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今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです!
まだ道半ば
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ヒツジの自室。
結局あの後、まだ泣き続けるサルをほっといて帰ったヒツジは、自分の‥サルの家よりちょっとばかり(ちょっとばかり! )質素な家に帰って来た。
ヒツジは生家こそ裕福ではなかったが、今では公務員として働いていて稼ぎは悪くない。本人が望めばさえ家のランクを上げること位造作もないだろう。
だけど、ヒツジにその気が無かった。
男一人が住むだけなのに、別に広い家は必要じゃない。
キッチンの使い勝手とか‥自炊をほぼしないヒツジには関係がない。
お茶を飲むお湯を沸かす程度。
風呂とトイレ。洗濯物を干すベランダ。ベッドと机が置けるスペース。服はそう持っていない(ヒツジは服にも興味がない)からクローゼットすら必要ない。
何にもないがらんとした狭い家。ヒツジの生活の総て。
部屋なんて住めればそれでいいって思ってたのに‥ハヅキを見ていてこの頃はちょっと変わってきた。
「何でもいい」よりちょっと進歩した程度だけど、ヒツジは自分の生活に以前より少し‥関心を持てるようになった。
布団の肌触り。
カーテンの色、柄。
自分で気に入って買ったものに囲まれる生活は‥思っていたよりも、こころを豊かにしてくれた。
ほんのちょっとのことなのに‥
‥日々の生活ってのは、案外そういうものなのかもな。
って思った。
そんな、「ちょっと幸せ」が加わった愛すべき我が家に帰って来たというのに‥少しも落ち着かない。
お湯を沸かしてお茶を飲む気にもなれないから、手洗いとうがいをして、背広の上着とズボンはでも、きちんとハンガーにかけた。この仕事に就いて以来毎日欠かさず着ている大事な制服だ。どんなに疲れていても「スーツをハンガーにかける」という行為をヒツジは欠かせたことはなかった。
ただ今日は‥疲れすぎた。カッターをそこらに投げ捨てて、着替えもそこそこにベッドに倒れ込んだ。
どっと疲れがでた。
あれもこれれも全てサルのせいだ。
「サルのせい」だと思う理由① 俺の血圧を上げさせ気絶させたのは、下らんことを言ったサルのせい。(まさか気絶するとは思わんかったが‥)
「サルのせい」だと思う理由② その俺を天界に連れて帰ってくれたのは嬉しいが‥きっとそこらに放っておいたのだろう。家は知っているはずなのに不親切な野郎だ! そもそも、オマエのせいで俺が気絶したんだろうが!! 放り出すにしても、天界の入り口からほど近い(ってか、門の横!! )場所とか‥オマエ血も涙※1もないな(※1 天界人だから、実際にそんなものはハナからない)親切なクレープ屋の店主に助けてもらいベンチに寝かしてもらったが、硬いベンチで寝たせいか身体が痛い。いくら普段俺の使っているベッドが固いといえど、ベンチ程は硬くない!! 今度オマエを運ぶことになったら、特別に石の床とかに転がしてやるからな!! アイツの家(高級マンション)に丁度そんな場所※2があったな! (※2 大理石張りのフロア)
「サルのせい」だと思う理由③ 服がぐしょぐしょになるまで泣かれて、濡れた服を着て帰宅したせいで、今寒い。
無理やり「気持ちを奮い起こして」どこまでも落ち込んでしまいそうな気持を鼓舞させようとしたが、無理だった。寧ろ、虚しい気持ちが増しただけだった。
はあ‥下らん。
ホンマ下らんこと考えてもたわ。
分かってる。そんなことでも考えないとどうにかなってしまいそうやから‥。
サルはナガツキと別れるのが寂しい。
それは‥俺だって同じや。
ハヅキと別れるのは辛い。
ただの担当してる子やいうたかて、もう10回(ハヅキには試運転の0回目という奴がある。例の「ハヅキすら覚えてない」ヤバい美形で無双、ハーレム(?)回のやつだ)
あの時は、「コイツ、ヤバいわ~。ホンマエライ仕事引き受けてもたわ~」位にしか思ってなかったのに‥今ではすっかり情が移ってる。
ハヅキが「俺の担当する人工の魂」やなくなるっていうのはどういうことなのかって言うと‥今までの状態が「ゲージの中で観察していた保護動物」だったとしたら、これからは「草原で暮らす野生動物」になるってことだ(なんか、旨い例え見つからんな‥)。
動物の種類は変わらないよ? シマウマからキリンに変わるわけじゃない。
でも、野生のシマウマなんてさ、絶対見分けつかないよ。目印でもついてない限り‥。
今回で、神様印の目印が外される。そしたら‥
きっと、俺はハヅキのことを見つけられないだろう。
生まれ変わって見た目が変わってもきっと‥とかいう夢物語なんて誰が信じる?
やっと子育て終了だ。肩の荷が下りた、ヤレヤレ。って思える程‥割り切れない。自分がこんなこと思う日が来るなんて、思いもしなかったなあ‥。
でも。
ヒツジは自分の顔をパンとビンタする。
でも、
ハヅキの人生はまだ終わっていない。
俺の最後の仕事はハヅキの今世を最後まで見守ることだ。
中途半端じゃいけない。
やり切った。
もう悔いがないって位、ハヅキの為に時間を割こう。
ハヅキの頑張りを目に焼き付けよう。
監視するんじゃない。見張るんでもない。ただ、ちゃんと逃げないでハヅキと向き合おう。
ハヅキの決断を、ハヅキの成長を‥ちゃんと見守ろう。
イイ親ってそういうの‥かも?
自分の思い通りにならないからって不安になったり、憤りを感じたり、「こうした方がいい」ってアドバイスしたり‥そうじゃなくって、ちゃんと一人の人間として認めて、きちんと話を聞いて‥向き合う。
人に迷惑をかけているんなら、ちゃんと注意する。不当な扱いを受けているなら、「我慢しなくていい」って言う‥。イイ親の役割は、でも、ハヅキの地上の親がいるから彼らに任せるしかない。
じゃあ俺の仕事は? 俺の役目は?
もう、どこにもない。
普通の魂にする為にって頑張ってた俺の努力がどこまで必要でどこまで「おせっかい」だったかは分からない。
と言うか‥今となっては、何が普通なのか分からない。
普通じゃないと思って来た全部が個性だったのかもしれない。
でも違う。
道徳感情。
人を愛し、自分を愛する気持ち。
幸せになりたい、人を幸せにしたいと思う気持。
それらは、もしかして‥細胞レベルの「未発達生物」にはなかったものかもしれない。
本能は生きているものなら、きっと当たり前Levelに持ってるもの。
生きるべき、子孫を残すべきって情報はDNAに書き込まれている「当たり前」のこと。「当たり前」から「生きたい」「子孫を残さなければならない」という使命感やら願望に進化する‥知能が生まれる。生まれるっていうか‥進歩する? やがて、知能が発展して、分かることが増えて、同時に「分からないこと」も増える。
憎い、愛しい‥人と接することによって感じた「悪い」気持ち、「よい」気持ち。
愛しいから頑張れる。憎いから、なにくそ負けないと‥頑張れる。生活の質が向上する。生存確率が増え、生殖に対する意欲が増す‥そのように、愛しいやら、憎いといった「感情」は生殖、生存本能に最も関わって来る要素であることは否定できないが、一方で、愛するがゆえに苦しい、憎しみから身を持ち崩す‥、時に誤解して、時に遠回りして‥人は絶望から、虚無感から「もう人を愛することはない」そして最悪、「死にたい」って選択肢を選ぶこともあるかもしれない。
人の行動に一喜一憂。喜んだり、悲しんだり、苦しんだり、憎んだり、だけど、相手があることだから、自分一人ではどうしようも出来な。感情とは、そんなやっかいなもの。
人と一緒に暮らすために守らなければならない社会のルールや思いやりといった、本能のストッパーで、高等生物として当たり前に持つべき「理性」。
これも、知能の発達に比例しているだろう。
つまり、理性は知能の発展に比例しているといえる。だけど‥感情はきっと、それだけじゃない。知能の発展に比例して感情は生まれたが、それだけではない。理性や知能の劣る動物にも、母性や愛情はある。感情の根っこは、知能とは別のところある。
正しいだけが「普通の人間」じゃない。
なら、普通の人間って何だろう。
「結局は、好き嫌いに行きつくんやろな。こういう人間が好きとか、嫌いとか。許せるか許せないか‥」
俺はもしかして、「ハヅキならどんなでも、好き」の盲目状態に陥ってしまってるのかもしれない。なら、そんな俺はもうハヅキのお目付け役として適任ではない。
「もう、俺は子離れしなければいけないんだ」
苦しい、悲しい、寂しい。
だけど、同時に
これからの新生ハヅキが楽しみな気もする。
神からつけられた首輪を外し、これから、新しい‥広い世界に飛び立つ彼女を祝福しよう。
だから、今だけは
今のハヅキを全部目に焼き付けよう。
ハヅキの為じゃなく、俺の今後のために。
俺が今後の生活を‥ハヅキなしで‥過ごしていくために‥。
結局あの後、まだ泣き続けるサルをほっといて帰ったヒツジは、自分の‥サルの家よりちょっとばかり(ちょっとばかり! )質素な家に帰って来た。
ヒツジは生家こそ裕福ではなかったが、今では公務員として働いていて稼ぎは悪くない。本人が望めばさえ家のランクを上げること位造作もないだろう。
だけど、ヒツジにその気が無かった。
男一人が住むだけなのに、別に広い家は必要じゃない。
キッチンの使い勝手とか‥自炊をほぼしないヒツジには関係がない。
お茶を飲むお湯を沸かす程度。
風呂とトイレ。洗濯物を干すベランダ。ベッドと机が置けるスペース。服はそう持っていない(ヒツジは服にも興味がない)からクローゼットすら必要ない。
何にもないがらんとした狭い家。ヒツジの生活の総て。
部屋なんて住めればそれでいいって思ってたのに‥ハヅキを見ていてこの頃はちょっと変わってきた。
「何でもいい」よりちょっと進歩した程度だけど、ヒツジは自分の生活に以前より少し‥関心を持てるようになった。
布団の肌触り。
カーテンの色、柄。
自分で気に入って買ったものに囲まれる生活は‥思っていたよりも、こころを豊かにしてくれた。
ほんのちょっとのことなのに‥
‥日々の生活ってのは、案外そういうものなのかもな。
って思った。
そんな、「ちょっと幸せ」が加わった愛すべき我が家に帰って来たというのに‥少しも落ち着かない。
お湯を沸かしてお茶を飲む気にもなれないから、手洗いとうがいをして、背広の上着とズボンはでも、きちんとハンガーにかけた。この仕事に就いて以来毎日欠かさず着ている大事な制服だ。どんなに疲れていても「スーツをハンガーにかける」という行為をヒツジは欠かせたことはなかった。
ただ今日は‥疲れすぎた。カッターをそこらに投げ捨てて、着替えもそこそこにベッドに倒れ込んだ。
どっと疲れがでた。
あれもこれれも全てサルのせいだ。
「サルのせい」だと思う理由① 俺の血圧を上げさせ気絶させたのは、下らんことを言ったサルのせい。(まさか気絶するとは思わんかったが‥)
「サルのせい」だと思う理由② その俺を天界に連れて帰ってくれたのは嬉しいが‥きっとそこらに放っておいたのだろう。家は知っているはずなのに不親切な野郎だ! そもそも、オマエのせいで俺が気絶したんだろうが!! 放り出すにしても、天界の入り口からほど近い(ってか、門の横!! )場所とか‥オマエ血も涙※1もないな(※1 天界人だから、実際にそんなものはハナからない)親切なクレープ屋の店主に助けてもらいベンチに寝かしてもらったが、硬いベンチで寝たせいか身体が痛い。いくら普段俺の使っているベッドが固いといえど、ベンチ程は硬くない!! 今度オマエを運ぶことになったら、特別に石の床とかに転がしてやるからな!! アイツの家(高級マンション)に丁度そんな場所※2があったな! (※2 大理石張りのフロア)
「サルのせい」だと思う理由③ 服がぐしょぐしょになるまで泣かれて、濡れた服を着て帰宅したせいで、今寒い。
無理やり「気持ちを奮い起こして」どこまでも落ち込んでしまいそうな気持を鼓舞させようとしたが、無理だった。寧ろ、虚しい気持ちが増しただけだった。
はあ‥下らん。
ホンマ下らんこと考えてもたわ。
分かってる。そんなことでも考えないとどうにかなってしまいそうやから‥。
サルはナガツキと別れるのが寂しい。
それは‥俺だって同じや。
ハヅキと別れるのは辛い。
ただの担当してる子やいうたかて、もう10回(ハヅキには試運転の0回目という奴がある。例の「ハヅキすら覚えてない」ヤバい美形で無双、ハーレム(?)回のやつだ)
あの時は、「コイツ、ヤバいわ~。ホンマエライ仕事引き受けてもたわ~」位にしか思ってなかったのに‥今ではすっかり情が移ってる。
ハヅキが「俺の担当する人工の魂」やなくなるっていうのはどういうことなのかって言うと‥今までの状態が「ゲージの中で観察していた保護動物」だったとしたら、これからは「草原で暮らす野生動物」になるってことだ(なんか、旨い例え見つからんな‥)。
動物の種類は変わらないよ? シマウマからキリンに変わるわけじゃない。
でも、野生のシマウマなんてさ、絶対見分けつかないよ。目印でもついてない限り‥。
今回で、神様印の目印が外される。そしたら‥
きっと、俺はハヅキのことを見つけられないだろう。
生まれ変わって見た目が変わってもきっと‥とかいう夢物語なんて誰が信じる?
やっと子育て終了だ。肩の荷が下りた、ヤレヤレ。って思える程‥割り切れない。自分がこんなこと思う日が来るなんて、思いもしなかったなあ‥。
でも。
ヒツジは自分の顔をパンとビンタする。
でも、
ハヅキの人生はまだ終わっていない。
俺の最後の仕事はハヅキの今世を最後まで見守ることだ。
中途半端じゃいけない。
やり切った。
もう悔いがないって位、ハヅキの為に時間を割こう。
ハヅキの頑張りを目に焼き付けよう。
監視するんじゃない。見張るんでもない。ただ、ちゃんと逃げないでハヅキと向き合おう。
ハヅキの決断を、ハヅキの成長を‥ちゃんと見守ろう。
イイ親ってそういうの‥かも?
自分の思い通りにならないからって不安になったり、憤りを感じたり、「こうした方がいい」ってアドバイスしたり‥そうじゃなくって、ちゃんと一人の人間として認めて、きちんと話を聞いて‥向き合う。
人に迷惑をかけているんなら、ちゃんと注意する。不当な扱いを受けているなら、「我慢しなくていい」って言う‥。イイ親の役割は、でも、ハヅキの地上の親がいるから彼らに任せるしかない。
じゃあ俺の仕事は? 俺の役目は?
もう、どこにもない。
普通の魂にする為にって頑張ってた俺の努力がどこまで必要でどこまで「おせっかい」だったかは分からない。
と言うか‥今となっては、何が普通なのか分からない。
普通じゃないと思って来た全部が個性だったのかもしれない。
でも違う。
道徳感情。
人を愛し、自分を愛する気持ち。
幸せになりたい、人を幸せにしたいと思う気持。
それらは、もしかして‥細胞レベルの「未発達生物」にはなかったものかもしれない。
本能は生きているものなら、きっと当たり前Levelに持ってるもの。
生きるべき、子孫を残すべきって情報はDNAに書き込まれている「当たり前」のこと。「当たり前」から「生きたい」「子孫を残さなければならない」という使命感やら願望に進化する‥知能が生まれる。生まれるっていうか‥進歩する? やがて、知能が発展して、分かることが増えて、同時に「分からないこと」も増える。
憎い、愛しい‥人と接することによって感じた「悪い」気持ち、「よい」気持ち。
愛しいから頑張れる。憎いから、なにくそ負けないと‥頑張れる。生活の質が向上する。生存確率が増え、生殖に対する意欲が増す‥そのように、愛しいやら、憎いといった「感情」は生殖、生存本能に最も関わって来る要素であることは否定できないが、一方で、愛するがゆえに苦しい、憎しみから身を持ち崩す‥、時に誤解して、時に遠回りして‥人は絶望から、虚無感から「もう人を愛することはない」そして最悪、「死にたい」って選択肢を選ぶこともあるかもしれない。
人の行動に一喜一憂。喜んだり、悲しんだり、苦しんだり、憎んだり、だけど、相手があることだから、自分一人ではどうしようも出来な。感情とは、そんなやっかいなもの。
人と一緒に暮らすために守らなければならない社会のルールや思いやりといった、本能のストッパーで、高等生物として当たり前に持つべき「理性」。
これも、知能の発達に比例しているだろう。
つまり、理性は知能の発展に比例しているといえる。だけど‥感情はきっと、それだけじゃない。知能の発展に比例して感情は生まれたが、それだけではない。理性や知能の劣る動物にも、母性や愛情はある。感情の根っこは、知能とは別のところある。
正しいだけが「普通の人間」じゃない。
なら、普通の人間って何だろう。
「結局は、好き嫌いに行きつくんやろな。こういう人間が好きとか、嫌いとか。許せるか許せないか‥」
俺はもしかして、「ハヅキならどんなでも、好き」の盲目状態に陥ってしまってるのかもしれない。なら、そんな俺はもうハヅキのお目付け役として適任ではない。
「もう、俺は子離れしなければいけないんだ」
苦しい、悲しい、寂しい。
だけど、同時に
これからの新生ハヅキが楽しみな気もする。
神からつけられた首輪を外し、これから、新しい‥広い世界に飛び立つ彼女を祝福しよう。
だから、今だけは
今のハヅキを全部目に焼き付けよう。
ハヅキの為じゃなく、俺の今後のために。
俺が今後の生活を‥ハヅキなしで‥過ごしていくために‥。
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