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十三章 乙女ゲームじゃなくって‥
11.主君のライバルは魔王みたいです。
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(side ナツカ)
きゃっきゃ騒いでるヒジリとナラフィス様。
何なんだかな~って思ってたら、ミチルが迎えに来た。
もう午前5時なんだな、って思って窓の外を見たら、空が紫がかっていた。
たった5時間なのに、すんごく疲れた。
これ、絶対昼間より密度の濃い時間だよね。
リバーシってこれがずっと続くんだろうか‥だとしたら‥
大変だ‥って私は思う。私だったら‥耐えられないって。
でも、そういうの言う気はない。言っても仕方ないし、言われた本人もきっと困る。
だから? って思うだろうし。
「じゃあ、ナラフィス先生また明日」
ヒジリがにこ、っとナラフィス様に微笑みかけ、それに目ざとく気付いたミチルが首を傾げる。
「どしたの? なんだか、ナラフィスさんとの距離が近くなった感じ? 」
ヒジリに尋ねる口調は優しいが、ナラフィス様に対する殺気が‥駄々洩れだ。(ヒジリ、何故気付かない)
「今日ね、ナラフィス様に好みの女の子のタイプ聞いちゃったんだ~! なんか、ナラフィス様も人間なんだな~って思って。それで、なんか、親近感がわいたっていうかね」
へへと照れ笑いしてヒジリが言って、またナラフィス様を見る。
ナラフィス様は‥ミチルの視線に苦笑いだ。
「へえ‥ナラフィスさんはどんな女の子が好きだって? 」
ひんやりとした空気が‥怖い。
「可愛い感じの子! 髪が長くて、さらさらしてて、背が小っちゃくて、頬っぺたがふわふわしてて、あと‥おっぱい大きい子だって! 」
ミチルの私たち(っていうかナラフィス様)に向かって発するひんやり空気に気付いていない能天気なヒジリが、能天気な笑顔で答える。
この能天気さ、‥今は憎い。
「へえ‥ヒジリは‥じゃあ、違うね。髪は長くないからね。背も小さい方じゃないし、それに、おっぱいも大きくないよね」
って、にっこり(ヒジリにはそう見えているだろう)微笑んで揶揄う様な口調で言う。
その背中からは(背中からなのに! )、我々に向けての冷気が‥。
ひんやり、ひんやり‥。
もう、‥帰って!! ミチル!
「え? 俺? 俺は、ナラフィス先生から見たら対象外だよ? いくら俺だって、人から恋愛対象に見られているとか‥それくらいわかるよ。俺は鈍くない。あと‥「ヒジリ」のおっぱいは小さくないよ!? 」
ヒジリがミチルを睨みつける。
‥正確には、睨んでるつもりだろうけど、全然怖くない。仔犬の威嚇程怖くない。(← いつものこと)
内容も、表情もてんで出鱈目だな!
何が「俺は鈍くない」だ! その自信どこから来てるんだ! 恋愛に対して鈍いだけじゃなくって、このミチルの殺気とか冷気を感じられない点で、生命の危機に対する危機管理能力にも問題があるね!! ミチルがヒジリに察知されないように「気配阻害」をヒジリ限定にかけてるのかもしれないけどさ!! (それくらいできそうだよね?! この魔王! )
ヒジリも魔王に魅入られて気の毒っちゃ気の毒だよ!
‥まあ、それはそれとして‥
ヒジリのおかしさは「無自覚」「激ニブ」だけじゃない。
さっきの表情!
‥なんに対する怒りだ‥。「おっぱい小さい」って言われて怒ったのか?!
あんた、今まで男だったんだろ?! 自分の身体に違和感あるんだろ?! 身体全体違和感なんだから、もうどうでも良くないか?!
