リバーシ!

文月

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十五章 メレディアと桔梗とヒジリとミチル

13.無理やりデートだって思うことにしたんです。

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 あの場所とセットで「思い出したくないやつ」思い出しちゃった。
 
 ってのが正直な感想。
 俺にとってアイツは反政府組織のメンバーではなく、ただのヤバい奴で‥もう絶対会いたくない類の奴。
 俺はね、あいつが反政府組織のメンバーだって聞いたから「ダメ」なんじゃないの。反政府組織っていったって奴らは別に危険思考を持った奴らの集まり‥ってわけじゃない。ただ、今の政府と意見が合わないってだけの奴ら。俺は異世界人だからそこまでこの世界のことに肩入れするわけじゃないんだ。
 あ~いろいろあるよね、どことも。
 って思う位。
 ただね、アイツは‥そういうの別にして「ヤバい奴」って思うの。直感で。
 こうこうこういう理由で‥って説明は出来ないけど‥ってやつ。恋に落ちるのに理由は無いように、「ヤバい奴」って思うのにも理由はない‥って思うワケ。
 あんなヤバいのが「特別な相手」とか‥冗談じゃないよね。
 ラルシュはいい、ヒジリが特別な相手とか最高じゃないか。
 そのうえ、親が決めたとはいえ婚約者とか! ‥もう、羨ましい、しかない。

 憧れのスリーピングビューティーが地球にいて、しかも親しくなって、なんか‥手に届くかもって思ってた。
 だけど‥
 彼女はやっぱり「お姫様」だったんだ‥って。

 でも、俺は(くどいようだけど)異世界人で、こっちの国のことなんて知ったこっちゃない。
 好きになった人がたまたま異世界人で、たまたま婚約者がいたってだけ。
 そう大きな問題じゃない。幸いラルシュはともかくヒジリはラルシュに恋愛感情を持ってないしね。そういうのも、分かるよ。そこそこモテて来たからね。

 結果はどうあれ‥
 今はこの「初恋」に夢中になってもいいんじゃないかなって思う。
 ラルシュが結婚を急いでる様子もないし、俺の気持ちを尊重してるってのもわかってる。‥それに甘えようって思う。
 だから、今回の「デート」はチャンスなんだ。
 いつもと違った「ロマンチック」な場所にお出かけする。
 ‥思えば、地球で一緒に出掛けたこともあったけど、「ロマンチックな場所」なんて行くことなかった。
 だって、ヒジリにとって自身は男で俺ももちろん男だから。
「男同志でロマンチックな場所とかあり得ないだろ! 」
 って言われちゃいそうでね~。

 でも、確かにロマンチックな場所にはいかなかったけど‥
 一緒にお茶飲んだり、
 ホームセンターに一緒にコタツ机とか鍋とか見に行ったり、
 一緒に鍋食べたり。

 一歩進んで、新婚って感じしない? 

 だけど‥、まあ確かに色気は無いよね。
 今回の「ロマンチックイベント」で、「そういうとこ」アピール出来たらな~って思ったり。
 ナラフィスとのことなんて、ホントはちっとも誤解してない。だけど、誤解してる‥って思わせたら「用心して」横に立ってても変じゃないでしょ? ただそれだけ。
 まあ‥
 ちょっと近すぎない? この頃のあの二人。
 とは思ってたけどね。

 そんなこんなで湖に着いた。
 湖は、あの時とそう変わらなかった。
 細かいことなんて勿論覚えてない。
 変わっているところもあるだろうけど、不気味な感じだとか‥光る湖面だとか‥は記憶とちっとも変わらなかった。
 案外ロマンチックでもなかった。
 子供の頃の感想ときっとそう変わらないだろう。
 ちょっと不気味な感じ、ってだけ。
 地球にあったら絶対「肝試しスポット」になってるね。
「ミチル、怖い~」
 ってヒジリが腕にすがって来る‥なんてことは絶対にないわけで‥。
 そりゃあもう、いつも通りって感じだ。
 ただ、場所が変わっただけ。
 ヒジリとナラフィスはさっきから深刻な顔して何やら調査? 確認? してるって感じ。ラルシュも真剣に話を聞いてる。
 もしかして、
 何も聞かされてないの俺だけ‥かな?
 不愉快。
 で、何となく‥
 ヒジリの腕に手を伸ばして
 ヒジリの腕に手が触れて、ヒジリが俺を振り向いて

 気が付いたら、
 周りにラルシュたちがいなくなってたんだ。
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