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しおりを挟む【願わくば、君が生きる未来を贈りたい。】
【ここまで書いてあるものは、】
【きっともう試しているのだろう。】
【だから、星霜院 和都殿であれば】
【最悪の場合でも】
【設備が揃えられると願い、提案を。】
【『番の奇跡』を信じてみてくれ。 】
【おそらく、氷空くんの身体では】
【番になる事自体、】
【命を消耗する行為だとは理解している。】
【もし、彼を愛し、自身を犠牲にしてでも】
【彼との未来を望む人間がいるのであれば、】
【番ったあとの、】
【彼らの健康維持を続けられる】
【環境整えてあげてほしい。】
【きっと、もう、】
【私はこの世にいないだろうが、】
【氷空くん、私が言うのもおかしいが、】
【長生きしてほしい。私はきっと地獄行きだ。】
【向こうでは会えないから、】
【ゆっくりのんびり生きてから天に昇りなさい。】
【 ごめんなさい、ありがとう。 】
その遺書兼手紙を読み終えると、和都さんは、慌てたように部屋を出ていって書斎に吸い込まれた。
おそらく『番の奇跡』について調べに行ったのだと思う。
氷空は、俺のもとに戻ってきてから一度も泣いたことがなかったのに、医院長が亡くなったとニュースを見たときも泣かなかったのに、今、大粒の涙をこぼしながら静かに泣いていた。
「…兄さん、俺、まだ空にはいけないや。」
「当たり前だろう。俺は最初から行かせる気はないって言っていただろう。」
「…うん、俺ができることは少ないかもしれないけど、頑張ってみる。」
その言葉に、灯くんも風吹くんも、妃璃さんも涙ぐんで喜んでいた。あんなに未来を見ることを諦めていた氷空が先を見ようとしたのだから。
だけど、生きる気力とは反対に、氷空の身体はどんどん衰弱していった。食事だって頑張ってたくさん食べようとしているが、逆効果なのか吐き戻してしまうことが増えた。体力が少ないのに、吐くために更に体力を使うせいで、また1日の大半を寝て過ごすようになってしまっている。
和都さんは『番の奇跡』と言われる、番になったときに起こる不思議な現象や症例、身体的変化なんかの論文や、実体験をした人に話を聞いたりして確立を高めていっていた。妃璃さんも医学界の婦人会や女性医師の噂や情報網を駆使して、情報を集めてきてくれている。
その結果、分かったことは、やってみないと何が起こるか分からないということだけだった。どんな論文も、どんな番の話を聞いても、症状や感覚はバラバラ、実際に身体に出るものもあれば、感覚や運なんかのあやふやなものまで様々だった。強いて言うのであれば、番同士で足りないものを補い合ったものが多いというくらいであった。
「…すまないね。海莉。確立がどれも低い、確立どころか感覚的なもののほうが多くてね。」
「いえ、ありがとうございます。和都さん。」
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