‥それって、あれだろ? 子供の会話で「お前、あいつの事好きだよな? 」「好きじゃない! 」「だよな、あいつブスだしな」「あいつはブスなんかじゃねえよ! 」「‥やっぱり好きなんじゃん」「だから、違うって言ってるだろ‥」って奴‥。
自分の身体だっていうのに、loveが過ぎない??
ツッコミどころしかないよ!!
私が心の中でヒジリにツッコミを入れ続けていると、
「そうだね~。俺にはちょうどいい、だけど世間一般にいうと、大きいって程ではない」
ふふ、って無駄に上品な微笑を浮かべたミチルが気取った口調で言った。
‥内容は全然気取った口調で言うようなことでも、上品な微笑浮かべる様な内容でもないけど。
っていうか、どっちかというと「最低」って感じのセクハラ発言だけどな!
顔が良ければ何言っても許されるって思うな!?
言ってやれ! ヒジリ「このセクハラ野郎! 」って言ってやれ!
私は心のなかでエールを送ったが、
「そうか‥大きいって程ではないのか‥」
ヒジリには届かなかったようだ。(そりゃね。私は魔法使いだけど、テレパシーは使えないしね)
それどころか‥
しゅん、ってなるヒジリ。(がっかりだよ!! )
‥ぜんぜんしゅんってなる必要は無い。ミチルがおかしいだけだから‥。
にしても、‥この二人やっぱり近すぎるな‥。
さっきの会話、
この二人が「普段から、そういうこと軽口で言うのが許される」間柄だってことだろう。
それ程、近いってことだ。
二人っていうか‥多分、ミチルの「努力」によるものだろう。
ヒジリをそこまで「手懐けた」。それは、ミチルがそれ程、「女の子の扱いがうまい」ってことだ。
顔もよくって、女の子の扱いがうまいって‥そりゃあんたモテるだろう。
‥つまり、ヒジリみたいな恋愛初心者を手懐けること位、わけない‥ってこと。
そしてそれは、とてもじゃないが、うちの(顔はいいけど揃いも揃ってヘタレな)王子殿下二人には(逆立ちしたって)出来ない芸当で‥
どうしたもんか‥。
きゃっきゃ騒いでるヒジリとナラフィス様。
何なんだかな~って思ってたら、ミチルが迎えに来た。
もう午前5時なんだな、って思って窓の外を見たら、空が紫がかっていた。
たった5時間なのに、すんごく疲れた。
これ、絶対昼間より密度の濃い時間だよね。
リバーシってこれがずっと続くんだろうか‥だとしたら‥
大変だ‥って私は思う。私だったら‥耐えられないって。
でも、そういうの言う気はない。言っても仕方ないし、言われた本人もきっと困る。
だから? って思うだろうし。
「じゃあ、ナラフィス先生また明日」
ヒジリがにこ、っとナラフィス様に微笑みかけ、それに目ざとく気付いたミチルが首を傾げる。
「どしたの? なんだか、ナラフィスさんとの距離が近くなった感じ? 」
ヒジリに尋ねる口調は優しいが、ナラフィス様に対する殺気が‥駄々洩れだ。(ヒジリ、何故気付かない)
「今日ね、ナラフィス様に好みの女の子のタイプ聞いちゃったんだ~! なんか、ナラフィス様も人間なんだな~って思って。それで、なんか、親近感がわいたっていうかね」
へへと照れ笑いしてヒジリが言って、またナラフィス様を見る。
ナラフィス様は‥ミチルの視線に苦笑いだ。
「へえ‥ナラフィスさんはどんな女の子が好きだって? 」
ひんやりとした空気が‥怖い。
「可愛い感じの子! 髪が長くて、さらさらしてて、背が小っちゃくて、頬っぺたがふわふわしてて、あと‥おっぱい大きい子だって! 」
ミチルの私たち(っていうかナラフィス様)に向かって発するひんやり空気に気付いていない能天気なヒジリが、能天気な笑顔で答える。
この能天気さ、‥今は憎い。
「へえ‥ヒジリは‥じゃあ、違うね。髪は長くないからね。背も小さい方じゃないし、それに、おっぱいも大きくないよね」
って、にっこり(ヒジリにはそう見えているだろう)微笑んで揶揄う様な口調で言う。
その背中からは(背中からなのに! )、我々に向けての冷気が‥。
ひんやり、ひんやり‥。
もう、‥帰って!! ミチル!
「え? 俺? 俺は、ナラフィス先生から見たら対象外だよ? いくら俺だって、人から恋愛対象に見られているとか‥それくらいわかるよ。俺は鈍くない。あと‥「ヒジリ」のおっぱいは小さくないよ!? 」
ヒジリがミチルを睨みつける。
‥正確には、睨んでるつもりだろうけど、全然怖くない。仔犬の威嚇程怖くない。(← いつものこと)
内容も、表情もてんで出鱈目だな!
何が「俺は鈍くない」だ! その自信どこから来てるんだ! 恋愛に対して鈍いだけじゃなくって、このミチルの殺気とか冷気を感じられない点で、生命の危機に対する危機管理能力にも問題があるね!! ミチルがヒジリに察知されないように「気配阻害」をヒジリ限定にかけてるのかもしれないけどさ!! (それくらいできそうだよね?! この魔王! )
ヒジリも魔王に魅入られて気の毒っちゃ気の毒だよ!
‥まあ、それはそれとして‥
ヒジリのおかしさは「無自覚」「激ニブ」だけじゃない。
さっきの表情!
‥なんに対する怒りだ‥。「おっぱい小さい」って言われて怒ったのか?!
あんた、今まで男だったんだろ?! 自分の身体に違和感あるんだろ?! 身体全体違和感なんだから、もうどうでも良くないか?!
‥それって、あれだろ? 子供の会話で「お前、あいつの事好きだよな? 」「好きじゃない! 」「だよな、あいつブスだしな」「あいつはブスなんかじゃねえよ! 」「‥やっぱり好きなんじゃん」「だから、違うって言ってるだろ‥」って奴‥。
自分の身体だっていうのに、loveが過ぎない??
ツッコミどころしかないよ!!
私が心の中でヒジリにツッコミを入れ続けていると、
「そうだね~。俺にはちょうどいい、だけど世間一般にいうと、大きいって程ではない」
ふふ、って無駄に上品な微笑を浮かべたミチルが気取った口調で言った。
‥内容は全然気取った口調で言うようなことでも、上品な微笑浮かべる様な内容でもないけど。
っていうか、どっちかというと「最低」って感じのセクハラ発言だけどな!
顔が良ければ何言っても許されるって思うな!?
言ってやれ! ヒジリ「このセクハラ野郎! 」って言ってやれ!
私は心のなかでエールを送ったが、
「そうか‥大きいって程ではないのか‥」
ヒジリには届かなかったようだ。(そりゃね。私は魔法使いだけど、テレパシーは使えないしね)
それどころか‥
しゅん、ってなるヒジリ。(がっかりだよ!! )
‥ぜんぜんしゅんってなる必要は無い。ミチルがおかしいだけだから‥。
にしても、‥この二人やっぱり近すぎるな‥。
さっきの会話、
この二人が「普段から、そういうこと軽口で言うのが許される」間柄だってことだろう。
それ程、近いってことだ。
二人っていうか‥多分、ミチルの「努力」によるものだろう。
ヒジリをそこまで「手懐けた」。それは、ミチルがそれ程、「女の子の扱いがうまい」ってことだ。
顔もよくって、女の子の扱いがうまいって‥そりゃあんたモテるだろう。
‥つまり、ヒジリみたいな恋愛初心者を手懐けること位、わけない‥ってこと。
そしてそれは、とてもじゃないが、うちの(顔はいいけど揃いも揃ってヘタレな)王子殿下二人には(逆立ちしたって)出来ない芸当で‥
どうしたもんか‥。
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