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二十一章 平和的交渉
4.天才ブレストの司会は、聞き上手とは違う。
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うんうん。成程~。分かる~。それでそれで? え~そうなんだ~。キモチワカル~。え? 何? その辺詳しく。‥成程ね~。
中川さんは聞き上手だ。
って、言われてる。
だけど、俺に言わせたら、中川さんは「聞き出し上手」なんだ。
中川さんが「聞き上手スキル」を発揮する時は、必ず中川さんが「聞き出したい何か」がある時だけだ。
ある程度付き合いが長い俺はそんなこと知ってる。
そして、
中川さんloveな国見も、勿論知ってる。
でも、それでも
聞き出したい何かがある時の中川さんは普段よりちょっと優しいから、国見はころって引っかかっちゃって‥中川さんの「それで? 」「それで? 」攻撃を真正面から受け止めちゃってる。
‥すげぇデレデレした顔で。(なんか哀れだよね‥)
まあ‥
中川さんが国見から聞き出したいことなんてそうないんだけどネ~。
でもさ、普段からそんなに付き合いのなかった奴からあれこれ聞かれて話す奴はいないでしょ? そこら辺が中川さんの凄いとことなんだよ。
中川さんは周りの人皆と絶妙な距離感で付き合っている。
‥ホント凄いよね。
人とさ、深く付き合うのは面倒だ。
人と付き合うと、相手が自分に(こっちが望まなくても)何かを求めてくるわけじゃない。無意識に。? 無意識かな。無意識じゃないかも。‥それが面倒なんだ。
当たり前に「友だちじゃないの~」って言葉で、ショッピングだの映画だの、「付き合い」を欲求してきたり、ちょっと嫌な顔したら、「楽しくないの? 」って不機嫌になったり、「友だちだろ? 」って愚痴を聞かせてきたり。(※ 聖の見解です。‥聖、お前碌な友だちいなかったんか? )
休日出掛けないのが何。別に俺はそれで満足してるんだ。「若いんだから楽しまなきゃ」とか‥じーさんか? 誘ってくれるのは嬉しいが、度が過ぎると「おせっかい」だぞ?
女の子とちょっと話したら
「なんか裏切られた気分」
「チャラついてない? なんか‥がっかり」
面倒くさいよ。そりゃあ、時には女の子と話すこともあるよ。義理でチョコを貰ったくらいなんだってんのさ。チョコなんて俺が買ってやるよ。何なの。その思ったことすぐに口にすんのやめろよ。社会に出てそんなのやってたら、一発でoutだぞ。‥って言ったら「友だち同士だから、思ったこと口にするの当たり前だろ」って言われる。
勝手に嫉妬されたり、勝手に失望されたり、勝手に許容を欲求されたり‥。
全部「友だちだからいいだろ」で纏められたり。
あれだ。夏目漱石の『草枕』の冒頭。
『智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ』
漱石先生はその上で、
『兎角に人の世は住みにくい』
っておっしゃってる。
‥あれって、至言だよね。あの言葉で人の世の総てを表してるよね。
人の世は住みにくいんだよ。
そんな住みにくい世の中で、絶望して、世捨て人よろしく引きこもったりしないのは、その人の芯の強さだとか、こころの強さだとかなんだろうって思う。それぞれにね。
皆それぞれに自分を守って頑張ってる。
流されない様に、押しつぶされない様に、自分を見失わない様に‥。
自分を消したり、反対に押し通したり、‥処世術はそれぞれだと思う。でも、それぞれ皆頑張ってる。
まあ‥何が言いたいかって、中川さんはそんな「生きづらい人の世」をうまく生きてるって話。
なんとなく「人様の迷惑にならない様に」でも「流され過ぎないように」をモットーにしてる俺からしたら、「うまく生きてる」彼女の暮らし振りは眩し過ぎる位だ。
ああ‥また脱線した。
(脱線する前の話が)何の話かって言うとね。
この度、カタルたちと話し合いをするに至って、司会の役目をする人を決めなきゃいけないね、それの適任者は誰だろうって話になったんだ。
話し合いの形式として、「現状を発表し合う」つまり「自分たち(お互い)の意見の交換」は当たり前に必要だよね。それは、初めにしておく必要はある。その次に「我々はこの先どうすればいいか」って意見のすり合わせが必要だよね。
その際に、意見やアイデアを自由に出し合うブレスト方式を採用しようと思うんだ。
この国の会議って、「決まりましたよ」「発表しますよ」とか「これでどうでしょう? 」「それは嫌だ」って一方的な会議が一般的なんだけど、それじゃいつまでたっても変わんないよね。
民主主義といえばブレスト! (※ 聖の勝手な思い込みです)
ブレストには「物言わぬ書記」と「発言を促す意見を持たない司会」が必要。(※ 聖の勝手な思い込みです)
司会が発言者にとって「変なこと言うたらシバクでホンマ」なタイプじゃダメだし、逆に「いいこと言って好かれたい♡」なタイプでもダメ。
会議は、そういうの全部取っ払って自由に! オープンに!
