと思う」なんて説得の後押しまでしてきた。
‥人間ってあさましい‥ってか、‥ネルの周りってろくな人間いないね。
ここにいても、運命の星‥ネルは幸せになれない。
流石にあれでは‥
僕らも思った。
僕たちは、重ねて言うが‥運命の星を手に入れて、どうこうしようなんて「野望」は持ってなかった。
その「野望」がこの先、「今の幸せな関係」を壊すだろうって‥安易に想像がつくから‥。
政権の掌握や、国家転覆。
権力や財力。
身の丈に合わない望みなんて持たない方がいい。
皆そう「分かっていたはず」だったんだ。
大事な大事な宝物のような時間、リーダーとの優しい時間。それが失われるなんて‥考えたくない。
胸をかきむしるような「嫌な気持ち」。
だけど、若かった僕の心はある時「新しい予言」でいっぱいになった。
‥僕だけが知っている「世界を揺るがすような」新しい‥重大な予言。
若者っていうのは、ある時やけに「尊大」になるんだ。身体が大きくなって、力が強くなって、‥自分がなんでも出来るような気になるんだ。
それが、僕の場合は魔法の才能‥予言の才能があったから‥さらに悪かった。
僕は選ばれた人間だ。
そういう‥高鳴った気持ちと、思い上がった気持ち。‥好奇心。
僕はその気持ちのまま‥得意になって予言していた。
あの‥二つの星の予言を‥。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる