空蝉

pAp1Ko

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灯side.

「…氷空と番おうと思う。まだ氷空には聞けてないんだけど。…手伝ってくれますか?」

そう海莉さんが僕たちに告げてくる。
風吹も和都さんも妃璃さんも、頷きながら当たり前だと返事をする。和都さんと妃璃さんが、必要になりそうな医療器具なんかの話をし始めて、僕と風吹と海莉さんで、どんな奇跡が起こるかを話し合った。

「やっぱり、どんな奇跡でも氷空が幸せになれるのがいいな。僕は怪我が減って、風吹や皆にたくさん心配そうな顔させてたから、本当に良かったよ。」
「灯くんと風吹くんの奇跡は不運撃退かな?」
「そうですね、これと言って思い当たるものはそのくらいですね。灯側からだと不運撃退かもしれませんが、俺側だと特段これといった感覚はないですね。」
「そっか…片方のメリットが大きいともう片方にか習っずデメリットが出るとも限らないのかもね。」
「そうかも!でもでも、どっちもハッピーみたいな人もいるんでしょ?だったら、どっちもハッピーの奇跡がいいね。みんなで長生きできるようになりたいね!」
「そうですね。そのために灯は一生懸命勉強してますからね。」
「そうなの?」
「はい、高校は俺が灯に合わせて今の学校ですが、俺は父さんの背中を追いますから、医者になります。灯はそんな俺についていくと言って頑張ってくれているんです。」
「だって、次は僕が合わす番でしょ!それに氷空に何かあったとき今度は僕が助けるんだ。2回も助けてもらったからね。次は僕の番だよ。」
「灯くん、風吹くん、ありがとう。氷空も喜ぶよ。」
「そ、れ、に!海莉さんもだからね!」
「…ん?」
「氷空がいなくなっちゃってから、ちゃんとした休みも取ってないし、今は氷空を守ることがお仕事だから、いくらか休めてるかもだけど、心は絶対休まってないからね!」
「…そうですね、俺たち家族と出会ってからも、安心感がないから休まっていないはずです。俺たちは二人で医者になって、番になった氷空くんと海莉さんの面倒を見るんです。」
「そうそう!だから、いつかは4人で暮らして、海莉さんには、氷空を愛でながら、僕たち4人の家で専業主夫?てきなやつになってもらってゆっくり過ごして貰う予定だからね!」

海莉さんは、思考停止したみたいな顔で僕たちをみている。口から、小さく困惑の声が漏れ出ている。

「そうなの、宙くんが戻ってきてしばらくしてからね、二人からいつか海莉と氷空を連れて4人暮らししていいかって相談があったのよ。」
「妃璃さん、でも俺は、この家のお手伝いとして働いて、…。」
「あら、養子縁組をした時点で、お手伝いさんなんて退職よ。今は、家事を手伝ってくれている優秀な長男よ。」 
「ぁ、え…。でも、あれ?給料は…?」
「あれはただのお小遣いよ!今まで走り回っていたんだから、あのくらい渡したって文句言わないわ。ねえ?」
「そうだな。それに風吹と灯くんは、家事力が低いからね。二人だけで暮らしていったらゴミ屋敷間違いないよ。」
「「だから、風吹と灯くんをよろしく。」」
「あ、え?…はい?」

困惑しつつも頷いた海莉さん。そのまま和都さんと妃璃さんに連れてかれて、医療器具の話や、いつ番うかなんて日程の確認をしている。

「…ねえ、風吹。」
「なに?灯。」
「僕、いっぱい頑張るね。二人を幸せにするんだ。」
「そうだね、俺も負けないように頑張らないと。」

医療機器が揃って、氷空に確認が取れたらすぐにでも番うらしい。それでも、医療機器が揃うのが少なく見積もっても2ヶ月後らしいから、もしかしたら年明けになるかもしれないとは和都さんが言っていた。小さく冬さえ越えれば…と言ったのは、聞こえないふりをした。

だいじょうぶ。氷空なら越えられるよ。



氷空が起きたのは2週間経ってからだった。
たまたま、海莉さんも風吹もいなくて、僕と二人だけだった。

「…あ、かり?」
「おはよう!氷空!」
「おは、よ。に、さんは?」
「今はちょっと席外してるんだ。すぐ戻ってくるよ。」
「…そっか、。」
「あのね、氷空。」
「ん、なぁに?」
「氷空が元気になったら、僕たち4人で暮らそうって話てるんだ。…どう、かな。」
「…いい、ね。たの、しそう。」
「よかった!」

そうやって、会話をしながら二人が戻ってくるのを待っていたら、風吹と海莉さんが一緒に戻ってきた。風吹と僕は、おじゃま虫にならないように、静かに部屋を出た。


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