‥そんなん、有る? 社外から人呼ばないとあかん話ちゃう?
部長(鬼部長。社長寄り)司会。書記(社長の秘書兼愛人)
部長「今日は、新人事について、皆の忌憚ない意見を聞きたいと思う」「新しい社風を作る君たちに意見を聞きたい」
ここで、「社長派を一掃しましょう! 」言える奴凄いで。
(言えたとして)会議の場で、うま~く気持ちよ~く発言させられて、
「お前らの気持ちは分かった」
って、明日から地獄☆とか洒落なんないよね~。
でも、まあ‥そんだけ発言を引き出させられる奴がいたなら、そいつはホント「天才ブレストの司会」と言えるだろうねえ。
天才ブレストの司会は「聞き上手」とイコールなのかって?
答えはNOだ。ブレストの司会は、日々の信頼関係構築‥とかいう、根回しが必要ないからね。
聞き上手には必須コメント「弱気にならないで」「大丈夫」「貴方は間違ってないわ」も要らないからね。
技術はいるが、気持ちは要らない。
「司会は、俺がやる。俺は、ここに残らないことも選択できる異世界人で、立場的に公平だと言えると思う」
って言ったのはミチルだった。
でも、ミチルは現在国王派だし、王子のラルシュの親友だ。
でも‥
「俺も、ミチルは信用できると思う。公私混同はしないと思う」
俺はその意見に賛成した。
続けて書記‥
「書記は? 」
俺が聞くと、
「書記は、ネル。積極的に意見言うタイプじゃなさそうだから」
「それに、カタル側もネルが書記だったら文句は言わないと思う」
ミチルが即断した。
それで言ったら、積極的にしゃべるタイプのミチルが司会になっちゃうのは「痛い」んだけど、そこは俺が頑張ろうと思う。‥ミチルが言う通り「この世界に残ることが選択できないここの住人」だから。
メンバーは、カタル側をもう二人増やし、俺の方も、サラージ様とナラフィス先生を増員することにした。何故サラージ様って。ラルシュ様より気が強そうだから。‥ラルシュ様よりサラージ様の方が仕事できそう、とかいう意味ではない。ナラフィス様は「国一番の識者」だから外せないよね? ‥それを伝えたラルシュ様は何とも微妙な顔で苦笑いされてて、‥めちゃ心が痛んだ。
‥ってか、俺要らなくない? 俺の代わりにラルシュ様でよくない??
俺がそう言ったら、ナラフィス様がアカラサマニ呆れ顔して、
「それじゃ、国の会議と変わらんだろ」
って言った。
‥新しい風、かあ‥。
責任重大だなあ。
中川さんは聞き上手だ。
って、言われてる。
だけど、俺に言わせたら、中川さんは「聞き出し上手」なんだ。
中川さんが「聞き上手スキル」を発揮する時は、必ず中川さんが「聞き出したい何か」がある時だけだ。
ある程度付き合いが長い俺はそんなこと知ってる。
そして、
中川さんloveな国見も、勿論知ってる。
でも、それでも
聞き出したい何かがある時の中川さんは普段よりちょっと優しいから、国見はころって引っかかっちゃって‥中川さんの「それで? 」「それで? 」攻撃を真正面から受け止めちゃってる。
‥すげぇデレデレした顔で。(なんか哀れだよね‥)
まあ‥
中川さんが国見から聞き出したいことなんてそうないんだけどネ~。
でもさ、普段からそんなに付き合いのなかった奴からあれこれ聞かれて話す奴はいないでしょ? そこら辺が中川さんの凄いとことなんだよ。
中川さんは周りの人皆と絶妙な距離感で付き合っている。
‥ホント凄いよね。
人とさ、深く付き合うのは面倒だ。
人と付き合うと、相手が自分に(こっちが望まなくても)何かを求めてくるわけじゃない。無意識に。? 無意識かな。無意識じゃないかも。‥それが面倒なんだ。
当たり前に「友だちじゃないの~」って言葉で、ショッピングだの映画だの、「付き合い」を欲求してきたり、ちょっと嫌な顔したら、「楽しくないの? 」って不機嫌になったり、「友だちだろ? 」って愚痴を聞かせてきたり。(※ 聖の見解です。‥聖、お前碌な友だちいなかったんか? )
休日出掛けないのが何。別に俺はそれで満足してるんだ。「若いんだから楽しまなきゃ」とか‥じーさんか? 誘ってくれるのは嬉しいが、度が過ぎると「おせっかい」だぞ?
女の子とちょっと話したら
「なんか裏切られた気分」
「チャラついてない? なんか‥がっかり」
面倒くさいよ。そりゃあ、時には女の子と話すこともあるよ。義理でチョコを貰ったくらいなんだってんのさ。チョコなんて俺が買ってやるよ。何なの。その思ったことすぐに口にすんのやめろよ。社会に出てそんなのやってたら、一発でoutだぞ。‥って言ったら「友だち同士だから、思ったこと口にするの当たり前だろ」って言われる。
勝手に嫉妬されたり、勝手に失望されたり、勝手に許容を欲求されたり‥。
全部「友だちだからいいだろ」で纏められたり。
あれだ。夏目漱石の『草枕』の冒頭。
『智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ』
漱石先生はその上で、
『兎角に人の世は住みにくい』
っておっしゃってる。
‥あれって、至言だよね。あの言葉で人の世の総てを表してるよね。
人の世は住みにくいんだよ。
そんな住みにくい世の中で、絶望して、世捨て人よろしく引きこもったりしないのは、その人の芯の強さだとか、こころの強さだとかなんだろうって思う。それぞれにね。
皆それぞれに自分を守って頑張ってる。
流されない様に、押しつぶされない様に、自分を見失わない様に‥。
自分を消したり、反対に押し通したり、‥処世術はそれぞれだと思う。でも、それぞれ皆頑張ってる。
まあ‥何が言いたいかって、中川さんはそんな「生きづらい人の世」をうまく生きてるって話。
なんとなく「人様の迷惑にならない様に」でも「流され過ぎないように」をモットーにしてる俺からしたら、「うまく生きてる」彼女の暮らし振りは眩し過ぎる位だ。
ああ‥また脱線した。
(脱線する前の話が)何の話かって言うとね。
この度、カタルたちと話し合いをするに至って、司会の役目をする人を決めなきゃいけないね、それの適任者は誰だろうって話になったんだ。
話し合いの形式として、「現状を発表し合う」つまり「自分たち(お互い)の意見の交換」は当たり前に必要だよね。それは、初めにしておく必要はある。その次に「我々はこの先どうすればいいか」って意見のすり合わせが必要だよね。
その際に、意見やアイデアを自由に出し合うブレスト方式を採用しようと思うんだ。
この国の会議って、「決まりましたよ」「発表しますよ」とか「これでどうでしょう? 」「それは嫌だ」って一方的な会議が一般的なんだけど、それじゃいつまでたっても変わんないよね。
民主主義といえばブレスト! (※ 聖の勝手な思い込みです)
ブレストには「物言わぬ書記」と「発言を促す意見を持たない司会」が必要。(※ 聖の勝手な思い込みです)
司会が発言者にとって「変なこと言うたらシバクでホンマ」なタイプじゃダメだし、逆に「いいこと言って好かれたい♡」なタイプでもダメ。
会議は、そういうの全部取っ払って自由に! オープンに!
‥そんなん、有る? 社外から人呼ばないとあかん話ちゃう?
部長(鬼部長。社長寄り)司会。書記(社長の秘書兼愛人)
部長「今日は、新人事について、皆の忌憚ない意見を聞きたいと思う」「新しい社風を作る君たちに意見を聞きたい」
ここで、「社長派を一掃しましょう! 」言える奴凄いで。
(言えたとして)会議の場で、うま~く気持ちよ~く発言させられて、
「お前らの気持ちは分かった」
って、明日から地獄☆とか洒落なんないよね~。
でも、まあ‥そんだけ発言を引き出させられる奴がいたなら、そいつはホント「天才ブレストの司会」と言えるだろうねえ。
天才ブレストの司会は「聞き上手」とイコールなのかって?
答えはNOだ。ブレストの司会は、日々の信頼関係構築‥とかいう、根回しが必要ないからね。
聞き上手には必須コメント「弱気にならないで」「大丈夫」「貴方は間違ってないわ」も要らないからね。
技術はいるが、気持ちは要らない。
「司会は、俺がやる。俺は、ここに残らないことも選択できる異世界人で、立場的に公平だと言えると思う」
って言ったのはミチルだった。
でも、ミチルは現在国王派だし、王子のラルシュの親友だ。
でも‥
「俺も、ミチルは信用できると思う。公私混同はしないと思う」
俺はその意見に賛成した。
続けて書記‥
「書記は? 」
俺が聞くと、
「書記は、ネル。積極的に意見言うタイプじゃなさそうだから」
「それに、カタル側もネルが書記だったら文句は言わないと思う」
ミチルが即断した。
それで言ったら、積極的にしゃべるタイプのミチルが司会になっちゃうのは「痛い」んだけど、そこは俺が頑張ろうと思う。‥ミチルが言う通り「この世界に残ることが選択できないここの住人」だから。
メンバーは、カタル側をもう二人増やし、俺の方も、サラージ様とナラフィス先生を増員することにした。何故サラージ様って。ラルシュ様より気が強そうだから。‥ラルシュ様よりサラージ様の方が仕事できそう、とかいう意味ではない。ナラフィス様は「国一番の識者」だから外せないよね? ‥それを伝えたラルシュ様は何とも微妙な顔で苦笑いされてて、‥めちゃ心が痛んだ。
‥ってか、俺要らなくない? 俺の代わりにラルシュ様でよくない??
俺がそう言ったら、ナラフィス様がアカラサマニ呆れ顔して、
「それじゃ、国の会議と変わらんだろ」
って言った。
‥新しい風、かあ‥。
責任重大だなあ。
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