32 / 54
四章.入れ替わり
5.強行
しおりを挟む
「そうなの‥。紅葉は修学旅行に行きたいの」
月桂の報告に桜は腕を組んだ。
「自分の意思を聞いたのは初めてです」
月桂が付け加える。
月桂だって、そんな紅葉の願いを叶えてあげたいのだろう。
なぜって、紅葉についてる(憑いてる? )臣霊は紅葉大好き‥だから。
「‥強行しましょうか」
しばらく黙っていた桜が意を決して顔を上げ、決意のこもった声で呟く。
「四朗を呼んで頂戴」
障子を開けると、廊下に向かって支持を出す。
女中が何人か音もなく桜の前に跪いた。
紅葉と四朗の入れ替わりのことを知っている桜腹心の女中たちだ。
‥ついでに、腕も立つ。
「泊まり掛けで出かけるから、柊の家にはそう伝えておいて」
「はい」
女中にそう指示しただけで、女中から四朗に連絡が入る。
それとは別に、正式に柊の家にも。
蕗子は、相変わらずの妹の「無茶振り」に若干イラっときながらも‥なんだかんだ言って妹が可愛いんだ。
一つ返事で妹の元に紅葉が泊まるのを許した。
まあ‥あの子が一緒なら心配はないわね。紅葉が無理しないか心配だわ。
って思っただけだ。
「何、母さん。突然泊まりで出かけるなんて」
あわただしく桜の元に連れていかれた四朗は、はあとため息をつき‥いつもと同じように出されたお茶を口にした。
四朗としても
「相変わらずの母の気まぐれ」
としか思ってない。
今日は何させようってんだろ。夜通し剣術の達人と打ち込み? それとも、「心を落ち着ける訓練」とやらで座禅をさせたり茶道を教わったりするんだろうか??
とか思って、またため息をついた。
こっちだって、早く入れ替わらなくちゃいけないって分かってるから焦ってるのは同じなのに‥自分だけ焦ってるとでも思ってるの?? 俺が何もしてない様に見えてる??
ってちょっと腹が立った。
睨む四朗を桜は静かに見つめ返し‥
‥というか、瞳は確かに四朗を映していたけど、桜は全然四朗の方を見ていない。
静かに口を開いた。
「四朗に、いえ、紅葉に会いに行きます。そして、紅葉が思い出しだ瞬間すり替わります」
その言葉に四朗が目を見開く。
「そんな急に?! ってか、‥思い出した瞬間って、そんな兆しがあるの? 」
四朗の言葉に、桜はにやり、と笑う。
「ええ。もう、そう遠い話ではないわ。確かに今はまだ兆しはないけど、思い出したらすぐ、って感じね」
桜は自信満々って感じだけど‥
なんの根拠もない。
ただ、「そう思う」ってだけのことだ。
だけど、彼女の場合はそれが恐ろしい程‥当たるんだ。
「ええ?? 」
まだ納得しない顔の四朗は、だけど有無も言わせてもらえないまま‥桜の女中と一緒に車に乗り四朗‥自分の住む町に向かった。
京都と長野‥そんなに近いってわけじゃないけど、車で移動したら‥遠すぎるってわけでもない。
四朗たちは宿屋ではなく、桜の息のかかった「隠れ家」に泊まり翌朝を待った。
そして、翌朝。軽めの朝食をとり、桜の格好をした四朗と桜の女中は二人で四朗の学校前、下校時で皆が一斉に校門に向かう。
勿論、目立たない様にひっそり‥だ。
「だって、誘拐‥じゃないけど、密かに連れ出さなきゃならないから」
ってちょっと乗り気なのは‥内緒だ。
四朗(中身は紅葉)は‥でも、別に目立つでもなく武生と一緒に何か話しながら下校している。
「いた」
紅葉(中身は四朗)は小声で呟いた。
「隣は‥武生? 」
多分、あれは武生だろう。昔より背は伸びたが、ちっとも顔が変わっていない。
紅葉(中身は四朗)はなんだか、懐かさと面白さで、思わずふふっと笑った。
目立たないわけなんか、ない。
紅葉はもともと、すごい美少女だ。
四朗は中性的な美人だけど、紅葉は美人さをそのままに‥更に女性らしく、美しさではなく「可愛らしさ」をプラスした‥美少女だ。
どこか冷たい感じのする四朗とは違い、紅葉は見る者を笑顔にさせる‥そんな「可愛らしさ」がある。
紅葉はいつでもどこでも目立ってる。
だけど、子供の頃から目立ってて、更にそれを無意識にスルーすることに慣れている四朗にとっては‥人々の視線なんて別に気にもならなかった。
人の目を気にして「ちゃんとする」ってことはしたけど、別に相崎じゃあるまいし「ファンサービス」とかしない。
それが通常。
目立とうと思わなくても、目立ってて、だけどその視線に慣れっこになってる四朗。
そして、それは「目立たない様にしている」今も‥そうだった。
紅葉(中身は四朗)をチラ見する学生たち。
見覚えのない子がいるだけでも四朗の住むど田舎では目立つのに、それがすごい美少女ともなれば、目立つことこの上ない。
「誰だろう、あの子、すっごい奇麗な子。四朗の方見てるけど」
案の定、一瞬のうちに大変なことになった。
「四朗のファンだろ? もしかしたら、恋人かも! 」
ちょっとやっかむような声も出る。
「でも、なんか‥ちょっと、似てるね」
「ちょっと‥というか、かなり似てない? 四朗様の妹?? 」
と言ったのは、四朗のファンの女の子だ。
「四朗様には妹はたしかいなかった。だから、きっと親戚よ」
恋人とかそういうのは、認めたくないらしい。恋人発言した男子を冷たい目で睨んだ。
「四朗似の親戚?? 」
反応したのは、相崎だった。ばっと、みんなの視線の先を見る。
すごい美少女!
だけど、確かに四朗に似ている! あの子が、四朗の身代わりだ! 間違いない。
何のつもりだ! 出てきちゃ駄目だろ! しかも、女の子の恰好なんてして!
(‥待てよ。じゃあ、つまり教室で昨日武生に殴られてたのはやっぱり四朗の方か!? )
相崎にそんな心配をされているとは露も知らない、見かけ紅葉の四朗。
‥さっきから、視線がやたら気になる。みんなの、「誰だろ」という視線じゃない。もっとこう、なんか違う視線が‥。
ちらり
恐る恐る視線の先をたどる。
「わあ! 」
ええ‥と、なんか見たことあるな。整った顔だけど、見るからにこう‥チャラそうな男。こいつ‥! ええと! 相崎か!
なんで、相崎が初対面の女の子の紅葉を睨んでいる?! 睨んでいるというより、なんかジェスチャー送ってきているぞ? 何? 隠れろ? なんで隠れる?? 何から隠れろ??
紅葉(中身は四朗)は「え? 」という顔をした。
「相崎? 誰その‥! 」
不審な相崎に気づいた四朗(中身は紅葉)が訝しそうに相崎と、相崎の視線の先を見る。
と、その瞳が瞬間信じられないものを見たように見開かれる。
「え!? 」
四朗(中身は紅葉)が絶句する。
「今ですわ! 」
女中の叫び声に紅葉(中身は四朗)は、とっさに四朗(中身は紅葉)に思いっきり飛び蹴りをした。蹴りは、四朗の頭に直撃して四朗は一瞬でバランスを崩す。いつもなら、四朗をかばって動くであろう武生はなぜか、金縛りにでもあったように微動だにしない。ただ、信じられないような顔をしてそれを見ていた。
「きゃああ?! 」
周りが一瞬で騒然とする中、四朗は、ゆっくりと倒れる見かけが四朗の紅葉を横抱きで持ち上げると女中と一緒に、止めていた車に押し込んだ。
「ええ!? 」
余りのことに唖然とする周囲、そこでやっと武生が動いた。正確には、動けるようになった。
初めて金縛りにあった‥。
一番に思った感想はそれだった。四朗が白昼堂々誘拐されたことより、むしろ。
だって、男だし。相手は親戚だろ?
むしろ、女の子に一撃とか、かっこわりいな、って位の感想だ。
「あ、大丈夫。あの子は四朗の従兄妹なんだ。きっと久し振りに会えて感激のあまり抱き着いちゃっただけだと思う。‥なのに、だっせーな四朗。受け止め損ねてバランス崩して倒れて頭打って気絶‥とか‥ないわ~」
ヤレヤレって顔で言った武生に周りは「‥ならいいか」「久し振りに会ったらそれっ位感激してもおかしくない? よね? 」って何となく納得して、皆ばらばらと散っていった。
因みに四朗と紅葉が従兄妹同士ってことは武生は知らない。ただ、月桂に「言わされた」だけだ。
ただ、言い方はまったくの武生のオリジナル。
洗脳されていない武生は、相崎の四朗に対する扱いと特に何ら変わらないような扱いでしか四朗を扱わない。
これから、月桂の洗脳がすっかり解けたら、四朗との「噂(笑)」も消えるだろう。まあ、一部の根強いファンには、「破局説」とか「ツンデレ説」とか新たな噂を立てられちゃうんだけど。
月桂の報告に桜は腕を組んだ。
「自分の意思を聞いたのは初めてです」
月桂が付け加える。
月桂だって、そんな紅葉の願いを叶えてあげたいのだろう。
なぜって、紅葉についてる(憑いてる? )臣霊は紅葉大好き‥だから。
「‥強行しましょうか」
しばらく黙っていた桜が意を決して顔を上げ、決意のこもった声で呟く。
「四朗を呼んで頂戴」
障子を開けると、廊下に向かって支持を出す。
女中が何人か音もなく桜の前に跪いた。
紅葉と四朗の入れ替わりのことを知っている桜腹心の女中たちだ。
‥ついでに、腕も立つ。
「泊まり掛けで出かけるから、柊の家にはそう伝えておいて」
「はい」
女中にそう指示しただけで、女中から四朗に連絡が入る。
それとは別に、正式に柊の家にも。
蕗子は、相変わらずの妹の「無茶振り」に若干イラっときながらも‥なんだかんだ言って妹が可愛いんだ。
一つ返事で妹の元に紅葉が泊まるのを許した。
まあ‥あの子が一緒なら心配はないわね。紅葉が無理しないか心配だわ。
って思っただけだ。
「何、母さん。突然泊まりで出かけるなんて」
あわただしく桜の元に連れていかれた四朗は、はあとため息をつき‥いつもと同じように出されたお茶を口にした。
四朗としても
「相変わらずの母の気まぐれ」
としか思ってない。
今日は何させようってんだろ。夜通し剣術の達人と打ち込み? それとも、「心を落ち着ける訓練」とやらで座禅をさせたり茶道を教わったりするんだろうか??
とか思って、またため息をついた。
こっちだって、早く入れ替わらなくちゃいけないって分かってるから焦ってるのは同じなのに‥自分だけ焦ってるとでも思ってるの?? 俺が何もしてない様に見えてる??
ってちょっと腹が立った。
睨む四朗を桜は静かに見つめ返し‥
‥というか、瞳は確かに四朗を映していたけど、桜は全然四朗の方を見ていない。
静かに口を開いた。
「四朗に、いえ、紅葉に会いに行きます。そして、紅葉が思い出しだ瞬間すり替わります」
その言葉に四朗が目を見開く。
「そんな急に?! ってか、‥思い出した瞬間って、そんな兆しがあるの? 」
四朗の言葉に、桜はにやり、と笑う。
「ええ。もう、そう遠い話ではないわ。確かに今はまだ兆しはないけど、思い出したらすぐ、って感じね」
桜は自信満々って感じだけど‥
なんの根拠もない。
ただ、「そう思う」ってだけのことだ。
だけど、彼女の場合はそれが恐ろしい程‥当たるんだ。
「ええ?? 」
まだ納得しない顔の四朗は、だけど有無も言わせてもらえないまま‥桜の女中と一緒に車に乗り四朗‥自分の住む町に向かった。
京都と長野‥そんなに近いってわけじゃないけど、車で移動したら‥遠すぎるってわけでもない。
四朗たちは宿屋ではなく、桜の息のかかった「隠れ家」に泊まり翌朝を待った。
そして、翌朝。軽めの朝食をとり、桜の格好をした四朗と桜の女中は二人で四朗の学校前、下校時で皆が一斉に校門に向かう。
勿論、目立たない様にひっそり‥だ。
「だって、誘拐‥じゃないけど、密かに連れ出さなきゃならないから」
ってちょっと乗り気なのは‥内緒だ。
四朗(中身は紅葉)は‥でも、別に目立つでもなく武生と一緒に何か話しながら下校している。
「いた」
紅葉(中身は四朗)は小声で呟いた。
「隣は‥武生? 」
多分、あれは武生だろう。昔より背は伸びたが、ちっとも顔が変わっていない。
紅葉(中身は四朗)はなんだか、懐かさと面白さで、思わずふふっと笑った。
目立たないわけなんか、ない。
紅葉はもともと、すごい美少女だ。
四朗は中性的な美人だけど、紅葉は美人さをそのままに‥更に女性らしく、美しさではなく「可愛らしさ」をプラスした‥美少女だ。
どこか冷たい感じのする四朗とは違い、紅葉は見る者を笑顔にさせる‥そんな「可愛らしさ」がある。
紅葉はいつでもどこでも目立ってる。
だけど、子供の頃から目立ってて、更にそれを無意識にスルーすることに慣れている四朗にとっては‥人々の視線なんて別に気にもならなかった。
人の目を気にして「ちゃんとする」ってことはしたけど、別に相崎じゃあるまいし「ファンサービス」とかしない。
それが通常。
目立とうと思わなくても、目立ってて、だけどその視線に慣れっこになってる四朗。
そして、それは「目立たない様にしている」今も‥そうだった。
紅葉(中身は四朗)をチラ見する学生たち。
見覚えのない子がいるだけでも四朗の住むど田舎では目立つのに、それがすごい美少女ともなれば、目立つことこの上ない。
「誰だろう、あの子、すっごい奇麗な子。四朗の方見てるけど」
案の定、一瞬のうちに大変なことになった。
「四朗のファンだろ? もしかしたら、恋人かも! 」
ちょっとやっかむような声も出る。
「でも、なんか‥ちょっと、似てるね」
「ちょっと‥というか、かなり似てない? 四朗様の妹?? 」
と言ったのは、四朗のファンの女の子だ。
「四朗様には妹はたしかいなかった。だから、きっと親戚よ」
恋人とかそういうのは、認めたくないらしい。恋人発言した男子を冷たい目で睨んだ。
「四朗似の親戚?? 」
反応したのは、相崎だった。ばっと、みんなの視線の先を見る。
すごい美少女!
