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十六章 ミチル争奪戦!
10.総ては私の為
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(side ミチル)
「総ては私の為‥」
ぽつり、とヒジリが呟いた。
「‥急に思い出した。懐かしいな‥」ってふわり‥と微笑む。
「何か言った? 」
ナラフィスがヒジリを見る。
「凄い高飛車な発言が聞こえたんだけど‥」
ってちょっとドン引きした様な顔をして、「そのほんわかした笑顔で言うようなセリフでもないと思うけど‥」って独り言のように付け加える。
ヒジリが首を振り
「‥ナツミの格言。高飛車じゃないよ。ナツミらしい、向上心の塊みたいな言葉。
ナツミは努力の人なんだ。
いつもはもっとフランクな話し方するんだけど、これを言う時だけは‥自分の事「私」なんてかしこまった言い方したりしてた。だけど、ドヤ顔で言うわけじゃない。
‥泣きそうな顔‥
口をきゅってつぐんで、前を真っすぐ向いて‥何かに耐えるみたいな顔してた。
『何か悪いことがあっても、いいことがあっても‥
その裏にある、神の意図を読み取れ。
神は私に何を考えさせようと、学ばせようとしているのか。
偶然なんてものも、無駄なことも何もない。
総ては私の為
流されずに、考え、そして‥学べることを探せ』
きっとさ、自分に言い聞かせてたんだって思う。
それに‥きっと、これは‥俺の勘だけど、誰かの言葉なんだって思う。自分の言葉を格言にする様な奴じゃなかった。誰か‥尊敬する人か誰かの‥大事な言葉なんだろうって‥思うんだ」
って言って、ちょっと寂しそうに笑った。
ラルシュがビクッと‥なぜかビクッとしたのが分かった。
ヒジリが寂しそうな顔をしたからだろう。
が‥
その顔が徐々に青ざめていく‥?
「ナツミは、そう多くを語るタイプじゃなかったんだ。
不言実行って言うのかな‥語るより実行するタイプだった。
そんなナツミが繰り返し言った言葉だったから、印象に残って頭に残ってたんだ。‥俺もいい言葉だって思うしね」
「ヒジリから神って言葉が出るのは不自然でしかないけどね」
「俺を何だと思ってるんだよ。寧ろナツミの方が神の意思とは無縁なタイプだよ」
ナラフィスの言葉に苦笑いで返し、ヒジリは言葉を続けた。
「友達にいじめられてた時は「憎しみは向上への最大の原動力」って言ってたし、家が貧しかったことだって「これは神の試練だ。あたしはこの苦境に打ちひしがれたりしない」って歯を食いしばってたし‥っていうか、苦境って言うほど貧しくなかったんだけどね。‥貧しい状況に自分を置こう‥としてた。欲しいものも家族にねだらない。‥ナツミは家族に甘えたりしなかった。わがまま言って家族を困らせたり、自分の境遇を恨んだり‥そういうことはしなかった。
それと‥「意味のない我慢」をしなかったね。
意味のない我慢ってのは、努力しない人間がすることだって言ってさ。
「お金が無いから魔法学校にいけない、じゃない。魔法学校に行ける為に自分でお金を貯める」「出来ないことがあるなら出来るまで努力する」「魔力が無いなら、無いなりに出来る工夫をするし、‥あるところから奪うまでだ」
ナツミはホント、気持ちいいくらいスーパーポジティブだった」
って、嬉しそうに一方的にしゃべる様子は思い出話というより、「大好きなナツミ」の自慢話みたいだった。
どれ程ナツミが努力家で、‥どれ程ヒジリがナツミのことを大好きだったか‥
ナラフィスに話して聞かせているのに、それはホントに一方的な「ナツミ自慢」だった。
愛されてるなあ、ナツミは。
‥ちょっとジェラシー感じちゃうよね。
幼馴染っていうだけで、今現在ヒジリに何をしているわけでもない‥それどころか、敵sideにいるっていうのに‥相変わらず凄い好感度だし、下がる兆しも見せない。‥こっちは、今現在、ヒジリの好感度上げようとあれこれ努力してるのに上がらないどころか、(俺から‥ってか、俺たちからの好意に)気付きもしてくれないのに‥ほんと、ヤになっちゃう。
「で、何を話したいんだ? 」
ナラフィスが、「茶番は終わりだ」って感じで小さくため息をついて、ヒジリをチラリと見た。
「俺は‥
ナツミじゃないけど‥俺も、これには「何か」の意図を感じたんだ。‥メレディア王が俺に何かを伝えたくて‥俺を呼んだんじゃないのかなって」
ナラフィスが顎に手のひらを押し付けて「ふむ」と何かを考えるそぶりをし
「それは‥無いと思う。
たとえ彼に、この世に未練やら憂い‥みたいなものがあったとしても‥見ず知らずのヒジリにそれを訴えるってことが‥あるだろうか。
「時渡り」出来る存在がやっと生れたから「待ってました! 」でヒジリに「何かを」訴えようとした‥? ‥無いと思う。それなら、ヒジリの婚約者でもっと身近な存在であるラルシュとセットで訴えるね。
ヒジリに対してメレディア王は直接接触してきていない。直接接触までは出来ないのかもしれない。「見て、察してくれ」って言うなら、メレディア王の存在すら知らないヒジリだけを呼んでも仕方が無い」
自分の名前を呼ばれて、ラルシュがナラフィスを振り向く。
「‥さっきから、顔色がわるいぞ。ラルシュ、何か気になることがあったのか? 」
ナラフィスがラルシュを見る。
そう言われて、ヒジリが初めてラルシュを見て「ラルシュ様! 」と驚いた声を出す。
「顔色が‥どうされたんですか?! ご加減が悪いのでしたら‥」
慌ててラルシュの肩を後ろから支えるために駆け寄る。
ラルシュはヒジリを見上げ‥
「さっきの言葉‥ナツミの‥
あれは
兄の口癖だ」
って言ったんだ。
ラルシュの兄ってことは‥、次期王様のってこと‥?!
「総ては私の為‥」
ぽつり、とヒジリが呟いた。
「‥急に思い出した。懐かしいな‥」ってふわり‥と微笑む。
「何か言った? 」
ナラフィスがヒジリを見る。
「凄い高飛車な発言が聞こえたんだけど‥」
ってちょっとドン引きした様な顔をして、「そのほんわかした笑顔で言うようなセリフでもないと思うけど‥」って独り言のように付け加える。
ヒジリが首を振り
「‥ナツミの格言。高飛車じゃないよ。ナツミらしい、向上心の塊みたいな言葉。
ナツミは努力の人なんだ。
いつもはもっとフランクな話し方するんだけど、これを言う時だけは‥自分の事「私」なんてかしこまった言い方したりしてた。だけど、ドヤ顔で言うわけじゃない。
‥泣きそうな顔‥
口をきゅってつぐんで、前を真っすぐ向いて‥何かに耐えるみたいな顔してた。
『何か悪いことがあっても、いいことがあっても‥
その裏にある、神の意図を読み取れ。
神は私に何を考えさせようと、学ばせようとしているのか。
偶然なんてものも、無駄なことも何もない。
総ては私の為
流されずに、考え、そして‥学べることを探せ』
きっとさ、自分に言い聞かせてたんだって思う。
それに‥きっと、これは‥俺の勘だけど、誰かの言葉なんだって思う。自分の言葉を格言にする様な奴じゃなかった。誰か‥尊敬する人か誰かの‥大事な言葉なんだろうって‥思うんだ」
って言って、ちょっと寂しそうに笑った。
ラルシュがビクッと‥なぜかビクッとしたのが分かった。
ヒジリが寂しそうな顔をしたからだろう。
が‥
その顔が徐々に青ざめていく‥?
「ナツミは、そう多くを語るタイプじゃなかったんだ。
不言実行って言うのかな‥語るより実行するタイプだった。
そんなナツミが繰り返し言った言葉だったから、印象に残って頭に残ってたんだ。‥俺もいい言葉だって思うしね」
「ヒジリから神って言葉が出るのは不自然でしかないけどね」
「俺を何だと思ってるんだよ。寧ろナツミの方が神の意思とは無縁なタイプだよ」
ナラフィスの言葉に苦笑いで返し、ヒジリは言葉を続けた。
「友達にいじめられてた時は「憎しみは向上への最大の原動力」って言ってたし、家が貧しかったことだって「これは神の試練だ。あたしはこの苦境に打ちひしがれたりしない」って歯を食いしばってたし‥っていうか、苦境って言うほど貧しくなかったんだけどね。‥貧しい状況に自分を置こう‥としてた。欲しいものも家族にねだらない。‥ナツミは家族に甘えたりしなかった。わがまま言って家族を困らせたり、自分の境遇を恨んだり‥そういうことはしなかった。
それと‥「意味のない我慢」をしなかったね。
意味のない我慢ってのは、努力しない人間がすることだって言ってさ。
「お金が無いから魔法学校にいけない、じゃない。魔法学校に行ける為に自分でお金を貯める」「出来ないことがあるなら出来るまで努力する」「魔力が無いなら、無いなりに出来る工夫をするし、‥あるところから奪うまでだ」
ナツミはホント、気持ちいいくらいスーパーポジティブだった」
って、嬉しそうに一方的にしゃべる様子は思い出話というより、「大好きなナツミ」の自慢話みたいだった。
どれ程ナツミが努力家で、‥どれ程ヒジリがナツミのことを大好きだったか‥
ナラフィスに話して聞かせているのに、それはホントに一方的な「ナツミ自慢」だった。
愛されてるなあ、ナツミは。
‥ちょっとジェラシー感じちゃうよね。
幼馴染っていうだけで、今現在ヒジリに何をしているわけでもない‥それどころか、敵sideにいるっていうのに‥相変わらず凄い好感度だし、下がる兆しも見せない。‥こっちは、今現在、ヒジリの好感度上げようとあれこれ努力してるのに上がらないどころか、(俺から‥ってか、俺たちからの好意に)気付きもしてくれないのに‥ほんと、ヤになっちゃう。
「で、何を話したいんだ? 」
ナラフィスが、「茶番は終わりだ」って感じで小さくため息をついて、ヒジリをチラリと見た。
「俺は‥
ナツミじゃないけど‥俺も、これには「何か」の意図を感じたんだ。‥メレディア王が俺に何かを伝えたくて‥俺を呼んだんじゃないのかなって」
ナラフィスが顎に手のひらを押し付けて「ふむ」と何かを考えるそぶりをし
「それは‥無いと思う。
たとえ彼に、この世に未練やら憂い‥みたいなものがあったとしても‥見ず知らずのヒジリにそれを訴えるってことが‥あるだろうか。
「時渡り」出来る存在がやっと生れたから「待ってました! 」でヒジリに「何かを」訴えようとした‥? ‥無いと思う。それなら、ヒジリの婚約者でもっと身近な存在であるラルシュとセットで訴えるね。
ヒジリに対してメレディア王は直接接触してきていない。直接接触までは出来ないのかもしれない。「見て、察してくれ」って言うなら、メレディア王の存在すら知らないヒジリだけを呼んでも仕方が無い」
自分の名前を呼ばれて、ラルシュがナラフィスを振り向く。
「‥さっきから、顔色がわるいぞ。ラルシュ、何か気になることがあったのか? 」
ナラフィスがラルシュを見る。
そう言われて、ヒジリが初めてラルシュを見て「ラルシュ様! 」と驚いた声を出す。
「顔色が‥どうされたんですか?! ご加減が悪いのでしたら‥」
慌ててラルシュの肩を後ろから支えるために駆け寄る。
ラルシュはヒジリを見上げ‥
「さっきの言葉‥ナツミの‥
あれは
兄の口癖だ」
って言ったんだ。
ラルシュの兄ってことは‥、次期王様のってこと‥?!
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