だけど、確かに四朗に似ている! あの子が、四朗の身代わりだ! 間違いない。
何のつもりだ! 出てきちゃ駄目だろ! しかも、女の子の恰好なんてして!
(‥待てよ。じゃあ、つまり教室で昨日武生に殴られてたのはやっぱり四朗の方か!? )
相崎にそんな心配をされているとは露も知らない、見かけ紅葉の四朗。
‥さっきから、視線がやたら気になる。みんなの、「誰だろ」という視線じゃない。もっとこう、なんか違う視線が‥。
ちらり
恐る恐る視線の先をたどる。
「わあ! 」
ええ‥と、なんか見たことあるな。整った顔だけど、見るからにこう‥チャラそうな男。こいつ‥! ええと! 相崎か!
なんで、相崎が初対面の女の子の紅葉を睨んでいる?! 睨んでいるというより、なんかジェスチャー送ってきているぞ? 何? 隠れろ? なんで隠れる?? 何から隠れろ??
紅葉(中身は四朗)は「え? 」という顔をした。
「相崎? 誰その‥! 」
不審な相崎に気づいた四朗(中身は紅葉)が訝しそうに相崎と、相崎の視線の先を見る。
と、その瞳が瞬間信じられないものを見たように見開かれる。
「え!? 」
四朗(中身は紅葉)が絶句する。
「今ですわ! 」
女中の叫び声に紅葉(中身は四朗)は、とっさに四朗(中身は紅葉)に思いっきり飛び蹴りをした。蹴りは、四朗の頭に直撃して四朗は一瞬でバランスを崩す。いつもなら、四朗をかばって動くであろう武生はなぜか、金縛りにでもあったように微動だにしない。ただ、信じられないような顔をしてそれを見ていた。
「きゃああ?! 」
周りが一瞬で騒然とする中、四朗は、ゆっくりと倒れる見かけが四朗の紅葉を横抱きで持ち上げると女中と一緒に、止めていた車に押し込んだ。
「ええ!? 」
余りのことに唖然とする周囲、そこでやっと武生が動いた。正確には、動けるようになった。
初めて金縛りにあった‥。
一番に思った感想はそれだった。四朗が白昼堂々誘拐されたことより、むしろ。
だって、男だし。相手は親戚だろ?
むしろ、女の子に一撃とか、かっこわりいな、って位の感想だ。
「あ、大丈夫。あの子は四朗の従兄妹なんだ。きっと久し振りに会えて感激のあまり抱き着いちゃっただけだと思う。‥なのに、だっせーな四朗。受け止め損ねてバランス崩して倒れて頭打って気絶‥とか‥ないわ~」
ヤレヤレって顔で言った武生に周りは「‥ならいいか」「久し振りに会ったらそれっ位感激してもおかしくない? よね? 」って何となく納得して、皆ばらばらと散っていった。
因みに四朗と紅葉が従兄妹同士ってことは武生は知らない。ただ、月桂に「言わされた」だけだ。
ただ、言い方はまったくの武生のオリジナル。
洗脳されていない武生は、相崎の四朗に対する扱いと特に何ら変わらないような扱いでしか四朗を扱わない。
これから、月桂の洗脳がすっかり解けたら、四朗との「噂(笑)」も消えるだろう。まあ、一部の根強いファンには、「破局説」とか「ツンデレ説」とか新たな噂を立てられちゃうんだけど。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる